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刑法 スワット事件 最一小決平成15年5月1日

概要
暴力団組長である被告人が、自己のボディガードらのけん銃等の所持につき、直接指示を下さなくても、これを確定的に認識しながら認容し、ボディガードらと行動を共にしていたことなど判示の事情の下においては、被告人は前記所持の共謀共同正犯の罪責を負う。
判例
事案:検問にて、ボディガードらが拳銃所持していたとして銃刀法違反で現行犯逮捕された事案において、暴力団組長である被告人が自己のボディガードらのけん銃等の所持につき直接指示を下さなくても、共謀共同正犯の罪責を負うかが問題となった。

判旨:「被告人に共謀共同正犯が成立するかどうかが問題となるところ、…被告人は、スワットらに対してけん銃等を携行して警護するように直接指示を下さなくても、スワットらが自発的に被告人を警護するために本件けん銃等を所持していることを確定的に認識しながら、それを当然のこととして受け入れて認容していたものであり、そのことをスワットらも承知していた…。なお、弁護人らが主張するように、被告人が幹部組員に対してけん銃を持つなという指示をしていた事実が仮にあったとしても、前記認定事実に徴すれば、それは自らがけん銃等の不法所持の罪に問われることのないように、自分が乗っている車の中など至近距離の範囲内で持つことを禁じていたにすぎないものとしか認められない。また、…前記の事実関係によれば、被告人とスワットらとの間にけん銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があったといえる。そして、スワットらは被告人の警護のために本件けん銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件けん銃等を所持させていたと評し得るのである。したがって、被告人には本件けん銃等の所持について、…スワット5名等との間に共謀共同正犯が成立するとした第一審判決を維持した原判決の判断は、正当である。」
過去問・解説
(H26 司法 第19問 1)
【事例】
 暴力団組長である被告人は、被告人を警護するスワットと呼ばれる複数のボディーガードを配下に持ち、被告人が車両で移動する際には、拳銃及びそれに適合する実包(以下「拳銃等」という。)を携帯したスワットが被告人車両の前後の車両に乗車するなどして、被告人を警護することを常としていた。被告人は、本件犯行時、車両で移動したが、その際、拳銃等を携帯したスワットらが被告人車両の前後の車両に乗車し、被告人車両と隊列を組んで移動するなどして、被告人の警護に当たった。
【判旨】
 被告人は、スワットらに対して拳銃等を携行して警護するように直接指示を下さなくても、スワットらが自発的に被告人を警護するために本件拳銃等を所持していることを確定的に認識しながら、それを当然のこととして受け入れて認容し、そのことをスワットらも承知しており、被告人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。そして、スワットらは被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。よって、被告人には、本件拳銃等の所持について、スワットらとの間で、銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪の共謀共同正犯が成立する。
【記述】
【判旨】の考え方によれば、共謀共同正犯が成立するためには、実行行為者とその背後者の間に明示の意思連絡が常に必要なわけではない。

(正答)

(解説)
【判旨】は、「被告人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。」としている。
したがって、【判旨】の考え方によれば、共謀共同正犯が成立するためには、実行行為者とその背後者の間に明示の意思連絡が常に必要なわけではないといえる。

(H26 司法 第19問 2)
【事例】
 暴力団組長である被告人は、被告人を警護するスワットと呼ばれる複数のボディーガードを配下に持ち、被告人が車両で移動する際には、拳銃及びそれに適合する実包(以下「拳銃等」という。)を携帯したスワットが被告人車両の前後の車両に乗車するなどして、被告人を警護することを常としていた。被告人は、本件犯行時、車両で移動したが、その際、拳銃等を携帯したスワットらが被告人車両の前後の車両に乗車し、被告人車両と隊列を組んで移動するなどして、被告人の警護に当たった。
【判旨】
 被告人は、スワットらに対して拳銃等を携行して警護するように直接指示を下さなくても、スワットらが自発的に被告人を警護するために本件拳銃等を所持していることを確定的に認識しながら、それを当然のこととして受け入れて認容し、そのことをスワットらも承知しており、被告人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。そして、スワットらは被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。よって、被告人には、本件拳銃等の所持について、スワットらとの間で、銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪の共謀共同正犯が成立する。
【記述】
【判旨】の考え方によれば、およそ実行行為者とその背後者の間に意思連絡がある場合には、背後者について狭義の共犯が成立することはなく、共謀共同正犯が成立することとなる。

(正答)

(解説)
【判旨】は、「スワットらは被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。」として、意思連絡だけではなく、被告人の立場も考慮している。
したがって、およそ実行行為者とその背後者の間に意思連絡がある場合には、背後者について狭義の共犯が成立することはなく、共謀共同正犯が成立することとなるわけではない。

(H26 司法 第19問 3)
【事例】
 暴力団組長である被告人は、被告人を警護するスワットと呼ばれる複数のボディーガードを配下に持ち、被告人が車両で移動する際には、拳銃及びそれに適合する実包(以下「拳銃等」という。)を携帯したスワットが被告人車両の前後の車両に乗車するなどして、被告人を警護することを常としていた。被告人は、本件犯行時、車両で移動したが、その際、拳銃等を携帯したスワットらが被告人車両の前後の車両に乗車し、被告人車両と隊列を組んで移動するなどして、被告人の警護に当たった。
【判旨】
 被告人は、スワットらに対して拳銃等を携行して警護するように直接指示を下さなくても、スワットらが自発的に被告人を警護するために本件拳銃等を所持していることを確定的に認識しながら、それを当然のこととして受け入れて認容し、そのことをスワットらも承知しており、被告人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。そして、スワットらは被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。よって、被告人には、本件拳銃等の所持について、スワットらとの間で、銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪の共謀共同正犯が成立する。
【記述】
【判旨】の考え方によれば、共謀共同正犯が成立するためには、一般に、実行行為を行わない者に実行行為者に対する指揮命令権限が必要である。

(正答)

(解説)
【判旨】は、「彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。」としている。
指揮命令権限は、実行行為を行っていない者に共同正犯が成立するか否かの考慮要素にすぎず、共謀共同正犯が成立するためには、一般に、実行行為を行わない者に実行行為者に対する指揮命令権限が必要であるとまではいえない。

(H26 司法 第19問 4)
【事例】
 暴力団組長である被告人は、被告人を警護するスワットと呼ばれる複数のボディーガードを配下に持ち、被告人が車両で移動する際には、拳銃及びそれに適合する実包(以下「拳銃等」という。)を携帯したスワットが被告人車両の前後の車両に乗車するなどして、被告人を警護することを常としていた。被告人は、本件犯行時、車両で移動したが、その際、拳銃等を携帯したスワットらが被告人車両の前後の車両に乗車し、被告人車両と隊列を組んで移動するなどして、被告人の警護に当たった。
【判旨】
 被告人は、スワットらに対して拳銃等を携行して警護するように直接指示を下さなくても、スワットらが自発的に被告人を警護するために本件拳銃等を所持していることを確定的に認識しながら、それを当然のこととして受け入れて認容し、そのことをスワットらも承知しており、被告人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。そして、スワットらは被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。よって、被告人には、本件拳銃等の所持について、スワットらとの間で、銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪の共謀共同正犯が成立する。
【記述】
【判旨】の考え方によれば、仮に【事例】において、現実には被告人がスワットらの拳銃等の所持を認識・認容していたのに、スワットらは、これらの所持に被告人が気付いていないと思っていた場合でも、被告人には共謀共同正犯が成立することとなる。

(正答)

(解説)
【判旨】は、「被告人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。」として、黙示の意思連絡を前提として共謀共同正犯の成立を認めている。
黙示の意思連絡は、被告人が、スワットらが自発的に被告人を警護するために本件拳銃等を所持していることを確定的に認識しながら、それを当然のこととして受け入れて認容して、そのことをスワットらも承知していることを前提としている。
したがって、スワットらは、これらの所持に被告人が気付いていないと思っていた場合には、意思の連絡は認められないことになる。

(H26 司法 第19問 5)
【事例】
 暴力団組長である被告人は、被告人を警護するスワットと呼ばれる複数のボディーガードを配下に持ち、被告人が車両で移動する際には、拳銃及びそれに適合する実包(以下「拳銃等」という。)を携帯したスワットが被告人車両の前後の車両に乗車するなどして、被告人を警護することを常としていた。被告人は、本件犯行時、車両で移動したが、その際、拳銃等を携帯したスワットらが被告人車両の前後の車両に乗車し、被告人車両と隊列を組んで移動するなどして、被告人の警護に当たった。
【判旨】
 被告人は、スワットらに対して拳銃等を携行して警護するように直接指示を下さなくても、スワットらが自発的に被告人を警護するために本件拳銃等を所持していることを確定的に認識しながら、それを当然のこととして受け入れて認容し、そのことをスワットらも承知しており、被告人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。そして、スワットらは被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。よって、被告人には、本件拳銃等の所持について、スワットらとの間で、銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪の共謀共同正犯が成立する。
【記述】
【判旨】では、被告人が犯行現場付近にいて犯行と密接な関係を保っていたことや被告人の組織内での地位が、被告人を共同正犯と評価する上での重要な事情として考慮されている。

(正答)

(解説)
【判旨】は、「スワットらは被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。」として、意思連絡だけではなく、被告人が犯行現場付近にいて犯行と密接な関係を保っていたことや被告人の組織内での地位も、被告人を共同正犯と評価する上での重要な事情として考慮されている。
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