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教唆犯 - 解答モード

教唆犯と幇助犯の区別 大判大正6年5月25日

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概要
助言をもって他人の犯罪に加功する場合において、当該助言が他人の犯行の故意を決定させたならば教唆犯が成立する。他人の既存の範囲を強固にしたにとどまるものであるときは幇助犯が成立する。
判例
事案:公文書偽造行使及び選挙法違反の事案で、教唆犯と幇助犯の区別が問題となった。

判旨:「助言ヲ以テ他人ノ犯罪ニ加工シタル場合ニ於テ該助言カ他人ヲシテ犯行ノ故意ヲ決定セシメタリトセハ教唆犯ニ問擬スヘク単ニ他人ノ既発ノ犯意ヲ強固ナラシメタルニ止マルモノナルトキハ之ヲ従犯ニ問擬スヘキモノトス」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(R4 司法 第11問 4)
既に特定の犯罪の実行を確定的に決意している者に対してその実行を勧め、これによってその者の決意が強固になった場合、幇助犯は成立し得るが、教唆犯は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判大6.5.25)は、「助言ヲ以テ他人ノ犯罪ニ加工シタル場合ニ於テ該助言カ他人ヲシテ犯行ノ故意ヲ決定セシメタリトセハ教唆犯ニ問擬スヘク単ニ他人ノ既発ノ犯意ヲ強固ナラシメタルニ止マルモノナルトキハ之ヲ従犯ニ問擬スヘキモノトス」として、すでに犯罪の実行を決意している者に実行を勧めることでその意思を強固にした場合、幇助犯が成立することを示している。
幇助も教唆も助言で他人の犯罪に加功する場合がありうるが、教唆は新たに犯行を決意させる点で幇助と異なる。
したがって、既に特定の犯罪の実行を確定的に決意している者に対してその実行を勧め、これによってその者の決意が強固になった場合、新たに犯行を決意させたとはいえず、幇助犯は成立し得るが、教唆犯は成立しない。

該当する過去問がありません

被教唆者が従わなかった場合の教唆犯の成否 大判大正9年3月16日

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概要
教唆者において、具体的に犯罪実行の手段方法その他犯罪の場所、時期又は目的物等を指定した場合において、被教唆者がその指定に違背して教唆者の意思と被教唆者の実行行為との間に齟齬があるときでも、被教唆者が指定の違背につき認識があったか否かを問わず、教唆された一定の犯罪行為を実現させている以上は教唆犯が成立する。
判例
事案:教唆者が犯罪実行に関して具体的な指定をしたという事案において、被教唆者がそれに従わなかった場合における教唆犯の成否が問題となった。

判旨:「教唆者ニ於テ具体的ニ犯罪実行ノ手段方法其他犯罪ノ場所、時期又ハ目的物等ヲ指定シタル場合ニ於テ被教唆者カ其指定ニ違背シ教唆者ノ意思ト被教唆者ノ実行行為トノ間ニ齟齬アリタルトキト雖モ被教唆者カ指定ノ違背ニ付キ認識アリタルト否トヲ問ハス苟モ教唆セラレタル一定ノ犯罪行為ヲ実現セシメタル以上ハ仍ホ教唆罪ノ成立ヲ妨ケサルモノトス」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H22 司法 第6問 2)
甲が、乙に対し、Aの弱みに付け込んでAから現金を喝取するように唆したところ、乙は、その旨決意し、深夜、公園にいるBをAと誤認して、現金を喝取しようとしてBを脅迫したが、人違いのため現金を喝取できず、その直後、Aを上記公園に呼び出し、Aから現金を喝取した。甲には、Aに対する恐喝既遂罪の教唆犯とBに対する恐喝未遂罪の教唆犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大9.3.16)は、「教唆者ニ於テ具体的ニ犯罪実行ノ手段方法其他犯罪ノ場所、時期又ハ目的物等ヲ指定シタル場合ニ於テ被教唆者カ其指定ニ違背シ教唆者ノ意思ト被教唆者ノ実行行為トノ間ニ齟齬アリタルトキト雖モ被教唆者カ指定ノ違背ニ付キ認識アリタルト否トヲ問ハス苟モ教唆セラレタル一定ノ犯罪行為ヲ実現セシメタル以上ハ仍ホ教唆罪ノ成立ヲ妨ケサルモノトス」として、教唆した犯罪の内容と実行した犯罪の内容に齟齬があっても、教唆した犯罪行為を実現した以上、その犯罪が成立するとしている。
甲から教唆された乙が、公園にいるBをAと誤認して、現金を喝取しようとBを脅迫しているが、恐喝罪の構成要件である「人」の範囲内で符合している以上、教唆者の意思と被教唆者の実行行為との間に齟齬があっても甲に恐喝罪の教唆犯が成立する。
したがって、甲には、Aに対する恐喝既遂罪の教唆犯とBに対する恐喝未遂罪の教唆犯が成立する。


全体の正答率 : 100%

(H29 共通 第15問 1)
甲が乙に対し、深夜の公園で待ち伏せしてAから金品を喝取するように教唆したところ、乙は、その旨決意し、深夜の公園でAを待ち伏せしたが、偶然通り掛かったBをAと誤認してBから金品を喝取した。乙は、人違いに気付き、引き続きAを待ち伏せして、通り掛かったAから金品を喝取しようとしてAを脅迫したが、Aに逃げられてしまい金品を喝取することができなかった。甲にはAに対する恐喝未遂罪の教唆犯のみが成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大9.3.16)は、「教唆者ニ於テ具体的ニ犯罪実行ノ手段方法其他犯罪ノ場所、時期又ハ目的物等ヲ指定シタル場合ニ於テ被教唆者カ其指定ニ違背シ教唆者ノ意思ト被教唆者ノ実行行為トノ間ニ齟齬アリタルトキト雖モ被教唆者カ指定ノ違背ニ付キ認識アリタルト否トヲ問ハス苟モ教唆セラレタル一定ノ犯罪行為ヲ実現セシメタル以上ハ仍ホ教唆罪ノ成立ヲ妨ケサルモノトス」として、教唆した犯罪の内容と実行した犯罪の内容に齟齬があっても、教唆した犯罪行為を実現した以上、その犯罪が成立するとしている。
甲から教唆された乙は、偶然通り掛かったBをAと誤認してBから金品を喝取しているが、恐喝罪の構成要件である「人」の範囲内で符合している以上、教唆者の意思と被教唆者の実行行為との間に齟齬があっても甲に恐喝罪の教唆犯が成立する。
したがって、甲には、Aに対する恐喝未遂罪の教唆犯とBに対する恐喝既遂罪の教唆犯が成立する。


全体の正答率 : 100%

(H29 共通 第15問 3)
甲が乙に対し、留守宅であるA方に侵入して金品を窃取するように教唆したところ、乙は、その旨決意したが、B方をA方と誤認してB方に侵入し、その場にいたBから金品を強取した。甲にはB方への住居侵入罪及びBに対する窃盗罪の教唆犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大9.3.16)は、「教唆者ニ於テ具体的ニ犯罪実行ノ手段方法其他犯罪ノ場所、時期又ハ目的物等ヲ指定シタル場合ニ於テ被教唆者カ其指定ニ違背シ教唆者ノ意思ト被教唆者ノ実行行為トノ間ニ齟齬アリタルトキト雖モ被教唆者カ指定ノ違背ニ付キ認識アリタルト否トヲ問ハス苟モ教唆セラレタル一定ノ犯罪行為ヲ実現セシメタル以上ハ仍ホ教唆罪ノ成立ヲ妨ケサルモノトス」として、教唆した犯罪の内容と実行した犯罪の内容に齟齬があっても、教唆した犯罪行為を実現した以上、その犯罪が成立するとしている。
甲から教唆された乙が、B方をA方と誤認してB方に侵入しているが、構成要件の範囲内で符合している以上、教唆者の意思と被教唆者の実行行為との間に齟齬があっても住居侵入罪が成立する。また、その後の判例(最判昭25.7.11)は、「正犯が教唆した犯罪より重い罪を犯した場合、構成要件が重なり合う範囲で軽い罪の教唆犯が成立する。」としている。
甲は乙に対し、窃盗を教唆し、乙が強盗を実行しているから構成要件が重なり合う窃盗の限度で教唆犯が成立する。
したがって、甲にはB方への住居侵入罪及びBに対する窃盗罪の教唆犯が成立する。


全体の正答率 : 100%

(H29 共通 第15問 4)
甲が乙に対し、現住建造物であるA家屋に放火するように教唆したところ、乙は、その旨決意し、A家屋に延焼させる目的で、A家屋に隣接した現住建造物であるB家屋に放火したが、B家屋のみを焼損し、A家屋には燃え移らなかった。甲にはA家屋に対する現住建造物等放火未遂罪の教唆犯のみが成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大9.3.16)は、「教唆者ニ於テ具体的ニ犯罪実行ノ手段方法其他犯罪ノ場所、時期又ハ目的物等ヲ指定シタル場合ニ於テ被教唆者カ其指定ニ違背シ教唆者ノ意思ト被教唆者ノ実行行為トノ間ニ齟齬アリタルトキト雖モ被教唆者カ指定ノ違背ニ付キ認識アリタルト否トヲ問ハス苟モ教唆セラレタル一定ノ犯罪行為ヲ実現セシメタル以上ハ仍ホ教唆罪ノ成立ヲ妨ケサルモノトス」として、教唆した犯罪の内容と実行した犯罪の内容に齟齬があっても、教唆した犯罪行為を実現した以上、その犯罪が成立するとしている。
また、放火罪は公共の危険を犯す罪であるから、公共の危険の個数により罪数が決まり、複数の建造物が焼損しても発生した公共の危険が1個ならば単純一罪となる。
甲から教唆された乙は、A家屋に延焼させる目的で、A家屋に隣接した現住建造物であるB家屋に放火しこれを焼損したのであるから、甲は現住建造物等放火既遂罪の教唆犯のみが成立する。


全体の正答率 : 100%

(R2 共通 第5問 エ)
甲が乙にA方に侵入して金品を窃取するように教唆して、その犯行を決意させたが、乙はA方と誤認して隣のB方に侵入してしまい、B方から金品を窃取した場合、甲にB方への住居侵入罪及びBに対する窃盗罪の教唆犯は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判大9.3.16)は、「教唆者ニ於テ具体的ニ犯罪実行ノ手段方法其他犯罪ノ場所、時期又ハ目的物等ヲ指定シタル場合ニ於テ被教唆者カ其指定ニ違背シ教唆者ノ意思ト被教唆者ノ実行行為トノ間ニ齟齬アリタルトキト雖モ被教唆者カ指定ノ違背ニ付キ認識アリタルト否トヲ問ハス苟モ教唆セラレタル一定ノ犯罪行為ヲ実現セシメタル以上ハ仍ホ教唆罪ノ成立ヲ妨ケサルモノトス」として、教唆した犯罪の内容と実行した犯罪の内容に齟齬があっても、教唆した犯罪行為を実現した以上、その犯罪が成立するとしている。
甲から教唆された乙が、B方をA方と誤認してB方に侵入しB方から金品を窃取しているが、構成要件の範囲内で符合している以上、教唆者の意思と被教唆者の実行行為との間に齟齬があっても住居侵入罪の及び窃盗罪の教唆犯が成立する。
したがって、甲にB方への住居侵入罪及びBに対する窃盗罪の教唆犯が成立する。

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再間接教唆の成否 大判大正11年3月1日

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概要
再間接教唆をした者も「教唆者を教唆した者」にあたるとして、61条2項の適用により処罰される。
判例
事案:再間接教唆をした者について、「教唆者を教唆した者」に当たるかが問題となった。

要旨:刑法第61条第2項ノ間接教唆ハ数人相次イテ教唆ヲ為シタル場合ニ於ケル総テノ教唆行為ヲ包含ス
(※原文を確認できないため、要旨のみを掲載)
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H28 司法 第19問 1)
甲がAの殺害を乙に教唆したところ、乙はAの殺害を丙に教唆し、さらに、丙はAの殺害を丁に教唆し、丁がAを殺害した。甲には、殺人罪の教唆犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大11.3.1)は、刑法第61条第2項の間接教唆は数人が相次いで教唆をした場合における全ての教唆行為を包含するとして、再間接教唆も61条2項により教唆となることを示している。
甲は、乙を介して丙にA殺害を教唆した再間接教唆者に当たり、甲には、殺人罪の教唆犯が成立する。

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結果的加重犯の教唆犯 大判大正13年4月29日

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概要
他人に暴行を加えることを教唆した者は被教唆者がこれに応じて暴行し他人の身体を傷害し死亡させたときは傷害致死の罪責を負う。
判例
事案:暴行を教唆したところ、被教唆者が被害者を傷害し、結果として被害者を死亡させた事案で、教唆犯が加重結果について責任を負うか問題となった。

要旨:他人ニ暴行ヲ加フヘキコトヲ教唆シタル者ハ被教唆者カ之ニ応シテ暴行ヲ為シ他人ノ身体ヲ傷害シ之ヲ死ニ致シタルトキハ傷害致死ノ罪責ニ任スヘキモノトス
(※原文を確認できないため、要旨のみを掲載)
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H22 司法 第6問 4)
甲が、乙に対し、Aに暴行を加えるように唆したところ、乙は、その旨決意し、Aに行を加えたが、暴行を加えているうちに傷害の故意を生じ、その後の暴行による傷害が致命傷となってAは死亡した。甲には、傷害致死罪の教唆犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大13.4.29)は、他人に暴行を加えることを教唆した者は、被教唆者がこれに応じて暴行をして他人の身体を傷害し、死に至らしめた場合には、傷害致死罪の罪責を負うことを示している。
甲は、乙に対してAに暴行するよう教唆し、結果として乙は傷害の故意を生じ、Aはその後の暴行による傷害が致命傷となって死亡しているから、甲には傷害致死罪の教唆犯が成立する。


全体の正答率 : 100%

(H23 共通 第18問 5)
甲は、乙に対して丙に暴行するよう教唆したところ、乙が丙の頭部を1回殴り、その結果、丙が転倒して地面に頭部を打ち付け、脳挫傷により死亡した。この場合、甲には傷害致死罪の教唆犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大13.4.29)は、他人に暴行を加えることを教唆した者は、被教唆者がこれに応じて暴行をして他人の身体を傷害し、死に至らしめた場合には、傷害致死罪の罪責を負うことを示している。
甲は、乙に対して丙に暴行するよう教唆し、結果として乙の暴行で丙は脳挫傷により死亡しているから、甲には傷害致死罪の教唆犯が成立する。


全体の正答率 : 100%

(R2 共通 第5問 オ)
甲が乙の傷害行為を幇助する意思で、乙に包丁を貸与したところ、乙が殺意をもってその包丁でAを刺殺した場合、甲に殺人罪の幇助犯が成立し、傷害致死罪の幇助犯は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判大13.4.29)は、他人に暴行を加えることを教唆した者は、被教唆者がこれに応じて暴行をして他人の身体を傷害し、死に至らしめた場合には、傷害致死罪の罪責を負うことを示している。
甲は、乙の傷害行為を幇助する意思で、乙に包丁を貸与し、乙が殺意をもってその包丁でAを刺殺しているから、甲には構成要件が重なり合う範囲で軽い罪の傷害致死罪の幇助犯が成立する。


全体の正答率 : 100%

(R4 司法 第1問 4)
甲は、乙にAへの暴行を教唆し、乙もその旨決意し、Aに暴行を加えて死亡させたが、甲は同教唆の時点でAが死亡する可能性を予見していなかった。この場合、甲には、傷害致死罪の教唆犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大13.4.29)は、他人に暴行を加えることを教唆した者は、被教唆者がこれに応じて暴行をして他人の身体を傷害し、死に至らしめた場合には、傷害致死罪の罪責を負うことを示している。
甲は、乙に対してAに暴行するよう教唆し、結果として乙の暴行でAは死亡しているから、甲には傷害致死罪の教唆犯が成立する。

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教唆犯の故意 最三小判昭和25年7月11日

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概要
教唆犯の故意があるというためには、必ずしも犯人が認識した事実と、現実に発生した事実とが、具体的に一致することを要するものではなく、両者が犯罪の類型として規定している範囲において一致することをもって足りる。
判例
事案:住居侵入窃盜を教唆した場合において、被教唆者がこれと異る他の被害者に対して住居侵入強盜をしたという事案において、教唆者の罪責が問題となった。

判旨:「原判決によれば、被告人甲は乙に対して判示A方に侵入して金品を盗取することを使嗾し、以て窃盗を教唆したものであって、判示B商会に侵入して窃盗をすることを教唆したものでないことは正に所論の通りであり、しかも、右乙は、判示丙等三名と共謀して判示B商会に侵入して強盗をしたものである。しかし、犯罪の故意ありとなすには、必ずしも犯人が認識した事実と、現に発生した事実とが、具体的に一致(符合)することを要するものではなく、右両者が犯罪の類型(定型)として規定している範囲において一致(符合)することを以て足るものと解すべきものであるから、いやしくも右乙の判示住居侵人強盗の所為が、被告人甲の教唆に基いてなされたものと認められる限り、被告人甲は住居侵入窃盗の範囲において、右乙の強盗の所為について教唆犯としての責任を負うべきは当然であって、被告人甲の教唆行為において指示した犯罪の被害者と、本犯たる乙のなした犯罪の被害者とが異る一事を以て、直ちに被告人甲に判示乙の犯罪について何等の責任なきものと速断することを得ないものと言わなければならない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H20 司法 第7問 エ)
甲は、公務員乙がその法令上の職務Aを執行するに当たり、乙が執行している職務がそれとは別の法令上の乙の職務Bであると誤信して乙の顔面を手拳で殴る暴行を加えた。乙の執行する職務が職務 B でなく職務 Aであると分かっていれば、甲は上記暴行には及ばなかったという事情があった場合でも、甲には公務執行妨害罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭53.7.28)は、「犯罪の故意があるとするには、罪となるべき事実の認識を必要とするものであるが、犯人が認識した罪となるべき事実と現実に発生した事実とが必ずしも具体的に一致することを要するものではなく、両者が法定の範囲内において一致することをもって足りるものと解すべき…。」として、構成要件が重なり合う範囲で犯罪の成立を認めている。
本肢は、甲が職務Aを職務Bと誤信しており、どちらも公務執行妨害罪の構成要件が重なり合っている。
したがって、甲には公務執行妨害罪が成立する。

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