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刑罰論 - 解答モード
犯罪行為組成物件の没収 最二小判昭和25年5月19日
概要
判例
判旨:「刑法第19条によれば,犯罪行為に供した物でそれが犯人以外の者に属しないときは没収され得るのであって、そのいわゆる『犯罪行為』とは単に被告人自身の犯罪行為だけでなく共犯者の行為をも含むことは、ほとんど議論の余地がない。」
過去問・解説
(H21 司法 第18問 ア)
犯罪行為を組成した物が共犯者に属するときは、その物を没収することができない。
犯罪供用物件としての没収 最一小判昭和25年9月14日
概要
判例
判旨:「原判決がその法律理由の説明の箇所で判示平角鉄棒1本は本件犯行の用に供した物で被告人以外の者に属しないものと認めるから刑法19条1項2号2項本文に従いこれを没収する旨説示したことは所論のとおりである。…また、判示鉄棒は、原判示のごとく結局本件窃盗の手段としてその用に供した物と解することができ…る。」
過去問・解説
(H29 司法 第9問 ウ)
被害者宅に侵入して行われた窃盗事犯において、被害者宅への侵入に際して道具として使用された鉄棒は、住居侵入罪について公訴提起されていなければ没収できない。
犯罪供用物件としての没収 最一小決平成30年6月26日
概要
判例
判旨:「被告人は、本件強姦1件及び強制わいせつ3件の犯行の様子を被害者に気付かれないように撮影しデジタルビデオカセット4本(以下『本件デジタルビデオカセット』という。)に録画したところ、被告人がこのような隠し撮りをしたのは、被害者にそれぞれその犯行の様子を撮影録画したことを知らせて、捜査機関に被告人の処罰を求めることを断念させ、刑事責任の追及を免れようとしたためであると認められる。以上の事実関係によれば、本件デジタルビデオカセットは、刑法19条1項2号にいう『犯罪行為の用に供した物』に該当し、これを没収することができると解するのが相当である。」
過去問・解説
(R3 司法 第11問 3)
強制性交の犯人が、被害者に犯行の様子を撮影録画したことを知らせて捜査機関に対し処罰を求めることを断念させる目的で、ひそかに撮影録画したデジタルビデオカセットは、犯罪行為の用に供した物ではないため、没収の対象とならない。
刑法第42条第1項の「未ダ官ニ發覺セザル前」の意義 最二小判昭和24年5月14日
概要
判例
判旨:「『未タ官ニ発覚セサル前』とは犯罪の事実が全く官に発覚しない場合は勿論犯罪の事実は発覚していても犯人の何人たるかが発覚していない場合をも包含するのであるが犯罪事実及び犯人の何人なるかが官に判明しているが犯人の所在だけが判明しない場合を包含しないものと解すべきである。…警察署に出頭した形跡はあるがそれより前既に司法警察官に犯行及び犯人が被告人等なることが発覚していたというのであるから原審が被告人の自首を認めなかったのは正当で論旨は理由がない。」
過去問・解説
(H19 司法 第19問 エ)
【事例】
甲は、空腹を感じたが所持金がなかったことから、飲食店Aにおいて無銭飲食をした。そして、同店店主乙から飲食代金の支払を請求されるや、乙に対し、「金はない。」と言いながら所携のナイフを乙に突き付けて脅迫し、乙がひるんだすきにその場から逃走した。
しかし、この先も生活費が手に入る見込みがなかった甲は、いっそのこと刑務所で服役して飢えをしのごうと考え直し、付近の警察署に出頭するため、上記ナイフを手に持ったまま同署の前まで歩いていった。捜査機関は、この時点でいまだ甲による上記無銭飲食の事実を認識していなかったが、同署の警察官Xは、ナイフを手に持った甲の姿を見て不審者と認め、甲に対する職務質問を開始した。甲は、その職務質問に対し、警察官Xに無銭飲食の事実を告げ、ナイフも提出した。仮に、捜査機関に犯罪事実及び甲が犯人であることが発覚しており、甲の所在だけが不明であった場合には、自首は成立しない。
(正答)〇
(解説)
42条1項は、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」と規定している。
これについて、判例(最判昭24.5.14)は、本肢と同種の事案において、「『未ダ官ニ發覺セザル前』とは犯罪の事實が全く官に發覺しない場合は勿論、犯罪の事實は発覺していても犯人の何人たるかが發覺していない場合をも包含するのであるが犯罪事實及び犯人の何人たるかが官に判明しているが犯人の所在だけが判明しない場合を包含しない…。」として、自首の成立を否定している。
したがって、捜査機関に犯罪事実及び甲が犯人であることが発覚しているから、自首は成立しない。
自首の成立の可否 大阪地判昭和34年4月23日
概要
判例
判旨:「同被告人は近くに居あわせた操車場の職員に対し、『悪いことをしたから警察に自首したい。』と警察への連絡方を依頼し、右職員の通報によりかけつけた警察官に自己の右犯行を申告したことが明らかであると警察署はこれより先に本件被害の届出をうけて直ちに捜査に着手し、被害者から被害状況を聴取する傍ら、附近一帯に非常警戒の措置をとったのであるが、被告人の申告があるまでは犯人の住所氏名等は全く判明せず、単に被害者の供述からおおよその人相服装、身長、年令等を知りえたのみであったことが認められ、右のような犯人の概略の特徴のみでは(たとえ事後に被害者に犯人を面接せしめればこれを犯人と指摘しうる状況にあったとしても)犯人を特定するには不十分であり、従って当時誰が犯人であるかはいまだ発覚していなかったものといわざるをえないから、被告人の右申告は自首に該当すると解するのが相当である。」
過去問・解説
(H19 司法 第19問 ウ)
【事例】
甲は、空腹を感じたが所持金がなかったことから、飲食店Aにおいて無銭飲食をした。そして、同店店主乙から飲食代金の支払を請求されるや、乙に対し、「金はない。」と言いながら所携のナイフを乙に突き付けて脅迫し、乙がひるんだすきにその場から逃走した。
しかし、この先も生活費が手に入る見込みがなかった甲は、いっそのこと刑務所で服役して飢えをしのごうと考え直し、付近の警察署に出頭するため、上記ナイフを手に持ったまま同署の前まで歩いていった。捜査機関は、この時点でいまだ甲による上記無銭飲食の事実を認識していなかったが、同署の警察官Xは、ナイフを手に持った甲の姿を見て不審者と認め、甲に対する職務質問を開始した。甲は、その職務質問に対し、警察官Xに無銭飲食の事実を告げ、ナイフも提出した。
仮に、乙の通報により捜査機関に犯罪事実が発覚し、犯人のおよその年齢・人相・服装・体格が判明していた場合には、犯人が甲であることが発覚していなくても、自首は成立しない。
(正答)✕
(解説)
42条1項は、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」と規定している。
これについて、裁判例(大阪地判昭34.4.23)は、本肢と同種の事案において、「犯人の住所氏名等は全く判明せず、単に被害者の供述からおおよその人相服装、身長、年令等を知りえたのみであった場合、右のような犯人の概略の特徴のみでは(たとえ事後に被害者に犯人を面接せしめればこれを犯人と指摘しうる状況にあったとしても)犯人を特定するには不十分であり、従って当時誰が犯人であるかはいまだ発覚していなかったものといわざるをえない…。」として、自首の成立を認めている。
甲は、職務質問に対し、警察官Xに無銭飲食の事実を告げ、ナイフも提出しているが、捜査機関は、職務質問時点でいまだ甲による上記無銭飲食の事実を認識していなかったのであり、犯人のおよその年齢・人相・服装・体格が判明していた場合であっても、犯人の概略の特徴のみでは犯人を特定するには不十分であり、甲の自首は成立しうる。
したがって、乙の通報により捜査機関に犯罪事実が発覚し、犯人のおよその年齢・人相・服装・体格が判明していた場合でも自首は成立しうる。
自首の成立の可否 東京高判昭和42年2月28日
概要
判例
判旨:「自首とは犯人が進んで捜査官憲に対して自己の犯罪事実を告知してその処分を求める意思表示をすることであると解するのが相当であるところ、男が派出所前にきたので、不審に思いその男に職務質問した。するとその男は『いま人を切ってきた』と述べ、また『大変なことをしたと思い、自首するため交番の方に行った云々』の旨の供述を総合すると被告人は派出所の前まで行ったところ見張勤務中の司法巡査から挙動不審を咎められ、右のような職務質問を受けるやすぐに進んで自己の犯罪事実を申告したものであって、右司法巡査から犯罪を行ったことの疑いをかけられその取調べを受けてはじめて本件犯罪事実を告知したものとは認めがたいし、被告人の右犯罪事実の申告は本件犯行直後であって、当時右司法巡査においては未だ全くその犯罪事実を知らなかったことが窺われ、かつ被告人は自首するつもりで派出所に赴いたことが認められるから、被告人の右行為は自首にあたるものというべきである。」
過去問・解説
(H19 司法 第19問 ア)
自首が成立するためには、犯人が反省悔悟に出たものであることを要するから、飲食店で店員をナイフで脅して飲食代金の支払を免れた後で、この先も生活費が手に入る見込みがなかったことから、いっそのこと刑務所で服役して飢えをしのごうと考え直し、付近の警察署に出頭したというように、刑務所志願を目的とする場合には、自首は成立しない。
(H19 司法 第10問 イ)
自首は自ら進んで自発的に行う必要があるから、警察官から職務質問を受け、その質問に答えて犯罪事実を申告した場合には、およそ自首は成立しない。