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脅迫の罪 - 解答モード

脅迫罪の成立要件 大判明治43年11月15日

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概要
脅迫罪は、害悪の告知が相手方に伝わったことで既遂となり、相手方が実際に畏怖したことまでは必要ない。
判例
事案:被害者が害悪の告知を受けたが、実際に畏怖したか認定できないという事案において、脅迫罪の成否が問題となった。

判旨:「脅迫罪(刑法第二百二十二条)ハ同条ニ列記シタル法益ニ対シテ危害ノ至ルヘキコトヲ不法ニ通告スルニ因リ成立シ必スシモ被通告者ニ於テ畏怖ノ念ヲ起シタルコトヲ要セス」
過去問・解説

(H24 共通 第4問 エ)
甲は、口論の末、乙に対し、「ぶっ殺すぞ。」と怒号した。この様子を見ていた周囲の人たちは、甲が本当に乙を殺害するのではないかと恐れたが、乙は剛胆であったため畏怖しなかった。甲に、乙に対する脅迫罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判明43.11.15)は、「脅迫罪(刑法第二百二十二条)ハ同条ニ列記シタル法益ニ対シテ危害ノ至ルヘキコトヲ不法ニ通告スルニ因リ成立シ必スシモ被通告者ニ於テ畏怖ノ念ヲ起シタルコトヲ要セスス」として、脅迫罪は害悪の告知が相手方に伝わったことで既遂となり、相手方が実際に畏怖したかどうかを問わないことを示している。
甲は、口論の末、乙に対し、「ぶっ殺すぞ。」と怒号しているため、「ぶっ殺すぞ。」という害悪の告知は乙に伝わっている。したがって、乙が実際に畏怖の念を抱かなかったとしても、甲には乙に対する脅迫罪が成立する。


(R6 予備 第3問 1)
甲は、Aに対し、「お前の家に火をつけてやる。」と告げたが、Aは畏怖しなかった。この場合、甲にはAに対する脅迫罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判明43.11.15)は、「脅迫罪(刑法第二百二十二条)ハ同条ニ列記シタル法益ニ対シテ危害ノ至ルヘキコトヲ不法ニ通告スルニ因リ成立シ必スシモ被通告者ニ於テ畏怖ノ念ヲ起シタルコトヲ要セス」として、脅迫罪は害悪の告知が相手方に伝わったことで既遂となり、相手方が実際に畏怖したかどうかを問わないことを示している。
甲は、Aに対し、「お前の家に火をつけてやる。」と告げているため、「お前の家に火をつけてやる。」という害悪の告知はAに伝わっている。したがって、Aが畏怖しなかったとしても、甲にはAに対する脅迫罪が成立する。


(R6 予備 第3問 4)
甲は、Aに対し、「あなたの家を見付けました。これから殺しに行きます。」旨記載した電子メールを送信したが、同メールは迷惑メールに振り分けられ、Aは同メールの存在に気付かなかった。この場合、甲にはAに対する脅迫罪は成立しない。

(正答)

(解説)
確かに、判例(大判明43.11.15)は、「脅迫罪(刑法第二百二十二条)ハ同条ニ列記シタル法益ニ対シテ危害ノ至ルヘキコトヲ不法ニ通告スルニ因リ成立シ必スシモ被通告者ニ於テ畏怖ノ念ヲ起シタルコトヲ要セス」として、脅迫罪は害悪の告知が相手方に伝わったことで既遂となり、相手方が実際に畏怖したかどうかを問わないことを示している。
しかし、Aは、甲の送信したメールの存在に気付いすらいないため、害悪の告知がAに伝わったとはいえない。
したがって、甲にはAに対する脅迫罪は成立しない。

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告訴する意思がないにもかかわらず、相手方を畏怖させる目的をもって告訴する旨を通告した場合における脅迫罪の成否 大判大正3年12月1日

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概要
告訴する意思がないにもかかわらず、相手方を畏怖させる目的をもって告訴する旨を通告した場合には脅迫罪が成立する。
判例
事案:虚偽告訴罪の被害者が、告訴する意思がないにもかかわらず、相手方を畏怖させる目的をもって虚偽告訴罪を告訴する旨を通告したという事案において、脅迫罪の成否が問題となった。

判旨:「誣告ヲ受ケタル者カ真ニ誣告罪ノ告訴ヲ為ス意思ナキニ拘ハラス誣告者ヲ畏怖セシムル目的ヲ以テ該告訴ヲ為スヘキ旨ノ通告ヲ為シタルトキハ脅迫罪ヲ構成ス」
過去問・解説

(R6 予備 第3問 3)
傷害事件の被害者であった甲は、加害者であったAを告訴する意思はなかったが、単にAを畏怖させようと考え、Aに対し、「よくも俺に怪我をさせたな。告訴してやる。」と告げた。この場合、甲にはAに対する脅迫罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判大3.12.1)は、「誣告ヲ受ケタル者カ真ニ誣告罪ノ告訴ヲ為ス意思ナキニ拘ハラス誣告者ヲ畏怖セシムル目的ヲ以テ該告訴ヲ為スヘキ旨ノ通告ヲ為シタルトキハ脅迫罪ヲ構成ス」として、告訴する意思がないのに相手方を畏怖させるために告訴する旨告げた場合、脅迫罪が成立することを示している。
したがって、甲はAを畏怖させる目的をもって告訴する旨を通告しているから、甲に脅迫罪が成立する。

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新聞記者が料理店経営者に対して、経営に不利益な事項を掲載することを告げた場合における脅迫罪の成否(R6) 大判昭和7年7月20日

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概要
危害を加える旨の告知が義務のないことを行わせるために行われたときは脅迫罪ではなく、強要罪に当たる。
判例
事案:解雇した者を失業させるために上長を解雇せよという趣旨の書状を郵送したという事案において、何罪が成立するかが問題となった。

判旨:「被告人ハ多年陸軍運輸部ニ船員又ハ臨時人夫トシテ雇ハレ居タルカ昭和6年5月頃解雇セラレ爾來人夫供給者Aニ雇ハレ陸軍運輸部ノ雜役ニ從事スルコトトナリタリ然ルニ被告人ハ性短氣ニシテ業務ニ熱心ナラス屡監督者ヨリ注意セラレ同年6月4日ニ至リテハAヨリ突然解雇セラルルヤ右ハ同運輸部雇員B、C、D、E、F及嘗テ同僚タリシGカ被告人ヲ排斥シAヲシテ被告人ヲ解雇スルニ至ラシメタルモノト思惟シ同人等ヲ失業セシメ恨ヲ霽ラサンコトヲ企テ同運輸部長陸軍中將Hヲ脅迫シテ同人等ヲ解雇セシムル目的ヲ以テ同月下旬被告人ノ肩書居宅ニ於テ同部長ニ宛テ職工一同名義ニテ前記B外4名ノ雇員カ不正行爲ヲ爲スニ付速ニ同人等及Cヲ解雇セラレタク向1週間内ニ解雇セサレハ陸軍省ヘ同部長ノ休職運動ヲ爲シ其ノ目的ヲ達セサル時ハ職工一同犧牲トナリIカJ前總理大臣ヲ狙撃シタルカ如ク同部長ノ生命ニ危害ヲ加フヘキ旨認メタル書状1通(證第1號)ヲ作成シ同月29日之ヲ陸軍運輸部ニ郵送シタルモ同運輸部庶務課長石川少佐ニ於テ之ヲ開披閲讀シ其ノ内容不穩ナリシヲ以テ同部長ニ提出セサリシ爲被告人ハ所期ノ目的ヲ遂ケサリシモノナリ
 法律ニ照スニ被告人ノ判示所爲ハ刑法第223條第3項第1項ニ該當スルヲ以テ其ノ所定刑期範圍内ニ於テ被告人ヲ懲役2月ニ處スヘキモノトス」
過去問・解説

(R6 予備 第3問 5)
甲は、Aに告訴を思いとどまらせようと考え、Aに対し、「警察に届け出たら無事でいられると思うなよ。告訴するなよ。」と告げたが、Aは、警察官に告訴をした。この場合、甲にはAに対する脅迫罪が成立し、Aに対する強要未遂罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭7.3.17)は、同僚を解雇しなければ部長等に危害を加える旨の脅迫文を送付した事案において、「法律ニ照スニ被告人ノ判示所爲ハ刑法第223條第3項第1項ニ該當スル」として、強要罪の成立を認めている。
したがって、甲は、被告知者Aに告訴しないことを求めているものの、思いとどまらせることはできなかったから、甲にAに対する強要未遂罪が成立する。

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脅迫罪の保護法益 大阪高判昭和61年12月16日

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概要
222条1項の脅迫罪は、自然人に対しその生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加えることを告知する場合に限って、その成立が認められ、法人に対しその法益に危害を加えることを告知しても、それによって法人に対するものとしての同罪が成立するものではなく、ただ、それら法人の法益に対する加害の告知が、ひいてその代表者、代理人等として現にその告知を受けた自然人自身の生命、身体、自由、名誉又は財産に対する加害の告知に当たると評価され得る場合にのみ、その自然人に対する同罪の成立が肯定される。
判例
事案:残土処理の下請工事を予定していた会社から別の会社に変えさせようとして、下請けを予定していた会社の担当員を脅迫したという事案において、その脅迫内容には会社の営業等に対する加害も含まれていたことから、法人を客体とする脅迫罪の成否が問題となった。

判旨:「刑法222条の脅迫罪は、刑法体系上、生命、身体に対する殺人の罪、傷害の罪に引き続き、人身の自由に対する罪として、逮捕・監禁の罪及び略取・誘拐の罪と並んでそれら両者の間に置かれ、人の意思活動の平成穏ないし意思決定の自由をその保護法益とするものであることにかんがみ、さらに同条各項の文言自体をも参照すると、同条1項の脅迫罪は、自然人に対しその生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加えることを告知する場合に限って、その成立が認められ、法人に対しその法益に危害を加えることを告知しても、それによって法人に対するものとしての同罪が成立するものではなく、ただ、それら法人の法益に対する加害の告知が、ひいてその代表者、代理人等として現にその告知を受けた自然人自身の生命、身体、自由、名誉又は財産に対する加害の告知に当たると評価され得る場合にのみ、その自然人に対する同罪の成立が肯定されるものと解される。」
過去問・解説

(H24 共通 第4問 イ)
甲は、乙株式会社総務課長丙に対して、乙社の商品不買運動を行って乙社の営業活動を妨害する旨告知し、丙は、乙社の営業活動が妨害されるかもしれない旨畏怖した。甲に、乙社に対する脅迫罪が成立する。

(正答)

(解説)
裁判例(大阪高判昭61.12.16)は、「222条…1項の脅迫罪は、自然人に対しその生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加えることを告知する場合に限って、その成立が認められ、法人に対しその法益に危害を加えることを告知しても、それによって法人に対するものとしての同罪が成立するものではなく、ただ、それら法人の法益に対する加害の告知が、ひいてその代表者、代理人等として現にその告知を受けた自然人自身の生命、身体、自由、名誉又は財産に対する加害の告知に当たると評価され得る場合にのみ、その自然人に対する同罪の成立が肯定される…。」として、法人が脅迫罪の客体とならないことを示している。
甲が丙に対してした告知は、法人たる乙社の営業活動を妨害することを内容とするものであるから、乙社を客体とするものである。
したがって、甲に、乙社に対する脅迫罪は成立しない。

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