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住居を犯す罪(客体) - 解答モード

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親族関係と「人の住居」 最一小判昭和23年11月25日

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概要
強盗の目的で、家宅内に侵入した行為はそれがかつては自らも住み慣れた実父の家であっても住居侵入罪が成立する。
判例
事案:行為者と被害者とが戸籍上の家族であるが、関係が破綻し行為者による居住の実態が失われている住居に強盗の目的で侵入した事案において、かつて住んでいた住居が「人の住居」に当たるかが問題となった。

判旨:「もし被告人が家出したことを後悔して父に謝罪するつもりで涙の帰宅をしていたものとすれば、たといかかる深夜戸締りを破っての侵入であったとしても、父にとってそれは迷える羊の帰還であり、心からの歓喜そのものであったかも知れないのであつて、もとより住居侵入罪の成立しよう筈はないのである。しかし、これが強盗の目的で、…深夜家宅内に侵入したとあっては、たといそれが嘗ては自らも住み慣れたなつかしい実父の家であるとしても、父としても、世間としても、これを目して正当な『故ある』家宅の侵入とは認みえないであろう。されば原審の確定した被告人等の右所為は、…住居侵入罪を実行した場合に該当すること勿論であって、刑法130条…により問擬せらるべきものなのである。」
過去問・解説

(H24 司法 第14問 ア)
甲は、父親乙と居住していた実家から長期間家出していたが、強盗の目的で、共犯者丙と一緒に、深夜、乙方内に入った。丙には住居侵入罪が成立するが、甲には住居侵入罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭23.11.25)は、「強盗の目的で…深夜家宅内に侵入したとあっては、たといそれが嘗ては自らも住み慣れた…実父の家であるとしても…これを目して正当な『故ある』家宅の侵入とは認みえない…。」として、住居侵入罪の成立を認めている。
したがって、家出をしていた父親乙宅に強盗目的で侵入している甲にも住居侵入罪が成立する。

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「建造物」と囲繞地 最大判昭和25年9月27日

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概要
住居侵入罪の「建造物」とは、単に家屋を指すばかりでなく、その囲繞地を包含する。
判例
事案:工場内の敷地に侵入した事案において、囲繞地が「建造物」に当たるかが問題となった。

判旨:「刑法130条に所謂建造物とは、単に家屋を指すばかりでなく、その囲繞地を包含するものと解するを相当とする。所論本件工場敷地は、判示工場の附属地として門塀を設け、外部との交通を制限し守衛警備員等を置き、外来者が、みだりに出入することを禁止していた場所であることは、記録上明らかであるから、所論敷地は同条にいわゆる人の看守する建造物と認めなければならないから、論旨は採用しがたい。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H26 司法 第12問 4)
建造物に付属し、その利用に供される囲にょう地は、刑法第130条の規定する「建造物」に当たる。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭25.9.27)は、「所謂建造物とは、単に家屋を指すばかりでなく、その囲繞地を包含する…。」としている。
したがって、建造物に付属し、その利用に供される囲にょう地は、刑法第130条の規定する「建造物」に当たる。

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住居・看守と住居侵入罪の成否 最一小決昭和28年5月14日

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概要
住居侵入罪について、居住者又は看守者が法律上正当の権限をもって居住しまたは看守するかは犯罪の成立を左右するものでない。
判例
事案:居住者又は看守者の法律上正当な権限が認められない事案において、住居侵入罪の成否が問題となった。

判旨:「住居侵入罪は故なく人の住居又は人の看守する邸宅、建造物等に侵入し又は要求を受けてその場所より退去しないことによって成立するのであり、その居住者又は看守者が法律上正当の権限を以て居住し又は看守するか否かは犯罪の成立を左右するものではない。」
過去問・解説

(H24 司法 第14問 イ)
甲は、乙が現に住んでいるアパートの居室内にのぞき目的で入ったが、同居室は乙の家賃の滞納により既に賃貸借契約が解除されていた。甲には住居侵入罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決昭28.5.14)は、「居住者又は看守者が法律上正当の権限を以て居住し又は看守するか否かは犯罪の成立を左右するものではない。」としている。
したがって、乙の居室の賃貸借契約が解除されており、乙が不法占有者であっても、甲には住居侵入罪が成立する。


(R2 予備 第6問 1)
「住居」というには、居住者が、法律上正当な権限に基づいて居住する必要があり、単に日常生活に使用しているだけでは足りない。

(正答)

(解説)
判例(最決昭28.5.14)は、「居住者又は看守者が法律上正当の権限を以て居住し又は看守するか否かは犯罪の成立を左右するものではない。」としている。
居住者が、法律上正当な権限に基づかず、単に日常生活に使用しているだけでも「住居」といえる。

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「人の看守する建造物」と囲繞地 最一小判昭和51年3月4日

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概要
国立大学の構内に在る附置研究所建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が既存の門塀等の施設と新設の金網柵とを連結して完成した一連の囲障を設置することにより、建物の附属地として建物利用のために供されるものであることが明示された本件土地は、右金網柵が通常の門塀に準じ外部との交通を阻止しうる程度の構造を有するものである以上、囲障設置以前における右土地の管理、利用状況等からして、それが本来建物固有の敷地と認めうるものかどうか、また、囲障設備が仮設的構造をもち、その設置期間も初めから一時的なものとして予定されていたかどうかを問わず、同研究所建物のいわゆる囲繞地として、建造物侵入罪の客体にあたる。
判例
事案:大学構内へ金網柵を引き倒して侵入した事案において、囲繞地として建造物侵入罪の客体に当たるかが問題となった。

判旨:「刑法130条にいう『人の看守する建造物』とは、単に建物を指すばかりでなく、その囲繞地を含むものであって、その建物の附属地として門塀を設けるなどして外部との交通を制限し、外来者がみだりに出入りすることを禁止している場所に故なく侵入すれば、建造物侵入罪が成立するものであることは、当裁判所の判例(昭和24年(れ)第340号同25年9月27日大法廷判決・刑集4巻9号1783頁、昭和41年(あ)第1129号同44年4月2日大法廷判決・刑集23巻5号685頁)の示すところである。そして、このような囲繞地であるためには、その土地が、建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されれば足りるのであって、右囲障が既存の門塀のほか金網柵が新設付加されることによって完成されたものであったとしても、右金網柵が通常の門塀に準じ外部との交通を阻止し得る程度の構造を有するものである以上、囲障の設置以前における右土地の管理、利用状況等からして、それが本来建物固有の敷地と認め得るものかどうか、また、囲障設備が仮設的構造をもち、その設置期間も初めから一時的なものとして予定されていたかどうかは問わないものと解するのが相当である。
 けだし、建物の囲繞地を刑法130条の客体とするゆえんは、まさに右部分への侵入によって建造物自体への侵入若しくはこれに準ずる程度に建造物利用の平成穏が害され又は脅かされることからこれを保護しようとする趣旨にほかならないと解されるからである。」
過去問・解説

(H24 司法 第14問 ウ)
甲は、門塀が設けられるとともに、看守者が置かれ出入りが制限されている工場の敷地内に窃盗の目的で立ち入ったが、工場の建物に入る前に逮捕された。甲には建造物侵入未遂罪が成立するにとどまる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.3.4)は、「『人の看守する建造物』とは、単に建物を指すばかりでなく、その囲繞地を含むものであって、その建物の附属地として門塀を設けるなどして外部との交通を制限し、外来者がみだりに出入りすることを禁止している場所に故なく侵入すれば、建造物侵入罪が成立する。…そして、このような囲繞地であるためには、その土地が、建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されれば足りる…。」としている。
門塀が設けられるとともに、看守者が置かれ出入りが制限されている工場の敷地内は、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されているから、囲繞地に当たる。
したがって、囲繞地に窃盗目的で立ち入った甲には、建造物侵入既遂罪が成立する。


(H29 司法 第17問 オ)
甲は、会社事務所にある現金を窃取する目的で、門塀に囲まれ、警備員が配置されて出入りが制限されている同事務所の敷地内に塀を乗り越えて立ち入ったが、同事務所の建物に立ち入る前に警備員に発見され敷地外に逃走した。甲に建造物侵入罪の既遂罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.3.4)は、「『人の看守する建造物』とは、単に建物を指すばかりでなく、その囲繞地を含むものであって、その建物の附属地として門塀を設けるなどして外部との交通を制限し、外来者がみだりに出入りすることを禁止している場所に故なく侵入すれば、建造物侵入罪が成立する。…そして、このような囲繞地であるためには、その土地が、建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されれば足りる…。」としている。
門塀に囲まれ、警備員が配置されて出入りが制限されている会社事務所の敷地は、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されている囲繞地に当たる。
したがって、囲繞地に窃盗目的で立ち入った甲には、建造物侵入既遂罪が成立する。


(R2 予備 第6問 4)
「建造物」に含まれる囲繞地というには、当該建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に囲障を設置することにより、建物の付属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されているだけでは足りない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.3.4)は、「囲繞地であるためには、その土地が、建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されれば足りる…。」としている。


(R3 司法 第2問 エ)
甲は、乙会社が所有するビルに窃盗に入る目的で、同ビルに接しており、同社が設置した門扉及び金網フェンスによって、同ビルの利用のために供されるものであることが明示され、部外者の出入りが制限されている敷地部分に立ち入ったが、同ビルに立ち入る前に警備員に取り押さえられた。この場合、甲には、建造物侵入未遂罪が成立するにとどまる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.3.4)は、「『人の看守する建造物』とは、単に建物を指すばかりでなく、その囲繞地を含むものであって、その建物の附属地として門塀を設けるなどして外部との交通を制限し、外来者がみだりに出入りすることを禁止している場所に故なく侵入すれば、建造物侵入罪が成立する。…そして、このような囲繞地であるためには、その土地が、建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されれば足りる…。」としている。
同社が設置した門扉及び金網フェンスによって、同ビルの利用のために供されるものであることが明示され、部外者の出入りが制限されている敷地部分は、囲繞地に当たる。
したがって、囲繞地に窃盗目的で立ち入った甲には建造物侵入既遂罪が成立する。

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雑居ビルと「人の住居」 広島高判昭和51年4月1日

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概要
1階店舗、車庫、2階事務所、居室、3階から5階まではすべて居室である判示のごとき内容の5階建ビルの階段通路および同屋上は、同ビルのうち現に住居として利用されている右各居室と一体をなして130条所定の「人の住居」にあたるものと解すべきである。
判例
事案: 住居侵入の事案において、アパート風5階建ビルの階段通路および同屋上が130条所定の「人の住居」に当たるかが問題となった。

判旨:「原判決はその公訴事実の記載に応じ、右ビルをほぼ全体として『人の看守する建造物』として観念しているようにみられる。しかしこの点の判断は正当でない。つまり、本件のごときビルは、たしかに建物としてはその構造および利用上相互に密接な関連を有し1個の建造物としての性格を有するが、その中味は、各種の独立した部分と、それに関連する共用部分とからなり、これを刑法130条の客体としてみる場合必ずしも全体を1個の種別のものに分別して考えなければならない必然性はない。むしろ別異に解することに、たとえば『故なく』の判断などで十分実益のあるところである。このことからまず、本件Dビルのうち事務所・店舗・住居等でその構造および利用上異なる性格を有する各独立した専用部分は、特にその一方が他方に全く従属したとみられるような関係にある場合のほか、それぞれの性格に従い、『人の看守する建造物』『人の住居』などとして各別に判断すれば足るものと解される。そして次に問題の右共用部分とみられる同ビル階段通路および屋上等についてであるが、これらはまず、その構造および利用上これが右独立した部分のいずれに従属する性格のものであるかどうかのの判断を前提に、さらに、元来『人の住居』と『人の看守する建造物』との区分につき、人の住居とは、それに従属するものも含め現にこれが人の日常生活の場として利用されていることから、さらに『人の看守』といったことを必要とするまでもなく当然その管理、また平成穏の確保といったことが予定され、保護客体としての性格を具有するに至るとみられることによるものであるという観点から判別するのが相当であると考えられるところ、このような観点からすると、本件Dビルは1階と2階の一部を除くその余の同ビル大方は住居であり、現に多くの居住者があって、各居室および屋上に至る同ビル唯一の階段通路は、前記事務所関係者のほかはほぼ大方右居住者およびその関係者によって利用されているものと推知され、また右ビル屋上もほとんど専ら右居住者による利用が予定され、かつ現にほぼその家族の生活上の利便に供されているものと推知されるところで、これらからすると、右ビル階段通路および同屋上は、右住居部分に必要的に従属し、かつその居住者らによるその日常の生活での共同した事実上の監視、管理も当然予定されるところで、居住者の平成穏を配意する必要も強く認められ、結局これらからして、本件Dビルのうち前記現に住居として利用されている各居室のほか、これに附属する右階段通路および同屋上も、右と一体をなして刑法130条所定の『人の住居』にあたるものと解するのが相当であると考えられる。」
過去問・解説

(H26 司法 第12問 5)
1棟の建物の低層階に商業施設、高層階に住居がそれぞれ存在する場合、当該建物全体が刑法第130条の規定する「住居」に当たる。

(正答)

(解説)
裁判例(広島高判昭51.4.1)は、「本件のごときビルは、たしかに建物としてはその構造および利用上相互に密接な関連を有し1個の建造物としての性格を有するが、その中味は、各種の独立した部分と、それに関連する共用部分とからなり、これを刑法130条の客体としてみる場合必ずしも全体を1個の種別のものに分別して考えなければならない必然性はない。」としている。
したがって、各専有部分を住居か建造物かで分類して判断することもありうるから、1棟の建物の低層階に商業施設、高層階に住居がそれぞれ存在する場合、それぞれの専有部分が刑法第130条の規定する「住居」に当たり、当該建物全体は、「建造物」に当たる。

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