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住居を犯す罪(実行行為) - 解答モード
「侵入」の意義 最二小判昭和58年4月8日
概要
② 建造物の管理権者が予め立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合であっても、該建造物の性質、使用目的、管理状況、管理権者の態度、立入りの目的などからみて、現に行われた立入り行為を管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは、他に犯罪の成立を阻却すべき事情が認められない以上、建造物侵入罪の成立を免れない。
判例
判旨:「刑法130条前段にいう『侵入シ』とは、他人の看守する建造物等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいうと解すべきであるから、管理権者が予め立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合であっても、該建造物の性質、使用目的、管理状況、管理権者の態度、立入りの目的などからみて、現に行われた立入り行為を管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは、他に犯罪の成立を阻却すべき事情が認められない以上、同条の罪の成立を免れないというべきである。」
過去問・解説
(H19 司法 第16問 ウ)
甲は、乙の居宅に入ることについての乙の承諾がないのに、これがあると誤信して、乙が単身居住する乙の居宅に入った。住居侵入罪が成立するか。
(H28 共通 第6問 イ)
建造物への立入りが平成穏な態様で行われた場合には、管理権者があらかじめ立入り拒否の意思を積極的に明示していない限り、建造物侵入罪が成立することはない。
立ち入りの承諾と住居侵入罪 最大判昭和24年7月22日
概要
判例
判旨:「強盗の意図を隠して『今晩は』と挨拶し、家人が『おはいり』と答えたのに応じて住居にはいった場合には、外見上家人の承諾があったように見えても、真実においてはその承諾を欠くものであることは、言うまでもないことである。」
過去問・解説
(H24 司法 第14問 エ)
甲は、強盗の目的で乙方に行き、その意図を隠した上、玄関前で「こんばんは。」と挨拶したところ、乙が「お入り。」と答えたので乙方内に入った。甲には住居侵入罪は成立しない。
(H28 司法 第6問 ア)
強盗の意図を隠してA方の玄関前で「こんばんは。」と言ったところ、来客と勘違いしたAから「どうぞお入りください。」と言われてA方住居に立ち入った場合、住居侵入罪が成立する。
(R3 司法 第2問 ウ)
甲は、強盗の目的で、面識のない乙方に行き、その意図を隠しながら、玄関前で、「こんばんは。」と挨拶したところ、これを知人による来訪と勘違いした乙が、「どうぞ入ってください。」と答えたので、乙方内に立ち入った。この場合、甲には、住居侵入罪は成立しない。
建造物侵入罪と不退去罪の関係 最決昭和31年8月22日
概要
判例
判旨:「建造物侵入罪は故なく建造物に侵入した場合に成立し退去するまで継続する犯罪であるから、同罪の成立する以上退去しない場合においても不退去罪は成立しないものと解するを相当とする。」
過去問・解説
(H28 司法 第6問 オ)
住居権者の意思に反して住居に立ち入った上、その後、退去を求められたにもかかわらず数日間にわたってその住居に滞留した場合には、住居侵入罪だけでなく、不退去罪も成立する。
(R3 司法 第2問 オ)
甲は、住居権者乙の意思に反し、乙方家屋に立ち入ったが、その後、乙から退去を求められたにもかかわらず数時間にわたって同家屋に居座った。この場合、甲には、住居侵入罪だけでなく、不退去罪も成立し、両罪は併合罪となる。
盗撮目的の立ち入りと住居侵入罪 最一小決平成19年7月2日
概要
判例
判旨:「被告人らは、現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的で、現金自動預払機が設置された銀行支店出張所に営業中に立ち入ったものであり、そのような立入りが同所の管理権者である銀行支店長の意思に反するものであることは明らかであるから、その立入りの外観が一般の現金自動預払機利用客のそれと特に異なるものでなくても、建造物侵入罪が成立するものというべきである。」
過去問・解説
(H28 司法 第6問 エ)
現金自動預払機が設置されている銀行支店出張所は、一般の利用客の立入りが許容されている場所であるので、同機を利用する客のキャッシュカードの暗証番号等を盗撮する目的で立ち入っても、平穏な態様での立入りであれば、建造物侵入罪が成立することはない。
(正答)✕
(解説)
判例(最決平19.7.2)は、本肢と同種の事案において、「被告人らは、現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的で、現金自動預払機が設置された銀行支店出張所に営業中に立ち入ったものであり、そのような立入りが同所の管理権者である銀行支店長の意思に反するものであることは明らかであるから、その立入りの外観が一般の現金自動預払機利用客のそれと特に異なるものでなくても、建造物侵入罪が成立するものというべきである。」としている。
暗証番号等を盗撮する目的で立ち入ることは、管理権者の意思に反するものであることは明らかである。
したがって、たとえ平穏な態様であっても、建造物侵入罪が成立する。
(R4 司法 第5問 オ)
甲は、現金自動預払機を利用する客のキャッシュカードの暗証番号を盗撮する機器を設置する目的で、行員が常駐しない銀行出張所内に立ち入った。この場合、甲による立入りの外観が一般の利用客のそれと異なることがなければ、甲に建造物侵入罪は成立しない。
(正答)✕
(解説)
判例(最決平19.7.2)は、「被告人らは、現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的で、現金自動預払機が設置された銀行支店出張所に営業中に立ち入ったものであり、そのような立入りが同所の管理権者である銀行支店長の意思に反するものであることは明らかであるから、その立入りの外観が一般の現金自動預払機利用客のそれと特に異なるものでなくても、建造物侵入罪が成立するものというべきである。」としている。
甲は、暗証番号を盗撮する機器を設置する目的で立ち入っているところ、これが銀行出張所の管理権者の意思に反することは明らかである。
したがって、甲に建造物侵入罪が成立する。
集合住宅と住居侵入罪 最二小判平成20年4月11日
概要
②各室玄関ドアの新聞受けに政治的意見を記載したビラを投かんする目的で、職員及びその家族が居住する公務員宿舎である集合住宅の共用部分及び敷地に、同宿舎の管理権者の意思に反して立ち入った行為をもって130条前段の罪に問うことは、憲法21条1項に違反しない。
判例
判旨:①「a宿舎の各号棟の構造及び出入口の状況、その敷地と周辺土地や道路との囲障等の状況、その管理の状況等によれば、各号棟の1階出入口から各室玄関前までの部分は、居住用の建物である宿舎の各号棟の建物の一部であり、宿舎管理者の管理に係るものであるから、居住用の建物の一部として刑法130条にいう『人の看守する邸宅』に当たるものと解され、また、各号棟の敷地のうち建築物が建築されている部分を除く部分は、各号棟の建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、これが各号棟の建物の付属地として建物利用のために供されるものであることを明示していると認められるから、上記部分は、『人の看守する邸宅』の囲にょう地として、邸宅侵入罪の客体になるものというべきである(最高裁昭和49年(あ)第736号同51年3月4日第一小法廷判決・刑集30巻2号79頁参照)。
…そして、刑法130条前段にいう『侵入し』とは、他人の看守する邸宅等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいうものであるところ(最高裁昭和55年(あ)第906号同58年4月8日第二小法廷判決・刑集37巻3号215頁参照)、…被告人らの立入りがこれらの管理権者の意思に反するものであったことは、…明らかである。」
②「被告人らのa宿舎の敷地及び各号棟の1階出入口から各室玄関前までへの立入りは、刑法130条前段に該当するものと解すべきである。なお、本件被告人らの立入りの態様、程度は前記1の事実関係のとおりであって、管理者からその都度被害届が提出されていることなどに照らすと、所論のように法益侵害の程度が極めて軽微なものであったなどということもできない。
…表現の自由は,民主主義社会において特に重要な権利として尊重されなければならず,被告人らによるその政治的意見を記載したビラの配布は,表現の自由の行使ということができる。しかしながら,憲法21条1項も,表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく,公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認するものであって,たとえ思想を外部に発表するための手段であっても,その手段が他人の権利を不当に害するようなものは許されないというべきである…本件で被告人らが立ち入った場所は、防衛庁の職員及びその家族が私的生活を営む場所である集合住宅の共用部分及びその敷地であり、自衛隊・防衛庁当局がそのような場所として管理していたもので、一般に人が自由に出入りすることのできる場所ではない。たとえ表現の自由の行使のためとはいっても、このような場所に管理権者の意思に反して立ち入ることは、管理権者の管理権を侵害するのみならず、そこで私的生活を営む者の私生活の平成穏を侵害するものといわざるを得ない。」
塀の上部に上がった行為と住居侵入罪 最一小決平成21年7月13日
概要
判例
判旨:「本件塀は、本件庁舎建物とその敷地を他から明確に画するとともに、外部からの干渉を排除する作用を果たしており、正に本件庁舎建物の利用のために供されている工作物であって、刑法130条にいう『建造物』の一部を構成するものとして、建造物侵入罪の客体に当たると解するのが相当であり、外部から見ることのできない敷地に駐車された捜査車両を確認する目的で本件塀の上部へ上がった行為について、建造物侵入罪の成立を認めた原判断は正当である。」
過去問・解説
(H24 司法 第14問 オ)
甲は、交通違反の取締りに当たる捜査車両の車種やナンバーをのぞき見るため、外部からの立入りが制限され、内部をのぞき見ることができない構造になっている警察署の高さ約3メートル、幅30センチメートルのコンクリート塀の上に登り、その上部に立って中庭を見たが、塀から降りて中庭に立ち入る意思はなかった。甲には建造物侵入罪が成立する。
(H30 共通 第2問 ウ)
甲は、捜査車両をのぞき見て同車両のナンバーを把握するため、警察署の建物及び敷地への外部からの立入りを制限するとともに内部をのぞき見ることができない構造として作用し、建物の利用のために供されている高さ約2.5メートルのコンクリート塀を正当な理由なくよじ登り、その上部に立って同警察署の敷地内の捜査車両を見て立ち去った。この場合、甲には建造物侵入罪は成立し得ない。
(R3 司法 第2問 ア)
甲は、警察署の敷地内に駐車中の捜査用車両のナンバーを把握しようと考え、外部から同敷地内への交通を制限するために設置され、内部をのぞき見ることができない構造になっている高さ2.5メートル、幅0.2メートルの同警察署の塀をよじ登り、その上に立った。この場合、甲には、建造物侵入未遂罪が成立するにとどまる。