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文書偽造の罪(私文書) - 解答モード
入学選抜試験の答案と「事実証明に関する文書」 最三小決平成6年11月29日
概要
判例
判旨:「本件入学選抜試験の答案は、試験問題に対し、志願者が正解と判断した内容を所定の用紙の解答欄に記載する文書であり、それ自体で志願者の学力が明らかになるものではないが、それが採点されて、その結果が志願者学力を示す資料となり、これを基に合否の判定が行われ、合格の判定を受けた志願者が入学を許可されるのであるから、志願者の学力の証明に関するものであって、『社会生活に交渉を有する事項』を証明する文書(最高裁昭和33年(あ)第890号同年9月16日第三小法廷決定・刑集12巻13号3031頁参照)に当たると解するのが相当である。したがって、本件答案が刑法159条1項にいう事実証明に関する文書に当たるとした原判断は、正当である。」
過去問・解説
(H20 司法 第8問 1)
甲は、乙から、乙がA大学の入学試験を受けるに当たり、いわゆる替え玉になって受験してほしい旨依頼されてこれを引き受け、乙に成り済ましてA大学の入学試験を受け、乙名義で答案を作成して提出した。大学の入学試験の答案は、私文書偽造罪の客体になるが、甲は作成名義人乙に依頼されて乙名義で答案を作成したのであるから、甲には有印私文書偽造罪は成立しない。
(正答)✕
(解説)
判例(最決平6.11.29)は、「本件入学選抜試験の答案は、試験問題に対し、志願者が正解と判断した内容を所定の用紙の解答欄に記載する文書であり、それ自体で志願者の学力が明らかになるものではないが、それが採点されて、その結果が志願者学力を示す資料となり、これを基に合否の判定が行われ、合格の判定を受けた志願者が入学を許可されるのであるから、志願者の学力の証明に関するものであって、『社会生活に交渉を有する事項』を証明する文書…に当たる…。」としている。
そして、大学の入学試験の答案は作成名義人以外の者の作成が許容されるものではないから、作成名義人の承諾があっても、偽造に当たる。
したがって、甲に有印私文書偽造罪が成立する。
(R2 共通 第6問 1)
甲は、乙から、大学の入学試験を代わりに受けてほしいと頼まれてこれを引き受け、乙に成り済まして入学試験を受け、乙名義で答案を作成して提出した。この場合、甲に有印私文書偽造罪が成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(最決平6.11.29)は、「本件入学選抜試験の答案は、試験問題に対し、志願者が正解と判断した内容を所定の用紙の解答欄に記載する文書であり、それ自体で志願者の学力が明らかになるものではないが、それが採点されて、その結果が志願者学力を示す資料となり、これを基に合否の判定が行われ、合格の判定を受けた志願者が入学を許可されるのであるから、志願者の学力の証明に関するものであって、『社会生活に交渉を有する事項』を証明する文書…に当たる…。」としている。
そして、大学の入学試験の答案は作成名義人以外の者の作成が許容されるものではないから、作成名義人の承諾があっても、偽造に当たる。
したがって、甲に有印私文書偽造罪が成立する。
(R6 司法 第10問 ウ)
甲は、乙から、乙の代わりにA大学の入学試験を受けてほしいと頼まれ、これを引き受け、乙に成り済まして同入学試験を受け、氏名欄に乙の氏名を記載し、乙名義で答案を作成した。この場合、甲に有印私文書偽造罪が成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(最決平6.11.29)は、「本件入学選抜試験の答案は、試験問題に対し、志願者が正解と判断した内容を所定の用紙の解答欄に記載する文書であり、それ自体で志願者の学力が明らかになるものではないが、それが採点されて、その結果が志願者学力を示す資料となり、これを基に合否の判定が行われ、合格の判定を受けた志願者が入学を許可されるのであるから、志願者の学力の証明に関するものであって、『社会生活に交渉を有する事項』を証明する文書…に当たる…。」としている。
そして、大学の入学試験の答案は作成名義人以外の者の作成が許容されるものではないから、作成名義人の承諾があっても、偽造に当たる。
したがって、甲に有印私文書偽造罪が成立する。
同姓同名と私文書偽造罪 最一小決平成5年10月5日
概要
判例
判旨:「私文書偽造の本質は、文書の名義人と作成者との間の人格の同一性を偽る点にあると解されるところ(最高裁昭和58年(あ)第257号同59年2月17日第二小法廷判決・刑集38巻3号336頁参照)、前示のとおり、被告人は、自己の氏名がA弁護士会所属の弁護士Bと同姓同名であることを利用して、同弁護士になりすまし、『弁護士B』の名義で本件各文書を作成したものであって、たとえ名義人として表示された者の氏名が被告人の氏名と同一であったとしても、本件各文書が弁護士としての業務に関連して弁護士資格を有する者が作成した形式、内容のものである以上、本件各文書に表示された名義人は、A弁護士会に所属する弁護士Bであって、弁護士資格を有しない被告人とは別人格の者であることが明らかであるから、本件各文書の名義人と作成者の人格の同一性にそごを生じさせたものというべきである。したがって、被告人は右の同一性を偽ったものであって、その各所為について私文書偽造罪、同行使罪が成立するとした原判断は、正当である。」
過去問・解説
(H29 司法 第4問 5)
弁護士資格のない甲は、X弁護士会に実在する自己と同姓同名の弁護士を装い、これを信じた乙から依頼を受けて弁護士としての業務を行った後、乙から報酬を得るために、「X弁護士会所属弁護士甲」名義の弁護士報酬金請求書を作成した。甲には私文書偽造罪が成立しない。
(R5 司法 第15問 5)
甲は、同姓同名の弁護士がいることを利用して弁護士を装い、不動産業者Aから土地調査の依頼を受け、行使の目的で、作成名義人として「弁護士甲」と記載した土地調査に関する書面を作成しAに交付した。この場合、甲に私文書偽造罪は成立しない。
国際運転免許証と私文書偽造罪 最二小決平成15年10月6日
概要
判例
判旨:「私文書偽造の本質は、文書の名義人と作成者との間の人格の同一性を偽る点にあると解される(最高裁昭和58年(あ)第257号同59年2月17日第二小法廷判決・刑集38巻3号336頁、最高裁平成5年(あ)第135号同年10月5日第一小法廷決定・刑集47巻8号7頁参照)。本件についてこれをみるに、…本件文書の記載内容、性質などに照らすと、ジュネーブ条約に基づく国際運転免許証の発給権限を有する団体により作成されているということが、正に本件文書の社会的信用性を基礎付けるものといえるから、本件文書の名義人は、『ジュネーブ条約に基づく国際運転免許証の発給権限を有する団体である国際旅行連盟』であると解すべきである。そうすると、国際旅行連盟が同条約に基づきその締約国等から国際運転免許証の発給権限を与えられた事実はないのであるから、所論のように、国際旅行連盟が実在の団体であり、被告人に本件文書の作成を委託していたとの前提に立ったとしても、被告人が国際旅行連盟の名称を用いて本件文書を作成する行為は、文書の名義人と作成者との間の人格の同一性を偽るものであるといわねばならない。したがって、被告人に対し有印私文書偽造罪の成立を認めた原判決の判断は、正当である。」
過去問・解説
(H25 共通 第6問 5)
甲は、行使の目的で、正規の国際運転免許証を発給する権限のない民間団体乙名義で、外観が正規の国際運転免許証に酷似する文書を作成した。甲は、乙からその文書の作成権限を与えられていたが、乙に正規の国際運転免許証を発給する権限がないことは知っていた。甲には私文書偽造罪は成立しない。
(R5 司法 第15問 4)
甲は、民間団体Aから国際運転免許証の作成を委託され、行使の目的で、外観が正規の国際運転免許証に酷似するA名義の文書を作成したが、Aに正規の国際運転免許証を発給する権限はなく、甲もそのことを知っていた。この場合、甲に私文書偽造罪は成立しない。