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刑法 法人事業主の選任監督上の過失 最二小判昭和40年3月26日 - 解答モード

概要
外国為替及び外国貿易管理法73条は、事業主たる法人の代表者でない従業者の違反行為につき、当該法人に右行為者の選任、監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽さなかった過失の存在を推定した規定と解すべく、事業主において右に関する注意を尽したことの証明がなされない限り、事業主もまた刑責を免れないとする法意である。
判例
事案:法定の除外事由がないのに、非居住者のためにする居住者に対する支払ないし支払の受領をなすなどした外国為替及び外国貿易管理法違反の事案において、法人事業主について、選任監督上の過失がなくても監督責任を負うかが問題となった。

判旨:「所論は、憲法31条違反をいうもので、その理由として、本件適用法令たる本法73条のいわゆる両罰規定について、従業者の違反行為に対する事業主の過失を推定したもので、事業主において従業者の選任、監督に過失がなかったことを立証すれば罪責を免れうる趣旨の規定であるとする見解があるけれども、右過失の推定自体、刑罰法における責任主義の原則に反するし、以上のような立証は事実上不可能であって、結局事業主の無過失責任を認めるに帰するものであり、しかも、右過失推定についての明文を欠いているのであるから、右規定は、責任主義、罪刑法定主義を定めた憲法31条に違反する、また、本法制定当時においては、本件のような事案に対する処罰の必要と根拠があったのであるが、本件当時にはわが国の外貨事情が著しく好転した結果、実質上かような必要と根拠が失われていたのであって、本法2条の法意から考えても、法律があるからというだけで、本件を処罰することは同じく憲法31条に違反する、と主張する。
 しかしながら、事業主が人である場合の両罰規定については、その代理人、使用人その他の従業者の違反行為に対し、事業主に右行為者らの選任、監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽さなかった過失の存在を推定したものであって、事業主において右に関する注意を尽したことの証明がなされない限り、事業主もまた刑責を免れ得ないとする法意と解するを相当とすることは、すでに当裁判所屡次の判例(昭和26年(れ)第1452号、同32年11月27日大法廷判決、刑集11巻12号3113頁、昭和28年(あ)第4356号、同33年2月7日第二小法廷判決、刑集12巻2号117頁、昭和37年(あ)第2341号、同38年2月26日第三小法廷判決、刑集17巻1号15頁各参照)の説示するところであり、右法意は、本件のように事業主が法人(株式会社)で、行為者が、その代表者でない、従業者である場合にも、当然推及されるべきである…。」
過去問・解説

(H25 共通 第1問 1)
法人事業主は、その従業者が法人の業務に関して行った犯罪行為について、両罰規定が定められている場合には、選任監督上の過失がなくても刑事責任を負う。

(正答)

(解説)
判例(最判昭40.3.26)は、「事業主が人である場合の両罰規定については、その代理人、使用人その他の従業者の違反行為に対し、事業主に右行為者らの選任、監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽さなかった過失の存在を推定したものであって、事業主において右に関する注意を尽したことの証明がなされない限り、事業主もまた刑責を免れ得ないとする法意と解するを相当とする…。右法意は、本件のように事業主が法人(株式会社)で、行為者が、その代表者でない、従業者である場合にも、当然推及されるべきである…。」として、法人事業主に選任監督上の過失が必要であるとしている。
したがって、法人事業主は、その従業者が法人の業務に関して行った犯罪行為について、両罰規定が定められている場合には、選任監督上の過失がなければ刑事責任を負わない。

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