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刑法 防衛手段として相当性 最二小判平成元年11月13日 - 解答モード

概要
年齢も若く体力にも優れた相手方が、「お前、殴られたいのか。」と言って手拳を前に突き出し、足を蹴り上げる動作をしながら目前に迫ってきたなど判示のような状況の下において、危害を免れるため、菜切包丁を手に取ったうえ腰のあたりに構えて脅迫した本件行為は、いまだ防衛手段として相当性の範囲を超えたものとはいえない。
判例
事案:年齢も若く体力にも優れた相手方が、「お前、殴られたいのか。」と言って手拳を前に突き出し、足を蹴り上げる動作をしながら目前に迫ってきたなど判示のような状況の下において、危害を免れるため、菜切包丁を手に取ったうえ腰のあたりに構えて脅迫した事案において、「やむを得ずにした行為」として認められるかが問題となった。

判旨:「被告人がAに対し本件菜切包丁を示した行為は、今にも身体に対し危害を加えようとする言動をもって被告人の目前に迫ってきたAからの急迫不正の侵害に対し、自己の身体を防衛する意思に出たものとみるのが相当であり、この点の原判断は正当である。しかし、原判決が、素手で殴打しあるいは足蹴りの動作を示していたにすぎないAに対し、被告人が殺傷能力のある菜切包丁を構えて脅迫したのは、防衛手段としての相当性の範囲を逸脱したものであると判断したのは、刑法36条1項の『巳ムコトヲ得サルニ出テタル行為』の解釈適用を誤ったものといわざるを得ない。すなわち、右の認定事実によれば、被告人は、年齢も若く体力にも優れたAから、『お前、殴られたいのか。』と言って手拳を前に突き出し、足を蹴り上げる動作を示されながら近づかれ、さらに後ずさりするのを追いかけられて目前に迫られたため、その接近を防ぎ、同人からの危害を免れるため、やむなく本件菜切包丁を手に取ったうえ腰のあたりに構え、『切られたいんか。』などと言ったというものであって、Aからの危害を避けるための防御的な行動に終始していたものであるから、その行為をもって防衛手段としての相当性の範囲を超えたものということはできない。そうすると、被告人の第1の所為は刑法36条1項の正当防衛として違法性が阻却される。」
過去問・解説

(R1 共通 第15問 3)
手拳で殴る素振りをしながら「お前殴られたいのか。」と言って近付いてきた相手方を、殺傷能力のある刃物を構えて脅した場合、その脅迫行為については、正当防衛が成立する余地はない。

(正答)

(解説)
判例(最判平元.11.13)は、本肢と同種の事案において、「被告人は、…危害を免れるため、やむなく本件菜切包丁を手に取ったうえ腰のあたりに構え、『切られたいんか。』などと言ったというものであって、Aからの危害を避けるための防御的な行動に終始していたものであるから、その行為をもって防衛手段としての相当性の範囲を超えたものということはできない。」としている。
したがって、当該脅迫行為についても正当防衛が成立する余地がある。

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