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刑法 窃盗罪の実行の着手 大判大正8年4月4日 - 解答モード

概要
被告が領得した物件は所有者甲の事実上の支配を離脱したが甲が宿泊する旅館主乙の事実上の支配が及ぶ当該旅館屋内の便所にあり、乙がこのことを知っているか問わず当然乙の支配内に属するものとして、窃盗罪の成立を認めた。
判例
事案:旅館内に置き忘れられた財物を窃取したという事案において、窃盗罪の実行の着手が認められるかが問題になった。

判旨:「被告ノ領得シタル物件ハ所有者甲ノ事実上ノ支配ヲ離脱シタルモ甲ノ宿泊セル旅館主乙ノ事実上ノ支配ノ及フ該旅館屋内ノ便所ニ現在セルモノナルトキハ乙カ右事実ヲ認知セルト否トヲ問ハス当然乙ノ支配内ニ属スルヲ以テ遺失物ヲ以テ論スルヲ得ス」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H24 共通 第1問 2)
甲に窃盗罪が成立するか。
甲は、旅館に宿泊した際、旅館内にある共同浴場の脱衣場で、他の宿泊客が置き忘れた時計を見付けたので、脱衣場から持ち出し、これを自分のものにした。

(正答)

(解説)
判例(大判大8.4.4)は、本肢と同種の事案において、「被告ノ領得シタル物件ハ所有者甲ノ事実上ノ支配ヲ離脱シタルモ甲ノ宿泊セル旅館主乙ノ事実上ノ支配ノ及フ該旅館屋内ノ便所ニ現在セルモノナルトキハ乙カ右事実ヲ認知セルト否トヲ問ハス当然乙ノ支配内ニ属スルヲ以テ遺失物ヲ以テ論スルヲ得ス」として、所有者の事実上の支配を離れていても、旅館の主の事実上の支配が及んでいる物については、窃盗罪の客体となることを示している。
他の宿泊客が旅館内にある共同浴場の脱衣場で時計を置き忘れていたとしても、当該時計には旅館主の占有が認められ、遺失物には当たらず、これを脱衣場から持ち出すことは窃盗の実行行為に当たる。
したがって、甲には窃盗罪が成立する。

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