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刑法 複数の放火行為 大判明治45年4月29日 - 解答モード

概要
放火罪は個人の財産的法益を侵害するにとどまらず、主として静謐なる公共的法益の侵害がその本質である。同一の意思の発動によってその行為を反復実行したら1個の放火罪を構成する。
判例
事案:複数の放火行為に複数の放火罪が成立するかが問題となった。

判旨:「連続犯ハ放火罪ノ如キ個人ノ財産的法益ヲ侵害スルニ止ラス主トシテ静謐ナル公共的法益ノ侵害ヲ以テ其本質ト為ス犯罪ト雖モ苟モ同一ノ意思発動ニ因リテ其行為ヲ反覆実行スルニ於テハ当然該犯罪ヲ構成スヘキモノトス」
過去問・解説
全体の正答率 : 50%

(H21 司法 第11問 3)
甲は、乙が住居に使用する同人所有の家屋に放火した後、さらに、同家屋に隣接する丙所有の物置を燃やそうと思い付き、同物置に放火し、同家屋及び同物置を同時に焼損した。この場合、甲は複数の放火行為を行い、所有者の異なる複数の建造物を焼損しているのであるから、現住建造物等放火罪及び非現住建造物等放火罪の各既遂罪が成立し、両者は併合罪となる。

(正答)

(解説)
判例(大判明45.4.29)は、「連続犯ハ放火罪ノ如キ個人ノ財産的法益ヲ侵害スルニ止ラス主トシテ静謐ナル公共的法益ノ侵害ヲ以テ其本質ト為ス犯罪ト雖モ苟モ同一ノ意思発動ニ因リテ其行為ヲ反覆実行スルニ於テハ当然該犯罪ヲ構成スヘキモノトス」として、放火行為を近接した日時場所で連続して行った場合に全体を一罪とすることを示している。
甲は、複数の放火行為を行っているが隣接する乙丙所有の家屋と物置を連続して放火しているから、これらは全体として一罪となる。
したがって、甲には、最も重い現住建造物等放火罪の一罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(H29 予備 第8問 5)
甲は、乙が居住する乙所有の家屋を燃やそうと考え、同家屋の壁際に駐車されていた乙所有の自動車に放火して焼損し、同家屋への延焼の危険を生じさせたが、その火は通行人により消し止められ、同家屋に燃え移らなかった。この場合、甲には、建造物等以外放火罪のみが成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判明45.4.29)は、「連続犯ハ放火罪ノ如キ個人ノ財産的法益ヲ侵害スルニ止ラス主トシテ静謐ナル公共的法益ノ侵害ヲ以テ其本質ト為ス犯罪ト雖モ苟モ同一ノ意思発動ニ因リテ其行為ヲ反覆実行スルニ於テハ当然該犯罪ヲ構成スヘキモノトス」として、放火行為を近接した日時場所で連続して行った場合に全体を一罪とすることを示している。
現住建造物等放火罪の故意で110条の「前2条に規定する物以外の物」に放火した場合、現住建造物等放火罪の未遂罪が成立する。
甲は、乙が居住する乙所有の家屋を燃やそうと考え同家屋の壁際に駐車されていた乙所有の自動車に放火しているから、現住建造物等放火罪の故意で110条の「前2条に規定する物以外の物」に放火し、これを焼損させ同家屋への延焼の危険を生じさせたといえる。
したがって、甲には、現住建造物等放火罪の未遂罪が成立する。

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