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刑法 現住建造物放火罪と殺人罪 東京地判平成2年5月15日 - 解答モード
概要
建造物内の被害者を殺害するために建造物に放火したが殺害の目的を遂げなかった場合、現住建造物放火罪と殺人未遂罪の観念的競合となる。
判例
事案:建造物内の被害者を殺害するために建造物に放火したが殺害の目的を遂げなかった事案において、現住建造物放火罪と殺人未遂罪の罪数関係が問題になった。
判旨:「被告人は、前記のとおり、自宅を焼燬して、子供3名を焼死させた上、自殺しようと決意し、平成2年1月16日午前0時10分ころ、前記所在の自宅2階居間兼寝室において、就寝中の長男C(当時12歳)、二男D(当時10歳)及び長女E(当時5歳)の周囲の床などに灯油約30リットルを撒布した上、同室内に置かれていた炬燵の掛布団に所携のライターで点火して火を放ち、その火を同室の柱、鴨居などに燃え移らせ、よって、Fほか12名が現に住居として使用している鉄骨造陸屋根5階建事務所兼居宅(建坪87・55平成方メートル)の2階居間兼寝室(約17平成方メートル)及び同室の天井等の一部を焼燬したが、放火直後憐憫の情から右Cら3名の殺害を翻意し同人らを避難させたため、殺害の目的を遂げなかったものである。
…被告人の判示行為のうち、現住建造物等放火の点は刑法108条に、各殺人未遂の点はいずれも同法203条、199条にそれぞれ該当するところ、右は1個の行為で4個の罪名に触れる場合であるから、同法54条1項前段、10条により一罪として犯情の最も重い現住建造物等放火罪の刑で処断することとし…。」
判旨:「被告人は、前記のとおり、自宅を焼燬して、子供3名を焼死させた上、自殺しようと決意し、平成2年1月16日午前0時10分ころ、前記所在の自宅2階居間兼寝室において、就寝中の長男C(当時12歳)、二男D(当時10歳)及び長女E(当時5歳)の周囲の床などに灯油約30リットルを撒布した上、同室内に置かれていた炬燵の掛布団に所携のライターで点火して火を放ち、その火を同室の柱、鴨居などに燃え移らせ、よって、Fほか12名が現に住居として使用している鉄骨造陸屋根5階建事務所兼居宅(建坪87・55平成方メートル)の2階居間兼寝室(約17平成方メートル)及び同室の天井等の一部を焼燬したが、放火直後憐憫の情から右Cら3名の殺害を翻意し同人らを避難させたため、殺害の目的を遂げなかったものである。
…被告人の判示行為のうち、現住建造物等放火の点は刑法108条に、各殺人未遂の点はいずれも同法203条、199条にそれぞれ該当するところ、右は1個の行為で4個の罪名に触れる場合であるから、同法54条1項前段、10条により一罪として犯情の最も重い現住建造物等放火罪の刑で処断することとし…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0%
(H29 予備 第8問 2)
甲は、乙が居住する乙所有の家屋を燃やそうと考え、同家屋に放火し全焼させたところ、同家屋内で就寝中の乙が焼死した。甲が乙を殺そうと考えて同家屋に放火した場合でも、甲には、法定刑に死刑を含む現住建造物等放火罪のみが成立する。
全体の正答率 : 100%
(R2 共通 第14問 3)
甲が住宅内にいる乙を殺害する目的で放火し、住宅が焼失した上、乙が死亡した場合、甲には、殺人罪は成立せず、現住建造物等放火罪のみが成立する。