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刑法 公務執行妨害罪と傷害罪 最三小判昭和28年4月14日 - 解答モード

概要
公務執行妨害罪と傷害罪が54条1項前段の関係にある場合に傷害罪所定の罰金刑で処断するのは54条1項前段の規定の解釈を誤ったもので違法である。
判例
事案:公務執行妨害罪と傷害罪が54条1項前段の関係にある事案において、傷害罪所定の罰金刑で処断することは適法であるかが問題になった。

判旨:「54条1項前段の1個の行為にして数個の罪名に触れる場合において、『最モ重キ刑ヲ以テ処断ス』と定めているのは、その数個の罪名中もっとも重い刑を定めている法条によって処断するという趣旨と共に、他の法条の最下限の刑よりも軽く処断することはできないという趣旨を含むと解するを相当とする。いいかえれば数個の罪について刑を定めるには、各法条中の法定刑の最上限も最下限も共に重い刑の範囲内において処断すべきものとする趣旨である。本件において、第1審判決が公務執行妨害の罪と傷害の罪とを刑法54条1項前段の1所為数法の関係において処断するにあたり、もっとも重い刑を定めた傷害の罪の法条によって処断したのは正当であるが、公務執行妨害の罪の刑が3年以下の懲役又は禁錮と定められ罰金の定めがないのにかかわらず、傷害の罪にその定めがあるのに従って、被告人を罰金2万円に処したのは、刑法54条1項の解釈を誤ったものであり違法たるを免れない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H23 予備 第8問 1)
甲は、警察官乙から職務質問を受けた際、乙に対して暴行を加えて傷害を負わせた。甲に乙に対する公務執行妨害罪が成立する場合、同罪と傷害罪は観念的競合となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭28.4.14)は、本肢と同種の事案において、「第1審判決が公務執行妨害の罪と傷害の罪とを刑法54条1項前段の1所為数法の関係において処断するにあたり、もっとも重い刑を定めた傷害の罪の法条によって処断したのは正当である…。」として、公務執行妨害罪と傷害罪が観念的競合の関係にあることを認めている。
甲は、警察官乙から職務質問を受けた際、乙に対して1個の暴行を加えて公務を妨害し、乙に傷害を負わせているから、公務執行妨害罪と傷害罪が成立し、これらは観念的競合となる。


全体の正答率 : 100%

(R5 司法 第20問 エ)
【事 例】
甲は、高齢女性Aから同人名義のキャッシュカード(以下「カード」という。)を不正に入手するため、甲が警察官を装いAに電話をかけ、これからA方を訪れる警察官の確認を受けながらカードを封筒に入れ、同封筒をA方において保管する必要があるとうそを言い、警察官に成り済ました乙(25歳、男性)がA方を訪れ、隙を見て同封筒を別の封筒とすり替えて持ち去り、カードを丙に渡して甲に届けさせる計画(以下「本件計画」という。)を考え、乙に本件計画の実行を指示し、乙はこれを承諾した。某日午前9時頃、本件計画に基づき、甲がAに電話をかけて上記うそを言い、乙は、同日午前9時15分頃、A方を訪ね、Aにカードを封筒に入れるよう求めた。しかし、乙の態度を不審に思ったAが、乙に身分証の提示を求めたので、乙は、逮捕を免れるとともに本件計画どおりにカードを手に入れるため、Aを手拳で多数回殴り、恐怖で抵抗できないAからカードを奪って持ち去った。同日午前9時20分頃、乙は、甲に電話で、本件計画どおりカードを入手したと伝えた。同日午前9時30分頃、甲は、丙に電話をかけ、本件計画の内容を初めて説明し、乙からカードを受け取って甲に届けるよう依頼し、丙はこれを承諾した。丙は、同日午前11時頃、乙と合流し、カードを受け取って乙と別れ、自動車でA方から約50キロメートル離れた甲方に向かったが、同日午後0時30分頃、甲方付近で降車した際、制服警察官BからA方での事件とは関係なく職務質問を受けた。その際、丙は、Bを殴り、Bに全治2週間を要する打撲傷を負わせ、その隙に上記自動車で逃走し、同日午後1時頃、甲と合流して甲にカードを届けた。その後、丙の交際相手丁は、丙が上記一連の犯行を行い、警察から捜査されていることを認識しつつ、丙を丁の自宅にかくまった。

【記 述】
丙がBを殴って負傷させた行為には、公務執行妨害罪と傷害罪が成立し、これらは観念的競合となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭28.4.14)は、本肢と同種の事案において、「第1審判決が公務執行妨害の罪と傷害の罪とを刑法54条1項前段の1所為数法の関係において処断するにあたり、もっとも重い刑を定めた傷害の罪の法条によって処断したのは正当である…。」として、公務執行妨害罪と傷害罪が観念的競合の関係にあることを認めている。
丙は、警察官B職務質問を受けた際、Bを殴り公務を妨害し、Bに全治2週間を要する打撲傷を負わせているから、公務執行妨害罪と傷害罪が成立し、これらは観念的競合となる。

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