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刑法 業務上過失致傷罪と殺人罪 最一小決昭和53年3月22日 - 解答モード

概要
人を熊と誤認して猟銃を2発発射し下腹部等に命中させて瀕死の重傷を負わせたという業務上過失傷害の罪と、誤射に気がつき殺意をいだいてさらに猟銃を1発発射し胸部等に命中させて即死させたという殺人の罪とは、併合罪の関係にある。また、少なくとも、殺意を抱いて猟銃を発射した行為と死亡結果には因果関係を肯定できる。
判例
事案:人を熊と誤認して猟銃を2発発射し下腹部等に命中させて瀕死の重傷を負わせ、誤射に気が付き殺意を抱いてさらに猟銃を1発発射し胸部等に命中させて即死させたという事案において、業務上過失傷害罪と殺人罪との罪数関係及びその前提となる猟銃発射と死亡結果の因果関係が問題となった。

判旨:「業務上過失傷害罪と殺人罪とは責任条件を異にする関係上併合罪の関係にあるものと解すべきである、とした原審の罪数判断は、その理由に首肯しえないところがあるが、結論においては正当である…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H19 司法 第14問 イ)
甲は、自動車を運転中、前方不注視の過失により、同車を歩行者乙に衝突させ、乙に傷害を負わせたが、路上に転倒している乙を見て、自己の犯行の発覚を防ぐため乙を殺害しようと考え、同人を同車両で轢過し、死亡させた。甲に、業務上過失傷害罪と殺人罪が成立し、両罪は併合罪となる。

(正答)

(解説)
判例(最決昭53.3.22)は、人を熊と誤認して猟銃を発射し瀕死の重傷を負わせたという業務上過失傷害の罪と、誤射に気がつき殺意をいだいてさらに猟銃を1発発射し胸部等に命中させて即死させたという殺人の罪とは、併合罪の関係にあると判示している。本件では、最初の衝突行為により乙が死亡するような事情はない。そこで、判例によれば、甲の衝突行為に業務上過失傷害罪、轢過行為に殺人罪が成立し、両罪は併合罪となる。


全体の正答率 : 100%

(H29 予備 第1問 4)
甲は、狩猟仲間のVを熊と誤認して猟銃弾を1発発射し、Vの大腿部に命中させて大量出血を伴う重傷を負わせた直後、自らの誤射に気付き、苦悶するVを殺害して逃走しようと決意し、更に至近距離からVを目掛けて猟銃弾を1発発射し、Vの胸部に命中させてVを失血により即死させた。Vの大腿部の銃創は放置すると10数分で死亡する程度のものである一方、胸部の銃創はそれ単独で放置すると半日から1日で死亡する程度のものであった。この場合、甲の2発目の発射行為とVの死亡との間には、因果関係がない。

(正答)

(解説)
判例(最決昭53.3.22)は、本肢と同種の事案において、「業務上過失傷害罪と殺人罪とは責任条件を異にする関係上併合罪の関係にある…。」として、誤射に気が付いて殺意を持って猟銃を発射した行為については殺人罪を成立させている以上死亡結果との因果関係を肯定している前提に立っている。
甲は、Vを殺害して逃走しようと決意し、更に至近距離からVを目掛けて猟銃弾を1発発射し、Vの胸部に命中させてVを失血により即死させているから、甲の2発目の発射行為とVの死亡との間には因果関係が認められる。
したがって、甲の2発目の発射行為とVの死亡との間には、因果関係が認められる。


(R4 司法 第17問 3)
甲は、業務として猟銃を用いた狩猟に従事していた際、Aを熊と誤認して発砲し、Aに傷害を負わせ、その直後にAを誤射したことに気付いたが、Aを殺害して逃走しようと決意し、殺意をもってAの胸部に向けて発砲し、Aを即死させた。甲には、業務上過失傷害罪と殺人罪が成立し、これらは包括一罪となる。

(正答)

(解説)
判例(最決昭53.3.22)は、同種事案において、本件業務上過失傷害罪と殺人罪とは併合罪の関係にあると判示した。

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