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刑法 自首の成立の可否 大阪地判昭和34年4月23日 - 解答モード

概要
犯人の住所氏名等は全く判明せず、単に被害者の供述からおおよその人相服装、身長、年令等を知りえたのみであった場合、右のような犯人の概略の特徴のみでは(たとえ事後に被害者に犯人を面接せしめればこれを犯人と指摘しうる状況にあったとしても)犯人を特定するには不十分であり、従って当時誰が犯人であるかはいまだ発覚していなかったものといわざるをえない。
判例
事案:警察官が犯人の住所氏名等は全く判明せず、単に被害者の供述からおおよその人相服装、身長、年令等を知りえたのみであった事案において、自首の成否が問題となった。

判旨:「同被告人は近くに居あわせた操車場の職員に対し、『悪いことをしたから警察に自首したい。』と警察への連絡方を依頼し、右職員の通報によりかけつけた警察官に自己の右犯行を申告したことが明らかであると警察署はこれより先に本件被害の届出をうけて直ちに捜査に着手し、被害者から被害状況を聴取する傍ら、附近一帯に非常警戒の措置をとったのであるが、被告人の申告があるまでは犯人の住所氏名等は全く判明せず、単に被害者の供述からおおよその人相服装、身長、年令等を知りえたのみであったことが認められ、右のような犯人の概略の特徴のみでは(たとえ事後に被害者に犯人を面接せしめればこれを犯人と指摘しうる状況にあったとしても)犯人を特定するには不十分であり、従って当時誰が犯人であるかはいまだ発覚していなかったものといわざるをえないから、被告人の右申告は自首に該当すると解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H19 司法 第19問 ウ)
【事例】
甲は、空腹を感じたが所持金がなかったことから、飲食店Aにおいて無銭飲食をした。そして、同店店主乙から飲食代金の支払を請求されるや、乙に対し、「金はない。」と言いながら所携のナイフを乙に突き付けて脅迫し、乙がひるんだすきにその場から逃走した。
しかし、この先も生活費が手に入る見込みがなかった甲は、いっそのこと刑務所で服役して飢えをしのごうと考え直し、付近の警察署に出頭するため、上記ナイフを手に持ったまま同署の前まで歩いていった。捜査機関は、この時点でいまだ甲による上記無銭飲食の事実を認識していなかったが、同署の警察官Xは、ナイフを手に持った甲の姿を見て不審者と認め、甲に対する職務質問を開始した。甲は、その職務質問に対し、警察官Xに無銭飲食の事実を告げ、ナイフも提出した。
仮に、乙の通報により捜査機関に犯罪事実が発覚し、犯人のおよその年齢・人相・服装・体格が判明していた場合には、犯人が甲であることが発覚していなくても、自首は成立しない。

(正答)

(解説)
42条1項は、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」と規定している。
これについて、裁判例(大阪地判昭34.4.23)は、本肢と同種の事案において、「犯人の住所氏名等は全く判明せず、単に被害者の供述からおおよその人相服装、身長、年令等を知りえたのみであった場合、右のような犯人の概略の特徴のみでは(たとえ事後に被害者に犯人を面接せしめればこれを犯人と指摘しうる状況にあったとしても)犯人を特定するには不十分であり、従って当時誰が犯人であるかはいまだ発覚していなかったものといわざるをえない…。」として、自首の成立を認めている。
甲は、職務質問に対し、警察官Xに無銭飲食の事実を告げ、ナイフも提出しているが、捜査機関は、職務質問時点でいまだ甲による上記無銭飲食の事実を認識していなかったのであり、犯人のおよその年齢・人相・服装・体格が判明していた場合であっても、犯人の概略の特徴のみでは犯人を特定するには不十分であり、甲の自首は成立しうる。
したがって、乙の通報により捜査機関に犯罪事実が発覚し、犯人のおよその年齢・人相・服装・体格が判明していた場合でも自首は成立しうる。

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