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刑法 砂末吸引死亡事件 大判大正12年4月30日 - 解答モード

概要
殺害する決意をし、細麻縄で熟睡中の被害者の頸部を絞め、被害者は身動きしなくなったため、被告人は既に死亡したと思い、犯行の発覚を逃れるため、頸部の麻縄を解かず、被害者を海岸砂上に運び、放置し帰宅したところ、被害者は砂末を吸引し、頸部絞扼と砂末吸引により死亡したという事案で、因果関係について認識と実際の経過に齟齬があったとしても、相当因果関係内で符合しているから故意を阻却しない。
判例
事案:殺害する決意をし、細麻縄で熟睡中の被害者の頸部を絞め、被害者は身動きしなくなったため、既に死亡したと思い、犯行の発覚を逃れるため、頸部の麻縄を解かず、被害者を海岸砂上に運び、放置し帰宅したところ、被害者は砂末を吸引し、頸部絞扼と砂末吸引により死亡したという事案において、因果関係について故意が認められるかが問題となった。

判旨:「人ヲ殺ス目的ヲ以テ麻縄ヲ其ノ頸部ニ結ヒ絞扼シタル者カ被害者ノ微動セサルニ至リタルヲ見テ既ニ死シタルモノト誤認シ更ニ犯罪ノ発覚ヲ防カント欲シ縄ヲ解カスシテ屋内ヨリ海辺ニ移シ之ヲ砂上ニ放置シタルニ因リ其ノ者ハ遂ニ砂末ヲ吸引シテ死亡シタルトキハ殺人ノ目的ニ出テタル頸部絞扼ノ行為ト死亡トノ間ニ因果関係アルモノニシテ其ノ行為ハ殺人罪ヲ構成シ殺人未遂罪及過失致死罪ニ該当スルモノニ非ス」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H23 共通 第18問 2)
甲は、殺意をもって乙の首を絞め、乙が気絶したのを見て既に窒息死したものと誤信し、乙を海に投げ込んだところ、乙は海中で溺死した。この場合、甲には殺人罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大12.4.30)は、本肢と同種の事案において、「殺人ノ目的ニ出テタル頸部絞扼ノ行為ト死亡トノ間ニ因果関係アルモノニシテ其ノ行為ハ殺人罪ヲ構成シ殺人未遂罪及過失致死罪ニ該当スルモノニ非ス」として、因果関係について認識と実際の経過に齟齬があったとしても、構成要件の範囲内で符合しているのであれば故意を阻却しないとしている。
そして、甲の認識である窒息死と、現実に生じた海に投げ込んだことによる溺死という因果経過は、構成要件の範囲内で符合するから、故意を阻却せず、甲には殺人罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(H24 共通 第7問 1)
甲は、Aを川の中に突き落として溺死させようと思い、橋の側端に立っていたAを突き飛ばしたところ、Aは落下する途中で橋脚に頭部を強打して即死した。甲には殺人既遂罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大12.4.30)は、本肢と同種の事案において、「殺人ノ目的ニ出テタル頸部絞扼ノ行為ト死亡トノ間ニ因果関係アルモノニシテ其ノ行為ハ殺人罪ヲ構成シ殺人未遂罪及過失致死罪ニ該当スルモノニ非ス」として、因果関係について認識と実際の経過に齟齬があったとしても、構成要件の範囲内で符合しているのであれば故意を阻却しないとしている。
そして、甲の認識である溺死と、現実に生じた落下する途中で橋脚に頭部を強打して即死という因果経過は、構成要件の範囲内で符合しているから、故意を阻却せず、甲には殺人罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(H27 共通 第20問 エ)
【事例】
借金の返済に苦しんでいた甲とその内縁の妻乙は、A市が発行した乙を被保険者とする国民健康保険被保険者証の氏名を乙から実在しない丙に改変し、丙になりすまして消費者金融会社から借入れをして現金を手に入れることを相談した。甲と相談したとおり、乙は、上記国民健康保険被保険者証の被保険者氏名欄に乙とあるのを丙と書き換えた。そして、乙は、消費者金融会社の無人借入手続コーナーにおいて、借入申込書に丙の氏名を記載し、丙と刻した印鑑を押捺するなどして丙名義の借入申込書1通を完成させた上、同申込書及び氏名を丙に改変した上記国民健康保険被保険者証の内容を、同コーナーに設置された機械を使用し、同機械に接続されている同社本店の端末機に送信し、同社の貸付手続担当者に対し、丙であるかのように装って100万円の借入れを申し込んだ。同担当者は、当該申込みをした者が真実丙であり、かつ、貸付金は約定のとおりに返済されるものと誤信し、同社の貸付システムに従って丙名義の借入カードを上記コーナーに設置された機械から発券した。乙は、その場で同カードを入手し、同カードを現金自動入出機に挿入して同機から現金100万円を引き出した。その後、乙は、上記行為に及んだことを後悔し、自宅で、甲に一緒に自首をしようと持ち掛けた。甲は、これを聞いて激高し、乙を窒息死させようと考え、その首を絞めたところ、乙は首を絞められたことによるショックで心不全になり死亡した。甲は、乙の死亡から約30分後、死亡して横たわっている乙の指に時価20万円相当の乙の指輪がはめてあることに気が付き、同指輪を奪って逃走した。
【記述】
甲は、乙を窒息死させようとしていたが、乙はそれとは別の原因で死亡するに至ったのであるから、甲には、乙の首を絞めて死亡させた行為について殺人既遂罪は成立せず、殺人未遂罪と過失致死罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大12.4.30)は、本肢と同種の事案において、「殺人ノ目的ニ出テタル頸部絞扼ノ行為ト死亡トノ間ニ因果関係アルモノニシテ其ノ行為ハ殺人罪ヲ構成シ殺人未遂罪及過失致死罪ニ該当スルモノニ非ス」として、因果関係について認識と実際の経過に齟齬があったとしても、構成要件の範囲内で符合しているのであれば故意を阻却しないとしている。
そして、甲の認識である窒息死と、現実に生じた心不全という因果経過は、構成要件の範囲内で符合するから、故意を阻却せず、甲には殺人罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(H28 共通 第5問 1)
甲が、殺害目的でVの首を両手で絞め、失神してぐったりとしたVを死んだものと誤解し、死体を隠すつもりでVを雪山に運んで放置したところ、Vは意識を回復しないまま凍死した。甲がVの首を両手で絞めた行為とVの死亡との間には、因果関係がない。

(正答)

(解説)
判例(大判大12.4.30)は、本肢と同種の事案において、「殺人ノ目的ニ出テタル頸部絞扼ノ行為ト死亡トノ間ニ因果関係アルモノニシテ其ノ行為ハ殺人罪ヲ構成シ殺人未遂罪及過失致死罪ニ該当スルモノニ非ス」として、因果関係について認識と実際の経過に齟齬があったとしても、構成要件の範囲内で符合しているのであれば故意を阻却しないとしている。
そして、絞殺後に死体遺棄することは通常ありうることであり、首を絞めた行為が放置した行為を経て危険が死亡結果として現実化したといえるから、因果関係を肯定できる。
そして、甲の認識である絞殺と、現実に生じた失神したVを雪山に放置したことによる凍死という因果経過は、構成要件の範囲内で符合するから、故意を阻却せず、甲には殺人罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(R4 司法 第1問 5)
甲は、殺意をもってAの首を絞めたところ、Aが動かなくなったので、Aが死亡したものと誤信し、犯行の発覚を防ぐ目的で、Aを砂浜に運んで放置し、その結果、Aが砂を吸引して窒息死した。この場合、甲には、殺人罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大12.4.30)は、本肢と同種の事案において、「殺人ノ目的ニ出テタル頸部絞扼ノ行為ト死亡トノ間ニ因果関係アルモノニシテ其ノ行為ハ殺人罪ヲ構成シ殺人未遂罪及過失致死罪ニ該当スルモノニ非ス」として、因果関係について認識と実際の経過に齟齬があったとしても、構成要件の範囲内で符合しているのであれば故意を阻却しないとしている。
そして、甲の認識である絞殺と、現実に生じた砂を吸引して窒息死という因果経過は、構成要件の範囲内で符合するから、故意を阻却せず、甲には殺人罪が成立する。

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