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刑法 不作為の因果関係 最三小判平成元年12月15日 - 解答モード

概要
被告人らによって注射された覚せい剤により被害者の女性が錯乱状態に陥った時点において、直ちに被告人が救急医療を要請していれば、同女の救命が合理的な疑いを超える程度に確実であったと認められる事案の下では、このような措置をとらなかった被告人の不作為と同女の死亡との間には因果関係がある。
判例
事案:被害者に被告人が覚せい剤を注射し、中毒症状が出た被害者を放置し、死亡させたという事案において、放置と被害者の死亡との間の因果関係が問題となった。

判旨:「被害者の女性が被告人らによって注射された覚せい剤により錯乱状態に陥った午前0時半ころの時点において、直ちに被告人が救急医療を要請していれば、同女が年若く(当時13年)、生命力が旺盛で、特段の疾病がなかったことなどから、十中八九同女の救命が可能であったというのである。そうすると、同女の救命は合理的な疑いを超える程度に確実であったと認められるから、被告人がこのような措置をとることなく漫然同女をホテル客室に放置した行為と同女が同室で覚せい剤による急性心不全のため死亡した結果との間には、刑法上の因果関係があると認めるのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H19 司法 第12問 1)
不作為犯における不作為と結果との間に刑法上の因果関係を認めるためには、不作為の後に結果の発生が認められることで足り、期待される作為をなしていたとすれば結果を避け得たことが合理的な疑いを超える程度に確実であったことまでは必要とされない。

(正答)

(解説)
判例(最判平元.12.25)は、不作為犯の因果関係について、「直ちに被告人が救急医療を要請していれば、…十中八九同女の救命が可能であったというのである。」とした上で、「同女の救命は合理的な疑いを超える程度に確実であったと認められるから、被告人がこのような措置をとることなく漫然同女をホテル客室に放置した行為と同女が同室で覚せい剤による急性心不全のため死亡した結果との間には、刑法上の因果関係がある…。」としている。
したがって、不作為犯における不作為と結果との間に刑法上の因果関係を認めるためには、期待される作為をなしていたとすれば結果を避け得たことが合理的な疑いを超える程度に確実であったことまで必要とされる。


全体の正答率 : 100%

(H27 司法 第1問 ウ)
不真正不作為犯の因果関係が認められるためには、期待された作為をしていれば結果が発生しなかったことが、合理的な疑いを超える程度に確実であったことが必要である。

(正答)

(解説)
判例(最判平元.12.25)は、不作為犯の因果関係について、「直ちに被告人が救急医療を要請していれば、…十中八九同女の救命が可能であったというのである。」とした上で、「同女の救命は合理的な疑いを超える程度に確実であったと認められるから、被告人がこのような措置をとることなく漫然同女をホテル客室に放置した行為と同女が同室で覚せい剤による急性心不全のため死亡した結果との間には、刑法上の因果関係がある…。」としている。
したがって、不真正不作為犯の因果関係が認められるためには、期待された作為をしていれば結果が発生しなかったことが、合理的な疑いを超える程度に確実であったことが必要である。


全体の正答率 : 100%

(H28 共通 第5問 5)
甲は、ホテルの一室で未成年者Vに求められてその腕に覚せい剤を注射したところ、その場でVが錯乱状態に陥った。甲は、覚せい剤を注射した事実の発覚を恐れ、そのままVを放置して逃走し、Vは覚せい剤中毒により死亡した。Vが錯乱状態に陥った時点で甲がVに適切な治療を受けさせることによりVを救命できた可能性が僅かでもあれば、甲がVを放置した行為とVの死亡との間には、因果関係がある。

(正答)

(解説)
判例(最判平元.12.25)は、不作為犯の因果関係について、「直ちに被告人が救急医療を要請していれば、…十中八九同女の救命が可能であったというのである。」とした上で、「同女の救命は合理的な疑いを超える程度に確実であったと認められるから、被告人がこのような措置をとることなく漫然同女をホテル客室に放置した行為と同女が同室で覚せい剤による急性心不全のため死亡した結果との間には、刑法上の因果関係がある…。」としている。
したがって、Vが錯乱状態に陥った時点で甲がVに適切な治療を受けさせることによりVを救命できた可能性が僅かしかないのであれば、甲がVを放置した行為とVの死亡との間には、因果関係が認められない。


全体の正答率 : 100%

(R1 共通 第1問 オ)
不作為犯の因果関係は、期待された作為に出ていれば結果が発生しなかったことが、合理的な疑いを超える程度に確実であったといえない場合であっても、その可能性さえあれば、認められる余地がある。

(正答)

(解説)
判例(最判平元.12.25)は、不作為犯の因果関係について、「直ちに被告人が救急医療を要請していれば、…十中八九同女の救命が可能であったというのである。」とした上で、「同女の救命は合理的な疑いを超える程度に確実であったと認められるから、被告人がこのような措置をとることなく漫然同女をホテル客室に放置した行為と同女が同室で覚せい剤による急性心不全のため死亡した結果との間には、刑法上の因果関係がある…。」としている。
したがって、結果回避可能性がある程度では、不作為犯における因果関係は認められない。


全体の正答率 : 100%

(R3 司法 第9問 イ)
甲は、Vと2人きりのホテル客室で、その同意の下、Vに対し、覚醒剤を注射したところ、Vが体調の異変を訴え、錯乱状態に陥ったため、救急医療を要請する必要があることを認識し、その要請をしていれば、Vの救命は確実であったにもかかわらず、その要請をすることなく、Vを放置したまま同室から立ち去り、その結果、Vが死亡したが、甲に殺意はなかった。この場合、甲がVを放置した行為とVの死亡との間の因果関係に欠けることはなく、甲には、保護責任者遺棄等致死罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判平元.12.25)は、不作為犯の因果関係について、「直ちに被告人が救急医療を要請していれば、…十中八九同女の救命が可能であったというのである。」とした上で、「同女の救命は合理的な疑いを超える程度に確実であったと認められるから、被告人がこのような措置をとることなく漫然同女をホテル客室に放置した行為と同女が同室で覚せい剤による急性心不全のため死亡した結果との間には、刑法上の因果関係がある…。」としている。
甲が救急医療を要請すればVの救命が確実であったことから、放置した行為と死亡した結果との因果関係が認められる。
したがって、甲に保護責任者遺棄等致死罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(R5 司法 第9問 2)
不作為による幇助犯が成立するためには、作為に出ることで確実に正犯の実行を阻止できたという関係は不要である。

(正答)

(解説)
判例(最判平元.12.25)は、不作為犯の因果関係について、「直ちに被告人が救急医療を要請していれば、同女が年若く(当時13年)、生命力が旺盛で、特段の疾病がなかったことなどから、十中八九同女の救命が可能であったというのである。そうすると、同女の救命は合理的な疑いを超える程度に確実であったと認められる…。」として、確実に救命できたという関係までは要求していない。
また、裁判例(札幌高判平12.3.16)は、「一定の作為によってAのDに対する暴行を阻止することが可能であった…。」として、不作為の幇助犯の成立を認めている。
したがって、不作為による幇助犯が成立するためには、作為に出ることで確実に正犯の実行を阻止できたという関係は不要である。

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