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刑法 遺棄罪と中止犯 大判大正4年5月21日 - 解答モード

概要
遺棄罪(217条)は、老年、幼年、身体障害又は疾病のために扶助を必要とする者を遺棄することで成立するのであり、生命に対する危険の発生は必要ではない。
判例
事案:被告人が同居していた80歳前後の老人を、病気かつ貧弱と高齢による栄養不良に陥ったために荷車に乗せ道端に遺棄したという事案において、遺棄罪の成否が問題となった。

判旨:「刑法第217条ノ罪ハ扶助ヲ要スヘキ老者幼者不具者又ハ病者ヲ遺棄スルニ因リ直ニ成立スルモノニシテ其行為ノ結果現実ニ生命身体ニ対スル危険ヲ発生セシメタルト否トニ関係ナキモノトス
 刑法第217条所定ノ扶助ヲ要スヘキ者トハ老幼不具又ハ疾病ニ因リテ精神上若クハ身体上ノ欠陥ヲ生シ他人ノ扶持助力ヲ待ツニ非サレハ自ラ日常ノ生活ヲ営ムヘキ動作ヲ為ス能ハサル者ヲ総称スルモノニシテ其生活資料ヲ自給シ得ルト否トニ関係ナキモノトス」
過去問・解説
全体の正答率 : 0%

(H22 司法 第10問 3)
行為者が、幼児を山中に連れて行き置き去りにしたが、その後、後悔して山中に戻り、衰弱した幼児を病院に運び込んで医師の治療を受けさせ、これにより幼児の容体が快復した場合には、遺棄罪の中止犯が成立し得る。

(正答)

(解説)
判例(大判大4.5.21)は、「刑法第217条ノ罪ハ扶助ヲ要スヘキ老者幼者不具者又ハ病者ヲ遺棄スルニ因リ直ニ成立スルモノニシテ其行為ノ結果現実ニ生命身体ニ対スル危険ヲ発生セシメタルト否トニ関係ナキモノトス」として、遺棄罪は抽象的危険犯であって、現実に生命身体に危険を生じなくとも、遺棄行為の時点で既遂に達することを示している。
そして、中止犯は、既遂に達してからは成立しないものである。
したがって、置き去り後、後悔し治療を受けさせ被害者の容体が快復した場合であっても、遺棄罪の中止犯は成立しない。

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