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刑法 「人の看守する建造物」と囲繞地 最一小判昭和51年3月4日 - 解答モード

概要
国立大学の構内に在る附置研究所建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が既存の門塀等の施設と新設の金網柵とを連結して完成した一連の囲障を設置することにより、建物の附属地として建物利用のために供されるものであることが明示された本件土地は、右金網柵が通常の門塀に準じ外部との交通を阻止しうる程度の構造を有するものである以上、囲障設置以前における右土地の管理、利用状況等からして、それが本来建物固有の敷地と認めうるものかどうか、また、囲障設備が仮設的構造をもち、その設置期間も初めから一時的なものとして予定されていたかどうかを問わず、同研究所建物のいわゆる囲繞地として、建造物侵入罪の客体にあたる。
判例
事案:大学構内へ金網柵を引き倒して侵入した事案において、囲繞地として建造物侵入罪の客体に当たるかが問題となった。

判旨:「刑法130条にいう『人の看守する建造物』とは、単に建物を指すばかりでなく、その囲繞地を含むものであって、その建物の附属地として門塀を設けるなどして外部との交通を制限し、外来者がみだりに出入りすることを禁止している場所に故なく侵入すれば、建造物侵入罪が成立するものであることは、当裁判所の判例(昭和24年(れ)第340号同25年9月27日大法廷判決・刑集4巻9号1783頁、昭和41年(あ)第1129号同44年4月2日大法廷判決・刑集23巻5号685頁)の示すところである。そして、このような囲繞地であるためには、その土地が、建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されれば足りるのであって、右囲障が既存の門塀のほか金網柵が新設付加されることによって完成されたものであったとしても、右金網柵が通常の門塀に準じ外部との交通を阻止し得る程度の構造を有するものである以上、囲障の設置以前における右土地の管理、利用状況等からして、それが本来建物固有の敷地と認め得るものかどうか、また、囲障設備が仮設的構造をもち、その設置期間も初めから一時的なものとして予定されていたかどうかは問わないものと解するのが相当である。
 けだし、建物の囲繞地を刑法130条の客体とするゆえんは、まさに右部分への侵入によって建造物自体への侵入若しくはこれに準ずる程度に建造物利用の平成穏が害され又は脅かされることからこれを保護しようとする趣旨にほかならないと解されるからである。」
過去問・解説

(H24 司法 第14問 ウ)
甲は、門塀が設けられるとともに、看守者が置かれ出入りが制限されている工場の敷地内に窃盗の目的で立ち入ったが、工場の建物に入る前に逮捕された。甲には建造物侵入未遂罪が成立するにとどまる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.3.4)は、「『人の看守する建造物』とは、単に建物を指すばかりでなく、その囲繞地を含むものであって、その建物の附属地として門塀を設けるなどして外部との交通を制限し、外来者がみだりに出入りすることを禁止している場所に故なく侵入すれば、建造物侵入罪が成立する。…そして、このような囲繞地であるためには、その土地が、建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されれば足りる…。」としている。
門塀が設けられるとともに、看守者が置かれ出入りが制限されている工場の敷地内は、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されているから、囲繞地に当たる。
したがって、囲繞地に窃盗目的で立ち入った甲には、建造物侵入既遂罪が成立する。


(H29 司法 第17問 オ)
甲は、会社事務所にある現金を窃取する目的で、門塀に囲まれ、警備員が配置されて出入りが制限されている同事務所の敷地内に塀を乗り越えて立ち入ったが、同事務所の建物に立ち入る前に警備員に発見され敷地外に逃走した。甲に建造物侵入罪の既遂罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.3.4)は、「『人の看守する建造物』とは、単に建物を指すばかりでなく、その囲繞地を含むものであって、その建物の附属地として門塀を設けるなどして外部との交通を制限し、外来者がみだりに出入りすることを禁止している場所に故なく侵入すれば、建造物侵入罪が成立する。…そして、このような囲繞地であるためには、その土地が、建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されれば足りる…。」としている。
門塀に囲まれ、警備員が配置されて出入りが制限されている会社事務所の敷地は、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されている囲繞地に当たる。
したがって、囲繞地に窃盗目的で立ち入った甲には、建造物侵入既遂罪が成立する。


(R2 予備 第6問 4)
「建造物」に含まれる囲繞地というには、当該建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に囲障を設置することにより、建物の付属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されているだけでは足りない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.3.4)は、「囲繞地であるためには、その土地が、建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されれば足りる…。」としている。


(R3 司法 第2問 エ)
甲は、乙会社が所有するビルに窃盗に入る目的で、同ビルに接しており、同社が設置した門扉及び金網フェンスによって、同ビルの利用のために供されるものであることが明示され、部外者の出入りが制限されている敷地部分に立ち入ったが、同ビルに立ち入る前に警備員に取り押さえられた。この場合、甲には、建造物侵入未遂罪が成立するにとどまる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.3.4)は、「『人の看守する建造物』とは、単に建物を指すばかりでなく、その囲繞地を含むものであって、その建物の附属地として門塀を設けるなどして外部との交通を制限し、外来者がみだりに出入りすることを禁止している場所に故なく侵入すれば、建造物侵入罪が成立する。…そして、このような囲繞地であるためには、その土地が、建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されれば足りる…。」としている。
同社が設置した門扉及び金網フェンスによって、同ビルの利用のために供されるものであることが明示され、部外者の出入りが制限されている敷地部分は、囲繞地に当たる。
したがって、囲繞地に窃盗目的で立ち入った甲には建造物侵入既遂罪が成立する。

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