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刑法 雑居ビルと「人の住居」 広島高判昭和51年4月1日 - 解答モード
概要
1階店舗、車庫、2階事務所、居室、3階から5階まではすべて居室である判示のごとき内容の5階建ビルの階段通路および同屋上は、同ビルのうち現に住居として利用されている右各居室と一体をなして130条所定の「人の住居」にあたるものと解すべきである。
判例
事案: 住居侵入の事案において、アパート風5階建ビルの階段通路および同屋上が130条所定の「人の住居」に当たるかが問題となった。
判旨:「原判決はその公訴事実の記載に応じ、右ビルをほぼ全体として『人の看守する建造物』として観念しているようにみられる。しかしこの点の判断は正当でない。つまり、本件のごときビルは、たしかに建物としてはその構造および利用上相互に密接な関連を有し1個の建造物としての性格を有するが、その中味は、各種の独立した部分と、それに関連する共用部分とからなり、これを刑法130条の客体としてみる場合必ずしも全体を1個の種別のものに分別して考えなければならない必然性はない。むしろ別異に解することに、たとえば『故なく』の判断などで十分実益のあるところである。このことからまず、本件Dビルのうち事務所・店舗・住居等でその構造および利用上異なる性格を有する各独立した専用部分は、特にその一方が他方に全く従属したとみられるような関係にある場合のほか、それぞれの性格に従い、『人の看守する建造物』『人の住居』などとして各別に判断すれば足るものと解される。そして次に問題の右共用部分とみられる同ビル階段通路および屋上等についてであるが、これらはまず、その構造および利用上これが右独立した部分のいずれに従属する性格のものであるかどうかのの判断を前提に、さらに、元来『人の住居』と『人の看守する建造物』との区分につき、人の住居とは、それに従属するものも含め現にこれが人の日常生活の場として利用されていることから、さらに『人の看守』といったことを必要とするまでもなく当然その管理、また平成穏の確保といったことが予定され、保護客体としての性格を具有するに至るとみられることによるものであるという観点から判別するのが相当であると考えられるところ、このような観点からすると、本件Dビルは1階と2階の一部を除くその余の同ビル大方は住居であり、現に多くの居住者があって、各居室および屋上に至る同ビル唯一の階段通路は、前記事務所関係者のほかはほぼ大方右居住者およびその関係者によって利用されているものと推知され、また右ビル屋上もほとんど専ら右居住者による利用が予定され、かつ現にほぼその家族の生活上の利便に供されているものと推知されるところで、これらからすると、右ビル階段通路および同屋上は、右住居部分に必要的に従属し、かつその居住者らによるその日常の生活での共同した事実上の監視、管理も当然予定されるところで、居住者の平成穏を配意する必要も強く認められ、結局これらからして、本件Dビルのうち前記現に住居として利用されている各居室のほか、これに附属する右階段通路および同屋上も、右と一体をなして刑法130条所定の『人の住居』にあたるものと解するのが相当であると考えられる。」
判旨:「原判決はその公訴事実の記載に応じ、右ビルをほぼ全体として『人の看守する建造物』として観念しているようにみられる。しかしこの点の判断は正当でない。つまり、本件のごときビルは、たしかに建物としてはその構造および利用上相互に密接な関連を有し1個の建造物としての性格を有するが、その中味は、各種の独立した部分と、それに関連する共用部分とからなり、これを刑法130条の客体としてみる場合必ずしも全体を1個の種別のものに分別して考えなければならない必然性はない。むしろ別異に解することに、たとえば『故なく』の判断などで十分実益のあるところである。このことからまず、本件Dビルのうち事務所・店舗・住居等でその構造および利用上異なる性格を有する各独立した専用部分は、特にその一方が他方に全く従属したとみられるような関係にある場合のほか、それぞれの性格に従い、『人の看守する建造物』『人の住居』などとして各別に判断すれば足るものと解される。そして次に問題の右共用部分とみられる同ビル階段通路および屋上等についてであるが、これらはまず、その構造および利用上これが右独立した部分のいずれに従属する性格のものであるかどうかのの判断を前提に、さらに、元来『人の住居』と『人の看守する建造物』との区分につき、人の住居とは、それに従属するものも含め現にこれが人の日常生活の場として利用されていることから、さらに『人の看守』といったことを必要とするまでもなく当然その管理、また平成穏の確保といったことが予定され、保護客体としての性格を具有するに至るとみられることによるものであるという観点から判別するのが相当であると考えられるところ、このような観点からすると、本件Dビルは1階と2階の一部を除くその余の同ビル大方は住居であり、現に多くの居住者があって、各居室および屋上に至る同ビル唯一の階段通路は、前記事務所関係者のほかはほぼ大方右居住者およびその関係者によって利用されているものと推知され、また右ビル屋上もほとんど専ら右居住者による利用が予定され、かつ現にほぼその家族の生活上の利便に供されているものと推知されるところで、これらからすると、右ビル階段通路および同屋上は、右住居部分に必要的に従属し、かつその居住者らによるその日常の生活での共同した事実上の監視、管理も当然予定されるところで、居住者の平成穏を配意する必要も強く認められ、結局これらからして、本件Dビルのうち前記現に住居として利用されている各居室のほか、これに附属する右階段通路および同屋上も、右と一体をなして刑法130条所定の『人の住居』にあたるものと解するのが相当であると考えられる。」
過去問・解説
(H26 司法 第12問 5)
1棟の建物の低層階に商業施設、高層階に住居がそれぞれ存在する場合、当該建物全体が刑法第130条の規定する「住居」に当たる。
(正答)✕
(解説)
裁判例(広島高判昭51.4.1)は、「本件のごときビルは、たしかに建物としてはその構造および利用上相互に密接な関連を有し1個の建造物としての性格を有するが、その中味は、各種の独立した部分と、それに関連する共用部分とからなり、これを刑法130条の客体としてみる場合必ずしも全体を1個の種別のものに分別して考えなければならない必然性はない。」としている。
したがって、各専有部分を住居か建造物かで分類して判断することもありうるから、1棟の建物の低層階に商業施設、高層階に住居がそれぞれ存在する場合、それぞれの専有部分が刑法第130条の規定する「住居」に当たり、当該建物全体は、「建造物」に当たる。