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刑法 逃げ出した鯉 最三小決昭和56年2月20日 - 解答モード
概要
広大な水面に逃げ出した鯉は、飼養主においてこれを回収することは事実上極めて困難な場合が多いと考えられるが、そのことのゆえに右鯉が直ちに遺失物横領罪の客体となり得ないと解すべきものではなく、右鯉を他人が飼養していたものであることを知りながらほしいままに領得した場合、遺失物横領罪が成立する。
判例
事案:他人が飼養していたものであることを知りながら、養殖業者の網生けすから広大な湖沼に逃げ出した鯉を領得したという事案において、窃盗罪と横領罪のいずれが成立するかが問題となった。
判旨:「被告人甲は、秋田県a湖のb承水路において雑建網漁業に従事するものであるところ、同承水路に設置されていた鯉の養殖業者の網生けすから逃げ出し付近に設置されていた被告人甲の雑建網の中にその日のうちに入り込んだ錦鯉及び緋鯉約60キログラム(1尾の重さ約1キログラム程度)を、付近の養殖業者の網生けすから逃失した鯉であることを知りながら捕獲して被告人乙に売り渡した、というのである。ところで、a湖のような広大な水面に逃げ出した鯉は、飼養主においてこれを回収することは事実上極めて困難な場合が多いと考えられるが、そのことのゆえに右鯉が直ちに遺失物横領罪の客体となり得ないと解すべきものではなく、被告人甲において右鯉を他人が飼養していたものであることを知りながらほしいままに領得した以上、同被告人について遺失物横領罪が成立するのは当然であり、これと同旨の原判断は相当である。」
判旨:「被告人甲は、秋田県a湖のb承水路において雑建網漁業に従事するものであるところ、同承水路に設置されていた鯉の養殖業者の網生けすから逃げ出し付近に設置されていた被告人甲の雑建網の中にその日のうちに入り込んだ錦鯉及び緋鯉約60キログラム(1尾の重さ約1キログラム程度)を、付近の養殖業者の網生けすから逃失した鯉であることを知りながら捕獲して被告人乙に売り渡した、というのである。ところで、a湖のような広大な水面に逃げ出した鯉は、飼養主においてこれを回収することは事実上極めて困難な場合が多いと考えられるが、そのことのゆえに右鯉が直ちに遺失物横領罪の客体となり得ないと解すべきものではなく、被告人甲において右鯉を他人が飼養していたものであることを知りながらほしいままに領得した以上、同被告人について遺失物横領罪が成立するのは当然であり、これと同旨の原判断は相当である。」
過去問・解説
(H25 司法 第4問 ウ)
甲は、自然湖であるA湖内で、同湖の一部を区切って錦鯉を養殖している乙のいけすから逃げ出した錦鯉20匹を発見し、乙が養殖していた錦鯉であると認識しながら、これを自分のものにするため捕獲し、第三者に売却した。甲に窃盗罪が成立する。
(H30 共通 第8問 ア)
甲が、自然湖の一部に設けられた乙のいけすから逃げ出した乙所有の錦鯉30匹を、同湖内の同いけすから離れた場所で発見し、乙が所有する錦鯉であると認識しながら、これらを自己のものにしようと考えて捕獲した場合、窃盗罪が成立する。