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刑法 窃盗罪の成否(郵便物) 大判明治45年4月26日 - 解答モード
概要
郵便集配人は配達中に係る郵便物自体については事実上の支配があるものと認められるが、郵便物の中身は依然他人の占有に存するとして、その中身を奪取する行為は横領罪ではなく窃盗罪が成立する。
判例
事案:郵便集配人が、その配達中に係る郵便物の中身を窃取した事案において、横領罪又は窃盗罪のいずれが成立するかが問題となった。
判旨:「郵便集配人ハ其配達中ニ係ル郵便物自体ニ付テハ事実上ノ支配アルヘキモ封入ノ物件ハ依然他人ノ占有内ニ存スルモノナルヲ以テ其物件ヲ奪取シタル所為ハ横領罪ニ非スシテ窃盗罪ヲ構成スヘキモノトス」
判旨:「郵便集配人ハ其配達中ニ係ル郵便物自体ニ付テハ事実上ノ支配アルヘキモ封入ノ物件ハ依然他人ノ占有内ニ存スルモノナルヲ以テ其物件ヲ奪取シタル所為ハ横領罪ニ非スシテ窃盗罪ヲ構成スヘキモノトス」
過去問・解説
(H25 司法 第4問 エ)
甲は、乙から鍵の掛かった乙の手提げ金庫を預かって保管していたが、同金庫の在中物を自分のものにしようと考え、同金庫を破壊し、中に入っていた乙の宝石を取り出し、第三者に売却した。甲に窃盗罪が成立する。
(H30 共通 第8問 ウ)
甲が、乙から封かんされた現金20万円入りの封筒を渡されてそれを丙に届けるように依頼されたが、丙方に向かう途中で封筒内の現金が欲しくなり、封を開いて封筒に入っていた現金のうち5万円を取り出してこれを自己のものとし、残りの現金が入った封筒を丙に交付した場合、取り出した5万円について窃盗罪が成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(大判明45.4.26)は、郵便集配人が、その配達中に係る郵便物の中身を奪取した事案において、「郵便集配人ハ其配達中ニ係ル郵便物自体ニ付テハ事実上ノ支配アルヘキモ封入ノ物件ハ依然他人ノ占有内ニ存スルモノナルヲ以テ其物件ヲ奪取シタル所為ハ横領罪ニ非スシテ窃盗罪ヲ構成スヘキモノトス」として、郵便物の中身の奪取は横領罪ではなく窃盗罪を構成することを示している。
そうすると、封かんされた現金20万円入りの封筒全体の占有は委託された甲にあるが、内容物の現金は委託者乙に占有があり、甲が封かんされた封筒内から現金5万円を抜き出して自己のものとし、残りの現金が入った封筒を丙に交付する行為は窃盗罪の実行行為に当たる。
したがって、甲に窃盗罪が成立する。