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刑法 窃盗罪の成否(不正領得の意思) 最二小判昭和26年7月13日 - 解答モード
概要
窃盗罪の成立に必要な不正領得の意思とは、権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思をいうのであって、永久的にその物の経済的利益を保持する意思であることを必要としない。
判例
事案:強盗犯が犯行後追跡されて陸地から船で逃走しようと企て、海岸に繋留してあった他人所有の肥料船に乗り込み、該船が対岸に着けば当然その場にこれを乗り捨てる意思をもって岸から約半丁位の海上まで漕ぎ出したという事案において、不法領得の意思が認められるかが問題となった。
判旨:「原判決が本件窃盗の事実として確定したところは、本件強盗傷人の犯行後被告人等は追跡せられ一旦陸に上って逃走したが、更に陸地から船で逃走しようと企て、判示場所に繋留してあった判示V所有の肥料船一艘に乗り込み岸から約半丁位の海上まで漕ぎ出したというのであるから、右事実自体によって、たとえ短時間であっても、被告人等が右肥料船に対するVの所持を侵し該船を自己の所持に移したものであることは明白であるばかりでなく、更に挙示の証拠によれば被告人等は右肥料船が対岸に着けば当然その場にこれを乗り捨てる意思であったことが認められるのである。そもそも、刑法上窃盗罪の成立に必要な不正領得の意思とは、権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思をいうのであって、永久的にその物の経済的利益を保持する意思であることを必要としないのであるから、被告人等が対岸に該船を乗り捨てる意思で前記肥料船に対するVの所持を奪った以上、一時的にも該船の権利者を排除し終局的に自ら該船に対する完全な支配を取得して所有者と同様の実を挙げる意思即ち右にいわゆる不正領得の意思がなかったという訳にはゆかない。これを要するに、原判決の摘示事実及びこれが証拠によって、被告人に本件窃盗罪の成立に必要な不正領得の意思のあったことが認め得るから、原判決には所論のような理由不備等の違法はなく、論旨は採用し得ない。」
判旨:「原判決が本件窃盗の事実として確定したところは、本件強盗傷人の犯行後被告人等は追跡せられ一旦陸に上って逃走したが、更に陸地から船で逃走しようと企て、判示場所に繋留してあった判示V所有の肥料船一艘に乗り込み岸から約半丁位の海上まで漕ぎ出したというのであるから、右事実自体によって、たとえ短時間であっても、被告人等が右肥料船に対するVの所持を侵し該船を自己の所持に移したものであることは明白であるばかりでなく、更に挙示の証拠によれば被告人等は右肥料船が対岸に着けば当然その場にこれを乗り捨てる意思であったことが認められるのである。そもそも、刑法上窃盗罪の成立に必要な不正領得の意思とは、権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思をいうのであって、永久的にその物の経済的利益を保持する意思であることを必要としないのであるから、被告人等が対岸に該船を乗り捨てる意思で前記肥料船に対するVの所持を奪った以上、一時的にも該船の権利者を排除し終局的に自ら該船に対する完全な支配を取得して所有者と同様の実を挙げる意思即ち右にいわゆる不正領得の意思がなかったという訳にはゆかない。これを要するに、原判決の摘示事実及びこれが証拠によって、被告人に本件窃盗罪の成立に必要な不正領得の意思のあったことが認め得るから、原判決には所論のような理由不備等の違法はなく、論旨は採用し得ない。」
過去問・解説
(H19 司法 第17問 エ)
銀行強盗の犯人が、犯行後逃走しようとし、銀行前の駐車場に止めてあった他人所有の自動車に乗り込み、適当な場所まで逃走した後は乗り捨てるか、あるいは崖下等に転落させる意思で、同自動車を運転してその場から走り去った行為に窃盗罪が成立する。