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刑法 不動産の二重売買における横領罪の成否 最三小判昭和30年12月26日 - 解答モード
概要
判例
判旨:「不動産の所有権が売買によって買主に移転した場合、登記簿上の所有名義がなお売主にあるときは、売主はその不動産を占有するものと解すべく、従っていわゆる二重売買においては横領罪の成立が認められるとする趣旨は、大審院当時くりかえし判例として示されたところであり、この見解は今なお支持せられるべきものである…本件について原判決の是認する第一審の確定した事実は、被告人は判示のように本件山林をAに売却したのであるが、なお登記簿上被告人名義であるのを奇貨とし、右山林をさらにBに売却したというのであるから、原審が横領罪の成立を認めたのは相当であってなんら誤はない。」
過去問・解説
(H18 司法 第5問 ア)
甲は、自己の所有する不動産を乙に売却して代金を受領した後、所有権移転登記をしない間に、乙に無断で、借金をしている丙のため、その不動産に抵当権を設定して登記を完了した。甲に横領罪が成立する。
(H20 司法 第18問 イ)
甲が、自己が所有し、登記簿上も自己が所有権者となっている土地を乙に売却し、その売買代金の受領を終え、当該土地の所有権が乙に移転した後、乙がその移転登記を完了する前に、甲が、事情を知った丙に当該土地を売却し、丙がその移転登記を完了した場合には、丙が当該土地の所有権の取得を乙に対抗できるか否かにかかわらず、甲には横領罪が成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭30.12.26)は、不動産の二重売買の事案において、「不動産の所有権が売買によって買主に移転した場合、登記簿上の所有名義がなお売主にあるときは、売主はその不動産を占有するものと解すべく、従っていわゆる二重売買においては横領罪の成立が認められる…。」としている。
そして、第二譲受人が当該土地の所有権の取得を第一譲受人に対抗できるか否かは横領罪の成立を左右しない。
甲は、乙が所有権移転登記を完了する前に、事情を知った丙に当該土地を売却し所有権移転登記を完了しているから、丙が当該土地の所有権の取得を乙に対抗できるか否かにかかわらず、甲には横領罪が成立する。
(H21 司法 第21問 ア)
甲は、自己が所有し、その旨登記されている家屋を乙に売却して引き渡し、その売買代金を受領した後、乙への所有権移転登記が完了する前に、当該家屋に丙を権利者とする抵当権を設定し、その旨の登記をした。甲は、乙に当該家屋を売却して引き渡している以上、当該家屋は「自己の占有する」物とはいえないので、甲には乙を被害者とする横領罪は成立しない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭30.12.26)は、不動産の二重売買の事案において、「不動産の所有権が売買によって買主に移転した場合、登記簿上の所有名義がなお売主にあるときは、売主はその不動産を占有するものと解すべく、従っていわゆる二重売買においては横領罪の成立が認められる…。」としている。
そして、抵当権の設定行為についても、抵当権の実行によって換価処分がなされるおそれがあるから、横領行為であるといえる。
したがって、甲が乙から売買代金を受領した後、乙への所有権移転登記が完了する前に、当該家屋に丙を権利者とする抵当権を設定しその旨の登記を具備した行為について、甲には乙を被害者とする横領罪が成立する。
(H28 司法 第2問 ア)
甲は、自己が所有する不動産を乙に売却したが、乙への所有権移転登記が完了する前に、同不動産を丙に売却し、丙への所有権移転登記を完了した。甲に横領罪が成立する。