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刑法 不作為の放火罪の成否 最三小判昭和33年9月9日 - 解答モード
概要
判例
判旨:「被告人は自己の過失により右原符、木机等の物件が焼燬されつつあるのを現場において目撃しながら、その既発の火力により右建物が焼燬せられるべきことを認容する意思をもってあえて被告人の義務である必要かつ容易な消火措置をとらない不作為により建物についての放火行為をなし、よってこれを焼燬したものであるということができる。されば結局これと同趣旨により右所為を刑法108条の放火罪に当たるとした原判示は相当であり、引用の大審院判例の趣旨も本判決の趣旨と相容れないものではなく、原判決には右判例に違反するところはない。」
過去問・解説
(H27 司法 第1問 オ)
不作為による放火罪が成立するためには、既発の火力を利用する意思は必ずしも必要ではない。
(R3 司法 第9問 ア)
甲は、勤務先の事務室で、1人で残業をしていたところ、使用中の電気ストーブから周囲の可燃物に誤って引火させた。甲は、その時点での消火作業は容易であったにもかかわらず、同室を含む勤務先建物が焼損することを認容して、消火作業をすることなく、同室から立ち去り、その結果、同建物が全焼した。その行為当時、同建物の他の部屋では甲の同僚が仮眠中であり、甲もそのことを認識していた。この場合、甲に既発の火力を利用する意思がなければ、現住建造物等放火罪は成立しない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭33.9.9)は、「被告人は自己の過失により右原符、木机等の物件が焼燬されつつあるのを現場において目撃しながら、その既発の火力により右建物が焼燬せられるべきことを認容する意思をもってあえて被告人の義務である必要かつ容易な消火措置をとらない不作為により建物についての放火行為をなし、よってこれを焼燬したものであるということができる。」として、既発の火力によって建物が焼損することを認容していることをもって不作為による放火罪の成立を肯定している。
甲は、自らの過失により、可燃物に引火させ、甲は、その時点での消火作業は容易であったにもかかわらず、同室を含む勤務先建物が焼損することを認容して、消火作業をすることなく立ち去り、その結果、同建物が全焼している。
また、甲は、その行為当時、同建物の他の部屋では甲の同僚が仮眠中であることを認識していた。
したがって、甲に現住建造物等放火罪が成立する。