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刑法 写真の貼り代え等による公文書偽造罪の成否 最三小決昭和35年1月12日 - 解答モード

概要
特定人に交付された自動車運転免許証に貼付してある写真をほしいままに剥ぎとり、その特定人と異なる他人の写真を貼り代え、生年月日欄の数字を改ざんし全く別個の新たな免許証としたときは、公文書偽造罪が成立する。
判例
事案:自動車運転免許証に貼付してある写真を貼り代え、生年月日欄の数字を改ざんした事案において、公文書偽造罪の成否が問題となった。

判旨:「運転免許証の写真を貼り代え、その生年月日欄を改めただけであって、その作成名義を変更したものではないから、公文書変造罪を構成することはあっても公文書偽造罪を構成するものではないと主張するが、特定人に交付された自動車運転免許証に貼付しある写真及びその人の生年月日の記載は、当該免許証の内容にして重要事項に属するのであるから、右写真をほしいままに剥ぎとり、その特定人と異なる他人の写真を貼り代え、生年月日欄の数字を改ざんし、全く別個の新たな免許証としたるときは、公文書偽造罪が成立すると解すべきである。」
過去問・解説

(H23 司法 第19問 ア)
【事例】
 甲は、求人広告を見て乙と会い、乙から、銀行で架空人名義の預金口座を開設し、その預金通帳とキャッシュカードを手に入れて乙に渡すというアルバイトを依頼され、これを引き受けた。その際、甲は、乙から、預金口座を開設する際に身分証明書として呈示するため、甲の顔写真が印刷された架空人A名義の運転免許証を作成する必要があると聞かされたので、甲の顔写真を乙に交付するとともに、甲の知人Bの住所をキャッシュカードの送付先として乙に教えた。乙は、不正に入手したC名義の真正な運転免許証の顔写真の上から甲の顔写真を貼り付け、氏名をA名義に、住所をBの住所にそれぞれ書き換えるなどの加工を施し、甲の顔写真が貼付されたA名義の運転免許証を作成した。同免許証は、一見すると真正なものと見分けがつかないような精巧なものであった。数日後、甲は、乙から、前記運転免許証とAの姓を刻した印鑑を受け取った。その後、甲は、銀行に行き、口座開設申込書にAの氏名及びBの住所等を書いてAの印鑑を押した上、同銀行窓口係丙に対し、Aを装い、同申込書を前記運転免許証と一緒に提出して口座開設を申し込んだ。丙は、甲がAであることを疑うこともなく、かつ、前記運転免許証及び前記口座開設申込書の記載内容が虚偽であると知っていれば口座開設をしなかったのに、これらの内容が真実であるものと誤信し、A名義の口座を開設する手続を行い、即日窓口で預金通帳を甲に交付し、キャッシュカードについては、Bの住所地宛てに郵送した。甲は、数日後に郵送されたキャッシュカードをBから受け取った後、しばらくの間、自宅に通帳とキャッシュカードを保管し、その後、報酬と引換えに、預金通帳とキャッシュカードを乙に交付した。
【罪名】
有印公文書変造・同行使罪

(正答)

(解説)
判例(最決昭35.1.12)は、「特定人に交付された自動車運転免許証に貼付しある写真及びその人の生年月日の記載は、当該免許証の内容にして重要事項に属するのであるから、右写真をほしいままに剥ぎとり、その特定人と異なる他人の写真を貼り代え、生年月日欄の数字を改ざんし、全く別個の新たな免許証としたるときは、公文書偽造罪が成立する…。」として、文書の本質的部分へ変更を加えている場合、新たな証明力ある文書を作成したとして、変造ではなく偽造に当たるとしている。
乙は、甲と共謀した上で、C名義の真正な運転免許証の顔写真の上から甲の顔写真を貼り付け、氏名をA名義に、住所をBの住所にそれぞれ書き換えているから、重要事項に属する本質的部分へ変更を加えたといえ、偽造に当たる。
したがって、甲に有印公文書偽造罪の共同正犯が成立する。


(H28 共通 第4問 エ)
Xは、身分証明書として使おうと考え、A県公安委員会が発行したYの自動車運転免許証の写真をXの写真に貼り替えた。有印公文書偽造罪が成立するか。

(正答)

(解説)
判例(最決昭35.1.12)は、「特定人に交付された自動車運転免許証に貼付しある写真及びその人の生年月日の記載は、当該免許証の内容にして重要事項に属するのであるから、右写真をほしいままに剥ぎとり、その特定人と異なる他人の写真を貼り代え、生年月日欄の数字を改ざんし、全く別個の新たな免許証としたるときは、公文書偽造罪が成立する…。」として、文書の本質的部分へ変更を加えている場合、新たな証明力ある文書を作成したとして、変造ではなく偽造に当たるとしている。
A県公安委員会が発行したYの自動車運転免許証の写真をXの写真に張り替えているから、重要事項に属する本質的部分へ変更を加えたといえ、偽造に当たる。そして、作成名義人たるA県公安委員会の印章を不正に利用しているとして有印である。
したがって、Xに有印公文書偽造罪が成立する。

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