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刑法 黙秘権と証拠偽造罪 最二小決昭和28年10月19日 - 解答モード

概要
①被告人自体に黙祕権があるからといって、他人に虚偽の陳述をするように教唆したときは、偽証教唆罪が成立する。
②証拠偽造罪の証拠の偽造とは、証拠自体の偽造を指称し、証人の偽証を包含しないと解すべきである。
③証人が刑訴146条の証言拒否権を有したとしても、宣誓の上虚偽の陳述をしたときは偽証罪が成立する。
判例
事案: 偽証教唆の事案において、①被告人自体に黙祕権がある場合、他人に虚偽の陳述をするように教唆したときの偽証教唆罪の成否、②証拠偽造罪の証拠の偽造とは証人の偽証を包含するか、③証人が刑訴第146条の証言拒否権を有したとして、宣誓の上虚偽の陳述をしたときの偽証罪の成否が問題となった。

判旨:「被告人には黙秘権が認められており自己の被告事件について他人を教唆して偽証させた場合は理論上自己の被告事件に関する証憑湮滅行為に外ならないから刑法104条の趣旨により偽証教唆罪に問擬すべきではないというに帰する。しかし被告人自身に黙秘権があるからといって、他人に虚偽の陳述をするよう教唆したときは偽証教唆の責を免れないことは既には当裁判所の判例とするところであり(昭和26年(あ)第262号、同27年2月14日第一小法廷決定参照)、今これを変更する必要を認めない。また刑法104条の証憑の偽造というのは証拠自体の偽造を指称し証人の偽証を包含しないと解すべきであるから、自己の被告事件について他人を教唆して偽証させた場合に右規定の趣旨から当然に偽証教唆の責を免れるものと解することはできない。
 …第1審判決挙示の証拠により証人Aは宣誓の上虚偽の陳述をしたものであることが明らかであり真実の事実が如何なるものであるかはこれを判示する必要はない。また何人も自己が刑事訴追を受け又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができることは刑訴146条の規定するところであるが証人がこの証言拒絶権を抛棄し他の刑事事件につき証言するときは必ず宣誓させた上で、これを尋問しなければならないのである。それゆえかかる証人が虚偽の陳述をすれば刑法169条の偽証罪が成立するのである。されば本件につき証人Aが所論の如く証言拒絶権があるとしても同証人は拒絶権を抛棄し宣誓の上虚偽の証言をしたものであるから偽証罪の成立したものというべく被告人が右証人を教唆して偽証させたときは偽証教唆の責を免れないものと解すべきである。」
過去問・解説

(H19 司法 第7問 エ)
甲は、自己が被告人となっている公職選挙法違反事件の証人となったEに対し宣誓の上で虚偽の陳述をするように依頼し、依頼どおりに虚偽の陳述をさせた。この場合、偽証教唆罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決昭28.10.19)は、「被告人自身に黙秘権があるからといって、他人に虚偽の陳述をするよう教唆したときは偽証教唆の責を免れない…。」としている。
甲は、自己が被告人となっている証人となったEに対し、宣誓の上で虚偽の陳述をするように依頼し、依頼どおりに虚偽の陳述をさせているから、甲に偽証罪の教唆犯が成立する。

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