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刑法 麻薬所持罪の故意 最一小判昭和61年6月9日 - 解答モード
概要
覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパン塩酸塩粉末を麻薬であるコカインと誤認して所持した場合には、麻薬取締法66条1項、28条1項の麻薬所持罪が成立する。麻薬取締法66条1項、28条1項の麻薬所持罪を犯す意思で、覚せい剤取締法41条の2第1項1号、14条1項の覚せい剤所持罪に当たる事実を実現したことになり、両罪は、その目的物が麻薬か覚せい剤かの差異があり、後者につき前者に比し重い刑が定められているだけで、その余の犯罪構成要件要素は同一であるところ、麻薬と覚せい剤との類似性にかんがみると、この場合、両罪の構成要件は、軽い前者の罪の限度において、実質的に重なり合っているといえるためである。
判例
事案:覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパン塩酸塩粉末を麻薬であるコカインと誤認して所持していた事案において、いかなる罪が成立するかが問題となった。
判旨:「被告人は、覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパン塩酸塩を含有する粉末を麻薬であるコカインと誤認して所持したというのであるから、麻薬取締法66条1項、28条1項の麻薬所持罪を犯す意思で、覚せい剤取締法41条の2第1項1号、14条1項の覚せい剤所持罪に当たる事実を実現したことになるが、両罪は、その目的物が麻薬か覚せい剤かの差異があり、後者につき前者に比し重い刑が定められているだけで、その余の犯罪構成要件要素は同一であるところ、麻薬と覚せい剤との類似性にかんがみると、この場合、両罪の構成要件は、軽い前者の罪の限度において、実質的に重なり合っているものと解するのが相当である。被告人には、所持にかかる薬物が覚せい剤であるという重い罪となるべき事実の認識がないから、覚せい剤所持罪の故意を欠くものとして同罪の成立は認められないが、両罪の構成要件が実質的に重なり合う限度で軽い麻薬所持罪の故意が成立し同罪が成立するものと解すべきである。」
判旨:「被告人は、覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパン塩酸塩を含有する粉末を麻薬であるコカインと誤認して所持したというのであるから、麻薬取締法66条1項、28条1項の麻薬所持罪を犯す意思で、覚せい剤取締法41条の2第1項1号、14条1項の覚せい剤所持罪に当たる事実を実現したことになるが、両罪は、その目的物が麻薬か覚せい剤かの差異があり、後者につき前者に比し重い刑が定められているだけで、その余の犯罪構成要件要素は同一であるところ、麻薬と覚せい剤との類似性にかんがみると、この場合、両罪の構成要件は、軽い前者の罪の限度において、実質的に重なり合っているものと解するのが相当である。被告人には、所持にかかる薬物が覚せい剤であるという重い罪となるべき事実の認識がないから、覚せい剤所持罪の故意を欠くものとして同罪の成立は認められないが、両罪の構成要件が実質的に重なり合う限度で軽い麻薬所持罪の故意が成立し同罪が成立するものと解すべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%
(H20 司法 第7問 ア)
甲は、乙が所有する木造家屋に乙が現在しているものと思って、同家屋に放火し、これを全焼させたが、実際には同家屋はだれも現在していない空き家であった。この場合、甲には現住建造物等放火罪が成立するが、その刑は非現住建造物等放火罪の刑による。
(正答)✕
(解説)
判例(最決昭61.6.9)は、「犯罪構成要件要素は同一で、軽い前者の罪の限度において、実質的に重なり合っている…。被告人には、所持にかかる薬物が覚せい剤であるという重い罪となるべき事実の認識がないから、覚せい剤所持罪の故意を欠くものとして同罪の成立は認められないが、両罪の構成要件が実質的に重なり合う限度で軽い罪の故意が成立し同罪が成立する…。」としている。
甲は、現住建造物等放火罪の故意で放火行為を行っているものの、客観的に乙が所有する木造家屋は誰も現在していない空き家であった。
したがって、両者が実質的に重なり合う非現住建造物等放火罪の限度で故意を認めることができ、甲に他人所有非現住建造物等放火罪が成立する。