現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください
刑法 現在の危難 最一小判昭和35年2月4日
概要
吊橋の腐朽が著しく、いつ落下するかも知れないような危険な状態にあったとしても、ダイナマイトを使用してこれを爆破する行為については、緊急避難を認める余地なく、従ってまた過剰避難も成立しない。
判例
事案:老朽化しいつ落下してもおかしくなかった橋を爆破したという事案において、緊急避難の成否が問題となった。
判旨:「右吊橋は200貫ないし300貫の荷馬車が通る場合には極めて危険であったが、人の通行には差支えなく、しかも右の荷馬車も、村当局の重量制限を犯して時に通行する者があった程度であったことが窺えるのであって、果してしからば、本件吊橋の動揺による危険は、少なくとも本件犯行当時たる昭和28年2月21日頃の冬期においては原審の認定する程に切迫したものではなかったのではないかと考えられる。更に、また原審は、被告人等の本件所為は右危険を防止するためやむことを得ざるに出でた行為であって、ただその程度を超えたものであると判断するのであるが、仮に本件吊橋が原審認定のように切迫した危険な状態にあったとしても、その危険を防止するためには、通行制限の強化その他適当な手段、方法を講ずる余地のないことはなく、本件におけるようにダイナマイトを使用してこれを爆破しなければ右危険を防止しえないものであったとは到底認められない。しからば被告人等の本件所為については、緊急避難を認める余地なく、従ってまた過剰避難も成立しえないものといわなければならない。」
判旨:「右吊橋は200貫ないし300貫の荷馬車が通る場合には極めて危険であったが、人の通行には差支えなく、しかも右の荷馬車も、村当局の重量制限を犯して時に通行する者があった程度であったことが窺えるのであって、果してしからば、本件吊橋の動揺による危険は、少なくとも本件犯行当時たる昭和28年2月21日頃の冬期においては原審の認定する程に切迫したものではなかったのではないかと考えられる。更に、また原審は、被告人等の本件所為は右危険を防止するためやむことを得ざるに出でた行為であって、ただその程度を超えたものであると判断するのであるが、仮に本件吊橋が原審認定のように切迫した危険な状態にあったとしても、その危険を防止するためには、通行制限の強化その他適当な手段、方法を講ずる余地のないことはなく、本件におけるようにダイナマイトを使用してこれを爆破しなければ右危険を防止しえないものであったとは到底認められない。しからば被告人等の本件所為については、緊急避難を認める余地なく、従ってまた過剰避難も成立しえないものといわなければならない。」
過去問・解説
(R3 共通 第19問 エ)
吊橋が腐朽し、通行の際の揺れにより通行者の生命、身体等に危険が生じていたため、ダイナマイトを使用して同吊橋を爆破したが、通行制限の強化等適当な手段、方法を講ずる余地があった場合、同爆破行為は、「やむを得ずにした行為」とは認められないので、緊急避難は成立しない。
吊橋が腐朽し、通行の際の揺れにより通行者の生命、身体等に危険が生じていたため、ダイナマイトを使用して同吊橋を爆破したが、通行制限の強化等適当な手段、方法を講ずる余地があった場合、同爆破行為は、「やむを得ずにした行為」とは認められないので、緊急避難は成立しない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭35.2.4)は、本肢と同種の事案において、「本件吊橋が原審認定のように切迫した危険な状態にあったとしても、その危険を防止するためには、通行制限の強化その他適当な手段、方法を講ずる余地のないことはなく、本件におけるようにダイナマイトを使用してこれを爆破しなければ右危険を防止しえないものであったとは到底認められない。」としている。
したがって、同爆破行為は、「やむを得ずにした行為」とは認められないので、緊急避難は成立しない。
判例(最判昭35.2.4)は、本肢と同種の事案において、「本件吊橋が原審認定のように切迫した危険な状態にあったとしても、その危険を防止するためには、通行制限の強化その他適当な手段、方法を講ずる余地のないことはなく、本件におけるようにダイナマイトを使用してこれを爆破しなければ右危険を防止しえないものであったとは到底認められない。」としている。
したがって、同爆破行為は、「やむを得ずにした行為」とは認められないので、緊急避難は成立しない。
(R3 共通 第19問 オ)
甲が飼い犬A(時価30万円相当)を連れて山道を散歩中、乙が設置していた害獣駆除用の罠(時価3万円相当)にAがかかり、その生命に危険が生じ、Aを保護するためには他に方法がなかったので、その罠を損壊した場合、緊急避難が成立する(甲及び乙いずれにも過失がなかったものとする。)。
甲が飼い犬A(時価30万円相当)を連れて山道を散歩中、乙が設置していた害獣駆除用の罠(時価3万円相当)にAがかかり、その生命に危険が生じ、Aを保護するためには他に方法がなかったので、その罠を損壊した場合、緊急避難が成立する(甲及び乙いずれにも過失がなかったものとする。)。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭35.2.4)は、本肢と同種の事案において、「本件吊橋が原審認定のように切迫した危険な状態にあったとしても、その危険を防止するためには、通行制限の強化その他適当な手段、方法を講ずる余地のないことはなく、本件におけるようにダイナマイトを使用してこれを爆破しなければ右危険を防止しえないものであったとは到底認められない。」として、「やむを得ずにした行為」という要件について、補充性、すなわち現在の危難を避けるための唯一の手段であることが必要であることを示している。
Aを保護するためには他に方法がなかったことから、甲の行為は、Aの生命に対する現在の危難を避けるための唯一の手段であるといえ、補充性要件を満たす。
また、Aの時価は罠を上回っているから、法益の均衡も保たれており、「やむを得ずにした行為」であるといえる。
したがって、甲に緊急避難が成立する。
判例(最判昭35.2.4)は、本肢と同種の事案において、「本件吊橋が原審認定のように切迫した危険な状態にあったとしても、その危険を防止するためには、通行制限の強化その他適当な手段、方法を講ずる余地のないことはなく、本件におけるようにダイナマイトを使用してこれを爆破しなければ右危険を防止しえないものであったとは到底認められない。」として、「やむを得ずにした行為」という要件について、補充性、すなわち現在の危難を避けるための唯一の手段であることが必要であることを示している。
Aを保護するためには他に方法がなかったことから、甲の行為は、Aの生命に対する現在の危難を避けるための唯一の手段であるといえ、補充性要件を満たす。
また、Aの時価は罠を上回っているから、法益の均衡も保たれており、「やむを得ずにした行為」であるといえる。
したがって、甲に緊急避難が成立する。