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刑法 着手前の共犯関係からの離脱 最三小決平成21年6月30日
概要
共犯者数名と住居に侵入して強盗に及ぶことを共謀した被告人が、共犯者の一部が住居に侵入した後強盗に着手する前に、見張り役の共犯者において住居内に侵入していた共犯者に電話で「犯行をやめた方がよい、先に帰る」などと一方的に伝えただけで、被告人において格別それ以後の犯行を防止する措置を講ずることなく、待機していた現場から上記見張り役らと共に離脱したなどの本件事実関係の下では、当初の共謀関係が解消したとはいえない。
判例
事案:住居侵入、強盗の共謀を遂げた共犯者のうち、一部が被害者方の窓から侵入し、他の共犯者らのための侵入口を確保した後に、見張り役の共犯者は、屋内にいる共犯者が強盗に着手する前の段階において、既に、住居内に侵入していた共犯者に対し電話で「先に帰る」などと一方的に伝えただけで、各別それ以降の犯行を防止する措置を講ずることなく待機していた場所から離脱したという事案において、共犯者が住居に侵入した後、強盗に着手する前に現場から離脱した場合における共謀関係の解消の可否が問題となった。
判旨:「被告人は、共犯者数名と住居に侵入して強盗に及ぶことを共謀したところ、共犯者の一部が家人の在宅する住居に侵入した後、見張り役の共犯者が既に住居内に侵入していた共犯者に電話で『犯行をやめた方がよい、先に帰る』などと一方的に伝えただけで、被告人において各別それ以降の犯行を防止する措置を講ずることなく待機していた場所から見張り役らと共に離脱したにすぎず、残された共犯者らがそのまま強盗に及んだものと認められる。そうすると、被告人が離脱したのは強盗行為に着手する前であり、たとえ被告人も見張り役の上記電話内容を認識したうえで離脱し、残された共犯者らが被告人の離脱をその後知るに至ったという事情があったとしても、当初の共謀関係が解消したということはできず、その後の共犯者らの強盗も当初の共謀に基いて行われたものと認めるのが相当である。」
判旨:「被告人は、共犯者数名と住居に侵入して強盗に及ぶことを共謀したところ、共犯者の一部が家人の在宅する住居に侵入した後、見張り役の共犯者が既に住居内に侵入していた共犯者に電話で『犯行をやめた方がよい、先に帰る』などと一方的に伝えただけで、被告人において各別それ以降の犯行を防止する措置を講ずることなく待機していた場所から見張り役らと共に離脱したにすぎず、残された共犯者らがそのまま強盗に及んだものと認められる。そうすると、被告人が離脱したのは強盗行為に着手する前であり、たとえ被告人も見張り役の上記電話内容を認識したうえで離脱し、残された共犯者らが被告人の離脱をその後知るに至ったという事情があったとしても、当初の共謀関係が解消したということはできず、その後の共犯者らの強盗も当初の共謀に基いて行われたものと認めるのが相当である。」
過去問・解説
(H24 共通 第2問 オ)
甲は、乙から、乙がV方に強盗に入る際に外で見張りをしてほしいと頼まれ、利益を折半する約束でこれを承諾し、乙と共にV方に赴いた。甲がV方の外で見張りをしている間に、乙はV方に侵入した。その後、甲は、不安になり、携帯電話で乙に「やっぱり嫌だ。俺は逃げる。」と告げた上、その場から逃走した。乙は、甲の逃走を認識した後、V方内にいたVを発見し、同人に包丁を突き付けてその反抗を抑圧した上、現金を強取した。甲に強盗罪の共同正犯が成立する。
甲は、乙から、乙がV方に強盗に入る際に外で見張りをしてほしいと頼まれ、利益を折半する約束でこれを承諾し、乙と共にV方に赴いた。甲がV方の外で見張りをしている間に、乙はV方に侵入した。その後、甲は、不安になり、携帯電話で乙に「やっぱり嫌だ。俺は逃げる。」と告げた上、その場から逃走した。乙は、甲の逃走を認識した後、V方内にいたVを発見し、同人に包丁を突き付けてその反抗を抑圧した上、現金を強取した。甲に強盗罪の共同正犯が成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(最決平21.6.30)は、本肢と同種の事案において、「被告人が離脱したのは強盗行為に着手する前であり、たとえ被告人も見張り役の上記電話内容を認識したうえで離脱し、残された共犯者らが被告人の離脱をその後知るに至ったという事情があったとしても、当初の共謀関係が解消したということはできず、その後の共犯者らの強盗も当初の共謀に基いて行われたものと認めるのが相当である。」としている。
甲は、乙がV方に侵入した後に、一方的に携帯電話で乙に「やっぱり嫌だ。俺は逃げる。」と告げた上、その場から逃走したにすぎず、以降の犯行を防止する措置を一切講じていないから、その後の乙の強盗も当初の共謀に基いて行われたものと認めることができる。
したがって、甲に強盗罪の共同正犯が成立する。
判例(最決平21.6.30)は、本肢と同種の事案において、「被告人が離脱したのは強盗行為に着手する前であり、たとえ被告人も見張り役の上記電話内容を認識したうえで離脱し、残された共犯者らが被告人の離脱をその後知るに至ったという事情があったとしても、当初の共謀関係が解消したということはできず、その後の共犯者らの強盗も当初の共謀に基いて行われたものと認めるのが相当である。」としている。
甲は、乙がV方に侵入した後に、一方的に携帯電話で乙に「やっぱり嫌だ。俺は逃げる。」と告げた上、その場から逃走したにすぎず、以降の犯行を防止する措置を一切講じていないから、その後の乙の強盗も当初の共謀に基いて行われたものと認めることができる。
したがって、甲に強盗罪の共同正犯が成立する。
(R4 司法 第7問 3)
甲と乙は、Vに対する強盗を共謀し、乙が先にV方に入り、甲のための侵入口を確保したが、現場付近に人が集まってきたことに気付いた甲は、乙に電話をかけ、「もう犯行をやめた方がよい。先に帰る。」と一方的に告げて、その場から立ち去った。その後、乙は、Vから現金を強取し、その際、Vに傷害を負わせた。この場合、甲には、住居侵入罪及び強盗致傷罪の共同正犯が成立する。
甲と乙は、Vに対する強盗を共謀し、乙が先にV方に入り、甲のための侵入口を確保したが、現場付近に人が集まってきたことに気付いた甲は、乙に電話をかけ、「もう犯行をやめた方がよい。先に帰る。」と一方的に告げて、その場から立ち去った。その後、乙は、Vから現金を強取し、その際、Vに傷害を負わせた。この場合、甲には、住居侵入罪及び強盗致傷罪の共同正犯が成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(最決平21.6.30)は、本肢と同種の事案において、「被告人が離脱したのは強盗行為に着手する前であり、たとえ被告人も見張り役の上記電話内容を認識したうえで離脱し、残された共犯者らが被告人の離脱をその後知るに至ったという事情があったとしても、当初の共謀関係が解消したということはできず、その後の共犯者らの強盗も当初の共謀に基いて行われたものと認めるのが相当である。」としている。
乙が先にV方に侵入した後に、甲は一方的に携帯電話で乙に「もう犯行をやめた方がよい。先に帰る。」と告げた上、その場から立ち去ったにすぎず、以降の犯行を防止する措置を一切講じていないから、その後の乙の強盗も当初の共謀に基づいて行われたものと認めることができる。
したがって、甲に住居侵入罪及び強盗致傷罪の共同正犯が成立する。
判例(最決平21.6.30)は、本肢と同種の事案において、「被告人が離脱したのは強盗行為に着手する前であり、たとえ被告人も見張り役の上記電話内容を認識したうえで離脱し、残された共犯者らが被告人の離脱をその後知るに至ったという事情があったとしても、当初の共謀関係が解消したということはできず、その後の共犯者らの強盗も当初の共謀に基いて行われたものと認めるのが相当である。」としている。
乙が先にV方に侵入した後に、甲は一方的に携帯電話で乙に「もう犯行をやめた方がよい。先に帰る。」と告げた上、その場から立ち去ったにすぎず、以降の犯行を防止する措置を一切講じていないから、その後の乙の強盗も当初の共謀に基づいて行われたものと認めることができる。
したがって、甲に住居侵入罪及び強盗致傷罪の共同正犯が成立する。
(R6 司法 第5問 1)
甲及び乙は、強盗を共謀し、甲がA方の外で見張りをしている間に乙がA方に侵入したが、犯行の発覚を恐れた甲が、乙に対して電話で「人が集まっているから、早く止めた方がいい。俺は先に帰る。」と告げてその場から逃走した。乙は、甲の逃走を認識したが、A方内においてAに暴行を加えて現金を強取した。乙が強盗行為に着手する前に甲の逃走を認識した以上、甲及び乙に強盗罪の共同正犯は成立しない。
甲及び乙は、強盗を共謀し、甲がA方の外で見張りをしている間に乙がA方に侵入したが、犯行の発覚を恐れた甲が、乙に対して電話で「人が集まっているから、早く止めた方がいい。俺は先に帰る。」と告げてその場から逃走した。乙は、甲の逃走を認識したが、A方内においてAに暴行を加えて現金を強取した。乙が強盗行為に着手する前に甲の逃走を認識した以上、甲及び乙に強盗罪の共同正犯は成立しない。
(正答)✕
(解説)
判例(最決平21.6.30)は、本肢と同種の事案において、「被告人が離脱したのは強盗行為に着手する前であり、たとえ被告人も見張り役の上記電話内容を認識したうえで離脱し、残された共犯者らが被告人の離脱をその後知るに至ったという事情があったとしても、当初の共謀関係が解消したということはできず、その後の共犯者らの強盗も当初の共謀に基いて行われたものと認めるのが相当である。」としている。
甲は、乙が先にA方に侵入した後に、一方的に携帯電話で乙に「人が集まっているから、早く止めた方がいい。俺は先に帰る。」と告げた上、その場から逃走したにすぎず、以降の犯行を防止する措置を一切講じていないから、その後の乙の強盗も当初の共謀に基づいて行われたものと認めることができる。
したがって、甲及び乙に、強盗罪の共同正犯が成立する。
判例(最決平21.6.30)は、本肢と同種の事案において、「被告人が離脱したのは強盗行為に着手する前であり、たとえ被告人も見張り役の上記電話内容を認識したうえで離脱し、残された共犯者らが被告人の離脱をその後知るに至ったという事情があったとしても、当初の共謀関係が解消したということはできず、その後の共犯者らの強盗も当初の共謀に基いて行われたものと認めるのが相当である。」としている。
甲は、乙が先にA方に侵入した後に、一方的に携帯電話で乙に「人が集まっているから、早く止めた方がいい。俺は先に帰る。」と告げた上、その場から逃走したにすぎず、以降の犯行を防止する措置を一切講じていないから、その後の乙の強盗も当初の共謀に基づいて行われたものと認めることができる。
したがって、甲及び乙に、強盗罪の共同正犯が成立する。