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刑法 無免許運転の罪と酒酔い運転の罪 最大判昭和49年5月29日
概要
54条1項前段の規定は、1個の行為が同時に数個の犯罪構成要件に該当して数個の犯罪が競合する場合において、これを処断上の一罪として刑を科する趣旨のものであるところ、右規定にいう1個の行為とは、法的評価をはなれ構成要件的観点を捨象した自然的観察のもとで、行為者の動態が社会的見解上1個のものとの評価をうける場合をいうと解すべきである。被告人が同一の日時場所において、無免許で、かつ、酒に酔い正常な運転ができないおそれのある状態で普通乗用自動車を運転した所為につき、右無免許運転の罪と酒酔い運転の罪とは観念的競合の関係にある。
判例
事案:無免許でかつ酒に酔いながら自動車を運転した事案において、無免許運転の罪と酒酔い運転の罪の罪数関係が問題となった。
判旨:「刑法54条1項前段の規定は、1個の行為が同時に数個の犯罪構成要件に該当して数個の犯罪が競合する場合において、これを処断上の一罪として刑を科する趣旨のものであるところ、右規定にいう1個の行為とは、法的評価をはなれ構成要件的観点を捨象した自然的観察のもとで、行為者の動態が社会的見解上1個のものとの評価をうける場合をいうと解すべきである。
…被告人が本件自動車を運転するに際し、無免許で、かつ、酒に酔った状態であったことは、いずれも車両運転者の属性にすぎないから、被告人がこのように無免許で、かつ、酒に酔った状態で自動車を運転したことは、右の自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の車両運転行為であって,それが道路交通法118条1項1号、64条及び同法117条の2第1号、65条1項の各罪に同時に該当するものであるから、右両罪は刑法54条1項前段の観念的競合の関係にあると解するのが相当であり…。」
判旨:「刑法54条1項前段の規定は、1個の行為が同時に数個の犯罪構成要件に該当して数個の犯罪が競合する場合において、これを処断上の一罪として刑を科する趣旨のものであるところ、右規定にいう1個の行為とは、法的評価をはなれ構成要件的観点を捨象した自然的観察のもとで、行為者の動態が社会的見解上1個のものとの評価をうける場合をいうと解すべきである。
…被告人が本件自動車を運転するに際し、無免許で、かつ、酒に酔った状態であったことは、いずれも車両運転者の属性にすぎないから、被告人がこのように無免許で、かつ、酒に酔った状態で自動車を運転したことは、右の自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の車両運転行為であって,それが道路交通法118条1項1号、64条及び同法117条の2第1号、65条1項の各罪に同時に該当するものであるから、右両罪は刑法54条1項前段の観念的競合の関係にあると解するのが相当であり…。」
過去問・解説
(H20 司法 第17問 2)
甲は、脇見しながら自動車を運転したため、自車前方で信号待ちのため停車していた乙運転の自動車に気付くのが遅れ、同車に自車を追突させ、その衝撃で乙運転の自動車を前方に押し出し、同車の前方に停車中の丙運転の自動車に追突させ、これにより乙が死亡し、丙は傷害を負った。甲には、乙に対する自動車運転過失致死罪及び丙に対する自動車運転過失傷害罪が成立し、両罪は併合罪となる。
甲は、脇見しながら自動車を運転したため、自車前方で信号待ちのため停車していた乙運転の自動車に気付くのが遅れ、同車に自車を追突させ、その衝撃で乙運転の自動車を前方に押し出し、同車の前方に停車中の丙運転の自動車に追突させ、これにより乙が死亡し、丙は傷害を負った。甲には、乙に対する自動車運転過失致死罪及び丙に対する自動車運転過失傷害罪が成立し、両罪は併合罪となる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭49.5.29)は、「無免許で、かつ、酒に酔った状態で自動車を運転したことは、右の自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の車両運転行為…。」とした上で、「右両罪は刑法54条1項前段の観念的競合の関係にあると解するのが相当…。」としている。
甲は、乙運転の自動車に衝突して、乙運転の自動車を前方に押し出し、同車の前方に停車中の丙運転の自動車に追突させ、乙死亡丙傷害の結果を引き起こしており、これらは自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の車両運転行為であるといえる。
したがって、甲には、乙に対する自動車運転過失致死罪及び丙に対する自動車運転過失傷害罪が成立し、両罪は観念的競合となる。
判例(最判昭49.5.29)は、「無免許で、かつ、酒に酔った状態で自動車を運転したことは、右の自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の車両運転行為…。」とした上で、「右両罪は刑法54条1項前段の観念的競合の関係にあると解するのが相当…。」としている。
甲は、乙運転の自動車に衝突して、乙運転の自動車を前方に押し出し、同車の前方に停車中の丙運転の自動車に追突させ、乙死亡丙傷害の結果を引き起こしており、これらは自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の車両運転行為であるといえる。
したがって、甲には、乙に対する自動車運転過失致死罪及び丙に対する自動車運転過失傷害罪が成立し、両罪は観念的競合となる。
(H22 司法 第16問 4)
甲は、自己の運転する自動車を脇見運転により通行人乙に衝突させて同人を死亡させた上、慌ててその場から逃走しようとして安全確認を怠って自車をUターンさせたため、折から対向車線を走行してきた丙運転の自動車に自車を衝突させて同人に傷害を負わせた。甲には、自動車運転過失致死罪と自動車運転過失傷害罪が成立し、両罪は観念的競合となる。
甲は、自己の運転する自動車を脇見運転により通行人乙に衝突させて同人を死亡させた上、慌ててその場から逃走しようとして安全確認を怠って自車をUターンさせたため、折から対向車線を走行してきた丙運転の自動車に自車を衝突させて同人に傷害を負わせた。甲には、自動車運転過失致死罪と自動車運転過失傷害罪が成立し、両罪は観念的競合となる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭49.5.29)は、「無免許で、かつ、酒に酔った状態で自動車を運転したことは、右の自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の車両運転行為…。」とした上で、「右両罪は刑法54条1項前段の観念的競合の関係にあると解するのが相当…。」としている。
甲は、追突行為とUターンという2つの行為を行っており、これらは、社会的見解上1個のものとはいえない。
したがって、甲には、自動車運転過失致死罪と自動車運転過失傷害罪が成立し、両罪は併合罪となる。
判例(最判昭49.5.29)は、「無免許で、かつ、酒に酔った状態で自動車を運転したことは、右の自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の車両運転行為…。」とした上で、「右両罪は刑法54条1項前段の観念的競合の関係にあると解するのが相当…。」としている。
甲は、追突行為とUターンという2つの行為を行っており、これらは、社会的見解上1個のものとはいえない。
したがって、甲には、自動車運転過失致死罪と自動車運転過失傷害罪が成立し、両罪は併合罪となる。
(H27 共通 第17問 1)
甲は、酒に酔った状態で、自動車を無免許で運転した。甲には酒酔い運転の罪と無免許運転の罪が成立し、これらは観念的競合となる。
甲は、酒に酔った状態で、自動車を無免許で運転した。甲には酒酔い運転の罪と無免許運転の罪が成立し、これらは観念的競合となる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭49.5.29)は、本肢と同種の事案において、「無免許で、かつ、酒に酔った状態で自動車を運転したことは、右の自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の車両運転行為…。」とした上で、「右両罪は刑法54条1項前段の観念的競合の関係にあると解するのが相当…。」としている。
したがって、甲には、酒酔い運転の罪と無免許運転の罪が成立し、これらは観念的競合となる。
判例(最判昭49.5.29)は、本肢と同種の事案において、「無免許で、かつ、酒に酔った状態で自動車を運転したことは、右の自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の車両運転行為…。」とした上で、「右両罪は刑法54条1項前段の観念的競合の関係にあると解するのが相当…。」としている。
したがって、甲には、酒酔い運転の罪と無免許運転の罪が成立し、これらは観念的競合となる。
(R1 司法 第7問 2)
甲は、乙ら3名をその面前で同時に恐喝して3名全員からそれぞれ財物を出させ、その3名分の財物の交付を乙から一括して受けた。甲には、3個の恐喝罪が成立し、これらは併合罪となる。
甲は、乙ら3名をその面前で同時に恐喝して3名全員からそれぞれ財物を出させ、その3名分の財物の交付を乙から一括して受けた。甲には、3個の恐喝罪が成立し、これらは併合罪となる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭49.5.29)は、「無免許で、かつ、酒に酔った状態で自動車を運転したことは、右の自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の車両運転行為…。」とした上で、「右両罪は刑法54条1項前段の観念的競合の関係にあると解するのが相当…。」としている。
甲は、1つの恐喝行為によって、乙ら3名全員からそれぞれ財物を出させ、その3名分の財物の交付を乙から一括して受けており、これらは自然的観察のもとで社会的見解上1個のものとの評価を受ける場合であるといえる。
したがって、甲には、3個の恐喝罪が成立し、これらは観念的競合となる。
判例(最判昭49.5.29)は、「無免許で、かつ、酒に酔った状態で自動車を運転したことは、右の自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の車両運転行為…。」とした上で、「右両罪は刑法54条1項前段の観念的競合の関係にあると解するのが相当…。」としている。
甲は、1つの恐喝行為によって、乙ら3名全員からそれぞれ財物を出させ、その3名分の財物の交付を乙から一括して受けており、これらは自然的観察のもとで社会的見解上1個のものとの評価を受ける場合であるといえる。
したがって、甲には、3個の恐喝罪が成立し、これらは観念的競合となる。
(R5 司法 第5問 エ)
甲は、酒に酔った状態で、自動車を無免許で運転した。この場合、甲には酒酔い運転の罪と無免許運転の罪が成立し、これらは観念的競合となる。
甲は、酒に酔った状態で、自動車を無免許で運転した。この場合、甲には酒酔い運転の罪と無免許運転の罪が成立し、これらは観念的競合となる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭49.5.29)は、本肢と同種の事案において、「無免許で、かつ、酒に酔った状態で自動車を運転したことは、右の自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の車両運転行為…。」とした上で、「右両罪は刑法54条1項前段の観念的競合の関係にあると解するのが相当…。」としている。
したがって、甲には、酒酔い運転の罪と無免許運転の罪が成立し、これらは観念的競合となる。
判例(最判昭49.5.29)は、本肢と同種の事案において、「無免許で、かつ、酒に酔った状態で自動車を運転したことは、右の自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の車両運転行為…。」とした上で、「右両罪は刑法54条1項前段の観念的競合の関係にあると解するのが相当…。」としている。
したがって、甲には、酒酔い運転の罪と無免許運転の罪が成立し、これらは観念的競合となる。