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刑法 集合後に参加したものに対する凶器準備集合罪 最一小決昭和45年12月3日

概要
①長さ1メートル前後の角棒は、刑法208条の2にいう「凶器」に当たる。
②208条の2にいう「集合」とは、通常は、2人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的をもって凶器を準備し、又はその準備のあることを知って一定の場所に集まることをいうが、すでに一定の場所に集まっている2人以上の者がその場で凶器を準備し、又はその準備のあることを知ったうえ、他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的を有するに至った場合も、「集合」に当たる。
③208条の2にいう「集合」に当たる状態が継続するかぎり、凶器準備集合罪は継続して成立する。
判例
事案:甲は、乙及び丙が、対立するグループの者らによる襲撃に備えて同人らの身体に対し共同して害を加える目的で凶器を準備して公園に集合していることを知った。その上で、甲は、自らも乙らと共同して害を加える目的で長さ1メートル前後の角棒を所持して同公園に赴き、乙及び丙に合流したという事案において、凶器準備集合罪の成否が問題となった。

判旨:「…長さ1メートル前後の角棒は、その本来の性質上人を殺傷するために作られたものではないが、用法によっては人の生命、身体または財産に害を加えるに足りる器物であり、かつ、2人以上の者が他人の生命、身体または財産に害を加える目的をもってこれを準備して集合するにおいては、社会通念上人をして危険感を抱かせるに足りるものであるから、刑法208条の2にいう『兇器』に該当するものと解すべきである。
 …刑法208条の2にいう『集合』とは、通常は、2人以上の者が他人の生命、身体または財産に対し共同して害を加える目的をもって兇器を準備し、またはその準備のあることを知って一定の場所に集まることをいうが、すでに一定の場所に集まっている2人以上の者がその場で兇器を準備し、またはその準備のあることを知ったうえ、他人の生命、身体または財産に対し共同して害を加える目的を有するに至った場合も、『集合』にあたると解するのが相当である。また、兇器準備集合罪は、個人の生命、身体または財産ばかりでなく、公共的な社会生活の平成穏をも保護法益とするものと解すべきであるから、右『集合』の状態が継続するかぎり、同罪は継続して成立しているものと解するのが相当である…。」
過去問・解説
(H30 予備 第1問 1)
甲は、乙、丙及び丁が、対立するグループの者らによる襲撃に備えて同人らの身体に対し共同して害を加える目的で凶器を準備して公園に集合していることを知った。その上で、甲は、自らも乙らと共同して害を加える目的で凶器を所持して同公園に赴き、乙、丙及び丁に合流したが、客観的には同グループの者らによる襲撃が切迫しているという状況はなかった。甲に凶器準備集合罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決昭45.12.3)は、「兇器準備集合罪は、個人の生命、身体または財産ばかりでなく、公共的な社会生活の平成穏をも保護法益とするものと解すべきであるから、右『集合』の状態が継続するかぎり、同罪は継続して成立している…。」としている。
凶器準備集合罪は継続犯であり、集合後に凶器を所持して参加した者も同罪が成立する。
また、別の判例(最判昭58.6.23)は、「兇器準備集合罪はいわゆる抽象的危険犯であって、いわゆる迎撃形態の兇器準備集合罪が成立するためには、必ずしも相手方からの襲撃の蓋然性ないし切迫性が客観的状況として存在することは必要でなく、兇器準備集合の状況が社会生活の平穏を害しうる態様のものであれば足りる。」としている。
したがって、相手方からの襲撃が切迫しているという状況がなかったとしても同罪が成立する。
よって、甲は、乙、丙及び丁が集合後に合流し、客観的には対立するグループの者らによる襲撃が切迫しているという状況はなかったが、甲に凶器準備集合罪が成立する。

(H30 予備 第1問 2)
甲は、乙、丙及び丁と共に、Vの身体に対し共同して害を加える目的でそれぞれ凶器を準備し公園に集合することとしたが、乙、丙及び丁が凶器を準備して先に同公園に到着しVを待ち伏せていたところ、同公園にVが現れたことから、乙らにおいてVの身体に対する加害行為を開始した。その後間もなく、甲は、凶器を所持して同公園に到着し、乙らがVに対する加害行為に及んでいる間も、自らも乙らと共にVの身体に対し共同して害を加える目的で凶器を所持してその場に居続けた。甲に凶器準備集合罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決昭45.12.3)は、「兇器準備集合罪は、個人の生命、身体または財産ばかりでなく、公共的な社会生活の平成穏をも保護法益とするものと解すべきであるから、右『集合』の状態が継続するかぎり、同罪は継続して成立している…。」としている。
すなわち、凶器準備集合罪は継続犯であり、目的とされた加害行為後に凶器を所持して参加した者も同罪が成立する。
甲は、乙がVの身体に対する加害行為を開始した後に、凶器を所持して同公園に到着しその場に居続けているが、集合の状態が継続しているといえ、甲に凶器準備集合罪が成立する。

(H30 予備 第1問 4)
甲は、乙、丙及び丁と共に公園で雑談をしていたところ、同公園の隅に長さ約1メートルの棒状の角材が多数保管されているのを発見した。甲ら4名は、その角材を手に取った後、これを凶器としてVの身体に対し共同して害を加える目的を有するに至った。甲に凶器準備集合罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決昭45.12.3)は、「長さ1メートル前後の角棒は、その本来の性質上人を殺傷するために作られたものではないが、用法によっては人の生命、身体または財産に害を加えるに足りる器物であり、かつ、2人以上の者が他人の生命、身体または財産に害を加える目的をもってこれを準備して集合するにおいては、社会通念上人をして危険感を抱かせるに足りるものであるから、刑法208条の2にいう『兇器』に該当する…。」としている。
また、同判例は、「『集合』とは、通常は、2人以上の者が他人の生命、身体または財産に対し共同して害を加える目的をもって兇器を準備し、またはその準備のあることを知って一定の場所に集まることをいうが、すでに一定の場所に集まっている2人以上の者がその場で兇器を準備し、またはその準備のあることを知ったうえ、他人の生命、身体または財産に対し共同して害を加える目的を有するに至った場合も、『集合』にあたる…。」としている。
したがって、保管されていた長さ約1メートルの棒状の角材は凶器に当たり、共同して害を加える目的を有するに至ったから、甲に凶器準備集合罪が成立する。
総合メモ
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