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刑法 現金自動預払機の占拠と偽計業務妨害罪 最一小決平成19年7月2日
概要
現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮するためのビデオカメラを設置した現金自動預払機の隣にある現金自動預払機を、あたかも入出金や振込等を行う一般の利用客のように装い、適当な操作を繰り返しながら、1時間30分間以上にわたって占拠し続けた行為は、偽計業務妨害罪に当たる。
判例
事案:現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮するためのビデオカメラを設置した現金自動預払機の隣にある現金自動預払機を、あたかも入出金や振込等を行う一般の利用客のように装い、適当な操作を繰り返しながら、1時間30分間以上にわたって占拠し続けたという事案において、偽計業務妨害罪の成否が問題となった。
判旨:「被告人らは、現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的で、現金自動預払機が設置された銀行支店出張所に営業中に立ち入ったものであり、そのような立入りが同所の管理権者である銀行支店長の意思に反するものであることは明らかであるから、その立入りの外観が一般の現金自動預払機利用客のそれと特に異なるものでなくても、建造物侵入罪が成立するものというべきである。
また、被告人らは、盗撮用ビデオカメラを設置した現金自動預払機の隣に位置する現金自動預払機の前の床にビデオカメラが盗撮した映像を受信する受信機等の入った紙袋が置いてあるのを不審に思われないようにするとともに、盗撮用ビデオカメラを設置した現金自動預払機に客を誘導する意図であるのに、その情を秘し、あたかも入出金や振込等を行う一般の利用客のように装い、適当な操作を繰り返しながら、1時間30分間以上、あるいは約1時間50分間にわたって、受信機等の入った紙袋を置いた現金自動預払機を占拠し続け、他の客が利用できないようにしたものであって、その行為は、偽計を用いて銀行が同現金自動預払機を客の利用に供して入出金や振込等をさせる業務を妨害するものとして、偽計業務妨害罪に当たるというべきである。」
判旨:「被告人らは、現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的で、現金自動預払機が設置された銀行支店出張所に営業中に立ち入ったものであり、そのような立入りが同所の管理権者である銀行支店長の意思に反するものであることは明らかであるから、その立入りの外観が一般の現金自動預払機利用客のそれと特に異なるものでなくても、建造物侵入罪が成立するものというべきである。
また、被告人らは、盗撮用ビデオカメラを設置した現金自動預払機の隣に位置する現金自動預払機の前の床にビデオカメラが盗撮した映像を受信する受信機等の入った紙袋が置いてあるのを不審に思われないようにするとともに、盗撮用ビデオカメラを設置した現金自動預払機に客を誘導する意図であるのに、その情を秘し、あたかも入出金や振込等を行う一般の利用客のように装い、適当な操作を繰り返しながら、1時間30分間以上、あるいは約1時間50分間にわたって、受信機等の入った紙袋を置いた現金自動預払機を占拠し続け、他の客が利用できないようにしたものであって、その行為は、偽計を用いて銀行が同現金自動預払機を客の利用に供して入出金や振込等をさせる業務を妨害するものとして、偽計業務妨害罪に当たるというべきである。」
過去問・解説
(R2 司法 第12問 1)
利用客のキャッシュカードの暗証番号等を盗撮する目的で、現金自動預払機が2台設置されている銀行の無人出張所において、そのうち1台にカメラを設置し、当該現金自動預払機に客を誘導する意図で、一般客を装い、もう1台の現金自動預払機を2時間占拠した場合、偽計業務妨害罪が成立する。
利用客のキャッシュカードの暗証番号等を盗撮する目的で、現金自動預払機が2台設置されている銀行の無人出張所において、そのうち1台にカメラを設置し、当該現金自動預払機に客を誘導する意図で、一般客を装い、もう1台の現金自動預払機を2時間占拠した場合、偽計業務妨害罪が成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(最決平19.7.2)は、本肢と同種の事案において、「受信機等の入った紙袋を置いた現金自動預払機を占拠し続け、他の客が利用できないようにしたものであって、その行為は、偽計を用いて銀行が同現金自動預払機を客の利用に供して入出金や振込等をさせる業務を妨害するものとして、偽計業務妨害罪に当たる…。」としている。
判例(最決平19.7.2)は、本肢と同種の事案において、「受信機等の入った紙袋を置いた現金自動預払機を占拠し続け、他の客が利用できないようにしたものであって、その行為は、偽計を用いて銀行が同現金自動預払機を客の利用に供して入出金や振込等をさせる業務を妨害するものとして、偽計業務妨害罪に当たる…。」としている。
(R6 司法 第1問 3)
甲は、利用客のキャッシュカードの暗証番号等を盗撮する目的で、2台の現金自動預払機が設置されている銀行の無人出張所において、一方の現金自動預払機にビデオカメラを設置し、同現金自動預払機に客を誘導する意図で、一般の利用客を装い、もう一方の現金自動預払機を2時間にわたり占拠した。この場合、甲に偽計業務妨害罪が成立する。
甲は、利用客のキャッシュカードの暗証番号等を盗撮する目的で、2台の現金自動預払機が設置されている銀行の無人出張所において、一方の現金自動預払機にビデオカメラを設置し、同現金自動預払機に客を誘導する意図で、一般の利用客を装い、もう一方の現金自動預払機を2時間にわたり占拠した。この場合、甲に偽計業務妨害罪が成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(最決平19.7.2)は、本肢と同種の事案において、「受信機等の入った紙袋を置いた現金自動預払機を占拠し続け、他の客が利用できないようにしたものであって、その行為は、偽計を用いて銀行が同現金自動預払機を客の利用に供して入出金や振込等をさせる業務を妨害するものとして、偽計業務妨害罪に当たる…。」としている。
甲は、偽計を用いて一方の現金自動預払機を2時間にわたり占拠することで、入出金や振込等をさせる業務を妨害したといえるから、甲に偽計業務妨害罪が成立する。
判例(最決平19.7.2)は、本肢と同種の事案において、「受信機等の入った紙袋を置いた現金自動預払機を占拠し続け、他の客が利用できないようにしたものであって、その行為は、偽計を用いて銀行が同現金自動預払機を客の利用に供して入出金や振込等をさせる業務を妨害するものとして、偽計業務妨害罪に当たる…。」としている。
甲は、偽計を用いて一方の現金自動預払機を2時間にわたり占拠することで、入出金や振込等をさせる業務を妨害したといえるから、甲に偽計業務妨害罪が成立する。