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刑法 十分な意思能力を持っていない者に対する暴行脅迫 最二小判昭和22年11月26日

概要
十分な意思能力を持っていない者に対し暴行脅迫を加え財物を奪取したときは、強盗罪が成立する。
判例
事案:人の居宅内において留守居をしていた10歳の子供に対し暴行脅迫を加え財物を奪取したという事案において、強盗罪の成否が問題となった。

判旨:「本件の被害者は僅かに10歳の小兒であって反抗するに足る意思能力を持ってゐたとは考へられない。反抗する能力の無い者に對して『反抗を抑壓して強取した』と判示した原審判決は理由に齟齬があるから破毀せられるべきものであると思料する。といふのであるが、およそ強盗罪の成立には目的を遂行するに障碍となる者に對してその反抗を抑壓するに足る暴行を加へるといふことで十分であって論旨にいふやうに暴行を受けるものが十分の意思能力を持ってゐることは必要ではない。本件被害者Vの三男能親も既に當10歳と云へば完全な意思能力はないまでも或程度物に對する管理の實力は持ってゐるといふべきであって同人が本件犯行の現場に居合せたことは被告人が同家の物を盗むといふ目的を遂行するのに障碍となったことは疑のないところである。よって右能親に對して原判示のやうな暴行を加へて同家の物を盗んだ被告人の所爲を以て強盗の罪にあたると判斷した原判決はまことに正當であって論旨は理由がない。」
過去問・解説
(H22 司法 第18問 オ)
甲が、財物奪取の意思で乙宅に乙の留守中に侵入し、乙の甥でたまたま留守番をしていた丙(15歳)に対し、暴行を加えてその反抗を抑圧し、タンス内から乙が所有し管理する衣類を奪った場合、強盗既遂罪(刑法第236条第1項)は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭22.11.26)は、人の居宅内において留守居をしていた10歳の子供に対し暴行脅迫を加え財物を奪取した事案において、「強盗罪の成立には目的を遂行するに障碍となる者に對してその反抗を抑壓するに足る暴行を加へるといふことで十分であって論旨にいふやうに暴行を受けるものが十分の意思能力を持ってゐることは必要ではない。」として、暴行脅迫の対象は財物の所有者に限定されず、目的の障害となる者であればよいことを示している。
15歳の丙は、衣類の所有者ではないが、財物奪取の障害となる者である。
したがって、甲に強盗既遂罪が成立する。

(H25 司法 第12問 4)
甲は、空き巣を行う目的で乙宅に侵入したところ、たまたま留守番をしていた乙の甥である10歳の丙に発見され、金品を奪うために、丙に対し、反抗を抑圧するに足りる程度の暴行を加え、その反抗を抑圧して寝室のタンス内にあった乙名義の預金通帳と印鑑を奪った。甲には強盗既遂罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭22.11.26)は、人の居宅内において留守居をしていた10歳の子供に対し暴行脅迫を加え財物を奪取した事案において、「強盗罪の成立には目的を遂行するに障碍となる者に對してその反抗を抑壓するに足る暴行を加へるといふことで十分であって論旨にいふやうに暴行を受けるものが十分の意思能力を持ってゐることは必要ではない。」として、暴行脅迫の対象は財物の所有者に限定されず、目的の障害となる者であればよいことを示している。
10歳の丙は、乙名義の預金通帳と印鑑の所有者ではないが、財物奪取の障害となる者である。
したがって、甲に強盗既遂罪が成立する。
総合メモ
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