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刑法 強盗罪と間接正犯 東京高判昭和42年6月20日
概要
脅迫により反抗を抑圧された被害者が財物を差し出すのは、もはや任意交付の観念をもって律すべき限りでなく、犯人がこれを受領するのは、すなわち財物の奪取にほかならないから、仮令犯人において被害者の手を経ず直接財物を奪い取るの意図なく、被害者の提供をまってはじめてこれを受領する意図であったとしても、その目的を達する手段として被害者の反抗を抑圧するに足りる脅迫を用いたものである以上、犯人に強盗の犯意がなかったとはいえない。
判例
事案:暴行や脅迫をもって被害者を財物を差し出すしかないという精神状況に追い込んだという事案において、強盗罪と窃盗罪の間接正犯のいずれが成立するかが問題となった。
判旨:「財物を交付せしめる手段として被害者に対し脅迫を加えた場合、その脅迫が社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものであれば,現実に被害者が反抗を抑圧されたか否かを問わず、右脅迫は強盗罪の実行行為に該当するとともに右脅迫により反抗を抑圧された被害者が財物を差し出すのは、もはや任意交付の観念をもって律すべき限りでなく、犯人がこれを受領するのは、すなわち財物の奪取にほかならないから、仮令犯人において被害者の手を経ず直接財物を奪い取るの意図なく、被害者の提供をまってはじめてこれを受領する意図であったとしても、その目的を達する手段として被害者の反抗を抑圧するに足りる脅迫を用いたものである以上、犯人に強盗の犯意がなかったとはいえない。」
判旨:「財物を交付せしめる手段として被害者に対し脅迫を加えた場合、その脅迫が社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものであれば,現実に被害者が反抗を抑圧されたか否かを問わず、右脅迫は強盗罪の実行行為に該当するとともに右脅迫により反抗を抑圧された被害者が財物を差し出すのは、もはや任意交付の観念をもって律すべき限りでなく、犯人がこれを受領するのは、すなわち財物の奪取にほかならないから、仮令犯人において被害者の手を経ず直接財物を奪い取るの意図なく、被害者の提供をまってはじめてこれを受領する意図であったとしても、その目的を達する手段として被害者の反抗を抑圧するに足りる脅迫を用いたものである以上、犯人に強盗の犯意がなかったとはいえない。」
過去問・解説
(R2 共通 第1問 3)
甲は、財物を奪取するために、当該財物の占有者Xに対し、反抗を抑圧するに足りる程度の暴行や脅迫を用いて、当該財物を差し出すしかないとの精神状態に陥らせた上で、当該財物を差し出させた。この場合、甲に、Xに対する強盗罪は成立せず、窃盗罪の間接正犯が成立する。
甲は、財物を奪取するために、当該財物の占有者Xに対し、反抗を抑圧するに足りる程度の暴行や脅迫を用いて、当該財物を差し出すしかないとの精神状態に陥らせた上で、当該財物を差し出させた。この場合、甲に、Xに対する強盗罪は成立せず、窃盗罪の間接正犯が成立する。
(正答)✕
(解説)
裁判例(東京高判昭42.6.20)は、「脅迫が社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものであれば,現実に被害者が反抗を抑圧されたか否かを問わず、右脅迫は強盗罪の実行行為に該当するとともに右脅迫により反抗を抑圧された被害者が財物を差し出すのは、もはや任意交付の観念をもって律すべき限りでなく、犯人がこれを受領するのは、すなわち財物の奪取にほかならない…。」としている。
Xは、当該財物を自ら甲に差し出しているが、直前に甲は反抗を抑圧するに足りる程度の暴行や脅迫を用いて、Xを当該財物を差し出すしかないとの精神状態に陥らせている以上、「強取」に当たる。
したがって、甲には、強盗罪が成立する。
裁判例(東京高判昭42.6.20)は、「脅迫が社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものであれば,現実に被害者が反抗を抑圧されたか否かを問わず、右脅迫は強盗罪の実行行為に該当するとともに右脅迫により反抗を抑圧された被害者が財物を差し出すのは、もはや任意交付の観念をもって律すべき限りでなく、犯人がこれを受領するのは、すなわち財物の奪取にほかならない…。」としている。
Xは、当該財物を自ら甲に差し出しているが、直前に甲は反抗を抑圧するに足りる程度の暴行や脅迫を用いて、Xを当該財物を差し出すしかないとの精神状態に陥らせている以上、「強取」に当たる。
したがって、甲には、強盗罪が成立する。