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刑法 同姓同名と私文書偽造罪 最一小決平成5年10月5日
概要
自己の氏名が弁護士甲と同姓同名であることを利用して、「弁護士甲」の名義で弁護士の業務に関連した形式、内容の文書を作成した所為は、たとえ名義人として表示された者の氏名が自己の氏名と同一であったとしても、私文書偽造罪の偽造に当たる。
判例
事案:自己の氏名が弁護士甲と同姓同名であることを利用して「弁護士甲」の名義で文書を作成したという事案において、私文書偽造罪の偽造に当たるかが問題となった。
判旨:「私文書偽造の本質は、文書の名義人と作成者との間の人格の同一性を偽る点にあると解されるところ(最高裁昭和58年(あ)第257号同59年2月17日第二小法廷判決・刑集38巻3号336頁参照)、前示のとおり、被告人は、自己の氏名がA弁護士会所属の弁護士Bと同姓同名であることを利用して、同弁護士になりすまし、『弁護士B』の名義で本件各文書を作成したものであって、たとえ名義人として表示された者の氏名が被告人の氏名と同一であったとしても、本件各文書が弁護士としての業務に関連して弁護士資格を有する者が作成した形式、内容のものである以上、本件各文書に表示された名義人は、A弁護士会に所属する弁護士Bであって、弁護士資格を有しない被告人とは別人格の者であることが明らかであるから、本件各文書の名義人と作成者の人格の同一性にそごを生じさせたものというべきである。したがって、被告人は右の同一性を偽ったものであって、その各所為について私文書偽造罪、同行使罪が成立するとした原判断は、正当である。」
判旨:「私文書偽造の本質は、文書の名義人と作成者との間の人格の同一性を偽る点にあると解されるところ(最高裁昭和58年(あ)第257号同59年2月17日第二小法廷判決・刑集38巻3号336頁参照)、前示のとおり、被告人は、自己の氏名がA弁護士会所属の弁護士Bと同姓同名であることを利用して、同弁護士になりすまし、『弁護士B』の名義で本件各文書を作成したものであって、たとえ名義人として表示された者の氏名が被告人の氏名と同一であったとしても、本件各文書が弁護士としての業務に関連して弁護士資格を有する者が作成した形式、内容のものである以上、本件各文書に表示された名義人は、A弁護士会に所属する弁護士Bであって、弁護士資格を有しない被告人とは別人格の者であることが明らかであるから、本件各文書の名義人と作成者の人格の同一性にそごを生じさせたものというべきである。したがって、被告人は右の同一性を偽ったものであって、その各所為について私文書偽造罪、同行使罪が成立するとした原判断は、正当である。」
過去問・解説
(H29 司法 第4問 5)
弁護士資格のない甲は、X弁護士会に実在する自己と同姓同名の弁護士を装い、これを信じた乙から依頼を受けて弁護士としての業務を行った後、乙から報酬を得るために、「X弁護士会所属弁護士甲」名義の弁護士報酬金請求書を作成した。甲には私文書偽造罪が成立しない。
弁護士資格のない甲は、X弁護士会に実在する自己と同姓同名の弁護士を装い、これを信じた乙から依頼を受けて弁護士としての業務を行った後、乙から報酬を得るために、「X弁護士会所属弁護士甲」名義の弁護士報酬金請求書を作成した。甲には私文書偽造罪が成立しない。
(正答)✕
(解説)
判例(最決平5.10.5)は、本肢と同種の事案において、「本件各文書に表示された名義人は、A弁護士会に所属する弁護士Bであって、弁護士資格を有しない被告人とは別人格の者であることが明らかであるから、本件各文書の名義人と作成者の人格の同一性にそごを生じさせたものというべき…。」としている。
作成名義人はX弁護士会に所属する弁護士資格を有する甲である一方で、作成者は弁護士資格のない甲であるから、作成名義人と作成者の人格の同一性を偽ったとして偽造に当たる。
したがって、甲に私文書偽造罪が成立する。
判例(最決平5.10.5)は、本肢と同種の事案において、「本件各文書に表示された名義人は、A弁護士会に所属する弁護士Bであって、弁護士資格を有しない被告人とは別人格の者であることが明らかであるから、本件各文書の名義人と作成者の人格の同一性にそごを生じさせたものというべき…。」としている。
作成名義人はX弁護士会に所属する弁護士資格を有する甲である一方で、作成者は弁護士資格のない甲であるから、作成名義人と作成者の人格の同一性を偽ったとして偽造に当たる。
したがって、甲に私文書偽造罪が成立する。
(R5 司法 第15問 5)
甲は、同姓同名の弁護士がいることを利用して弁護士を装い、不動産業者Aから土地調査の依頼を受け、行使の目的で、作成名義人として「弁護士甲」と記載した土地調査に関する書面を作成しAに交付した。この場合、甲に私文書偽造罪は成立しない。
甲は、同姓同名の弁護士がいることを利用して弁護士を装い、不動産業者Aから土地調査の依頼を受け、行使の目的で、作成名義人として「弁護士甲」と記載した土地調査に関する書面を作成しAに交付した。この場合、甲に私文書偽造罪は成立しない。
(正答)✕
(解説)
判例(最決平5.10.5)は、本肢と同種の事案において、「本件各文書に表示された名義人は、A弁護士会に所属する弁護士Bであって、弁護士資格を有しない被告人とは別人格の者であることが明らかであるから、本件各文書の名義人と作成者の人格の同一性にそごを生じさせたものというべき…。」としている。
作成名義人は弁護士資格を有する甲である一方で、作成者は弁護士資格のない甲であるから、作成名義人と作成者の人格の同一性を偽ったとして偽造に当たる。
したがって、甲に私文書偽造罪が成立する。
判例(最決平5.10.5)は、本肢と同種の事案において、「本件各文書に表示された名義人は、A弁護士会に所属する弁護士Bであって、弁護士資格を有しない被告人とは別人格の者であることが明らかであるから、本件各文書の名義人と作成者の人格の同一性にそごを生じさせたものというべき…。」としている。
作成名義人は弁護士資格を有する甲である一方で、作成者は弁護士資格のない甲であるから、作成名義人と作成者の人格の同一性を偽ったとして偽造に当たる。
したがって、甲に私文書偽造罪が成立する。