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刑法 国際運転免許証と私文書偽造罪 最二小決平成15年10月6日

概要
正規の国際運転免許証に酷似する文書をその発給権限のない団体Aの名義で作成した行為は、上記文書が、一般人をして、その発給権限を有する団体であるAにより作成された正規の国際運転免許証であると信用させるに足りるものであるなど判示の事実関係の下では、団体Aから上記文書の作成を委託されていたとしても、私文書偽造罪の偽造に当たる。
判例
事案:正規の国際運転免許証に酷似する文書をその発給権限のない団体の名義で作成したという事案において、私文書偽造罪の偽造に当たるかが問題となった。

判旨:「私文書偽造の本質は、文書の名義人と作成者との間の人格の同一性を偽る点にあると解される(最高裁昭和58年(あ)第257号同59年2月17日第二小法廷判決・刑集38巻3号336頁、最高裁平成5年(あ)第135号同年10月5日第一小法廷決定・刑集47巻8号7頁参照)。本件についてこれをみるに、…本件文書の記載内容、性質などに照らすと、ジュネーブ条約に基づく国際運転免許証の発給権限を有する団体により作成されているということが、正に本件文書の社会的信用性を基礎付けるものといえるから、本件文書の名義人は、『ジュネーブ条約に基づく国際運転免許証の発給権限を有する団体である国際旅行連盟』であると解すべきである。そうすると、国際旅行連盟が同条約に基づきその締約国等から国際運転免許証の発給権限を与えられた事実はないのであるから、所論のように、国際旅行連盟が実在の団体であり、被告人に本件文書の作成を委託していたとの前提に立ったとしても、被告人が国際旅行連盟の名称を用いて本件文書を作成する行為は、文書の名義人と作成者との間の人格の同一性を偽るものであるといわねばならない。したがって、被告人に対し有印私文書偽造罪の成立を認めた原判決の判断は、正当である。」
過去問・解説
(H25 共通 第6問 5)
甲は、行使の目的で、正規の国際運転免許証を発給する権限のない民間団体乙名義で、外観が正規の国際運転免許証に酷似する文書を作成した。甲は、乙からその文書の作成権限を与えられていたが、乙に正規の国際運転免許証を発給する権限がないことは知っていた。甲には私文書偽造罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最決平15.10.6)は、本肢と同種の事案において、「国際旅行連盟が実在の団体であり、被告人に本件文書の作成を委託していたとの前提に立ったとしても、被告人が国際旅行連盟の名称を用いて本件文書を作成する行為は、文書の名義人と作成者との間の人格の同一性を偽るものであるといわねばならない。」としている。
甲は、発給権限を持たない乙と正規の発給権限をもつ団体との同一性を偽っている。
したがって、甲に私文書偽造罪が成立する。

(R5 司法 第15問 4)
甲は、民間団体Aから国際運転免許証の作成を委託され、行使の目的で、外観が正規の国際運転免許証に酷似するA名義の文書を作成したが、Aに正規の国際運転免許証を発給する権限はなく、甲もそのことを知っていた。この場合、甲に私文書偽造罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最決平15.10.6)は、本肢と同種の事案において、「国際旅行連盟が実在の団体であり、被告人に本件文書の作成を委託していたとの前提に立ったとしても、被告人が国際旅行連盟の名称を用いて本件文書を作成する行為は、文書の名義人と作成者との間の人格の同一性を偽るものであるといわねばならない。」としている。
甲は、発給権限を持たないAと正規の発給権限をもつ団体との同一性を偽っている。
したがって、甲に私文書偽造罪が成立する。
総合メモ
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