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刑法 「行使」の意義 大判明治44年3月31日

概要
①偽造手形の行使は手形本来の効用に従ってこれを流通に置く場合のみに限らず、広く偽造の手形を真正の手形として使用することを指す。
②AがBをして流通させるためではなくてもその親族に呈示させるために手形を偽造して真正の手形としてこれを交付した行為は偽造手形の行使に他ならない。
判例
事案:偽造の約束手形を親族に呈示した事案において、偽造有価証券行使罪の「行使」に当たるかが問題となった。

判旨:「偽造手形ノ行使ハ手形本来ノ効用ニ従ヒ之ヲ流通ニ措ク場合ノミニ限ラス汎ク偽造ノ手形ヲ真正ノ手形トシテ使用スルコトヲ指称スルモノトス
 甲者カ乙者ヲシテ流通セシムル為メニ非サルモ其親族ニ呈示セシムル為メ手形ヲ偽造シ真正ノ手形トシテ之ヲ交付シタル所為ハ即チ偽造手形ノ行使ニ外ナラス」
過去問・解説
(H19 司法 第19問 イ)
甲は、Aとのタレント契約交渉に際し、甲経営の会社の資産や経営状況を疑っていたAを安心させてその信用を確保するため、別のタレント用の支度金だと言って、自ら不正に作成した偽造小切手を真正なものとしてAに見せた。偽造有価証券行使罪が成立するか。

(正答)

(解説)
判例(大判明44.3.31)は、「偽造手形ノ行使ハ手形本来ノ効用ニ従ヒ之ヲ流通ニ措ク場合ノミニ限ラス汎ク偽造ノ手形ヲ真正ノ手形トシテ使用スルコトヲ指称スルモノトス」として、偽造手形の行使には、偽造した手形を本来の効用に従って流通に置く場合に加えて、偽造した手形を真正な手形として使用することも含むことを示している。
したがって、甲が偽造小切手を真正なものとしてAに見せた行為は、行使に当たる。
よって、甲に偽造有価証券行使罪が成立する。

(H30 共通 第4問 2)
甲は、取引先乙に見せて自己に信用があることを誇示するだけの目的で、偽造された約束手形を真正なものとして乙に提示した。偽造有価証券行使罪の「行使」といえるためには、偽造有価証券を真正なものとして流通に置く必要があるから、甲には同罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判明44.3.31)は、「偽造手形ノ行使ハ手形本来ノ効用ニ従ヒ之ヲ流通ニ措ク場合ノミニ限ラス汎ク偽造ノ手形ヲ真正ノ手形トシテ使用スルコトヲ指称スルモノトス」として、偽造手形の行使には、偽造した手形を本来の効用に従って流通に置く場合に加えて、偽造した手形を真正な手形として使用することも含むことを示している。
したがって、甲が偽造された約束手形を真正なものとして乙に提示した行為は、行使に当たる。
よって、甲に偽造有価証券行使罪が成立する。
総合メモ
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