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刑法 偽造有価証券行使罪 東京高判昭和53年2月8日

概要
有価証券が偽造されたものであることの情を知っている者に対し、そのことに気付かず真正を装って呈示する等行使の行為をした場合は、偽造有価証券行使未遂罪が成立するにとどまる。
判例
事案:有価証券が偽造されたものであることの情を知っている者に対し、そのことに気付かず真正を装って呈示する等の行使の行為をした事案において、偽造有価証券行使罪の成否が問題となった。

判旨:「被告人は本件偽造にかゝる約束手形を真正なもののように装ってAに呈示した際、Aはそれが偽造されたものであることを知っていたことが明らかであるところ、偽造有価証券行使罪の保護法益が有価証券に対する公共的信用を確保し、取引秩序の安全を保護することにあり、従って行使とは当該偽造有価証券を真正なものとして偽造であることの情を知らない相手方に呈示する等その内容を認識させ、又は認識しうる状態におくことをいうものと解すべきであるから、その偽造であることの情を知っている者に対し、そのことを気付かず真正を装って呈示する等行使の行為をした場合は行使の実行行為は完了するが、法益侵害の結果を生ぜず、行使罪の構成要件を充足するに至らないので、未遂に止るものと解するのが相当であるから、被告人のAに対する本件偽造約束手形の呈示も偽造有価証券行使未遂罪を構成するものというべきである…。」
過去問・解説
(H19 司法 第19問 オ)
甲は、約束手形を偽造してこれを割引に出して利益を得ようと考え、自ら不正に作成したE社の振出しに係る約束手形1通を割引依頼のためにFに呈示したが、Fは、既に上記約束手形が偽造であることを甲の友人Gから聞いて知っていたため、割引依頼を断った。偽造有価証券行使罪が成立するか。

(正答)

(解説)
裁判例(東京高判昭53.2.8)は、「偽造であることの情を知っている者に対し、そのことを気付かず真正を装って呈示する等行使の行為をした場合は行使の実行行為は完了するが、法益侵害の結果を生ぜず、行使罪の構成要件を充足するに至らないので、未遂に止るものと解するのが相当である…。」としている。
Fは、Gから事情を聴いており、手形が偽造であることを知っていたため割引依頼を断っているため、法益侵害の結果は発生していないから、甲には、偽造有価証券行使未遂罪が成立する。
総合メモ
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