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横領の罪

第252条

条文
第252条(横領)
① 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の拘禁刑に処する。
② 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。
過去問・解説
(R6 司法 第4問 オ)
甲は、半日以内にAに返す約束でAの承諾を得て、A所有の自動車をAから借り受けたが、同車を運転するうちに、約束どおり同車をAに返すことが惜しくなり、Aに無断でそのまま10日間にわたり同車を乗り回した。この場合、甲に横領罪が成立することはない。

(正答)  

(解説)
判例(大判大2.12.16)は、「横領」について、不法領得の意思を発現する行為であるとした上、横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思を意味し、利用処分意思までは不要であると解している。
学説は、上記の定義を前提として、他人の物を委託の趣旨に反して一時使用する場合について、所有者が許容しないであろう価値の侵害を伴う程度・態様の使用をする意思があるときは、上記の不法領得の意思が認められると解している。
甲は、半日以内にAに返す約束でAの承諾を得て、A所有の自動車をAから借り受けたにもかかわらず、Aに無断でそのまま10日間にわたり同車を乗り回したのだから、これは委託の趣旨に反する一時使用に当たる。また、自動車には、走行距離に基づいて減価するという側面もあるから、無断で10日間にもわたって自動車を乗り回すことは、所有者が許容しないであろう価値の侵害を伴う程度・態様の使用に当たる。したがって、甲は、自動車について、上記の意味での不法領得の意思を発現したといえるから、「横領」に当たり、横領罪(252条)が成立する。
総合メモ

第254条

条文
第254条(遺失物等横領)
 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
過去問・解説
(H29 司法 第3問 エ)
甲は、乙宅前路上に置かれていた自転車を、乙の所有物と認識して持ち去ったが、実際には同自転車は無主物だった。この場合、甲には遺失物横領罪が成立する。

(正答)  

(解説)
遺失物等横領罪の客体は、「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物」であり、ここでいう「他人の物」とは、他人が所有する財物を意味する。
甲が持ち去った自転車は、無主物であるから、「他人の物」に当たらない。
したがって、甲には遺失物横領罪は成立しない。
総合メモ