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共同訴訟(通常共同訴訟)
共同訴訟人間の証拠共通の原則 最二小判昭和45年1月23日
概要
共同訴訟人の1人が提出した証拠は、その相手方に対してのみならず、他の共同訴訟人とその相手方に対する関係においても証拠として認定資料に供することができる(証拠共通の原則)。
判例
事案:共同訴訟において、共同訴訟人の1人が提出した証拠を、もう一方の共同訴訟人との間でも証拠とした事案において、共同訴訟人の1人が提出した証拠を、他の共同訴訟人との間でも事実を認定するための証拠に供することができるかが問題となった。
判旨:「甲事件と乙事件とは前記のように第1審以来弁論を併合のうえ審理されて来たものであり、したがって、被上告人川島と被上告人大和ほか9名とはたがいに共同訴訟人の関係にあるが、共同訴訟人の1人が提出した証拠は、その相手方に対するばかりでなく、他の共同訴訟人とその相手方に対する関係においても証拠として認定資料に供することができるものであるから、原審が被上告人川島の提出した証拠を乙事件に関する主張の認定資料に供したからといって、原判決に所論の違法を生ずる余地はない。」
判旨:「甲事件と乙事件とは前記のように第1審以来弁論を併合のうえ審理されて来たものであり、したがって、被上告人川島と被上告人大和ほか9名とはたがいに共同訴訟人の関係にあるが、共同訴訟人の1人が提出した証拠は、その相手方に対するばかりでなく、他の共同訴訟人とその相手方に対する関係においても証拠として認定資料に供することができるものであるから、原審が被上告人川島の提出した証拠を乙事件に関する主張の認定資料に供したからといって、原判決に所論の違法を生ずる余地はない。」
過去問・解説
(H20 司法 第65問 1)
Xは、甲土地上に設置されているブロック塀の一部が突然倒壊して頭部に当たり負傷したことから、甲土地を占有するY又は甲土地を所有するZのいずれかが、Xに生じた損害を賠償すべきであるとして、Y及びZを共同被告として訴えを提起し、同時審判の申出をした。Zは、Yが甲土地を占有しているとして、YZ間で締結された賃貸借契約に係る賃貸借契約書を書証として提出した。この場合、裁判所は、XのYに対する請求の関係で当該賃貸借契約書を証拠として利用することができる。
Xは、甲土地上に設置されているブロック塀の一部が突然倒壊して頭部に当たり負傷したことから、甲土地を占有するY又は甲土地を所有するZのいずれかが、Xに生じた損害を賠償すべきであるとして、Y及びZを共同被告として訴えを提起し、同時審判の申出をした。Zは、Yが甲土地を占有しているとして、YZ間で締結された賃貸借契約に係る賃貸借契約書を書証として提出した。この場合、裁判所は、XのYに対する請求の関係で当該賃貸借契約書を証拠として利用することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭45.1.23)は、本肢と同種の事案において、「共同訴訟人の1人が提出した証拠は、その相手方に対するばかりでなく、他の共同訴訟人とその相手方に対する関係においても証拠として認定資料に供することができる。」として、証拠共通の原則を採用している。
したがって、本肢において、裁判所は、共同訴訟人の1人であるZが証拠として提出したYZ間で締結された賃貸借契約に係る賃貸借契約書を書証を、XのYに対する請求の関係で証拠として利用することができる。
判例(最判昭45.1.23)は、本肢と同種の事案において、「共同訴訟人の1人が提出した証拠は、その相手方に対するばかりでなく、他の共同訴訟人とその相手方に対する関係においても証拠として認定資料に供することができる。」として、証拠共通の原則を採用している。
したがって、本肢において、裁判所は、共同訴訟人の1人であるZが証拠として提出したYZ間で締結された賃貸借契約に係る賃貸借契約書を書証を、XのYに対する請求の関係で証拠として利用することができる。
(H27 予備 第37問 2)
賃貸人が自己所有の建物を賃借人に賃貸していたところ、賃借人の無断転貸の事実が判明したため、賃貸人が原告となり、賃借人に対しては無断転貸による解除を理由とする賃貸借契約の終了に基づく建物明渡しを、転借人に対しては所有権に基づく建物明渡しを、それぞれ求める訴えを併合提起した。この訴訟(以下「本訴」という。)について、賃借人が取調べを申し出た証人が、賃貸人が転貸借について承諾した事実を証言したときは、当該証言は、転借人に対する建物明渡請求についても、転借人の援用を要することなく証拠資料となる。
賃貸人が自己所有の建物を賃借人に賃貸していたところ、賃借人の無断転貸の事実が判明したため、賃貸人が原告となり、賃借人に対しては無断転貸による解除を理由とする賃貸借契約の終了に基づく建物明渡しを、転借人に対しては所有権に基づく建物明渡しを、それぞれ求める訴えを併合提起した。この訴訟(以下「本訴」という。)について、賃借人が取調べを申し出た証人が、賃貸人が転貸借について承諾した事実を証言したときは、当該証言は、転借人に対する建物明渡請求についても、転借人の援用を要することなく証拠資料となる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭45.1.23)は、「共同訴訟人の1人が提出した証拠は、その相手方に対するばかりでなく、他の共同訴訟人とその相手方に対する関係においても証拠として認定資料に供することができる。」として、証拠共通の原則を採用している。
したがって、本肢において、共同訴訟人の1人である賃借人が取調べを申し出た証人が、賃貸人が転貸借について承諾した事実を証言したときは、当該証言は、もう一方の共同訴訟人である転借人に対する建物明渡請求についても、転借人の援用を要することなく証拠資料となる。
判例(最判昭45.1.23)は、「共同訴訟人の1人が提出した証拠は、その相手方に対するばかりでなく、他の共同訴訟人とその相手方に対する関係においても証拠として認定資料に供することができる。」として、証拠共通の原則を採用している。
したがって、本肢において、共同訴訟人の1人である賃借人が取調べを申し出た証人が、賃貸人が転貸借について承諾した事実を証言したときは、当該証言は、もう一方の共同訴訟人である転借人に対する建物明渡請求についても、転借人の援用を要することなく証拠資料となる。
(H29 予備 第32問 4)
主債務者と保証人を共同被告とする訴訟に関して、被告らがいずれも主たる債務の弁済の事実を主張した場合において、主債務者が提出した証拠によりその事実が認められるものの、保証人が証拠を提出しないときは、保証人との関係でその事実を認定することはできない。
主債務者と保証人を共同被告とする訴訟に関して、被告らがいずれも主たる債務の弁済の事実を主張した場合において、主債務者が提出した証拠によりその事実が認められるものの、保証人が証拠を提出しないときは、保証人との関係でその事実を認定することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭45.1.23)は、「共同訴訟人の1人が提出した証拠は、その相手方に対するばかりでなく、他の共同訴訟人とその相手方に対する関係においても証拠として認定資料に供することができる。」として、証拠共通の原則を採用している。
したがって、本肢において、共同訴訟人の1人である主債務者が提出した証拠は、一方の共同訴訟人である保証人との関係で証拠とすることができる。
また、保証人は主たる債務の弁済の事実を主張しているため、当該証拠によってその事実が認められる場合、保証人との関係でその事実を認定することは可能である。
判例(最判昭45.1.23)は、「共同訴訟人の1人が提出した証拠は、その相手方に対するばかりでなく、他の共同訴訟人とその相手方に対する関係においても証拠として認定資料に供することができる。」として、証拠共通の原則を採用している。
したがって、本肢において、共同訴訟人の1人である主債務者が提出した証拠は、一方の共同訴訟人である保証人との関係で証拠とすることができる。
また、保証人は主たる債務の弁済の事実を主張しているため、当該証拠によってその事実が認められる場合、保証人との関係でその事実を認定することは可能である。
総合メモ
主たる債務者と連帯保証人とを共同被告とする訴訟は必要的共同訴訟か 最一小判昭和27年12月25日
概要
主たる債務者と連帯保証人とを共同被告とする訴訟は、必要的共同訴訟には当たらない。
判例
事案:主たる債務者と連帯保証人とを共同被告とする訴訟が提起された事案において、かかる訴訟が必要的共同訴訟に当たるかが問題となった。
判旨:「主たる債務者と連帯保証人とを共同被告として訴が提起された場合でも、主債務者と保証人との間に権利関係が同一にのみ確定しなければ訴の目的が達せられないものではないから、所謂必要的共同訴訟には当らない。従って、第1審において共同被告の1人であるDについて弁論を分離して同被告に対してのみ判決を言渡したことは何等違法ではなく、原審がこの分離を問題としないで裁判したことは正当であり、論旨は理由がない。」
判旨:「主たる債務者と連帯保証人とを共同被告として訴が提起された場合でも、主債務者と保証人との間に権利関係が同一にのみ確定しなければ訴の目的が達せられないものではないから、所謂必要的共同訴訟には当らない。従って、第1審において共同被告の1人であるDについて弁論を分離して同被告に対してのみ判決を言渡したことは何等違法ではなく、原審がこの分離を問題としないで裁判したことは正当であり、論旨は理由がない。」
過去問・解説
(R3 予備 第37問 ア)
主債務者と連帯保証人を共同被告として訴えが提起された場合に、裁判所は、不出頭の連帯保証人につき口頭弁論を分離して判決をすることができない。
主債務者と連帯保証人を共同被告として訴えが提起された場合に、裁判所は、不出頭の連帯保証人につき口頭弁論を分離して判決をすることができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭27.12.25)は、「主たる債務者と連帯保証人とを共同被告として訴が提起された場合でも、…所謂必要的共同訴訟には当らない。従って、第1審において共同被告の1人であるDについて弁論を分離して同被告に対してのみ判決を言渡したことは何等違法ではな…い。」としている。
したがって、弁論分離の禁止という必要的共同訴訟の規律は適用されず、裁判所は、不出頭の連帯保証人につき口頭弁論を分離して判決をすることができる。
判例(最判昭27.12.25)は、「主たる債務者と連帯保証人とを共同被告として訴が提起された場合でも、…所謂必要的共同訴訟には当らない。従って、第1審において共同被告の1人であるDについて弁論を分離して同被告に対してのみ判決を言渡したことは何等違法ではな…い。」としている。
したがって、弁論分離の禁止という必要的共同訴訟の規律は適用されず、裁判所は、不出頭の連帯保証人につき口頭弁論を分離して判決をすることができる。
総合メモ
不動産の賃貸人が共同賃借人のうちの1人を被告として賃貸借契約の終了に基づき不動産の明渡しを求める訴えを提起する場合 大判大正7年3月19日
過去問・解説
(H30 予備 第33問 5)
不動産の賃貸人は、共同賃借人のうちの1人を被告として、賃貸借契約の終了に基づき、不動産の明渡しを求める訴えを提起することができる。
不動産の賃貸人は、共同賃借人のうちの1人を被告として、賃貸借契約の終了に基づき、不動産の明渡しを求める訴えを提起することができる。
(正答)〇
(解説)
40条1項は、「訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その1人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。」と規定しているため、賃貸人から共同賃借人に対する、賃貸借契約終了に基づく不動産明渡請求訴訟が必要的共同訴訟に当たるのであれば、共同賃借人のうちの1人を被告とすることができないこととなる。
これについて、判例(大判大7.3.19)は、共同賃借人に対する賃貸借契約の終了に基づく目的物返還請求権としての不動産明渡請求が提起された事案において、「賃貸人カ共同賃借人ノ1人ノミヲ被告トシテ賃貸物ノ返還ヲ訴求シタルハ正当ナリ」として、かかる訴訟を固有必要的共同訴訟としていない。
したがって、不動産の賃貸人は、共同賃借人のうちの1人を被告として、賃貸借契約の終了に基づき、不動産の明渡しを求める訴えを提起することができる。
40条1項は、「訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その1人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。」と規定しているため、賃貸人から共同賃借人に対する、賃貸借契約終了に基づく不動産明渡請求訴訟が必要的共同訴訟に当たるのであれば、共同賃借人のうちの1人を被告とすることができないこととなる。
これについて、判例(大判大7.3.19)は、共同賃借人に対する賃貸借契約の終了に基づく目的物返還請求権としての不動産明渡請求が提起された事案において、「賃貸人カ共同賃借人ノ1人ノミヲ被告トシテ賃貸物ノ返還ヲ訴求シタルハ正当ナリ」として、かかる訴訟を固有必要的共同訴訟としていない。
したがって、不動産の賃貸人は、共同賃借人のうちの1人を被告として、賃貸借契約の終了に基づき、不動産の明渡しを求める訴えを提起することができる。
総合メモ
不動産共有者の1人のみによる登記簿上の所有名義人に対する登記抹消請求 最一小判昭和31年5月10日
概要
不動産共有者の1人はその持分権に基づき、単独で当該不動産につき所有名義人に対し登記の抹消を請求することができる。
判例
事案:不動産共有者の1人のみにより、所有名義人に対する登記抹消請求がなされた事案において、不動産共有者の1人はその持分権に基づき、単独で当該不動産につき所有名義人に対し登記の抹消を請求することが許されるかが問題となった。
判旨:「不動産の共有権者の1人がその持分に基ずき当該不動産につき登記簿上所有名義者たるものに対してその登記の抹消を求めることは、妨害排除の請求に外ならずいわゆる保存行為に属するものというべく、従って、共同相続人の1人が単独で本件不動産に対する所有権移転登記の全部の抹消を求めうる。」
判旨:「不動産の共有権者の1人がその持分に基ずき当該不動産につき登記簿上所有名義者たるものに対してその登記の抹消を求めることは、妨害排除の請求に外ならずいわゆる保存行為に属するものというべく、従って、共同相続人の1人が単独で本件不動産に対する所有権移転登記の全部の抹消を求めうる。」
過去問・解説
(H26 共通 第57問 2)
判例の趣旨によれば、土地の共有者の1人が不実の登記名義を有する者を被告としてその抹消登記手続を求める訴えを提起することはできない。
判例の趣旨によれば、土地の共有者の1人が不実の登記名義を有する者を被告としてその抹消登記手続を求める訴えを提起することはできない。
(正答)✕
(解説)
40条1項は、「訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その1人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。」と規定しているため、土地共有者の1人から不実の登記名義を有する者に対する、抹消登記手続請求訴訟が必要的共同訴訟に当たるのであれば、土地共有者は単独で原告となることができないこととなる。
これについて、判例(最判昭31.5.10)は、「共同相続人の1人が単独で本件不動産に対する所有権移転登記の全部の抹消を求めうる。」としている。
したがって、土地の共有者の1人が不実の登記名義を有する者を被告としてその抹消登記手続を求める訴えを提起することも可能である。
40条1項は、「訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その1人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。」と規定しているため、土地共有者の1人から不実の登記名義を有する者に対する、抹消登記手続請求訴訟が必要的共同訴訟に当たるのであれば、土地共有者は単独で原告となることができないこととなる。
これについて、判例(最判昭31.5.10)は、「共同相続人の1人が単独で本件不動産に対する所有権移転登記の全部の抹消を求めうる。」としている。
したがって、土地の共有者の1人が不実の登記名義を有する者を被告としてその抹消登記手続を求める訴えを提起することも可能である。
(H30 予備 第33問 1)
不動産の共有者は、共有者以外の者がその不動産につき不実の所有権移転登記を経由した場合には、その者を被告として、各自単独で、持分権に基づき、所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えを提起することができる。
不動産の共有者は、共有者以外の者がその不動産につき不実の所有権移転登記を経由した場合には、その者を被告として、各自単独で、持分権に基づき、所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えを提起することができる。
(正答)〇
(解説)
40条1項は、「訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その1人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。」と規定しているため、土地共有者の1人から不実の登記名義を有する者に対する、抹消登記手続請求訴訟が必要的共同訴訟に当たるのであれば、不動産共有者は単独で原告となることができないこととなる。
これについて、判例(最判昭31.5.10)は、「共同相続人の1人が単独で本件不動産に対する所有権移転登記の全部の抹消を求めうる。」としている。
したがって、不動産の共有者は、共有者以外の者がその不動産につき不実の所有権移転登記を経由した場合には、その者を被告として、各自単独で、持分権に基づき、所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えを提起することができる。
40条1項は、「訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その1人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。」と規定しているため、土地共有者の1人から不実の登記名義を有する者に対する、抹消登記手続請求訴訟が必要的共同訴訟に当たるのであれば、不動産共有者は単独で原告となることができないこととなる。
これについて、判例(最判昭31.5.10)は、「共同相続人の1人が単独で本件不動産に対する所有権移転登記の全部の抹消を求めうる。」としている。
したがって、不動産の共有者は、共有者以外の者がその不動産につき不実の所有権移転登記を経由した場合には、その者を被告として、各自単独で、持分権に基づき、所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えを提起することができる。
総合メモ
不動産の買主が、その売主の相続人に対し、売買を原因として、当該不動産について所有権移転登記を求める訴訟において売主の相続人が複数いる場合 最二小判昭和36年12月15日
概要
不動産の買主が、その売主の相続人に対し、売買を原因として、当該不動産について所有権移転登記を求める訴訟は、その相続人が数人いるときでも、固有必要的共同訴訟ではない。
判例
事案:不動産の買主が、その売主の相続人に対し、売買を原因として、当該不動産について所有権移転登記を求める訴訟はを提起した事案において、買主の売主の相続人に対する売買契約に基づく所有権移転登記請求権訴訟は固有必要的共同訴訟にならないかが問題となった。
判旨:「本件は昭和18年12月30日上告人の二男Dから本件宅地をその地上建物と共に買い受けた被上告人が、同24年1月1日右Dの死亡による相続によって右Dの売買契約上の債務を承継した上告人に対し、右契約にもとづき本件宅地の所有権移転の登記を請求する訴訟であることは記録上あきらかである。すなわち、被上告人の本訴において請求するところは、上告人が相続によって承継した前記Dの所有権移転登記義務の履行である。かくのごとき債務は、いわゆる不可分債務であるから、たとえ上告人主張のごとく、上告人の外に共同相続人が存在するとしても、被上告人は上告人1人に対して右登記義務の履行を請求し得るものであって、所論のごとく必要的共同訴訟の関係に立つものではないのである。」
判旨:「本件は昭和18年12月30日上告人の二男Dから本件宅地をその地上建物と共に買い受けた被上告人が、同24年1月1日右Dの死亡による相続によって右Dの売買契約上の債務を承継した上告人に対し、右契約にもとづき本件宅地の所有権移転の登記を請求する訴訟であることは記録上あきらかである。すなわち、被上告人の本訴において請求するところは、上告人が相続によって承継した前記Dの所有権移転登記義務の履行である。かくのごとき債務は、いわゆる不可分債務であるから、たとえ上告人主張のごとく、上告人の外に共同相続人が存在するとしても、被上告人は上告人1人に対して右登記義務の履行を請求し得るものであって、所論のごとく必要的共同訴訟の関係に立つものではないのである。」
過去問・解説
(H27 予備 第44問 4)
AがBから甲土地を買い受けた場合において、その所有権移転登記がされる前にBが死亡し、C及びDがAに対して所有権移転登記手続をする義務をBから共同相続したときは、Aは、C又はDのいずれか一方を被告としてB名義で登記されている甲土地につき所有権移転登記手続を求める訴えを提起することができる。
AがBから甲土地を買い受けた場合において、その所有権移転登記がされる前にBが死亡し、C及びDがAに対して所有権移転登記手続をする義務をBから共同相続したときは、Aは、C又はDのいずれか一方を被告としてB名義で登記されている甲土地につき所有権移転登記手続を求める訴えを提起することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭36.12.15)は、「かくのごとき債務は、いわゆる不可分債務であるから、たとえ上告人主張のごとく、上告人の外に共同相続人が存在するとしても、被上告人は上告人1人に対して右登記義務の履行を請求し得るものであって、所論のごとく必要的共同訴訟の関係に立つものではないのである。」としている。
したがって、Aは、C又はDのいずれか一方を被告として、B名義で登記されている甲土地につき所有権移転登記手続を求める訴えを提起することができる。
判例(最判昭36.12.15)は、「かくのごとき債務は、いわゆる不可分債務であるから、たとえ上告人主張のごとく、上告人の外に共同相続人が存在するとしても、被上告人は上告人1人に対して右登記義務の履行を請求し得るものであって、所論のごとく必要的共同訴訟の関係に立つものではないのである。」としている。
したがって、Aは、C又はDのいずれか一方を被告として、B名義で登記されている甲土地につき所有権移転登記手続を求める訴えを提起することができる。
総合メモ
土地の共有者が、その土地の一部が自己の所有に属すると主張する第三者に対し、各自単独で、係争地が自己の共有持分権に属することの確認の訴えをする場合 最一小判昭和40年5月20日
概要
土地の共有者は、その土地の一部が自己の所有に属すると主張する第三者に対し、各自単独で、係争地が自己の共有持分権に属することの確認の訴えをすることができる。
判例
事案:土地の共有者が、その土地の一部が自己の所有に属すると主張する第三者に対し、単独で、係争地が自己の共有持分権に属することの確認の訴えを提起した事案において、共有持分権の及ぶ土地の範囲の確認を求める訴えが、固有必要的共同訴訟にあたらないかが問題となった。
判旨:「共有持分権の及ぶ範囲は、共有地の全部にわたる(民法249条(現:249条1項))のであるから、各共有者は、その持分権にもとづき、その土地の一部が自己の所有に属すると主張する第三者に対し、単独で、係争地が自己の共有持分権に属することの確認を訴求することができるのは当然である(昭和3年12月17日大審院判決、民集7巻1095頁参照)。」
判旨:「共有持分権の及ぶ範囲は、共有地の全部にわたる(民法249条(現:249条1項))のであるから、各共有者は、その持分権にもとづき、その土地の一部が自己の所有に属すると主張する第三者に対し、単独で、係争地が自己の共有持分権に属することの確認を訴求することができるのは当然である(昭和3年12月17日大審院判決、民集7巻1095頁参照)。」
総合メモ
土地所有権に基づいて建物共有者に対し建物収去及び土地明渡を求める訴え 最二小判昭和43年3月15日
概要
土地の所有者が、その所有権に基づいて、土地上にある建物の所有権を共同相続によって取得した者らに対し、建物収去土地明渡しを求める訴訟は、固有必要的共同訴訟ではないと解すべきである。
判例
事案:土地の所有者Xが、その所有権に基づいて、土地上にある建物の所有しているYらに対して建物収去土地明渡請求訴訟を提起した後、口頭弁論終結前に被告の1人であるY1が死亡したことから、その共同相続人であるZ1、Z2、Z3に対して受継申立てをしたところ、Z4という共同相続人が他に存在していた事案において、土地所有権に基づいて建物共有者に対し建物収去土地明渡しを求める訴訟は固有必要的共同訴訟とならないかが問題となった。
判旨:「土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではないと解すべきである。けだし、右の場合、共同相続人らの義務はいわゆる不可分債務であるから、その請求において理由があるときは、同人らは土地所有者に対する関係では、各自係争物件の全部についてその侵害行為の全部を除去すべき義務を負うのであって、土地所有者は共同相続人ら各自に対し、順次その義務の履行を訴求することができ、必ずしも全員に対して同時に訴を提起し、同時に判決を得ることを要しないからである。もし論旨のいうごとくこれを固有必要的共同訴訟であると解するならば、共同相続人の全部を共同の被告としなければ被告たる当事者適格を有しないことになるのであるが、そうだとすると、原告は、建物収去土地明渡の義務あることについて争う意思を全く有しない共同相続人をも被告としなければならないわけであり、また被告たる共同相 続人のうちで訴訟進行中に原告の主張を認めるにいたった者がある場合でも、当該被告がこれを認諾し、または原告がこれに対する訴を取り下げる等の手段に出ることができず、いたずらに無用の手続を重ねなければならないことになるのである。のみならず、相続登記のない家屋を数人の共同相続人が所有してその敷地を不法に占拠しているような場合には、その所有者が果して何びとであるかを明らかにしえないことが稀ではない。そのような場合は、その一部の者を手続に加えなかったために、既になされた訴訟手続ないし判決が無効に帰するおそれもあるのである。以上のように、これを必要的共同訴訟と解するならば、手続上の不経済と不安定を招来するおそれなしとしないのであって、これらの障碍を避けるためにも、これを必要的共同訴訟と解しないのが相当である。また、他面、これを通常の共同訴訟であると解したとしても、一般に、土地所有者は、共同相続人各自に対して債務名義を取得するか、あるいはその同意をえたうえでなければ、その強制執行をすることが許されないのであるから、かく解することが、直ちに、被告の権利保護に欠けるものとはいえないのである。そうであれば、本件において、所論の如く、他に同被告の承継人が存在する場合であっても、受継手続を了した者のみについて手続を進行し、その者との関係においてのみ審理判決することを妨げる理由はない。」
判旨:「土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではないと解すべきである。けだし、右の場合、共同相続人らの義務はいわゆる不可分債務であるから、その請求において理由があるときは、同人らは土地所有者に対する関係では、各自係争物件の全部についてその侵害行為の全部を除去すべき義務を負うのであって、土地所有者は共同相続人ら各自に対し、順次その義務の履行を訴求することができ、必ずしも全員に対して同時に訴を提起し、同時に判決を得ることを要しないからである。もし論旨のいうごとくこれを固有必要的共同訴訟であると解するならば、共同相続人の全部を共同の被告としなければ被告たる当事者適格を有しないことになるのであるが、そうだとすると、原告は、建物収去土地明渡の義務あることについて争う意思を全く有しない共同相続人をも被告としなければならないわけであり、また被告たる共同相 続人のうちで訴訟進行中に原告の主張を認めるにいたった者がある場合でも、当該被告がこれを認諾し、または原告がこれに対する訴を取り下げる等の手段に出ることができず、いたずらに無用の手続を重ねなければならないことになるのである。のみならず、相続登記のない家屋を数人の共同相続人が所有してその敷地を不法に占拠しているような場合には、その所有者が果して何びとであるかを明らかにしえないことが稀ではない。そのような場合は、その一部の者を手続に加えなかったために、既になされた訴訟手続ないし判決が無効に帰するおそれもあるのである。以上のように、これを必要的共同訴訟と解するならば、手続上の不経済と不安定を招来するおそれなしとしないのであって、これらの障碍を避けるためにも、これを必要的共同訴訟と解しないのが相当である。また、他面、これを通常の共同訴訟であると解したとしても、一般に、土地所有者は、共同相続人各自に対して債務名義を取得するか、あるいはその同意をえたうえでなければ、その強制執行をすることが許されないのであるから、かく解することが、直ちに、被告の権利保護に欠けるものとはいえないのである。そうであれば、本件において、所論の如く、他に同被告の承継人が存在する場合であっても、受継手続を了した者のみについて手続を進行し、その者との関係においてのみ審理判決することを妨げる理由はない。」
過去問・解説
(H19 司法 第67問 1)
土地所有者Xが、土地上の建物を共有して土地を占有しているY1及びY2に対し提起した建物収去土地明渡請求訴訟において、Y1が訴訟係属中に死亡した場合、XY1間の訴訟手続は中断するが、XY2間の訴訟手続は中断しない。なお、原告、被告とも訴訟代理人を選任していなかったものとする。
土地所有者Xが、土地上の建物を共有して土地を占有しているY1及びY2に対し提起した建物収去土地明渡請求訴訟において、Y1が訴訟係属中に死亡した場合、XY1間の訴訟手続は中断するが、XY2間の訴訟手続は中断しない。なお、原告、被告とも訴訟代理人を選任していなかったものとする。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭43.3.15)は、「土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではない…。」としている。
したがって、土地所有者Xが、土地上の建物を共有して土地を占有しているY1及びY2に対し提起した建物収去土地明渡請求訴訟は通常共同訴訟である。
次に、124条1項は、柱書前段において、「次の各号に掲げる事由があるときは、訴訟手続は、中断する。」と規定し、1号において、「当事者の死亡」を掲げている。これに併せて、「共同訴訟人の1人の訴訟行為、共同訴訟人の1人に対する相手方の訴訟行為及び共同訴訟人の1人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない。」(39条)という共同訴訟人独立の原則も考慮すると、Y1が訴訟係属中に死亡した場合、XY1間の訴訟手続は中断するが、XY2間の訴訟手続は中断しない。
判例(最判昭43.3.15)は、「土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではない…。」としている。
したがって、土地所有者Xが、土地上の建物を共有して土地を占有しているY1及びY2に対し提起した建物収去土地明渡請求訴訟は通常共同訴訟である。
次に、124条1項は、柱書前段において、「次の各号に掲げる事由があるときは、訴訟手続は、中断する。」と規定し、1号において、「当事者の死亡」を掲げている。これに併せて、「共同訴訟人の1人の訴訟行為、共同訴訟人の1人に対する相手方の訴訟行為及び共同訴訟人の1人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない。」(39条)という共同訴訟人独立の原則も考慮すると、Y1が訴訟係属中に死亡した場合、XY1間の訴訟手続は中断するが、XY2間の訴訟手続は中断しない。
(H21 司法 第72問 4)
土地所有権に基づく建物収去土地明渡しを請求する訴訟の係属中、建物所有者である被告が死亡した場合、訴訟代理人がいない限り訴訟手続は中断するが、その後、共同相続人の一部の者が訴訟手続を受継したとき、受継した者との間だけで審理、判決することは許されない。
土地所有権に基づく建物収去土地明渡しを請求する訴訟の係属中、建物所有者である被告が死亡した場合、訴訟代理人がいない限り訴訟手続は中断するが、その後、共同相続人の一部の者が訴訟手続を受継したとき、受継した者との間だけで審理、判決することは許されない。
(正答)✕
(解説)
124条1項は、柱書前段において、「次の各号に掲げる事由があるときは、訴訟手続は、中断する。」と規定し、1号において、「当事者の死亡」を掲げている。そして、同条は、2項において、「前項の規定は、訴訟代理人がある間は、適用しない。」と規定している。
したがって、土地所有権に基づく建物収去土地明渡しを請求する訴訟の係属中、建物所有者である被告が死亡した場合、訴訟代理人がいない限り訴訟手続は中断する。
また、判例(最判昭43.3.15)は、「土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではない…。」としている。
よって、土地所有権に基づく建物収去土地明渡しを請求する訴訟の係属中、建物所有者である被告が死亡した後、共同相続人の一部の者が訴訟手続を受継した場合について、受継した者との間だけで審理、判決することは許される。
124条1項は、柱書前段において、「次の各号に掲げる事由があるときは、訴訟手続は、中断する。」と規定し、1号において、「当事者の死亡」を掲げている。そして、同条は、2項において、「前項の規定は、訴訟代理人がある間は、適用しない。」と規定している。
したがって、土地所有権に基づく建物収去土地明渡しを請求する訴訟の係属中、建物所有者である被告が死亡した場合、訴訟代理人がいない限り訴訟手続は中断する。
また、判例(最判昭43.3.15)は、「土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではない…。」としている。
よって、土地所有権に基づく建物収去土地明渡しを請求する訴訟の係属中、建物所有者である被告が死亡した後、共同相続人の一部の者が訴訟手続を受継した場合について、受継した者との間だけで審理、判決することは許される。
(H26 共通 第57問 4)
判例の趣旨によれば、土地所有者がその所有権に基づいて土地上の建物の共有者を相手方として建物収去土地明渡しを求める訴えを提起する場合には、建物共有者全員を被告にしなければならない。
判例の趣旨によれば、土地所有者がその所有権に基づいて土地上の建物の共有者を相手方として建物収去土地明渡しを求める訴えを提起する場合には、建物共有者全員を被告にしなければならない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭43.3.15)は、「土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではない。」としている。
したがって、土地所有者がその所有権に基づいて土地上の建物の共有者を相手方として建物収去土地明渡しを求める訴えを提起する場合に、建物共有者全員を被告にする必要はない。
判例(最判昭43.3.15)は、「土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではない。」としている。
したがって、土地所有者がその所有権に基づいて土地上の建物の共有者を相手方として建物収去土地明渡しを求める訴えを提起する場合に、建物共有者全員を被告にする必要はない。
(H30 予備 第33問 4)
土地の所有者は、土地上の建物の共有者のうちの1人を被告として、所有権に基づき、建物収去土地明渡しを求める訴えを提起することができる。
土地の所有者は、土地上の建物の共有者のうちの1人を被告として、所有権に基づき、建物収去土地明渡しを求める訴えを提起することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭43.3.15)は、「土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではない…。」としている。
したがって、土地の所有者は、土地上の建物の共有者のうちの1人を被告として、所有権に基づき、建物収去土地明渡しを求める訴えを提起することができる。
判例(最判昭43.3.15)は、「土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではない…。」としている。
したがって、土地の所有者は、土地上の建物の共有者のうちの1人を被告として、所有権に基づき、建物収去土地明渡しを求める訴えを提起することができる。
(R5 予備 第33問 5)
甲土地の所有者Xが、甲土地上にある建物を共同で相続したY1及びY2のうち、Y1のみに対して、土地所有権に基づき建物収去土地明渡しを求める訴えを提起することは、不適法なものとして許されない。
甲土地の所有者Xが、甲土地上にある建物を共同で相続したY1及びY2のうち、Y1のみに対して、土地所有権に基づき建物収去土地明渡しを求める訴えを提起することは、不適法なものとして許されない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭43.3.15)は、「土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではない…。」としている。
したがって、本紙における訴えは固有必要的共同訴訟ではなく通常共同訴訟であるから、甲土地の所有者Xが、甲土地上にある建物を共同で相続したY1及びY2のうち、Y1のみに対して、土地所有権に基づき建物収去土地明渡しを求める訴えを提起することは、適法である。
判例(最判昭43.3.15)は、「土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではない…。」としている。
したがって、本紙における訴えは固有必要的共同訴訟ではなく通常共同訴訟であるから、甲土地の所有者Xが、甲土地上にある建物を共同で相続したY1及びY2のうち、Y1のみに対して、土地所有権に基づき建物収去土地明渡しを求める訴えを提起することは、適法である。
(R6 予備 第43問 ア)
Xの所有する甲土地上に乙建物を所有していたAが死亡し、Y1とY2がAを相続した。この場合において、XがY1のみを被告として乙建物を収去して甲土地を明け渡すことを求める訴えを提起したときは、裁判所は、この訴えを不適法なものとして却下しなければならない。
Xの所有する甲土地上に乙建物を所有していたAが死亡し、Y1とY2がAを相続した。この場合において、XがY1のみを被告として乙建物を収去して甲土地を明け渡すことを求める訴えを提起したときは、裁判所は、この訴えを不適法なものとして却下しなければならない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭43.3.15)は、「土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではない…。」としている。
したがって、共同相続人であるY1とY2を相手方とする乙建物収去甲土地明渡請求は、必要的共同訴訟ではないため、XがY1のみを被告として同請求をしても、この訴えは適法である。
判例(最判昭43.3.15)は、「土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではない…。」としている。
したがって、共同相続人であるY1とY2を相手方とする乙建物収去甲土地明渡請求は、必要的共同訴訟ではないため、XがY1のみを被告として同請求をしても、この訴えは適法である。
総合メモ
共同相続人に対して契約上の義務の履行として所有権移転登記手続を求める訴え 最一小判昭和44年4月17日
概要
不動産について、被相続人との間に締結された契約上の義務の履行として、所有権移転登記手続を求める訴訟は、その相続人が数人いるときでも、固有必要的共同訴訟ではない。
判例
事案:共同相続人に対して契約上の義務の履行として所有権移転登記手続を求める訴訟が提起された事案において、かかる訴訟が、固有必要的共同訴訟にならないかが問題となった。
判旨:「不動産について被相続人との間に締結された契約上の義務の履行を主張して、所有権移転登記手続を求める訴訟は、その相続人が数人いるときでも、必要的共同訴訟ではないと解するのが、当裁判所の判例(昭和33年(オ)第517号・同36年12月15日第二小法廷判決・民集15巻11号2865頁、昭和39年(オ)第140号・同39年7月16日第一小法廷判決・裁判集74号659頁、昭和37年(オ)第1437号・同39年7月28日第三小法廷判決・裁判集74号755頁)とするところであり、これを今なお変更する必要がないと思料するから、本件のように、贈与を理由として、贈与者の相続人に対し所有権移転登記手続を求める訴訟は、その相続人が数人いるときでも、必要的共同訴訟ではないと解せられ、したがって論旨の失当なことは前記説述したところから明らかであり、所論は採用できない。」
判旨:「不動産について被相続人との間に締結された契約上の義務の履行を主張して、所有権移転登記手続を求める訴訟は、その相続人が数人いるときでも、必要的共同訴訟ではないと解するのが、当裁判所の判例(昭和33年(オ)第517号・同36年12月15日第二小法廷判決・民集15巻11号2865頁、昭和39年(オ)第140号・同39年7月16日第一小法廷判決・裁判集74号659頁、昭和37年(オ)第1437号・同39年7月28日第三小法廷判決・裁判集74号755頁)とするところであり、これを今なお変更する必要がないと思料するから、本件のように、贈与を理由として、贈与者の相続人に対し所有権移転登記手続を求める訴訟は、その相続人が数人いるときでも、必要的共同訴訟ではないと解せられ、したがって論旨の失当なことは前記説述したところから明らかであり、所論は採用できない。」
過去問・解説
(H30 予備 第33問 2)
被相続人から被相続人名義の不動産の贈与を受けた者は、被相続人の共同相続人のうちの1人を被告として、贈与契約に基づき、所有権移転登記手続を求める訴えを提起することができる。
被相続人から被相続人名義の不動産の贈与を受けた者は、被相続人の共同相続人のうちの1人を被告として、贈与契約に基づき、所有権移転登記手続を求める訴えを提起することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭44.4.17)は、「贈与を理由として、贈与者の相続人に対し所有権移転登記手続を求める訴訟は、その相続人が数人いるときでも、必要的共同訴訟ではない…。」としている。
したがって、被相続人から被相続人名義の不動産の贈与を受けた者は、被相続人の共同相続人のうちの1人を被告として、贈与契約に基づき、所有権移転登記手続を求める訴えを提起することができる。
判例(最判昭44.4.17)は、「贈与を理由として、贈与者の相続人に対し所有権移転登記手続を求める訴訟は、その相続人が数人いるときでも、必要的共同訴訟ではない…。」としている。
したがって、被相続人から被相続人名義の不動産の贈与を受けた者は、被相続人の共同相続人のうちの1人を被告として、贈与契約に基づき、所有権移転登記手続を求める訴えを提起することができる。
総合メモ
入会部落の構成員が有する使用収益権の確認又はこれに基づく妨害排除の請求 最一小判昭和57年7月1日
概要
①入会部落の構成員が有する使用収益権の確認またはこれに基づく妨害排除の請求については、構成員各自に当事者適格がある。
②入会部落の構成員は、自己の有する使用収益権を根拠としては、入会地について経由された地上権設定仮登記の抹消登記手続を請求することができない。
②入会部落の構成員は、自己の有する使用収益権を根拠としては、入会地について経由された地上権設定仮登記の抹消登記手続を請求することができない。
判例
事案:XがY神社に対し、本件土地における地上権の確認とや本件土地引渡しを求めて訴えを提起した後、本件土地を入会地をして使用収益していた地元部落民Zらが当事者参加し、本件土地につき入会権に基づく使用収益権確認及び妨害禁止等を請求した事案において、①入会部落の構成員が有する使用収益権の確認またはこれに基づく妨害排除の請求について、構成員の各自に当事者適格が認められるか、②入会部落の構成員が有する使用収益権に基づき、地上権設定仮登記抹消登記手続請求ができないかなどが問題となった。
判旨:①「入会部落の構成員が入会権の対象である山林原野において入会権の内容である使用収益を行う権能は、入会部落の構成員たる資格に基づいて個別的に認められる権能であって、入会権そのものについての管理処分の権能とは異なり、部落内で定められた規律に従わなければならないという拘束を受けるものであるとはいえ、本来、各自が単独で行使することができるものであるから、右使用収益権を争い又はその行使を妨害する者がある場合には、その者が入会部落の構成員であるかどうかを問わず、各自が単独で、その者を相手方として自己の使用収益権の確認又は妨害の排除を請求することができるものと解するのが相当である。」
②「本件山林について経由された地上権設定仮登記の抹消登記手続請求の当否について検討するに、当事者参加人らが有する使用収益権を根拠にしては右抹消登記手続を請求することはできないものと解するのが相当である。けだし、原審が適法に確定したところによれば、当事者参加人らが入会部落の構成員として入会権の内容である使用収益を行う権能は、本件山林に立ち入って採枝、採草等の収益行為を行うことのできる権能にとどまることが明らかであるところ、かかる権能の行使自体は、特段の事情のない限り、単に本件山林につき地上権設定に関する登記が存在することのみによっては格別の妨害を受けることはないと考えられるからである。もっとも、かかる地上権設定に関する登記の存在は、入会権自体に対しては侵害的性質をもつといえるから、入会権自体に基づいて右登記の抹消請求をすることは可能であるが、かかる妨害排除請求 権の訴訟上の主張、行使は、入会権そのものの管理処分に関する事項であって、入会部落の個々の構成員は、右の管理処分については入会部落の一員として参与しうる資格を有するだけで、共有におけるような持分権又はこれに類する権限を有するものではないから、構成員各自においてかかる入会権自体に対する妨害排除としての抹消登記を請求することはできないのである。」
判旨:①「入会部落の構成員が入会権の対象である山林原野において入会権の内容である使用収益を行う権能は、入会部落の構成員たる資格に基づいて個別的に認められる権能であって、入会権そのものについての管理処分の権能とは異なり、部落内で定められた規律に従わなければならないという拘束を受けるものであるとはいえ、本来、各自が単独で行使することができるものであるから、右使用収益権を争い又はその行使を妨害する者がある場合には、その者が入会部落の構成員であるかどうかを問わず、各自が単独で、その者を相手方として自己の使用収益権の確認又は妨害の排除を請求することができるものと解するのが相当である。」
②「本件山林について経由された地上権設定仮登記の抹消登記手続請求の当否について検討するに、当事者参加人らが有する使用収益権を根拠にしては右抹消登記手続を請求することはできないものと解するのが相当である。けだし、原審が適法に確定したところによれば、当事者参加人らが入会部落の構成員として入会権の内容である使用収益を行う権能は、本件山林に立ち入って採枝、採草等の収益行為を行うことのできる権能にとどまることが明らかであるところ、かかる権能の行使自体は、特段の事情のない限り、単に本件山林につき地上権設定に関する登記が存在することのみによっては格別の妨害を受けることはないと考えられるからである。もっとも、かかる地上権設定に関する登記の存在は、入会権自体に対しては侵害的性質をもつといえるから、入会権自体に基づいて右登記の抹消請求をすることは可能であるが、かかる妨害排除請求 権の訴訟上の主張、行使は、入会権そのものの管理処分に関する事項であって、入会部落の個々の構成員は、右の管理処分については入会部落の一員として参与しうる資格を有するだけで、共有におけるような持分権又はこれに類する権限を有するものではないから、構成員各自においてかかる入会権自体に対する妨害排除としての抹消登記を請求することはできないのである。」