①境界確定の訴えは、当事者相互の相接する各所有地間の境界に争いがあるため、その境界を現地に即し具体的に定める創設的判決を求める訴えである。
②境界確定の訴えは、当事者相互の相接する各所有地間の境界が不明であるかまたは争いがあることの主張がなされれば足り、原告において特定の境界線の存在を主張する必要はない。
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訴え(形式的形成訴訟)
境界確定の訴えの性質 最二小判昭和41年5月20日
概要
判例
事案:隣接する土地を有するXとYの間で、境界に争いがあるため、XがYに対して境界を具体的に定めるための訴えを提起した事案において、①かかる訴えの性質、及び、②境界確定の訴えにおいて、原告は特定の境界線の存在を主張する必要がないかが問題となった。
判旨:①「被上告人の上告人に対する本件訴は、当事者相互の相接する各所有土地間の境界に争があるため、その境界を現地に即し具体的に定める創設的判決を求める、いわゆる境界確定の訴であって、所論B地区が被上告人の所有に属することの確認を求める所有権確認の訴ではなく、相隣者間の土地所有権の範囲の確認を目的とする訴でもない。」
②「いわゆる境界確定の訴にあっては、当事者間の相接する所有地相互の境界が不明ないし争あることの主張がなされれば十分であって、原告において特定の境界線の存在を主張する必要はない…。」
判旨:①「被上告人の上告人に対する本件訴は、当事者相互の相接する各所有土地間の境界に争があるため、その境界を現地に即し具体的に定める創設的判決を求める、いわゆる境界確定の訴であって、所論B地区が被上告人の所有に属することの確認を求める所有権確認の訴ではなく、相隣者間の土地所有権の範囲の確認を目的とする訴でもない。」
②「いわゆる境界確定の訴にあっては、当事者間の相接する所有地相互の境界が不明ないし争あることの主張がなされれば十分であって、原告において特定の境界線の存在を主張する必要はない…。」
過去問・解説
(H29 予備 第44問 5)
所有権確認訴訟では、請求の趣旨において原告の主張する土地所有権の範囲を特定する必要があるが、筆界(境界)確定訴訟では、請求の趣旨において原告の主張する筆界(境界)を特定する必要はない。
所有権確認訴訟では、請求の趣旨において原告の主張する土地所有権の範囲を特定する必要があるが、筆界(境界)確定訴訟では、請求の趣旨において原告の主張する筆界(境界)を特定する必要はない。
(正答)〇
(解説)
所有権確認訴訟では、原告は自らが主張する土地所有権の範囲を特定する必要がある(134条2項2号参照)。
これについて、判例(最判昭41.5.20)は、「境界確定の訴にあっては、…原告において特定の境界線の存在を主張する必要はない…。」としている。
したがって、境界確定訴訟では、請求の趣旨において原告の主張する境界を特定する必要はない。
所有権確認訴訟では、原告は自らが主張する土地所有権の範囲を特定する必要がある(134条2項2号参照)。
これについて、判例(最判昭41.5.20)は、「境界確定の訴にあっては、…原告において特定の境界線の存在を主張する必要はない…。」としている。
したがって、境界確定訴訟では、請求の趣旨において原告の主張する境界を特定する必要はない。
(R4 予備 第35問 ア)
筆界確定の訴えの請求の趣旨として、原告は、隣接する両土地の筆界を確定する旨の判決を求めるだけでは足りず、特定の筆界を明示しなければならない。
筆界確定の訴えの請求の趣旨として、原告は、隣接する両土地の筆界を確定する旨の判決を求めるだけでは足りず、特定の筆界を明示しなければならない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭41.5.20)は、「境界確定の訴にあっては、当事者間の相接する所有地相互の境界が不明ないし争あることの主張がなされれば十分であって、原告において特定の境界線の存在を主張する必要はない…。」としている。
判例(最判昭41.5.20)は、「境界確定の訴にあっては、当事者間の相接する所有地相互の境界が不明ないし争あることの主張がなされれば十分であって、原告において特定の境界線の存在を主張する必要はない…。」としている。
総合メモ
境界についての当事者の合意と境界の確定 最三小判昭和42年12月26日
概要
隣接土地所有者間に境界についての合意が成立したことのみによって、合意のとおりの境界を確定することは許されない。
判例
事案:所有権確認請求を審理するにあたり、前提として本件各土地の境界を確定させたところ、これが当事者間に合意が成立したことのみに依拠していた事案において、境界確定については、原告と被告らの間に合意が成立したことのみに依拠し確定させることができるかが問題となった。
判旨:「相隣者間において境界を定めた事実があっても、これによって、その一筆の土地の境界自体は変動しないものというべきである(昭和31年12月28日当裁判所第二小法廷判決・民集10巻12号1639参照)。したがって、右合意の事実を境界確定のための一資料にすることは、もとより差し支えないが、これのみにより確定することは許されないものというべきである。」
判旨:「相隣者間において境界を定めた事実があっても、これによって、その一筆の土地の境界自体は変動しないものというべきである(昭和31年12月28日当裁判所第二小法廷判決・民集10巻12号1639参照)。したがって、右合意の事実を境界確定のための一資料にすることは、もとより差し支えないが、これのみにより確定することは許されないものというべきである。」
過去問・解説
(H20 司法 第56問 4)
筆界(境界)確定の訴えにおいて、被告が原告の請求を認諾する意思表示をしている場合であっても、裁判所は、直ちに認諾により訴訟を終了させることはできないが、証拠調べをした結果、裁判所も原告の主張する境界が相当であるとの心証に至った場合には、認諾により訴訟を終了させることができる。
筆界(境界)確定の訴えにおいて、被告が原告の請求を認諾する意思表示をしている場合であっても、裁判所は、直ちに認諾により訴訟を終了させることはできないが、証拠調べをした結果、裁判所も原告の主張する境界が相当であるとの心証に至った場合には、認諾により訴訟を終了させることができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭42.12.26)は、「相隣者間において境界を定めた事実があっても、これによって、その一筆の土地の境界自体は変動しないものというべきである…。したがって、右合意の事実を境界確定のための一資料にすることは、もとより差し支えないが、これのみにより確定することは許されない…。」としている。
したがって、当事者に訴訟物につき自由に処分する権利があるとはいえないこととなるから、認諾により訴訟を終了させることはできない。
判例(最判昭42.12.26)は、「相隣者間において境界を定めた事実があっても、これによって、その一筆の土地の境界自体は変動しないものというべきである…。したがって、右合意の事実を境界確定のための一資料にすることは、もとより差し支えないが、これのみにより確定することは許されない…。」としている。
したがって、当事者に訴訟物につき自由に処分する権利があるとはいえないこととなるから、認諾により訴訟を終了させることはできない。
(H22 共通 第56問 オ)
筆界(境界)確定の訴えにおいて、両当事者が隣接する土地の間にある溝の中央線を筆界とする旨を合意した場合には、裁判所は当該合意に従って筆界(境界)を定めなければならない。
筆界(境界)確定の訴えにおいて、両当事者が隣接する土地の間にある溝の中央線を筆界とする旨を合意した場合には、裁判所は当該合意に従って筆界(境界)を定めなければならない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭42.12.26)は、「合意の事実を境界確定のための一資料にすることは、もとより差し支えないが、これのみにより確定することは許されない。」としている。
したがって、筆界(境界)確定の訴えにおいて、両当事者が隣接する土地の間にある溝の中央線を筆界とする旨を合意した場合には、裁判所は当該合意に従って筆界(境界)を定めてはならない。
判例(最判昭42.12.26)は、「合意の事実を境界確定のための一資料にすることは、もとより差し支えないが、これのみにより確定することは許されない。」としている。
したがって、筆界(境界)確定の訴えにおいて、両当事者が隣接する土地の間にある溝の中央線を筆界とする旨を合意した場合には、裁判所は当該合意に従って筆界(境界)を定めてはならない。
(H25 共通 第72問 5)
筆界(境界)確定の訴えにおいて、筆界を定める効果を有する内容の和解をすることはできない。
筆界(境界)確定の訴えにおいて、筆界を定める効果を有する内容の和解をすることはできない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭42.12.26)は、「相隣者間において境界を定めた事実があっても、…右合意の事実を境界確定のための一資料にすることは、…差し支えないが、これのみにより確定することは許されない。」としている。
したがって、筆界(境界)確定の訴えにおいて、筆界を定める効果を有する内容の和解をすることはできない。
判例(最判昭42.12.26)は、「相隣者間において境界を定めた事実があっても、…右合意の事実を境界確定のための一資料にすることは、…差し支えないが、これのみにより確定することは許されない。」としている。
したがって、筆界(境界)確定の訴えにおいて、筆界を定める効果を有する内容の和解をすることはできない。
(H29 予備 第44問 1)
所有権確認訴訟では、裁判上の和解により土地所有権の範囲を定めることができるが、筆界(境界)確定訴訟では、裁判上の和解により筆界(境界)を定めることができない。
所有権確認訴訟では、裁判上の和解により土地所有権の範囲を定めることができるが、筆界(境界)確定訴訟では、裁判上の和解により筆界(境界)を定めることができない。
(正答)〇
(解説)
所有権確認訴訟では、裁判上の和解により土地所有権の範囲を定めることができる(267条)。
判例(最判昭42.12.26)は、「相隣者間において境界を定めた事実があっても、これによって、その一筆の土地の境界自体は変動しないものというべきである…。したがって、右合意の事実を境界確定のための一資料にすることは、もとより差し支えないが、これのみにより確定することは許されないものというべきである。」としている。
したがって、筆界(境界)確定訴訟では、当事者に訴訟物につき自由に処分する権利があるとはいえないこととなるから、裁判上の和解により境界を定めることはできない。
所有権確認訴訟では、裁判上の和解により土地所有権の範囲を定めることができる(267条)。
判例(最判昭42.12.26)は、「相隣者間において境界を定めた事実があっても、これによって、その一筆の土地の境界自体は変動しないものというべきである…。したがって、右合意の事実を境界確定のための一資料にすることは、もとより差し支えないが、これのみにより確定することは許されないものというべきである。」としている。
したがって、筆界(境界)確定訴訟では、当事者に訴訟物につき自由に処分する権利があるとはいえないこととなるから、裁判上の和解により境界を定めることはできない。
(R4 予備 第35問 ウ)
相隣者間で筆界につき合意が成立しても、裁判所は、その合意と異なる位置にある線を筆界と定めることができる。
相隣者間で筆界につき合意が成立しても、裁判所は、その合意と異なる位置にある線を筆界と定めることができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭42.12.26)は、相隣者間で筆界につき合意が成立していた事案において、「右合意の事実を境界確定のための一資料にすることは、もとより差し支えないが、これのみにより確定することは許されないものというべきである。」としており、裁判所は、その合意と異なる位置にある線を筆界と定めることができることを前提としている。
判例(最判昭42.12.26)は、相隣者間で筆界につき合意が成立していた事案において、「右合意の事実を境界確定のための一資料にすることは、もとより差し支えないが、これのみにより確定することは許されないものというべきである。」としており、裁判所は、その合意と異なる位置にある線を筆界と定めることができることを前提としている。
総合メモ
境界確定の訴えの当事者適格 最三小判平成7年3月7日
概要
公簿上特定の地番により表示される甲乙両地が相隣接する場合に、乙地の所有者が甲地のうち境界の全部に接続する部分を時効取得したとしても、甲乙両地の各所有者は、境界確定の訴えの当事者適格を失わない。
判例
事案:境界の全部に接続する土地部分を時効取得した事案において、境界確定の訴えの当事者適格が誰に認められるかが問題となった。
判旨:「境界確定を求める訴えは、公簿上特定の地番により表示される甲乙両地が相隣接する場合において、その境界が事実上不明なため争いがあるときに、裁判によって新たにその境界を定めることを求める訴えであって、裁判所が境界を定めるに当たっては、当事者の主張に拘束されず、控訴された場合も民訴法385条(現:304条)の不利益変更禁止の原則の適用もない(最高裁昭和37年(オ)第938号同38年10月15日第三小法廷判決・民集17巻9号1220頁参照)。右訴えは、もとより土地所有権確認の訴えとその性質を異にするが、その当事者適格を定めるに当たっては、何ぴとをしてその名において訴訟を追行させ、また何ぴとに対し本案の判決をすることが必要かつ有意義であるかの観点から決すべきであるから、相隣接する土地の各所有者が、境界を確定するについて最も密接な利害を有する者として、その当事者となるのである。したがって、右の訴えにおいて、甲地のうち境界の全部に接続する部分を乙地の所有者が時効取得した場合においても、甲乙両地の各所有者は、境界に争いがある隣接土地の所有者同士という関係にあることに変わりはなく、境界確定の訴えの当事者適格を失わない。なお、隣接地の所有者が他方の土地の一部を時効取得した場合も、これを第三者に対抗するためには登記を具備することが必要であるところ、右取得に係る土地の範囲は、両土地の境界が明確にされることによって定まる関係にあるから、登記の前提として時効取得に係る土地部分を分筆するためにも両土地の境界の確定が必要となるのである(最高裁昭和57年(オ)第97号同58年10月18日第三小法廷判決・民集37巻8号1121頁参照)。」
判旨:「境界確定を求める訴えは、公簿上特定の地番により表示される甲乙両地が相隣接する場合において、その境界が事実上不明なため争いがあるときに、裁判によって新たにその境界を定めることを求める訴えであって、裁判所が境界を定めるに当たっては、当事者の主張に拘束されず、控訴された場合も民訴法385条(現:304条)の不利益変更禁止の原則の適用もない(最高裁昭和37年(オ)第938号同38年10月15日第三小法廷判決・民集17巻9号1220頁参照)。右訴えは、もとより土地所有権確認の訴えとその性質を異にするが、その当事者適格を定めるに当たっては、何ぴとをしてその名において訴訟を追行させ、また何ぴとに対し本案の判決をすることが必要かつ有意義であるかの観点から決すべきであるから、相隣接する土地の各所有者が、境界を確定するについて最も密接な利害を有する者として、その当事者となるのである。したがって、右の訴えにおいて、甲地のうち境界の全部に接続する部分を乙地の所有者が時効取得した場合においても、甲乙両地の各所有者は、境界に争いがある隣接土地の所有者同士という関係にあることに変わりはなく、境界確定の訴えの当事者適格を失わない。なお、隣接地の所有者が他方の土地の一部を時効取得した場合も、これを第三者に対抗するためには登記を具備することが必要であるところ、右取得に係る土地の範囲は、両土地の境界が明確にされることによって定まる関係にあるから、登記の前提として時効取得に係る土地部分を分筆するためにも両土地の境界の確定が必要となるのである(最高裁昭和57年(オ)第97号同58年10月18日第三小法廷判決・民集37巻8号1121頁参照)。」
過去問・解説
(H22 共通 第56問 ア)
甲地の所有者Xが甲地に隣接する乙地の所有者Yに対し、甲地と乙地の筆界(境界)確定の訴えを提起した場合に、Yが甲地のうち筆界の全部に接する部分を時効取得したときには、筆界の両側の土地がYの所有に帰することになるから、Xは原告適格を喪失する。
甲地の所有者Xが甲地に隣接する乙地の所有者Yに対し、甲地と乙地の筆界(境界)確定の訴えを提起した場合に、Yが甲地のうち筆界の全部に接する部分を時効取得したときには、筆界の両側の土地がYの所有に帰することになるから、Xは原告適格を喪失する。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平7.3.7)は、本肢と同種の事案において、「甲地のうち境界の全部に接続する部分を乙地の所有者が時効取得した場合においても、甲乙両地の各所有者は、境界に争いがある隣接土地の所有者同士という関係にあることに変わりはなく、境界確定の訴えの当事者適格を失わない。」としている。
したがって、Yが甲地のうち筆界の全部に接する部分を時効取得したときにも、Xは原告適格を喪失しない。
判例(最判平7.3.7)は、本肢と同種の事案において、「甲地のうち境界の全部に接続する部分を乙地の所有者が時効取得した場合においても、甲乙両地の各所有者は、境界に争いがある隣接土地の所有者同士という関係にあることに変わりはなく、境界確定の訴えの当事者適格を失わない。」としている。
したがって、Yが甲地のうち筆界の全部に接する部分を時効取得したときにも、Xは原告適格を喪失しない。
(H25 予備 第32問 ウ)
XのYに対する筆界(境界)確定の訴えにおいて、Yが筆界に争いのある隣接土地の賃借人である場合には、Xの訴えが被告適格を欠くものとして却下されることはない。
XのYに対する筆界(境界)確定の訴えにおいて、Yが筆界に争いのある隣接土地の賃借人である場合には、Xの訴えが被告適格を欠くものとして却下されることはない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平7.3.7)は、「境界確定を求める訴え…は、もとより土地所有権確認の訴えとその性質を異にするが、その当事者適格を定めるに当たっては、何ぴとをしてその名において訴訟を追行させ、また何ぴとに対し本案の判決をすることが必要かつ有意義であるかの観点から決すべきであるから、相隣接する土地の各所有者が、境界を確定するについて最も密接な利害を有する者として、その当事者となるのである。」として、境界確定の訴えの当事者は、相隣接する土地の各所有者に限られることを示している。
したがって、XのYに対する筆界(境界)確定の訴えにおいて、Yが筆界に争いのある隣接土地の賃借人である場合には、Xの訴えが被告適格を欠くものとして却下される。
判例(最判平7.3.7)は、「境界確定を求める訴え…は、もとより土地所有権確認の訴えとその性質を異にするが、その当事者適格を定めるに当たっては、何ぴとをしてその名において訴訟を追行させ、また何ぴとに対し本案の判決をすることが必要かつ有意義であるかの観点から決すべきであるから、相隣接する土地の各所有者が、境界を確定するについて最も密接な利害を有する者として、その当事者となるのである。」として、境界確定の訴えの当事者は、相隣接する土地の各所有者に限られることを示している。
したがって、XのYに対する筆界(境界)確定の訴えにおいて、Yが筆界に争いのある隣接土地の賃借人である場合には、Xの訴えが被告適格を欠くものとして却下される。
(H29 予備 第44問 4)
所有権確認訴訟では、相隣地の各所有者が当事者適格を有するが、筆界(境界)確定訴訟では、相隣地の各登記名義人が当事者適格を有する。
所有権確認訴訟では、相隣地の各所有者が当事者適格を有するが、筆界(境界)確定訴訟では、相隣地の各登記名義人が当事者適格を有する。
(正答)✕
(解説)
所有権確認訴訟では、訴えまたは訴えられることにより名宛人となる者が当事者適格を有するから、相隣地の各所有者が当事者適格を有する。
判例(最判平7.3.7)は、「相隣接する土地の各所有者が、境界を確定するについて最も密接な利害を有する者として、その当事者となる。」としている。
したがって、境界確定訴訟では、必ずしも相隣地の各登記名義人が当事者適格を有するとはいえない。
所有権確認訴訟では、訴えまたは訴えられることにより名宛人となる者が当事者適格を有するから、相隣地の各所有者が当事者適格を有する。
判例(最判平7.3.7)は、「相隣接する土地の各所有者が、境界を確定するについて最も密接な利害を有する者として、その当事者となる。」としている。
したがって、境界確定訴訟では、必ずしも相隣地の各登記名義人が当事者適格を有するとはいえない。
(R4 予備 第35問 エ)
原告が自己の所有する甲土地に隣接する乙土地の所有者を被告として筆界確定の訴えを提起したが、被告が甲土地の一部の時効取得を主張し、それが認められることにより、確定を求めた筆界の全部が被告の所有する土地の内部に存在することが明らかになった場合には、原告は当事者適格を失う。
原告が自己の所有する甲土地に隣接する乙土地の所有者を被告として筆界確定の訴えを提起したが、被告が甲土地の一部の時効取得を主張し、それが認められることにより、確定を求めた筆界の全部が被告の所有する土地の内部に存在することが明らかになった場合には、原告は当事者適格を失う。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平7.3.7)は、本肢と同種の事案において、「甲地のうち境界の全部に接続する部分を乙地の所有者が時効取得した場合においても、甲乙両地の各所有者は、境界に争いがある隣接土地の所有者同士という関係にあることに変わりはなく、境界確定の訴えの当事者適格を失わない。」としている。
判例(最判平7.3.7)は、本肢と同種の事案において、「甲地のうち境界の全部に接続する部分を乙地の所有者が時効取得した場合においても、甲乙両地の各所有者は、境界に争いがある隣接土地の所有者同士という関係にあることに変わりはなく、境界確定の訴えの当事者適格を失わない。」としている。
総合メモ
境界確定訴訟の控訴審における不利益変更禁止の原則 最三小判昭和38年10月15日
概要
①境界確定訴訟の控訴審は、第1審判決の定めた境界線を正当でないと認めたときは、第1審判決を変更して、正当と判断する線を境界と定めるべきである。
②①が実際上控訴人にとって不利であり、附帯控訴をしない被控訴人に有利である場合であっても、不利益変更禁止の原則の適用はないものと解する。
②①が実際上控訴人にとって不利であり、附帯控訴をしない被控訴人に有利である場合であっても、不利益変更禁止の原則の適用はないものと解する。
判例
事案:控訴審が土地の境界につき第1審と判断を異にし、自ら証拠により境界を認定したものの、その認定は第1審判決よりも被控訴人に有利な認定であるから、被控訴人が不服を申し立てていない以上、第1審判決を変更しないとし、控訴を棄却した事案において、①境界確定訴訟の控訴審が原審と異なる境界線について心証を抱いた場合の処理方法や、②境界確定訴訟にも不利益変更禁止原則(304条)が適用されるかなどが問題となった。
判旨:①「境界確定訴訟にあっては、裁判所は当事者の主張に覊束されることなく、自らその正当と認めるところに従って境界線を定むべきものであって、すなわち、客観的な境界を知り得た場合にはこれにより、客観的な境界を知り得ない場合には常識に訴え最も妥当な線を見出してこれを境界と定むべく、かくして定められた境界が当事者の主張以上に実際上有利であるか不利であるかは問うべきではないのであり、当事者の主張しない境界線を確定しても民訴186条(現:246条)の規定に違反するものではないのである(大審院大正12年6月2日民事連合部判決、民集2巻345頁、同院昭和11年3月10日判決、民集15巻695頁参照)。されば、第1審判決が一定の線を境界と定めたのに対し、これに不服のある当事者が控訴の申立をした場合においても、控訴裁判所が第1審判決の定めた境界線を正当でないと認めたときは、第1審判決を変更して、自己の正当とする線を境界と定むべきものであ…る。」
②「その結果が控訴人にとり実際上不利であり、附帯控訴をしない被控訴人に有利であっても問うところではなく、この場合には、いわゆる不利益変更禁止の原則の適用はないものと解するのが相当である。」
判旨:①「境界確定訴訟にあっては、裁判所は当事者の主張に覊束されることなく、自らその正当と認めるところに従って境界線を定むべきものであって、すなわち、客観的な境界を知り得た場合にはこれにより、客観的な境界を知り得ない場合には常識に訴え最も妥当な線を見出してこれを境界と定むべく、かくして定められた境界が当事者の主張以上に実際上有利であるか不利であるかは問うべきではないのであり、当事者の主張しない境界線を確定しても民訴186条(現:246条)の規定に違反するものではないのである(大審院大正12年6月2日民事連合部判決、民集2巻345頁、同院昭和11年3月10日判決、民集15巻695頁参照)。されば、第1審判決が一定の線を境界と定めたのに対し、これに不服のある当事者が控訴の申立をした場合においても、控訴裁判所が第1審判決の定めた境界線を正当でないと認めたときは、第1審判決を変更して、自己の正当とする線を境界と定むべきものであ…る。」
②「その結果が控訴人にとり実際上不利であり、附帯控訴をしない被控訴人に有利であっても問うところではなく、この場合には、いわゆる不利益変更禁止の原則の適用はないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H20 司法 第56問 3)
筆界(境界)確定の訴えにおいて、審理の結果、証拠上筆界が明らかにならなかった場合には、裁判所は、請求棄却判決をする。
筆界(境界)確定の訴えにおいて、審理の結果、証拠上筆界が明らかにならなかった場合には、裁判所は、請求棄却判決をする。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭38.10.15)は、「境界確定訴訟にあっては、裁判所は当事者の主張に覊束されることなく、自らその正当と認めるところに従って境界線を定むべきものであって、…客観的な境界を知り得ない場合には常識に訴え最も妥当な線を見出してこれを境界と定むべ…き…。」としている。
したがって、筆界(境界)確定の訴えにおいて、審理の結果、証拠上筆界が明らかにならなかった場合には、裁判所は、請求棄却判決ではなく、常識的に妥当な線を見出して境界として認定すべきである。
判例(最判昭38.10.15)は、「境界確定訴訟にあっては、裁判所は当事者の主張に覊束されることなく、自らその正当と認めるところに従って境界線を定むべきものであって、…客観的な境界を知り得ない場合には常識に訴え最も妥当な線を見出してこれを境界と定むべ…き…。」としている。
したがって、筆界(境界)確定の訴えにおいて、審理の結果、証拠上筆界が明らかにならなかった場合には、裁判所は、請求棄却判決ではなく、常識的に妥当な線を見出して境界として認定すべきである。
(H20 司法 第56問 5)
筆界(境界)確定の訴えにおいて、第1審判決を不服として第1審被告が控訴した場合、不利益変更禁止の原則により、控訴審裁判所は、第1審判決を第1審原告に有利に変更することはできない。
筆界(境界)確定の訴えにおいて、第1審判決を不服として第1審被告が控訴した場合、不利益変更禁止の原則により、控訴審裁判所は、第1審判決を第1審原告に有利に変更することはできない。
(正答)✕
(解説)
304条は、「第1審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる。」として、不利益変更禁止原則について規定している。
これについて、判例(最判昭38.10.15)は、「その結果が控訴人にとり実際上不利であり、附帯控訴をしない被控訴人に有利であっても問うところではなく、この場合には、いわゆる不利益変更禁止の原則の適用はない…。」としている。
したがって、境界確定訴訟において不利益変更禁止の原則は適用されず、被告のみが控訴した場合にも、控訴裁判所は、第1審を原告に有利に変更することができる。
304条は、「第1審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる。」として、不利益変更禁止原則について規定している。
これについて、判例(最判昭38.10.15)は、「その結果が控訴人にとり実際上不利であり、附帯控訴をしない被控訴人に有利であっても問うところではなく、この場合には、いわゆる不利益変更禁止の原則の適用はない…。」としている。
したがって、境界確定訴訟において不利益変更禁止の原則は適用されず、被告のみが控訴した場合にも、控訴裁判所は、第1審を原告に有利に変更することができる。
(H22 共通 第56問 エ)
筆界(境界)確定の訴えの控訴審においては、不利益変更禁止の原則の適用はない。
筆界(境界)確定の訴えの控訴審においては、不利益変更禁止の原則の適用はない。
(正答)〇
(解説)
304条は、「第1審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる。」として、不利益変更禁止原則について規定している。
これについて、判例(最判昭38.10.15)は、「その結果が控訴人にとり実際上不利であり、附帯控訴をしない被控訴人に有利であっても問うところではなく、この場合には、いわゆる不利益変更禁止の原則の適用はない…。」として、境界確定訴訟に不利益変更禁止原則の適用がないことを示している。
304条は、「第1審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる。」として、不利益変更禁止原則について規定している。
これについて、判例(最判昭38.10.15)は、「その結果が控訴人にとり実際上不利であり、附帯控訴をしない被控訴人に有利であっても問うところではなく、この場合には、いわゆる不利益変更禁止の原則の適用はない…。」として、境界確定訴訟に不利益変更禁止原則の適用がないことを示している。
(H29 予備 第44問 3)
所有権確認訴訟では、原告の主張する所有権の範囲より原告に有利な内容の判決をすることはできないが、筆界(境界)確定訴訟では、原告の主張する筆界(境界)より原告に有利な内容の判決をすることはできる。
所有権確認訴訟では、原告の主張する所有権の範囲より原告に有利な内容の判決をすることはできないが、筆界(境界)確定訴訟では、原告の主張する筆界(境界)より原告に有利な内容の判決をすることはできる。
(正答)〇
(解説)
246条は、「裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。」と規定している。
したがって、所有権確認訴訟では、原告の主張する所有権の範囲より原告に有利な内容の判決をすることはできない。
他方、判例(最判昭38.10.15)は、「当事者の主張しない境界線を確定しても民訴186条(現:246条)の規定に違反するものではないのである…。」としている。
したがって、境界確定訴訟では、原告の主張する境界より原告に有利な内容の判決をすることができる。
246条は、「裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。」と規定している。
したがって、所有権確認訴訟では、原告の主張する所有権の範囲より原告に有利な内容の判決をすることはできない。
他方、判例(最判昭38.10.15)は、「当事者の主張しない境界線を確定しても民訴186条(現:246条)の規定に違反するものではないのである…。」としている。
したがって、境界確定訴訟では、原告の主張する境界より原告に有利な内容の判決をすることができる。
(R1 予備 第42問 3)
境界確定訴訟において、裁判所は、原告の請求を棄却するとの判決をすることができる。
境界確定訴訟において、裁判所は、原告の請求を棄却するとの判決をすることができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭38.10.15)は、「境界確定訴訟にあっては、裁判所は当事者の主張に覊束されることなく、自らその正当と認めるところに従って境界線を定むべきものであって、すなわち、客観的な境界を知り得た場合にはこれにより、客観的な境界を知り得ない場合には常識に訴え最も妥当な線を見出してこれを境界と定むべ…き…。」としている。
したがって、境界確定訴訟において、裁判所は、原告の請求を棄却するとの判決をすることができない。
判例(最判昭38.10.15)は、「境界確定訴訟にあっては、裁判所は当事者の主張に覊束されることなく、自らその正当と認めるところに従って境界線を定むべきものであって、すなわち、客観的な境界を知り得た場合にはこれにより、客観的な境界を知り得ない場合には常識に訴え最も妥当な線を見出してこれを境界と定むべ…き…。」としている。
したがって、境界確定訴訟において、裁判所は、原告の請求を棄却するとの判決をすることができない。
(R4 予備 第35問 イ)
一定の線を筆界と定めた第1審判決に対し、これに不服のある当事者の一方のみが控訴し、附帯控訴がされていない場合であっても、控訴裁判所は、第1審判決を変更して、第1審判決が定めた筆界よりも更に控訴人にとって不利な筆界を定めることができる。
一定の線を筆界と定めた第1審判決に対し、これに不服のある当事者の一方のみが控訴し、附帯控訴がされていない場合であっても、控訴裁判所は、第1審判決を変更して、第1審判決が定めた筆界よりも更に控訴人にとって不利な筆界を定めることができる。
(正答)〇
(解説)
304条は、「第1審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる。」として、不利益変更禁止原則について規定している。
これについて、判例(最判昭38.10.15)は、「第1審判決が一定の線を境界と定めたのに対し、これに不服のある当事者が控訴の申立をした場合においても、控訴裁判所が第1審判決の定めた境界線を正当でないと認めたときは、第1審判決を変更して、自己の正当とする線を境界と定むべきものであり、その結果が控訴人にとり実際上不利であり、附帯控訴をしない被控訴人に有利であっても問うところではなく、この場合には、いわゆる不利益変更禁止の原則の適用はない…。」としている。
したがって、控訴裁判所は、第1審判決を変更して、第1審判決が定めた筆界よりも更に控訴人にとって不利な筆界を定めることができる。
304条は、「第1審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる。」として、不利益変更禁止原則について規定している。
これについて、判例(最判昭38.10.15)は、「第1審判決が一定の線を境界と定めたのに対し、これに不服のある当事者が控訴の申立をした場合においても、控訴裁判所が第1審判決の定めた境界線を正当でないと認めたときは、第1審判決を変更して、自己の正当とする線を境界と定むべきものであり、その結果が控訴人にとり実際上不利であり、附帯控訴をしない被控訴人に有利であっても問うところではなく、この場合には、いわゆる不利益変更禁止の原則の適用はない…。」としている。
したがって、控訴裁判所は、第1審判決を変更して、第1審判決が定めた筆界よりも更に控訴人にとって不利な筆界を定めることができる。
総合メモ
共有物分割の訴えにおいて分割の方法を具体的に指定することの要否 最三小判昭和57年3月9日
概要
共有物分割の訴えにおいては、当事者は、共有物の分割を求める旨を申し立てれば足り、分割の方法を具体的に指定することを要しない。
共有物を現物で分割することが不可能であるか又は現物で分割することによつて著しく価格を損するおそれがあるときには、裁判所は、共有物を競売に付しその売得金を共有者の持分の割合に応じて分割することを命ずることができる。
共有物を現物で分割することが不可能であるか又は現物で分割することによつて著しく価格を損するおそれがあるときには、裁判所は、共有物を競売に付しその売得金を共有者の持分の割合に応じて分割することを命ずることができる。
判例
事案:共有物分割の訴えにおいて、原告が分割の方法として共有物の現物を分割することを求めた事案について、当事者が分割方法を指定する必要があるのか及び裁判所は当事者が申し立てた分割方法に従う必要があるかが問題となった。
判旨:「共有物分割の訴えにおいては、当事者は、単に共有物の分割を求める旨を申し立てれば足り、分割の方法を具体的に指定することは必要でないとともに、共有物を現物で分割することが不可能であるか又は現物で分割することによって著しく価格を損するおそれがあるときには、裁判所は、当事者が申し立てた分割の方法にかかわらず、共有物を競売に付しその売得金を共有者の持分の割合に応じて分割することを命ずることができるものと解するのが相当である。」
判旨:「共有物分割の訴えにおいては、当事者は、単に共有物の分割を求める旨を申し立てれば足り、分割の方法を具体的に指定することは必要でないとともに、共有物を現物で分割することが不可能であるか又は現物で分割することによって著しく価格を損するおそれがあるときには、裁判所は、当事者が申し立てた分割の方法にかかわらず、共有物を競売に付しその売得金を共有者の持分の割合に応じて分割することを命ずることができるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H25 共通 第69問 オ)
共有物分割の訴えにおいて、原告が分割の方法として共有物の現物を分割することを求めているときは、裁判所は、当該共有物を競売してその売得金で分割する内容の判決をすることができない。
共有物分割の訴えにおいて、原告が分割の方法として共有物の現物を分割することを求めているときは、裁判所は、当該共有物を競売してその売得金で分割する内容の判決をすることができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭57.3.9)は、「共有物分割の訴えにおいては、当事者は、単に共有物の分割を求める旨を申し立てれば足り、分割の方法を具体的に指定することは必要でないとともに、共有物を現物で分割することが不可能であるか又は現物で分割することによって著しく価格を損するおそれがあるときには、裁判所は、当事者が申し立てた分割の方法にかかわらず、共有物を競売に付しその売得金を共有者の持分の割合に応じて分割することを命ずることができる…。」としている。
判例(最判昭57.3.9)は、「共有物分割の訴えにおいては、当事者は、単に共有物の分割を求める旨を申し立てれば足り、分割の方法を具体的に指定することは必要でないとともに、共有物を現物で分割することが不可能であるか又は現物で分割することによって著しく価格を損するおそれがあるときには、裁判所は、当事者が申し立てた分割の方法にかかわらず、共有物を競売に付しその売得金を共有者の持分の割合に応じて分割することを命ずることができる…。」としている。