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証拠
調査嘱託の結果の証拠調べ 最一小判昭和45年3月26日
概要
調査嘱託(186条)によって得られた調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない。
判例
事案:調査嘱託の結果を弁論に顕出させたのみで、当事者がこれを援用していないにもかかわらず判決の基礎にした事案において、調査嘱託の結果を、当事者の援用無くして判決の基礎とできるかが問題となった。
判旨:「調査の嘱託によって得られた回答書等調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しないものと解すべきところ、所論の東京繊維商品取引所に対する照会の回答は原審の第32回口頭弁論期日において弁論に顕出されていることが記録上明らかであるから、原判決が、右回答に基づいて所論の取引の受渡期限における同取引所の取引価格を認定したことも、正当ということができる。」
判旨:「調査の嘱託によって得られた回答書等調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しないものと解すべきところ、所論の東京繊維商品取引所に対する照会の回答は原審の第32回口頭弁論期日において弁論に顕出されていることが記録上明らかであるから、原判決が、右回答に基づいて所論の取引の受渡期限における同取引所の取引価格を認定したことも、正当ということができる。」
過去問・解説
(H26 共通 第67問 イ)
判例の趣旨によれば、調査の嘱託の嘱託先が嘱託に応じて書面を裁判所に送付した場合において、裁判所が当該書面を証拠とするには、口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない。
判例の趣旨によれば、調査の嘱託の嘱託先が嘱託に応じて書面を裁判所に送付した場合において、裁判所が当該書面を証拠とするには、口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない。
(正答)〇
(解説)
186条は、「裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。」と規定している。
これについて、判例(最判昭45.3.26)は、本肢と同種の事案において、「調査の嘱託によって得られた回答書等調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない…。」としている。
したがって、調査の嘱託の嘱託先が嘱託に応じて送付された書面について、裁判所が証拠とするには、口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない。
186条は、「裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。」と規定している。
これについて、判例(最判昭45.3.26)は、本肢と同種の事案において、「調査の嘱託によって得られた回答書等調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない…。」としている。
したがって、調査の嘱託の嘱託先が嘱託に応じて送付された書面について、裁判所が証拠とするには、口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない。
(R1 予備 第41問 イ)
調査嘱託の嘱託先から送付された回答書を証拠資料とするためには、回答書を文書として取り調べなければならない。
調査嘱託の嘱託先から送付された回答書を証拠資料とするためには、回答書を文書として取り調べなければならない。
(正答)✕
(解説)
186条は、「裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。」と規定している。
判例(最判昭45.3.26)は、本肢と同種の事案において、「調査の嘱託によって得られた回答書等調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない…。」としている。
したがって、本肢の事案において、調査嘱託の嘱託先から送付された回答書を証拠資料とするためには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、回答書を文書として取り調べる必要はない。
186条は、「裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。」と規定している。
判例(最判昭45.3.26)は、本肢と同種の事案において、「調査の嘱託によって得られた回答書等調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない…。」としている。
したがって、本肢の事案において、調査嘱託の嘱託先から送付された回答書を証拠資料とするためには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、回答書を文書として取り調べる必要はない。
(R5 予備 第40問 ウ)
訴訟係属中に、調査の嘱託がされた場合において、嘱託先から回答がされ、裁判所がこれを口頭弁論に提示して当事者に意見陳述の機会を与え、弁論に顕出されたときは、当事者の援用がなくても、この回答を証拠資料にすることができる。
訴訟係属中に、調査の嘱託がされた場合において、嘱託先から回答がされ、裁判所がこれを口頭弁論に提示して当事者に意見陳述の機会を与え、弁論に顕出されたときは、当事者の援用がなくても、この回答を証拠資料にすることができる。
(正答)〇
(解説)
186条は、「裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。」と規定している。
判例(最判昭45.3.26)は、本肢と同種の事案において、「調査の嘱託によって得られた回答書等調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない…。」としている。
したがって、裁判所が調査嘱託先からの回答を口頭弁論に提示して当事者に意見陳述の機会を与え、弁論に顕出されたときは、当事者の援用がなくても、この回答を証拠資料にすることができる。
186条は、「裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。」と規定している。
判例(最判昭45.3.26)は、本肢と同種の事案において、「調査の嘱託によって得られた回答書等調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない…。」としている。
したがって、裁判所が調査嘱託先からの回答を口頭弁論に提示して当事者に意見陳述の機会を与え、弁論に顕出されたときは、当事者の援用がなくても、この回答を証拠資料にすることができる。
総合メモ
弁論の併合と併合前にされた証拠調べ 最三小判昭和41年4月12日
概要
弁論の併合前にそれぞれの事件においてされた証拠調の結果は、併合後の事件においても、同一の性質のまま、証拠資料となる。
判例
事案:弁論の併合がなされた事案において、併合後の事件においても併合前にされた証拠調の結果を証拠資料とできるかが問題となった。
判旨:「数個の事件の弁論が併合されて、同一訴訟手続内において審理されるべき場合には、併合前にそれぞれの事件においてされた証拠調の結果は、併合された事件の関係のすべてについて、当初の証拠調と同一の性質のまま、証拠資料となると解するのが相当である。けだし、弁論の併合により、弁論の併合前にされた各訴訟の証拠資料を共通の判断資料として利用するのが相当だからである。」
判旨:「数個の事件の弁論が併合されて、同一訴訟手続内において審理されるべき場合には、併合前にそれぞれの事件においてされた証拠調の結果は、併合された事件の関係のすべてについて、当初の証拠調と同一の性質のまま、証拠資料となると解するのが相当である。けだし、弁論の併合により、弁論の併合前にされた各訴訟の証拠資料を共通の判断資料として利用するのが相当だからである。」
総合メモ
伝聞証拠の証拠能力 最二小判昭和27年12月5日
概要
民事訴訟法が証人尋問につき一種の交互尋問制をとっているからといって、いわゆる伝聞証言の証拠能力が当然制限されると解すべきではなく、裁判官の自由な心証による判断に委ねられていると解すべきである。
判例
事案:民事訴訟において、伝聞証拠が提出された事案において、伝聞証拠の証拠能力が問題となった。
判旨:「証拠を、原則として右のような反対尋問を経たものだけに限り、実質的にこれを経ていない、いわゆる伝聞証言その他の伝聞証拠の証拠能力を制限するか、或はこれ等の証拠能力に制限を加えることなく、その証明力如何の判断を、専ら裁判官の自由な心証に委せるかば、反対尋問権の行使につきどの程度まで実質的な保障を与えるかという立法政策の問題であって、交互尋問制のもとにおいては必ず伝聞証拠の証拠能力を否定しなければならない論理的な必要があるわけではない。それ故わが現行民事訴訟法は、私人間の紛争解決を目的とする民事訴訟法においては、伝聞証言その他の伝聞証拠の採否は、裁判官の自由な心証による判断に委せて差支えないという見解のもとに、この他の証拠能力制限の規定を設けなかったものと解するのが相当である。」
判旨:「証拠を、原則として右のような反対尋問を経たものだけに限り、実質的にこれを経ていない、いわゆる伝聞証言その他の伝聞証拠の証拠能力を制限するか、或はこれ等の証拠能力に制限を加えることなく、その証明力如何の判断を、専ら裁判官の自由な心証に委せるかば、反対尋問権の行使につきどの程度まで実質的な保障を与えるかという立法政策の問題であって、交互尋問制のもとにおいては必ず伝聞証拠の証拠能力を否定しなければならない論理的な必要があるわけではない。それ故わが現行民事訴訟法は、私人間の紛争解決を目的とする民事訴訟法においては、伝聞証言その他の伝聞証拠の採否は、裁判官の自由な心証による判断に委せて差支えないという見解のもとに、この他の証拠能力制限の規定を設けなかったものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H20 司法 第67問 4)
別件訴訟において行われた証人尋問の調書の写しは、これを証拠とすることを認めると、相手方の反対尋問の機会を奪うだけでなく、直接主義の原則に反することになるので、その証人の尋問を行うことが困難な場合であっても、書証として提出することはできない。
別件訴訟において行われた証人尋問の調書の写しは、これを証拠とすることを認めると、相手方の反対尋問の機会を奪うだけでなく、直接主義の原則に反することになるので、その証人の尋問を行うことが困難な場合であっても、書証として提出することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭27.12.5)は、本肢と同種の事案において、「いわゆる伝聞証言その他の伝聞証拠の証拠能力を制限するか、或はこれ等の証拠能力に制限を加えることなく、その証明力如何の判断を、専ら裁判官の自由な心証に委せるかば、反対尋問権の行使につきどの程度まで実質的な保障を与えるかという立法政策の問題であって、交互尋問制のもとにおいては必ず伝聞証拠の証拠能力を否定しなければならない論理的な必要があるわけではない。」として、反対尋問の機会を奪うとはしておらず、かつ、証拠能力も否定していない。
したがって、証人の尋問を行うことが困難な場合であっても、書類として提出することは可能である。
判例(最判昭27.12.5)は、本肢と同種の事案において、「いわゆる伝聞証言その他の伝聞証拠の証拠能力を制限するか、或はこれ等の証拠能力に制限を加えることなく、その証明力如何の判断を、専ら裁判官の自由な心証に委せるかば、反対尋問権の行使につきどの程度まで実質的な保障を与えるかという立法政策の問題であって、交互尋問制のもとにおいては必ず伝聞証拠の証拠能力を否定しなければならない論理的な必要があるわけではない。」として、反対尋問の機会を奪うとはしておらず、かつ、証拠能力も否定していない。
したがって、証人の尋問を行うことが困難な場合であっても、書類として提出することは可能である。
総合メモ
証人尋問の申出の撤回 最三小判昭和32年6月25日
過去問・解説
(H24 予備 第38問 1)
判例によれば、証拠調べが終了した後に当該証拠の申出を撤回することはできない。
判例によれば、証拠調べが終了した後に当該証拠の申出を撤回することはできない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭32.6.25)は、「証人訊問終了后は、その申請を撤回することを得ない。」としている。
判例(最判昭32.6.25)は、「証人訊問終了后は、その申請を撤回することを得ない。」としている。
(R1 予備 第41問 ウ)
証人の尋問の終了後は、その尋問の申出を撤回することができない。
証人の尋問の終了後は、その尋問の申出を撤回することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭32.6.25)は、「証人訊問終了后は、その申請を撤回することを得ない。」としている。
判例(最判昭32.6.25)は、「証人訊問終了后は、その申請を撤回することを得ない。」としている。
(R6 予備 第38問 3)
証人の尋問が終了した後においては、当該証人の尋問の申出を撤回することはできない。
証人の尋問が終了した後においては、当該証人の尋問の申出を撤回することはできない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭32.6.25)は、「証人訊問終了后は、その申請を撤回することを得ない。」としている。
判例(最判昭32.6.25)は、「証人訊問終了后は、その申請を撤回することを得ない。」としている。
総合メモ
同一審級における同一証人の再尋問と宣誓の要否 最一小判昭和29年2月11日
概要
宣誓をさせるべき証人を宣誓させないで尋問した場合であっても、当事者が遅滞なく異議を述べないときは、責問権を失う。
判例
事案:宣誓をさせないで承認を尋問したが、当事者が遅滞なく意義を述べなかった事案において、宣誓を欠く証人尋問手続について、責問権の喪失によりその瑕疵が治癒されることになるかが問題となった。
判旨:「宣誓せしむべき証人を宣誓せしめずして尋問した場合と雖も、当事者が遅滞なく異議を述べないときは、責問権を失ったものというべきである。それ故、異議を述べなかった上告人は責問権を失ったのであるから、原判決が右証人の証言を事実認定の資料としたことは正当であって、原判決には所論の違法はない。」
判旨:「宣誓せしむべき証人を宣誓せしめずして尋問した場合と雖も、当事者が遅滞なく異議を述べないときは、責問権を失ったものというべきである。それ故、異議を述べなかった上告人は責問権を失ったのであるから、原判決が右証人の証言を事実認定の資料としたことは正当であって、原判決には所論の違法はない。」
過去問・解説
(H19 司法 第56問 イ)
宣誓を必要とする証人を宣誓させずに証人尋問を行った場合でも、当事者が遅滞なく異議を述べないときは、責問権を喪失する。
宣誓を必要とする証人を宣誓させずに証人尋問を行った場合でも、当事者が遅滞なく異議を述べないときは、責問権を喪失する。
(正答)〇
(解説)
90条は、責問権について、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。ただし、放棄することができないものについては、この限りでない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭29.2.11)は、「宣誓せしむべき証人を宣誓せしめずして尋問した場合と雖も、当事者が遅滞なく異議を述べないときは、責問権を失ったものというべきである。」としている。
90条は、責問権について、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。ただし、放棄することができないものについては、この限りでない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭29.2.11)は、「宣誓せしむべき証人を宣誓せしめずして尋問した場合と雖も、当事者が遅滞なく異議を述べないときは、責問権を失ったものというべきである。」としている。
(H28 予備 第33問 オ)
宣誓をさせるべき証人を宣誓させないで尋問した場合、当事者は、そのことを知りながら、遅滞なく異議を述べないときは、異議を述べる権利を失う。
宣誓をさせるべき証人を宣誓させないで尋問した場合、当事者は、そのことを知りながら、遅滞なく異議を述べないときは、異議を述べる権利を失う。
(正答)〇
(解説)
90条は、責問権について、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。ただし、放棄することができないものについては、この限りでない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭29.2.11)は、「宣誓せしむべき証人を宣誓せしめずして尋問した場合と雖も、当事者が遅滞なく異議を述べないときは、責問権を失ったものというべき。」として、当事者が遅滞なく異議を述べないときは、責問権、すなわち異議を述べる権利を失うことを示している。
90条は、責問権について、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。ただし、放棄することができないものについては、この限りでない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭29.2.11)は、「宣誓せしむべき証人を宣誓せしめずして尋問した場合と雖も、当事者が遅滞なく異議を述べないときは、責問権を失ったものというべき。」として、当事者が遅滞なく異議を述べないときは、責問権、すなわち異議を述べる権利を失うことを示している。
(R6 予備 第37問 イ)
宣誓させるべき証人に宣誓させないで尋問がされた場合において、当事者がそのことを知りながら遅滞なく異議を述べないときであっても、その瑕疵は、異議権の喪失によっては治癒されない。
宣誓させるべき証人に宣誓させないで尋問がされた場合において、当事者がそのことを知りながら遅滞なく異議を述べないときであっても、その瑕疵は、異議権の喪失によっては治癒されない。
(正答)✕
(解説)
90条は、責問権について、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。ただし、放棄することができないものについては、この限りでない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭29.2.11)は、「宣誓せしむべき証人を宣誓せしめずして尋問した場合と雖も、当事者が遅滞なく異議を述べないときは、責問権を失ったものというべきである。」として、当事者が遅滞なく異議を述べないときは、責問権、すなわち異議を述べる権利を失い、これによって宣誓させなかったという瑕疵が治癒されることを示している。
90条は、責問権について、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。ただし、放棄することができないものについては、この限りでない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭29.2.11)は、「宣誓せしむべき証人を宣誓せしめずして尋問した場合と雖も、当事者が遅滞なく異議を述べないときは、責問権を失ったものというべきである。」として、当事者が遅滞なく異議を述べないときは、責問権、すなわち異議を述べる権利を失い、これによって宣誓させなかったという瑕疵が治癒されることを示している。
総合メモ
民事事件において証人となった報道関係者が民事訴訟法197条1項3号に基づいて取材源に係る証言を拒絶することができるかどうかの判断基準 最三小判平成18年10月3日
概要
①民事事件において証人となった報道関係者が197条1項3号に基づいて取材源に係る証言を拒絶することができるかは、当該報道の内容、性質、その持つ社会的な意義・価値、当該取材の態様、将来における同種の取材活動が妨げられることによって生ずる不利益の内容、程度等と、当該民事事件の内容、性質、その持つ社会的な意義・価値、当該民事事件において当該証言を必要とする程度、代替証拠の有無等の諸事情を比較衡量して決すべきである。
②民事事件において証人となった報道関係者は、当該報道が公共の利益に関するものであって、その取材の手段、方法が一般の刑罰法令に触れるとか、取材源となった者が取材源の秘密の開示を承諾しているなどの事情がなく、しかも、当該民事事件が社会的意義や影響のある重大な民事事件であるため、当該取材源の秘密の社会的価値を考慮してもなお公正な裁判を実現すべき必要性が高く、そのために当該証言を得ることが必要不可欠であるといった事情が認められない場合には、同号に基づき、原則として、当該取材源に係る証言を拒絶することができる。
②民事事件において証人となった報道関係者は、当該報道が公共の利益に関するものであって、その取材の手段、方法が一般の刑罰法令に触れるとか、取材源となった者が取材源の秘密の開示を承諾しているなどの事情がなく、しかも、当該民事事件が社会的意義や影響のある重大な民事事件であるため、当該取材源の秘密の社会的価値を考慮してもなお公正な裁判を実現すべき必要性が高く、そのために当該証言を得ることが必要不可欠であるといった事情が認められない場合には、同号に基づき、原則として、当該取材源に係る証言を拒絶することができる。
判例
事案:民事事件において報道関係者が証人となった事案において、①民事訴訟法197条1項3号に基づいて取材源に係る証言を拒絶することができるかどうかを判断する基準と、②どの場合にそれが必要となるかが問題となった。
判旨:①「民訴法は、公正な民事裁判の実現を目的として、何人も、証人として証言をすべき義務を負い(同法190条)、一定の事由がある場合に限って例外的に証言を拒絶することができる旨定めている(同法196条、197条)。そして、同法197条1項3号は、『職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合』には、証人は、証言を拒むことができると規定している。ここにいう『職業の秘密』とは、その事項が公開されると、当該職業に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になるものをいうと解される(最高裁平成11年(許)第20号同12年3月10日第一小法廷決定・民集54巻3号1073頁参照)。もっとも、ある秘密が上記の意味での職業の秘密に当たる場合においても、そのことから直ちに証言拒絶が認められるものではなく、そのうち保護に値する秘密についてのみ証言拒絶が認められると解すべきである。そして、保護に値する秘密であるかどうかは、秘密の公表によって生ずる不利益と証言の拒絶によって犠牲になる真実発見及び裁判の公正との比較衡量により決せられるというべきである。報道関係者の取材源は、一般に、それがみだりに開示されると、報道関係者と取材源となる者との間の信頼関係が損なわれ、将来にわたる自由で円滑な取材活動が妨げられることとなり、報道機関の業務に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になると解されるので、取材源の秘密は職業の秘密に当たるというべきである。そして、当該取材源の秘密が保護に値する秘密であるかどうかは、当該報道の内容、性質、その持つ社会的な意義・価値、当該取材の態様、将来における同種の取材活動が妨げられることによって生ずる不利益の内容、程度等と、当該民事事件の内容、性質、その持つ社会的な意義・価値、当該民事事件において当該証言を必要とする程度、代替証拠の有無等の諸事情を比較衡量して決すべきことになる。」
②「報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の知る権利に奉仕するものである。したがって、思想の表明の自由と並んで、事実報道の自由は、表現の自由を規定した憲法21条の保障の下にあることはいうまでもない。また、このような報道機関の報道が正しい内容を持つためには、報道の自由とともに、報道のための取材の自由も、憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値するものといわなければならない(最高裁昭和44年(し)第68号同年11月26日大法廷決定・刑集23巻11号1490頁参照)。取材の自由の持つ上記のような意義に照らして考えれば、取材源の秘密は、取材の自由を確保するために必要なものとして、重要な社会的価値を有するというべきである。そうすると、当該報道が公共の利益に関するものであって、その取材の手段、方法が一般の刑罰法令に触れるとか、取材源となった者が取材源の秘密の開示を承諾しているなどの事情がなく、しかも、当該民事事件が社会的意義や影響のある重大な民事事件であるため、当該取材源の秘密の社会的価値を考慮してもなお公正な裁判を実現すべき必要性が高く、そのために当該証言を得ることが必要不可欠であるといった事情が認められない場合には、当該取材源の秘密は保護に値すると解すべきであり、証人は、原則として、当該取材源に係る証言を拒絶することができると解するのが相当である。」
判旨:①「民訴法は、公正な民事裁判の実現を目的として、何人も、証人として証言をすべき義務を負い(同法190条)、一定の事由がある場合に限って例外的に証言を拒絶することができる旨定めている(同法196条、197条)。そして、同法197条1項3号は、『職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合』には、証人は、証言を拒むことができると規定している。ここにいう『職業の秘密』とは、その事項が公開されると、当該職業に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になるものをいうと解される(最高裁平成11年(許)第20号同12年3月10日第一小法廷決定・民集54巻3号1073頁参照)。もっとも、ある秘密が上記の意味での職業の秘密に当たる場合においても、そのことから直ちに証言拒絶が認められるものではなく、そのうち保護に値する秘密についてのみ証言拒絶が認められると解すべきである。そして、保護に値する秘密であるかどうかは、秘密の公表によって生ずる不利益と証言の拒絶によって犠牲になる真実発見及び裁判の公正との比較衡量により決せられるというべきである。報道関係者の取材源は、一般に、それがみだりに開示されると、報道関係者と取材源となる者との間の信頼関係が損なわれ、将来にわたる自由で円滑な取材活動が妨げられることとなり、報道機関の業務に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になると解されるので、取材源の秘密は職業の秘密に当たるというべきである。そして、当該取材源の秘密が保護に値する秘密であるかどうかは、当該報道の内容、性質、その持つ社会的な意義・価値、当該取材の態様、将来における同種の取材活動が妨げられることによって生ずる不利益の内容、程度等と、当該民事事件の内容、性質、その持つ社会的な意義・価値、当該民事事件において当該証言を必要とする程度、代替証拠の有無等の諸事情を比較衡量して決すべきことになる。」
②「報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の知る権利に奉仕するものである。したがって、思想の表明の自由と並んで、事実報道の自由は、表現の自由を規定した憲法21条の保障の下にあることはいうまでもない。また、このような報道機関の報道が正しい内容を持つためには、報道の自由とともに、報道のための取材の自由も、憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値するものといわなければならない(最高裁昭和44年(し)第68号同年11月26日大法廷決定・刑集23巻11号1490頁参照)。取材の自由の持つ上記のような意義に照らして考えれば、取材源の秘密は、取材の自由を確保するために必要なものとして、重要な社会的価値を有するというべきである。そうすると、当該報道が公共の利益に関するものであって、その取材の手段、方法が一般の刑罰法令に触れるとか、取材源となった者が取材源の秘密の開示を承諾しているなどの事情がなく、しかも、当該民事事件が社会的意義や影響のある重大な民事事件であるため、当該取材源の秘密の社会的価値を考慮してもなお公正な裁判を実現すべき必要性が高く、そのために当該証言を得ることが必要不可欠であるといった事情が認められない場合には、当該取材源の秘密は保護に値すると解すべきであり、証人は、原則として、当該取材源に係る証言を拒絶することができると解するのが相当である。」
過去問・解説
(H28 予備 第41問 3)
職業の秘密とは、その事項が公開されると当該職業に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になる事項をいい、これに該当すれば、当然に、証人は当該事項につき証言を拒むことができる。
職業の秘密とは、その事項が公開されると当該職業に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になる事項をいい、これに該当すれば、当然に、証人は当該事項につき証言を拒むことができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平18.10.3)は、「『職業の秘密』とは、その事項が公開されると、当該職業に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になるものをいうと解される…もっとも、ある秘密が上記の意味での職業の秘密に当たる場合においても、そのことから直ちに証言拒絶が認められるものではなく、そのうち保護に値する秘密についてのみ証言拒絶が認められると解すべきである。そして、保護に値する秘密であるかどうかは、秘密の公表によって生ずる不利益と証言の拒絶によって犠牲になる真実発見及び裁判の公正との比較衡量により決せられるというべきである。」として、職業の秘密に該当する場合でも、当然に、証人は当該事項につき証言を拒むことができるわけではないことを示している。
判例(最判平18.10.3)は、「『職業の秘密』とは、その事項が公開されると、当該職業に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になるものをいうと解される…もっとも、ある秘密が上記の意味での職業の秘密に当たる場合においても、そのことから直ちに証言拒絶が認められるものではなく、そのうち保護に値する秘密についてのみ証言拒絶が認められると解すべきである。そして、保護に値する秘密であるかどうかは、秘密の公表によって生ずる不利益と証言の拒絶によって犠牲になる真実発見及び裁判の公正との比較衡量により決せられるというべきである。」として、職業の秘密に該当する場合でも、当然に、証人は当該事項につき証言を拒むことができるわけではないことを示している。
総合メモ
金融機関が民事訴訟において訴訟外の第三者として開示を求められた顧客情報について、当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合に、同情報は、民事訴訟法197条1項3号にいう職業の秘密として保護されるか 最三小判平成19年12月11日
概要
①金融機関が民事訴訟において訴訟外の第三者として開示を求められた顧客情報について、当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合には、同情報は、金融機関がこれにつき職業の秘密として保護に値する独自の利益を有するときは別として、197条1項3号にいう職業の秘密として保護されない。
②A、Bを当事者とする民事訴訟の手続の中で、Aが金融機関Cを相手方としてBとCとの間の取引履歴が記載された明細表を対象文書とする文書提出命令を申し立てた場合において、Bが上記明細表を所持しているとすれば民訴法220条4号所定の事由のいずれにも該当せず提出義務が認められること、Cがその取引履歴を秘匿する独自の利益を有するものとはいえないことなど判示の事情の下では、上記明細表は、同法197条1項3号にいう職業の秘密として保護されるべき情報が記載された文書とはいえず、同法220条4号ハ所定の文書に該当しない。
②A、Bを当事者とする民事訴訟の手続の中で、Aが金融機関Cを相手方としてBとCとの間の取引履歴が記載された明細表を対象文書とする文書提出命令を申し立てた場合において、Bが上記明細表を所持しているとすれば民訴法220条4号所定の事由のいずれにも該当せず提出義務が認められること、Cがその取引履歴を秘匿する独自の利益を有するものとはいえないことなど判示の事情の下では、上記明細表は、同法197条1項3号にいう職業の秘密として保護されるべき情報が記載された文書とはいえず、同法220条4号ハ所定の文書に該当しない。
判例
事案:訴訟外の第三者である金融機関が所持する顧客の取引履歴が記載された取引明細書について文書提出命令の申立てがされた事案において、①当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合、同情報は、197条1項3号にいう職業の秘密として保護されるか、②金融機関と顧客との取引履歴が記載された明細表が、197条1項3号にいう職業の秘密として保護されるべき情報が記載された文書とはいえないとして、220条4号ハ所定の文書に該当しないのではないかなどが問題となった。
判旨:①「金融機関は、顧客との取引内容に関する情報や顧客との取引に関して得た顧客の信用にかかわる情報などの顧客情報につき、商慣習上又は契約上、当該顧客との関係において守秘義務を負い、その顧客情報をみだりに外部に漏らすことは許されない。しかしながら、金融機関が有する上記守秘義務は、上記の根拠に基づき個々の顧客との関係において認められるにすぎないものであるから、金融機関が民事訴訟において訴訟外の第三者として開示を求められた顧客情報について、当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合には、当該顧客は上記顧客情報につき金融機関の守秘義務により保護されるべき正当な利益を有さず、金融機関は、訴訟手続において上記顧客情報を開示しても守秘義務には違反しないというべきである。そうすると、金融機関は、訴訟手続上、顧客に対し守秘義務を負うことを理由として上記顧客情報の開示を拒否することはできず、同情報は、金融機関がこれにつき職業の秘密として保護に値する独自の利益を有する場合は別として、民訴法197条1項3号にいう職業の秘密として保護されないものというべきである。」
②「これを本件についてみるに、本件明細表は、相手方とその顧客であるBとの取引履歴が記載されたものであり、相手方は、同取引履歴を秘匿する独自の利益を有するものとはいえず、これについてBとの関係において守秘義務を負っているにすぎない。そして、本件明細表は、本案の訴訟当事者であるBがこれを所持しているとすれば、民訴法220条4号所定の事由のいずれにも該当せず、提出義務の認められる文書であるから、Bは本件明細表に記載された取引履歴について相手方の守秘義務によって保護されるべき正当な利益を有さず、相手方が本案訴訟において本件明細表を提出しても、守秘義務に違反するものではないというべきである。そうすると、本件明細表は、職業の秘密として保護されるべき情報が記載された文書とはいえないから、相手方は、本件申立てに対して本件明細表の提出を拒否することはできない。」
判旨:①「金融機関は、顧客との取引内容に関する情報や顧客との取引に関して得た顧客の信用にかかわる情報などの顧客情報につき、商慣習上又は契約上、当該顧客との関係において守秘義務を負い、その顧客情報をみだりに外部に漏らすことは許されない。しかしながら、金融機関が有する上記守秘義務は、上記の根拠に基づき個々の顧客との関係において認められるにすぎないものであるから、金融機関が民事訴訟において訴訟外の第三者として開示を求められた顧客情報について、当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合には、当該顧客は上記顧客情報につき金融機関の守秘義務により保護されるべき正当な利益を有さず、金融機関は、訴訟手続において上記顧客情報を開示しても守秘義務には違反しないというべきである。そうすると、金融機関は、訴訟手続上、顧客に対し守秘義務を負うことを理由として上記顧客情報の開示を拒否することはできず、同情報は、金融機関がこれにつき職業の秘密として保護に値する独自の利益を有する場合は別として、民訴法197条1項3号にいう職業の秘密として保護されないものというべきである。」
②「これを本件についてみるに、本件明細表は、相手方とその顧客であるBとの取引履歴が記載されたものであり、相手方は、同取引履歴を秘匿する独自の利益を有するものとはいえず、これについてBとの関係において守秘義務を負っているにすぎない。そして、本件明細表は、本案の訴訟当事者であるBがこれを所持しているとすれば、民訴法220条4号所定の事由のいずれにも該当せず、提出義務の認められる文書であるから、Bは本件明細表に記載された取引履歴について相手方の守秘義務によって保護されるべき正当な利益を有さず、相手方が本案訴訟において本件明細表を提出しても、守秘義務に違反するものではないというべきである。そうすると、本件明細表は、職業の秘密として保護されるべき情報が記載された文書とはいえないから、相手方は、本件申立てに対して本件明細表の提出を拒否することはできない。」
過去問・解説
(R3 予備 第40問 1)
訴訟外の第三者である金融機関が所持する顧客の取引履歴が記載された取引明細書について文書提出命令の申立てがされた場合に、その顧客自身が訴訟の当事者として開示義務を負うときであっても、金融機関は、その保持する顧客の信用情報につき、商慣習上又は契約上、その顧客との関係で守秘義務を負うから、裁判所は、当該取引明細書の提出を命ずることはできない。
訴訟外の第三者である金融機関が所持する顧客の取引履歴が記載された取引明細書について文書提出命令の申立てがされた場合に、その顧客自身が訴訟の当事者として開示義務を負うときであっても、金融機関は、その保持する顧客の信用情報につき、商慣習上又は契約上、その顧客との関係で守秘義務を負うから、裁判所は、当該取引明細書の提出を命ずることはできない。
(正答)✕
(解説)
220条は、柱書において、「次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。」と規定し、4号において、「前3号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。」を、同号ハにおいて、「第197条第1項…第3号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書」を掲げている。
そして、197条1項3号は、証言拒絶事由として、「職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合」を掲げている。
これについて、判例(最判平19.12.11)は、本肢と同種の事案において、「金融機関は、顧客との取引内容に関する情報や顧客との取引に関して得た顧客の信用にかかわる情報などの顧客情報につき、商慣習上又は契約上、当該顧客との関係において守秘義務を負い、その顧客情報をみだりに外部に漏らすことは許されない。しかしながら…金融機関が民事訴訟において訴訟外の第三者として開示を求められた顧客情報について、当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合には…上記顧客情報の開示を拒否することはできず、同情報は、金融機関がこれにつき職業の秘密として保護に値する独自の利益を有する場合は別として、民訴法197条1項3号にいう職業の秘密として保護されないものというべきである。」とした上で、「本件明細表は、本案の訴訟当事者であるBがこれを所持しているとすれば、民訴法220条4号所定の事由のいずれにも該当せず、提出義務の認められる文書である…そうすると、本件明細表は、職業の秘密として保護されるべき情報が記載された文書とはいえないから、相手方は、本件申立てに対して本件明細表の提出を拒否することはできない。」として、訴訟外の第三者である金融機関が所持する顧客の取引履歴が記載された取引明細書について当該取引明細書の提出を命ずることができることを示している。
220条は、柱書において、「次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。」と規定し、4号において、「前3号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。」を、同号ハにおいて、「第197条第1項…第3号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書」を掲げている。
そして、197条1項3号は、証言拒絶事由として、「職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合」を掲げている。
これについて、判例(最判平19.12.11)は、本肢と同種の事案において、「金融機関は、顧客との取引内容に関する情報や顧客との取引に関して得た顧客の信用にかかわる情報などの顧客情報につき、商慣習上又は契約上、当該顧客との関係において守秘義務を負い、その顧客情報をみだりに外部に漏らすことは許されない。しかしながら…金融機関が民事訴訟において訴訟外の第三者として開示を求められた顧客情報について、当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合には…上記顧客情報の開示を拒否することはできず、同情報は、金融機関がこれにつき職業の秘密として保護に値する独自の利益を有する場合は別として、民訴法197条1項3号にいう職業の秘密として保護されないものというべきである。」とした上で、「本件明細表は、本案の訴訟当事者であるBがこれを所持しているとすれば、民訴法220条4号所定の事由のいずれにも該当せず、提出義務の認められる文書である…そうすると、本件明細表は、職業の秘密として保護されるべき情報が記載された文書とはいえないから、相手方は、本件申立てに対して本件明細表の提出を拒否することはできない。」として、訴訟外の第三者である金融機関が所持する顧客の取引履歴が記載された取引明細書について当該取引明細書の提出を命ずることができることを示している。
総合メモ
反対尋問の機会がなかつた本人尋問 最二小判昭和32年2月8日
概要
当事者尋問が途中で打ち切られ、結局、反対尋問の機会がなかったとしても、それが、本人の病状に照らし、やむを得ない事由によるものと認められる場合、当事者尋問の結果を証拠資料としても違法ではない。
判例
事案:当事者尋問が途中で打ち切られ、反対尋問を行えなかった事案において、反対尋問の機会がなかった本人尋問の結果を証拠資料となし得るかが問題となった。
判旨:「第1審における被告本人B(被上告人)に対する臨床訊問が途中で、立会の医師の勧告によって打ち切られ、上告人側に反対訊問の機会が与えられなかったことは、所論のとおりである。しかし、右の場合、裁判所が本人訊問を打ち切った措置を違法と解し得ないことは、民訴260条(現:181条2項)の趣旨からして当然であり、その後、再訊問の措置を採らなかったのも、右本人の病状の経過に照らし、これを不相当と認めたためであることが、記録上窺い得られるところである。従ってこのように、やむを得ない事由によって反対訊問ができなかった場合には、単に反対訊問の機会がなかたというだけの理由で、右本人訊問の結果を事実認定の資料とすることができないと解すべきではなく、結局、合理的な自由心証によりその証拠力を決し得ると解するのが相当である。」
判旨:「第1審における被告本人B(被上告人)に対する臨床訊問が途中で、立会の医師の勧告によって打ち切られ、上告人側に反対訊問の機会が与えられなかったことは、所論のとおりである。しかし、右の場合、裁判所が本人訊問を打ち切った措置を違法と解し得ないことは、民訴260条(現:181条2項)の趣旨からして当然であり、その後、再訊問の措置を採らなかったのも、右本人の病状の経過に照らし、これを不相当と認めたためであることが、記録上窺い得られるところである。従ってこのように、やむを得ない事由によって反対訊問ができなかった場合には、単に反対訊問の機会がなかたというだけの理由で、右本人訊問の結果を事実認定の資料とすることができないと解すべきではなく、結局、合理的な自由心証によりその証拠力を決し得ると解するのが相当である。」
総合メモ
書証の成立を認めるということが、書証に書いてあることが客観的に真実であるという事実を認めることになるか 最三小判昭和25年2月28日
過去問・解説
(H25 共通 第68問 ア)
A名義で事件の経過を記載した報告書は、Aの意思に基づいて作成されたことが認められれば、その内容が真実であると推定される。
A名義で事件の経過を記載した報告書は、Aの意思に基づいて作成されたことが認められれば、その内容が真実であると推定される。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭25.2.28)は、「書証の成立を認めるということはただ其書証の作成名義人が真実作成したもので偽造のものではないということを認めるだけで、その書証に書いてあることが客観的に真実であるという事実を認めることではない。」としている。
したがって、A名義で事件の経過を記載した報告書は、Aの意思に基づいて作成されたこと、すなわち成立の真正が認められれば、A真実作成したもので偽造のものではないということが認められるが、当該報告書に書いてあることが客観的に真実であるという事実を認められるわけではなく、かつ真実であると推定されるわけでもない。
判例(最判昭25.2.28)は、「書証の成立を認めるということはただ其書証の作成名義人が真実作成したもので偽造のものではないということを認めるだけで、その書証に書いてあることが客観的に真実であるという事実を認めることではない。」としている。
したがって、A名義で事件の経過を記載した報告書は、Aの意思に基づいて作成されたこと、すなわち成立の真正が認められれば、A真実作成したもので偽造のものではないということが認められるが、当該報告書に書いてあることが客観的に真実であるという事実を認められるわけではなく、かつ真実であると推定されるわけでもない。
総合メモ
私文書における二段の推定 最三小判昭和39年5月12日
概要
私文書の作成名義人の印影が当該名義人の印章によって顕出されたものであるときは、反証のない限り、その印影は本人の意思に基づいて顕出されたものと事実上推定するのを相当とし、これにより、228条4項に基づきその文書が真正に成立したものと推定すべきである。
判例
事案:私文書の作成名義人の印影が当該名義人の印章によって顕出された事案において、文書の真正の推定がなされるかが問題となった。
判旨:「民訴326条(現:228条4項)に『本人又ハ其ノ代理人ノ署名又ハ捺印アルトキ』というのは、該署名または捺印が、本人またはその代理人の意思に基づいて、真正に成立したときの謂であるが、文書中の印影が本人または代理人の印章によって顕出された事実が確定された場合には、反証がない限り、該印影は本人または代理人の意思に基づいて成立したものと推定するのが相当であり、右推定がなされる結果、当該文書は、民訴326条(現:228条4項)にいう『本人又ハ其ノ代理人ノ(中略)捺印アルトキ』の要件を充たし、その全体が真正に成立したものと推定されることとなるのである。」
判旨:「民訴326条(現:228条4項)に『本人又ハ其ノ代理人ノ署名又ハ捺印アルトキ』というのは、該署名または捺印が、本人またはその代理人の意思に基づいて、真正に成立したときの謂であるが、文書中の印影が本人または代理人の印章によって顕出された事実が確定された場合には、反証がない限り、該印影は本人または代理人の意思に基づいて成立したものと推定するのが相当であり、右推定がなされる結果、当該文書は、民訴326条(現:228条4項)にいう『本人又ハ其ノ代理人ノ(中略)捺印アルトキ』の要件を充たし、その全体が真正に成立したものと推定されることとなるのである。」
過去問・解説
(H18 司法 第60問 ウ)
私文書に作成名義人の印章による印影がある場合、その印影は、法律上、作成名義人の意思に基づいて顕出されたものと推定される。
私文書に作成名義人の印章による印影がある場合、その印影は、法律上、作成名義人の意思に基づいて顕出されたものと推定される。
(正答)✕
(解説)
228条4項は、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」と規定している。
これについて、判例(最判昭39.5.12)は、「民訴326条(現:228条4項)に『本人又ハ其ノ代理人ノ署名又ハ捺印アルトキ』というのは、該署名または捺印が、本人またはその代理人の意思に基づいて、真正に成立したときの謂であるが、文書中の印影が本人または代理人の印章によって顕出された事実が確定された場合には、反証がない限り、該印影は本人または代理人の意思に基づいて成立したものと推定するのが相当であ…る。」としている。
この推定は、「反証がない限り」されるものであるから、立証責任が転換するものではなく、事実上の推定にとどまる。
したがって、私文書に作成名義人の印章による印影がある場合、その印影は、法律上ではなく、事実上、作成名義人の意思に基づいて顕出されたものと推定される。
228条4項は、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」と規定している。
これについて、判例(最判昭39.5.12)は、「民訴326条(現:228条4項)に『本人又ハ其ノ代理人ノ署名又ハ捺印アルトキ』というのは、該署名または捺印が、本人またはその代理人の意思に基づいて、真正に成立したときの謂であるが、文書中の印影が本人または代理人の印章によって顕出された事実が確定された場合には、反証がない限り、該印影は本人または代理人の意思に基づいて成立したものと推定するのが相当であ…る。」としている。
この推定は、「反証がない限り」されるものであるから、立証責任が転換するものではなく、事実上の推定にとどまる。
したがって、私文書に作成名義人の印章による印影がある場合、その印影は、法律上ではなく、事実上、作成名義人の意思に基づいて顕出されたものと推定される。
(H21 司法 第66問 5)
売買契約に基づく代金支払請求訴訟において、買主の委任状が偽造されたものかどうかが争点とされた場合には、委任状に被告の印章による印影があると当該印影は被告の意思に基づいて顕出されたものと推定されるが、被告は、印章が盗まれた事実を立証して反証に成功すれば、この推定を覆すことができる。
売買契約に基づく代金支払請求訴訟において、買主の委任状が偽造されたものかどうかが争点とされた場合には、委任状に被告の印章による印影があると当該印影は被告の意思に基づいて顕出されたものと推定されるが、被告は、印章が盗まれた事実を立証して反証に成功すれば、この推定を覆すことができる。
(正答)〇
(解説)
228条4項は、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」と規定している。
これについて、判例(最判昭39.5.12)は、「文書中の印影が本人または代理人の印章によって顕出された事実が確定された場合には、反証がない限り、該印影は本人または代理人の意思に基づいて成立したものと推定するのが相当であ…る。」としている。
したがって、委任状に被告の印章による印影があると当該印影は被告の意思に基づいて顕出されたものと推定されるが、被告は、印章が盗まれた事実を立証して反証に成功すれば、この推定を覆すことができる。
228条4項は、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」と規定している。
これについて、判例(最判昭39.5.12)は、「文書中の印影が本人または代理人の印章によって顕出された事実が確定された場合には、反証がない限り、該印影は本人または代理人の意思に基づいて成立したものと推定するのが相当であ…る。」としている。
したがって、委任状に被告の印章による印影があると当該印影は被告の意思に基づいて顕出されたものと推定されるが、被告は、印章が盗まれた事実を立証して反証に成功すれば、この推定を覆すことができる。
(H25 共通 第68問 エ)
判例の趣旨によれば、Aの氏名が記された印影が私文書中に顕出されている場合には、その文書は、Aを作成者として真正に成立したものと推定される。
判例の趣旨によれば、Aの氏名が記された印影が私文書中に顕出されている場合には、その文書は、Aを作成者として真正に成立したものと推定される。
(正答)〇
(解説)
228条4項は、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」と規定している。
これについて、判例(最判昭39.5.12)は、「民訴326条(現:228条4項)に『本人又ハ其ノ代理人ノ署名又ハ捺印アルトキ』というのは、該署名または捺印が、本人またはその代理人の意思に基づいて、真正に成立したときの謂であるが、文書中の印影が本人または代理人の印章によって顕出された事実が確定された場合には、反証がない限り、該印影は本人または代理人の意思に基づいて成立したものと推定するのが相当であり、右推定がなされる結果、当該文書は、民訴326条(現:228条4項)にいう『本人又ハ其ノ代理人ノ(中略)捺印アルトキ』の要件を充たし、その全体が真正に成立したものと推定されることとなるのである。」としている。
したがって、Aの氏名が記された印影が私文書中に顕出されている場合には、その文書は、Aを作成者として真正に成立したものと推定される。
228条4項は、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」と規定している。
これについて、判例(最判昭39.5.12)は、「民訴326条(現:228条4項)に『本人又ハ其ノ代理人ノ署名又ハ捺印アルトキ』というのは、該署名または捺印が、本人またはその代理人の意思に基づいて、真正に成立したときの謂であるが、文書中の印影が本人または代理人の印章によって顕出された事実が確定された場合には、反証がない限り、該印影は本人または代理人の意思に基づいて成立したものと推定するのが相当であり、右推定がなされる結果、当該文書は、民訴326条(現:228条4項)にいう『本人又ハ其ノ代理人ノ(中略)捺印アルトキ』の要件を充たし、その全体が真正に成立したものと推定されることとなるのである。」としている。
したがって、Aの氏名が記された印影が私文書中に顕出されている場合には、その文書は、Aを作成者として真正に成立したものと推定される。
(H30 予備 第40問 3)
成立に争いのある私文書に本人名義の署名が存在する場合には、その署名をしたのが本人であるかどうかかが明らかでないときであっても、その署名は本人の意思に基づいてされたものと事実上推定され、ひいては当該私文書が真正に成立したものと推定される。
成立に争いのある私文書に本人名義の署名が存在する場合には、その署名をしたのが本人であるかどうかかが明らかでないときであっても、その署名は本人の意思に基づいてされたものと事実上推定され、ひいては当該私文書が真正に成立したものと推定される。
(正答)✕
(解説)
228条4項は、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」と規定している。
これについて、判例(最判昭39.5.12)は、「民訴326条(現:228条4項)に『本人又ハ其ノ代理人ノ署名又ハ捺印アルトキ』というのは、該署名または捺印が、本人またはその代理人の意思に基づいて、真正に成立したときの謂である。」として、署名が本人または代理人の意思に基づいていなければ民訴326条(現:228条4項)の推定は生じないことを示している。
したがって、署名をしたのが本人であるかどうかかが明らかでないときは、その署名は本人の意思に基づいてされたものと事実上推定されることはなく、民訴326条(現:228条4項)によって成立の真正が推定されることもない。
なお、判例(最判昭39.5.12)は、「文書中の印影が本人または代理人の印章によって顕出された事実が確定された場合には、反証がない限り、該印影は本人または代理人の意思に基づいて成立したものと推定するのが相当であ…る。」として、印影の場合に限って、本人または代理人の意思に基づく捺印であるという事実につき、事実上の推定を認めているが、署名の場合はこのような事実上の推定は認められていない。
228条4項は、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」と規定している。
これについて、判例(最判昭39.5.12)は、「民訴326条(現:228条4項)に『本人又ハ其ノ代理人ノ署名又ハ捺印アルトキ』というのは、該署名または捺印が、本人またはその代理人の意思に基づいて、真正に成立したときの謂である。」として、署名が本人または代理人の意思に基づいていなければ民訴326条(現:228条4項)の推定は生じないことを示している。
したがって、署名をしたのが本人であるかどうかかが明らかでないときは、その署名は本人の意思に基づいてされたものと事実上推定されることはなく、民訴326条(現:228条4項)によって成立の真正が推定されることもない。
なお、判例(最判昭39.5.12)は、「文書中の印影が本人または代理人の印章によって顕出された事実が確定された場合には、反証がない限り、該印影は本人または代理人の意思に基づいて成立したものと推定するのが相当であ…る。」として、印影の場合に限って、本人または代理人の意思に基づく捺印であるという事実につき、事実上の推定を認めているが、署名の場合はこのような事実上の推定は認められていない。
(H30 予備 第40問 4)
成立に争いのある私文書に本人の印章による印影が存在する場合には、その印影は本人の意思に基づいて顕出されたものと事実上推定され、ひいては当該私文書が真正に成立したものと推定される。
成立に争いのある私文書に本人の印章による印影が存在する場合には、その印影は本人の意思に基づいて顕出されたものと事実上推定され、ひいては当該私文書が真正に成立したものと推定される。
(正答)〇
(解説)
228条4項は、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」と規定している。
これについて、判例(最判昭39.5.12)は、「民訴326条(現:228条4項)に『本人又ハ其ノ代理人ノ署名又ハ捺印アルトキ』というのは、該署名または捺印が、本人またはその代理人の意思に基づいて、真正に成立したときの謂であるが、文書中の印影が本人または代理人の印章によって顕出された事実が確定された場合には、反証がない限り、該印影は本人または代理人の意思に基づいて成立したものと推定するのが相当であり、右推定がなされる結果、当該文書は、民訴326条(現:228条4項)にいう『本人又ハ其ノ代理人ノ(中略)捺印アルトキ』の要件を充たし、その全体が真正に成立したものと推定されることとなるのである。」としている。
したがって、本人の印章による印影が存在する場合には、その印影は本人の意思に基づいて顕出されたものと事実上推定され、ひいては当該私文書が真正に成立したものと推定される。
228条4項は、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」と規定している。
これについて、判例(最判昭39.5.12)は、「民訴326条(現:228条4項)に『本人又ハ其ノ代理人ノ署名又ハ捺印アルトキ』というのは、該署名または捺印が、本人またはその代理人の意思に基づいて、真正に成立したときの謂であるが、文書中の印影が本人または代理人の印章によって顕出された事実が確定された場合には、反証がない限り、該印影は本人または代理人の意思に基づいて成立したものと推定するのが相当であり、右推定がなされる結果、当該文書は、民訴326条(現:228条4項)にいう『本人又ハ其ノ代理人ノ(中略)捺印アルトキ』の要件を充たし、その全体が真正に成立したものと推定されることとなるのである。」としている。
したがって、本人の印章による印影が存在する場合には、その印影は本人の意思に基づいて顕出されたものと事実上推定され、ひいては当該私文書が真正に成立したものと推定される。
総合メモ
第三者作成文書の成立の真正の認定 最三小判昭和27年10月21日
概要
相手方が不知をもって答えた第三者作成の文書については、特段の立証はなくても、弁論の全趣旨により、成立の真正を認めることができる。
判例
事案:第三者作成文書の成立の真正につき、相手方が不知をもって答えた事案において、かかる文書の成立の真正を弁論の全趣旨により認定できるかが問題となった。
判旨:「論旨は、原審において、上告人が不知を以て答えた乙第1号証(第三者の作成した手紙)を証拠に採用したことを非難しているが、第三者作成の文書については、特段の立証はなくとも裁判所が弁論の全趣旨によりその成立の真正を認めうるものと解すべきであって、原審が右乙号証は真正に成立したものと認める旨判示したのは、弁論の全趣旨によりこれを認めた趣旨であること明であるから、同号証を証拠に採用したことは何ら違法ではなく、所論は理由がない。」
判旨:「論旨は、原審において、上告人が不知を以て答えた乙第1号証(第三者の作成した手紙)を証拠に採用したことを非難しているが、第三者作成の文書については、特段の立証はなくとも裁判所が弁論の全趣旨によりその成立の真正を認めうるものと解すべきであって、原審が右乙号証は真正に成立したものと認める旨判示したのは、弁論の全趣旨によりこれを認めた趣旨であること明であるから、同号証を証拠に採用したことは何ら違法ではなく、所論は理由がない。」
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訴提起後挙証者が係争事実に関して作成した文書の証拠能力 最二小判昭和24年2月1日
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民事訴訟法220条3号後段にいう法律関係文書の意義 最一小決平成12年3月10日
概要
文部大臣の諮問機関である教科用図書検定調査審議会が作成した教科用図書についての判定内容を記載した書面及びその内容を記載した文部大臣に対する報告書は、民訴法220条3号後段の文書に当たらない。
判例
事案:教科用図書検定調査審議会の作成した文書について、文書提出命令の申立がなされた事案において、当該文書が220条3号後段の文書に当たらないかが問題となった。
判旨:「民訴法220条3号後段の文書には、文書の所持者が専ら自己使用のために作成した内部文書(以下『内部文書』という。)は含まれないと解するのが相当である。
これを本件についてみるに、本件文書…は、検定意見を通知し必要な修正が行われた後に再度審査を行うのが適当であるとの検定審議会の判定内容を記載した書面及び検定審議会がその旨を記載して文部大臣に提出した報告書を指すものと解されるところ、これらはいずれも、検定審議会が、文部大臣の判断を補佐するため、本件申請図書を調査審議し、議決内容を建議するという所掌事務の遂行過程において、本件申請図書の判定内容の記録として…また、議決した内容を文部大臣に報告する手段として…文部省内部において使用されるために作成された文書であることが明らかである。これらの文書は、その作成について法令上何ら定めるところはなく、これらを作成するか否か、何をどの程度記載するかは、検定審議会に一任されており、また、申請者等の外部の者に交付するなど記載内容を公表することを予定しているとみるべき特段の根拠も存しない。以上のような文書の記載内容、性質、作成目的等に照らせば、本件文書…は、文部大臣が行う本件申請図書の検定申請の合否判定の意思を形成する過程において、諮問機関である検定審議会が、所掌事務の一環として、専ら文部省内部において使用されることを目的として作成した内部文書というべきである。」
判旨:「民訴法220条3号後段の文書には、文書の所持者が専ら自己使用のために作成した内部文書(以下『内部文書』という。)は含まれないと解するのが相当である。
これを本件についてみるに、本件文書…は、検定意見を通知し必要な修正が行われた後に再度審査を行うのが適当であるとの検定審議会の判定内容を記載した書面及び検定審議会がその旨を記載して文部大臣に提出した報告書を指すものと解されるところ、これらはいずれも、検定審議会が、文部大臣の判断を補佐するため、本件申請図書を調査審議し、議決内容を建議するという所掌事務の遂行過程において、本件申請図書の判定内容の記録として…また、議決した内容を文部大臣に報告する手段として…文部省内部において使用されるために作成された文書であることが明らかである。これらの文書は、その作成について法令上何ら定めるところはなく、これらを作成するか否か、何をどの程度記載するかは、検定審議会に一任されており、また、申請者等の外部の者に交付するなど記載内容を公表することを予定しているとみるべき特段の根拠も存しない。以上のような文書の記載内容、性質、作成目的等に照らせば、本件文書…は、文部大臣が行う本件申請図書の検定申請の合否判定の意思を形成する過程において、諮問機関である検定審議会が、所掌事務の一環として、専ら文部省内部において使用されることを目的として作成した内部文書というべきである。」
過去問・解説
(R3 予備 第40問 3)
裁判所は、専ら所持者の利用に供するための文書に当たる文書について、挙証者と当該文書の所持者との間の法律関係について作成された文書であることを理由として、その提出を命ずることができない。
裁判所は、専ら所持者の利用に供するための文書に当たる文書について、挙証者と当該文書の所持者との間の法律関係について作成された文書であることを理由として、その提出を命ずることができない。
(正答)〇
(解説)
220条は、柱書において、「次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。」と規定し、3号において、「文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。」を掲げている。
これについて判例(最決平12.3.10)は、「民訴法220条3号後段の文書には、文書の所持者が専ら自己使用のために作成した内部文書…は含まれない…。」としている。
したがって、裁判所は、専ら所持者の利用に供するための文書に当たる文書について、挙証者と当該文書の所持者との間の法律関係について作成された文書であることを理由として、その提出を命ずることができない。
220条は、柱書において、「次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。」と規定し、3号において、「文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。」を掲げている。
これについて判例(最決平12.3.10)は、「民訴法220条3号後段の文書には、文書の所持者が専ら自己使用のために作成した内部文書…は含まれない…。」としている。
したがって、裁判所は、専ら所持者の利用に供するための文書に当たる文書について、挙証者と当該文書の所持者との間の法律関係について作成された文書であることを理由として、その提出を命ずることができない。
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民事訴訟法220条4号ハにいう「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」の意義 最二小判平成11年11月12日
概要
ある文書が、専ら内部の者の利用に供する目的で作成され、外部の者に開示することが予定されていない文書であって、開示されると個人のプライバシーが侵害されたり個人ないし団体の自由な意思形成が阻害されたりするなど、開示によって所持者の側に看過し難い不利益が生ずるおそれがあると認められる場合には、特段の事情がない限り、当該文書は「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(220条4号ハ)にあたる。
判例
事案:銀行の貸出稟議書につき文書提出命令の申立がなされた事案において、当該文書が「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(220条4号ハ)にあたるかが問題となった。
判旨:「ある文書が、その作成目的、記載内容、これを現在の所持者が所持するに至るまでの経緯、その他の事情から判断して、専ら内部の者の利用に供する目的で作成され、外部の者に開示することが予定されていない文書であって、開示されると個人のプライバシーが侵害されたり個人ないし団体の自由な意思形成が阻害されたりするなど、開示によって所持者の側に看過し難い不利益が生ずるおそれがあると認められる場合には、特段の事情がない限り、当該文書は民訴法220条4号ハ(現:220条4号ニ)所定の『専ら文書の所持者の利用に供するための文書』に当たると解するのが相当である。
これを本件についてみるに、記録によれば、銀行の貸出稟議書とは、支店長等の決裁限度を超える規模、内容の融資案件について、本部の決裁を求めるために作成されるものであって、通常は、融資の相手方、融資金額、資金使途、担保・保証、返済方法といった融資の内容に加え、銀行にとっての収益の見込み、融資の相手方の信用状況、融資の相手方に対する評価、融資についての担当者の意見などが記載され、それを受けて審査を行った本部の担当者、次長、部長など所定の決裁権者が当該貸出しを認めるか否かについて表明した意見が記載される文書であること、本件文書は、貸出稟議書及びこれと一体を成す本部認可書であって、いずれも抗告人がJに対する融資を決定する意思を形成する過程で、右のような点を確認、検討、審査するために作成されたものであることが明らかである。
右に述べた文書作成の目的や記載内容等からすると、銀行の貸出稟議書は、銀行内部において、融資案件についての意思形成を円滑、適切に行うために作成される文書であって、法令によってその作成が義務付けられたものでもなく、融資の是非の審査に当たって作成されるという文書の性質上、忌たんのない評価や意見も記載されることが予定されているものである。したがって、貸出稟議書は、専ら銀行内部の利用に供する目的で作成され、外部に開示することが予定されていない文書であって、開示されると銀行内部における自由な意見の表明に支障を来し銀行の自由な意思形成が阻害されるおそれがあるものとして、特段の事情がない限り、『専ら文書の所持者の利用に供するための文書』に当たると解すべきである。」
判旨:「ある文書が、その作成目的、記載内容、これを現在の所持者が所持するに至るまでの経緯、その他の事情から判断して、専ら内部の者の利用に供する目的で作成され、外部の者に開示することが予定されていない文書であって、開示されると個人のプライバシーが侵害されたり個人ないし団体の自由な意思形成が阻害されたりするなど、開示によって所持者の側に看過し難い不利益が生ずるおそれがあると認められる場合には、特段の事情がない限り、当該文書は民訴法220条4号ハ(現:220条4号ニ)所定の『専ら文書の所持者の利用に供するための文書』に当たると解するのが相当である。
これを本件についてみるに、記録によれば、銀行の貸出稟議書とは、支店長等の決裁限度を超える規模、内容の融資案件について、本部の決裁を求めるために作成されるものであって、通常は、融資の相手方、融資金額、資金使途、担保・保証、返済方法といった融資の内容に加え、銀行にとっての収益の見込み、融資の相手方の信用状況、融資の相手方に対する評価、融資についての担当者の意見などが記載され、それを受けて審査を行った本部の担当者、次長、部長など所定の決裁権者が当該貸出しを認めるか否かについて表明した意見が記載される文書であること、本件文書は、貸出稟議書及びこれと一体を成す本部認可書であって、いずれも抗告人がJに対する融資を決定する意思を形成する過程で、右のような点を確認、検討、審査するために作成されたものであることが明らかである。
右に述べた文書作成の目的や記載内容等からすると、銀行の貸出稟議書は、銀行内部において、融資案件についての意思形成を円滑、適切に行うために作成される文書であって、法令によってその作成が義務付けられたものでもなく、融資の是非の審査に当たって作成されるという文書の性質上、忌たんのない評価や意見も記載されることが予定されているものである。したがって、貸出稟議書は、専ら銀行内部の利用に供する目的で作成され、外部に開示することが予定されていない文書であって、開示されると銀行内部における自由な意見の表明に支障を来し銀行の自由な意思形成が阻害されるおそれがあるものとして、特段の事情がない限り、『専ら文書の所持者の利用に供するための文書』に当たると解すべきである。」
過去問・解説
(H21 司法 第64問 2)
銀行の貸出稟議書は、専ら銀行内部の利用に供する目的で作成され、外部に開示することが予定されていない文書であって、開示されると銀行内部における自由な意見の表明に支障を来し銀行の自由な意思形成が阻害されるおそれがあるものとして、特段の事情がない限り、専ら文書の所持者の利用に供するための文書に該当することから、所持者はその提出を拒むことができる。
銀行の貸出稟議書は、専ら銀行内部の利用に供する目的で作成され、外部に開示することが予定されていない文書であって、開示されると銀行内部における自由な意見の表明に支障を来し銀行の自由な意思形成が阻害されるおそれがあるものとして、特段の事情がない限り、専ら文書の所持者の利用に供するための文書に該当することから、所持者はその提出を拒むことができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平11.11.12)は、「銀行の貸出稟議書は…専ら銀行内部の利用に供する目的で作成され、外部に開示することが予定されていない文書であって、開示されると銀行内部における自由な意見の表明に支障を来し銀行の自由な意思形成が阻害されるおそれがあるものとして、特段の事情がない限り、『専ら文書の所持者の利用に供するための文書』に当たる…。」としている。
したがって、銀行の貸出稟議書は、特段の事情のない限り、「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(220条4号ニ)に当たるため、所持者はその提出を拒むことができる。
判例(最判平11.11.12)は、「銀行の貸出稟議書は…専ら銀行内部の利用に供する目的で作成され、外部に開示することが予定されていない文書であって、開示されると銀行内部における自由な意見の表明に支障を来し銀行の自由な意思形成が阻害されるおそれがあるものとして、特段の事情がない限り、『専ら文書の所持者の利用に供するための文書』に当たる…。」としている。
したがって、銀行の貸出稟議書は、特段の事情のない限り、「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(220条4号ニ)に当たるため、所持者はその提出を拒むことができる。
(H24 共通 第66問 ウ)
判例によれば、株式会社の社内文書で外部の者への開示が予定されていないものであっても、その文書を開示することにより当該株式会社に看過し難い不利益を生ずるおそれがないときには、文書提出命令の対象となる。
判例によれば、株式会社の社内文書で外部の者への開示が予定されていないものであっても、その文書を開示することにより当該株式会社に看過し難い不利益を生ずるおそれがないときには、文書提出命令の対象となる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平11.11.12)は、「ある文書が…専ら内部の者の利用に供する目的で作成され、外部の者に開示することが予定されていない文書であって、開示されると個人のプライバシーが侵害されたり個人ないし団体の自由な意思形成が阻害されたりするなど、開示によって所持者の側に看過し難い不利益が生ずるおそれがあると認められる場合には、特段の事情がない限り、当該文書は民訴法220条4号ハ所定の『専ら文書の所持者の利用に供するための文書』に当たる…。」としている。
したがって、その文書を開示することにより当該株式会社に看過し難い不利益を生ずるおそれがないときには、「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(220条4号ニ)には当たらないため、文書提出命令の対象となる。
判例(最判平11.11.12)は、「ある文書が…専ら内部の者の利用に供する目的で作成され、外部の者に開示することが予定されていない文書であって、開示されると個人のプライバシーが侵害されたり個人ないし団体の自由な意思形成が阻害されたりするなど、開示によって所持者の側に看過し難い不利益が生ずるおそれがあると認められる場合には、特段の事情がない限り、当該文書は民訴法220条4号ハ所定の『専ら文書の所持者の利用に供するための文書』に当たる…。」としている。
したがって、その文書を開示することにより当該株式会社に看過し難い不利益を生ずるおそれがないときには、「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(220条4号ニ)には当たらないため、文書提出命令の対象となる。
総合メモ
民事訴訟法220条4号ロにいう「公務員の職務上の秘密」と公務員が職務上知ることができた私人の秘密 最三小決平成17年10月14日
概要
①220条4号ロにいう「公務員の職務上の秘密」には、公務員が職務を遂行する上で知ることができた私人の秘密であって、それが本案事件において公にされることにより、私人との信頼関係が損なわれ、公務の公正かつ円滑な運営に支障を来すこととなるものも含まれる。
②220条4号ロにいう「その提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある」とは、単に文書の性格から公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずる抽象的なおそれがあることが認められるだけでは足りず、その文書の記載内容からみてそのおそれの存在することが具体的に認められることが必要である。
③労働災害が発生した際に労働基準監督官等の調査担当者が労働災害の発生原因を究明し同種災害の再発防止策等を策定するために調査結果等を踏まえた所見を取りまとめて作成した災害調査復命書に、(1)当該調査担当者が事業者や労働者らから聴取した内容、事業者から提供を受けた関係資料、当該事業場内での計測、見分等に基づいて推測、評価、分析した事項という当該調査担当者が職務上知ることができた当該事業者にとっての私的な情報のほか、(2)再発防止策、行政指導の措置内容についての当該調査担当者の意見、署長判決及び意見等の行政内部の意思形成過程に関する情報が記載されていること、(1)の情報に係る部分の中には、上記聴取内容がそのまま記載されたり、引用されたりしている部分はなく、当該調査担当者において、他の調査結果を総合し、その判断により上記聴取内容を取捨選択して、その分析評価と一体化させたものが記載されていること、調査担当者には、事業場に立ち入り、関係者に質問し、帳簿、書類その他の物件を検査するなどの権限があることなど判示の事情の下においては、上記災害調査復命書のうち、(2)の情報に係る部分は民訴法220条4号ロ所定の文書に該当しないとはいえないが、(1)の情報に係る部分は同号ロ所定の文書に該当しない。
②220条4号ロにいう「その提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある」とは、単に文書の性格から公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずる抽象的なおそれがあることが認められるだけでは足りず、その文書の記載内容からみてそのおそれの存在することが具体的に認められることが必要である。
③労働災害が発生した際に労働基準監督官等の調査担当者が労働災害の発生原因を究明し同種災害の再発防止策等を策定するために調査結果等を踏まえた所見を取りまとめて作成した災害調査復命書に、(1)当該調査担当者が事業者や労働者らから聴取した内容、事業者から提供を受けた関係資料、当該事業場内での計測、見分等に基づいて推測、評価、分析した事項という当該調査担当者が職務上知ることができた当該事業者にとっての私的な情報のほか、(2)再発防止策、行政指導の措置内容についての当該調査担当者の意見、署長判決及び意見等の行政内部の意思形成過程に関する情報が記載されていること、(1)の情報に係る部分の中には、上記聴取内容がそのまま記載されたり、引用されたりしている部分はなく、当該調査担当者において、他の調査結果を総合し、その判断により上記聴取内容を取捨選択して、その分析評価と一体化させたものが記載されていること、調査担当者には、事業場に立ち入り、関係者に質問し、帳簿、書類その他の物件を検査するなどの権限があることなど判示の事情の下においては、上記災害調査復命書のうち、(2)の情報に係る部分は民訴法220条4号ロ所定の文書に該当しないとはいえないが、(1)の情報に係る部分は同号ロ所定の文書に該当しない。
判例
事案:工場で労働者が就労中に死亡するという労災事故にが生じ、安全配慮義務違反を理由とする損害賠償請求訴訟が提起された。原告が220条3号又は4号に基づき、相手方に対し、本件労災事故の災害調査復命書である原々決定別紙文書目録記載の文書につき、文書提出命令の申立てをしたという事案において、①220条4号ロにいう「公務員の職務上の秘密」の意義や、②220条4号ロにいう「その提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある」の意義、③いわゆる災害調査復命書のうち行政内部の意思形成過程に関する情報に係る部分は220条4号ロ所定の文書に該当するが労働基準監督官等の調査担当者が職務上知ることができた事業者にとっての私的な情報に係る部分は同号ロ所定の文書に該当しないかなどが問題となった。
判旨:①「民訴法220条4号ロにいう『公務員の職務上の秘密』とは、公務員が職務上知り得た非公知の事項であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものをいうと解すべきである(最高裁昭和48年(あ)第2716号同52年12月19日第二小法廷決定・刑集31巻7号1053頁、最高裁昭和51年(あ)第1581号同53年5月31日第一小法廷決定・刑集32巻3号457頁参照)。そして、上記『公務員の職務上の秘密』には、公務員の所掌事務に属する秘密だけでなく、公務員が職務を遂行する上で知ることができた私人の秘密であって、それが本案事件において公にされることにより、私人との信頼関係が損なわれ、公務の公正かつ円滑な運営に支障を来すこととなるものも含まれると解すべきである。…本件文書は、〔1〕本件調査担当者が職務上知ることができた本件事業場の安全管理体制、本件労災事故の発生状況、発生原因等の被告会社にとっての私的な情報(以下「〔1〕の情報」という。)と、〔2〕再発防止策、行政上の措置についての本件調査担当者の意見、署長判決及び意見等の行政内部の意思形成過程に関する情報(以下「〔2〕の情報」という。)が記載されているものであり、かつ、厚生労働省内において組織的に利用される内部文書であって、公表を予定していないものと認められる。そして、本件文書のうち、〔2〕の情報に係る部分は、公務員の所掌事務に属する秘密が記載されたものであると認められ、また、〔1〕の情報に係る部分は、公務員が職務を遂行する上で知ることができた私人の秘密が記載されたものであるが、これが本案事件において提出されることにより、調査に協力した関係者との信頼関係が損なわれ、公務の公正かつ円滑な運営に支障を来すこととなるということができるから、〔1〕、〔2〕の情報に係る部分は、いずれも、民訴法220条4号ロにいう『公務員の職務上の秘密に関する文書』に当たるものと認められる。
②次に、民訴法220条4号ロにいう『その提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある』とは、単に文書の性格から公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずる抽象的なおそれがあることが認められるだけでは足りず、その文書の記載内容からみてそのおそれの存在することが具体的に認められることが必要であると解すべきである。
③本件文書のうち、〔2〕の情報に係る部分は、上記のとおり、行政内部の意思形成過程に関する情報が記載されたものであり、その記載内容に照らして、これが本案事件において提出されると、行政の自由な意思決定が阻害され、公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれが具体的に存在することが明らかである。しかしながら…〔1〕の情報に係る部分が本案事件において提出されても、関係者の信頼を著しく損なうことになるということはできないし、以後調査担当者が労働災害に関する調査を行うに当たって関係者の協力を得ることが著しく困難となるということもできない。また、上記部分の提出によって災害調査復命書の記載内容に実質的な影響が生ずるとは考えられない。したがって、〔1〕の情報に係る部分が本案事件において提出されることによって公務の遂行に著しい支障が生ずるおそれが具体的に存在するということはできない。 そうすると、本件文書のうち、〔2〕の情報に係る部分は民訴法220条4号ロ所定の『その提出により(中略)公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの』に該当しないとはいえないが、〔1〕の情報に係る部分はこれに該当しないというべきであるから、本件文書のうち、〔2〕の情報に係る部分については同号に基づく提出義務が認められないが、〔1〕の情報に係る部分については上記提出義務が認められなければならない。」
判旨:①「民訴法220条4号ロにいう『公務員の職務上の秘密』とは、公務員が職務上知り得た非公知の事項であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものをいうと解すべきである(最高裁昭和48年(あ)第2716号同52年12月19日第二小法廷決定・刑集31巻7号1053頁、最高裁昭和51年(あ)第1581号同53年5月31日第一小法廷決定・刑集32巻3号457頁参照)。そして、上記『公務員の職務上の秘密』には、公務員の所掌事務に属する秘密だけでなく、公務員が職務を遂行する上で知ることができた私人の秘密であって、それが本案事件において公にされることにより、私人との信頼関係が損なわれ、公務の公正かつ円滑な運営に支障を来すこととなるものも含まれると解すべきである。…本件文書は、〔1〕本件調査担当者が職務上知ることができた本件事業場の安全管理体制、本件労災事故の発生状況、発生原因等の被告会社にとっての私的な情報(以下「〔1〕の情報」という。)と、〔2〕再発防止策、行政上の措置についての本件調査担当者の意見、署長判決及び意見等の行政内部の意思形成過程に関する情報(以下「〔2〕の情報」という。)が記載されているものであり、かつ、厚生労働省内において組織的に利用される内部文書であって、公表を予定していないものと認められる。そして、本件文書のうち、〔2〕の情報に係る部分は、公務員の所掌事務に属する秘密が記載されたものであると認められ、また、〔1〕の情報に係る部分は、公務員が職務を遂行する上で知ることができた私人の秘密が記載されたものであるが、これが本案事件において提出されることにより、調査に協力した関係者との信頼関係が損なわれ、公務の公正かつ円滑な運営に支障を来すこととなるということができるから、〔1〕、〔2〕の情報に係る部分は、いずれも、民訴法220条4号ロにいう『公務員の職務上の秘密に関する文書』に当たるものと認められる。
②次に、民訴法220条4号ロにいう『その提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある』とは、単に文書の性格から公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずる抽象的なおそれがあることが認められるだけでは足りず、その文書の記載内容からみてそのおそれの存在することが具体的に認められることが必要であると解すべきである。
③本件文書のうち、〔2〕の情報に係る部分は、上記のとおり、行政内部の意思形成過程に関する情報が記載されたものであり、その記載内容に照らして、これが本案事件において提出されると、行政の自由な意思決定が阻害され、公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれが具体的に存在することが明らかである。しかしながら…〔1〕の情報に係る部分が本案事件において提出されても、関係者の信頼を著しく損なうことになるということはできないし、以後調査担当者が労働災害に関する調査を行うに当たって関係者の協力を得ることが著しく困難となるということもできない。また、上記部分の提出によって災害調査復命書の記載内容に実質的な影響が生ずるとは考えられない。したがって、〔1〕の情報に係る部分が本案事件において提出されることによって公務の遂行に著しい支障が生ずるおそれが具体的に存在するということはできない。 そうすると、本件文書のうち、〔2〕の情報に係る部分は民訴法220条4号ロ所定の『その提出により(中略)公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの』に該当しないとはいえないが、〔1〕の情報に係る部分はこれに該当しないというべきであるから、本件文書のうち、〔2〕の情報に係る部分については同号に基づく提出義務が認められないが、〔1〕の情報に係る部分については上記提出義務が認められなければならない。」
過去問・解説
(H23 共通 第68問 1)
Aは、Y会社で工員として勤務していたが、工場で就業中に事故に遭って死亡した。Aの遺族であるXは、Y会社を被告として損害賠償を求める訴えを提起したが、事故の状況を立証するため、国の機関である労働基準監督署において保管されている調査報告書の提出を求める文書提出命令の申立てを検討している。
労働基準監督官が作成した調査報告書にY会社やその関係者の私人の秘密に関する記載があったとしても、これは公務員の職務上の秘密には当たらないので、国には同報告書を提出する義務がある。
Aは、Y会社で工員として勤務していたが、工場で就業中に事故に遭って死亡した。Aの遺族であるXは、Y会社を被告として損害賠償を求める訴えを提起したが、事故の状況を立証するため、国の機関である労働基準監督署において保管されている調査報告書の提出を求める文書提出命令の申立てを検討している。
労働基準監督官が作成した調査報告書にY会社やその関係者の私人の秘密に関する記載があったとしても、これは公務員の職務上の秘密には当たらないので、国には同報告書を提出する義務がある。
(正答)✕
(解説)
判例(最決平17.10.14)は、本肢と同種の事案において、「民訴法220条4号ロにいう『公務員の職務上の秘密』とは、公務員が職務上知り得た非公知の事項であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものをいうと解すべきである。そして、上記『公務員の職務上の秘密』には…公務員が職務を遂行する上で知ることができた私人の秘密であって、それが本案事件において公にされることにより、私人との信頼関係が損なわれ、公務の公正かつ円滑な運営に支障を来すこととなるものも含まれる。」とした上で、「本件文書は…これが本案事件において提出されることにより、調査に協力した関係者との信頼関係が損なわれ、公務の公正かつ円滑な運営に支障を来すこととなるということができるから…民訴法220条4号ロにいう『公務員の職務上の秘密に関する文書』に当たるものと認められる。」としている。
労働基準監督官が作成した調査報告書にY会社やその関係者の私人の秘密に関する記載がある場合、これは公務員の職務上の秘密には当たるので、「公務員の職務上の秘密に関する文書」に該当し、国には同報告書を提出する義務はない。
判例(最決平17.10.14)は、本肢と同種の事案において、「民訴法220条4号ロにいう『公務員の職務上の秘密』とは、公務員が職務上知り得た非公知の事項であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものをいうと解すべきである。そして、上記『公務員の職務上の秘密』には…公務員が職務を遂行する上で知ることができた私人の秘密であって、それが本案事件において公にされることにより、私人との信頼関係が損なわれ、公務の公正かつ円滑な運営に支障を来すこととなるものも含まれる。」とした上で、「本件文書は…これが本案事件において提出されることにより、調査に協力した関係者との信頼関係が損なわれ、公務の公正かつ円滑な運営に支障を来すこととなるということができるから…民訴法220条4号ロにいう『公務員の職務上の秘密に関する文書』に当たるものと認められる。」としている。
労働基準監督官が作成した調査報告書にY会社やその関係者の私人の秘密に関する記載がある場合、これは公務員の職務上の秘密には当たるので、「公務員の職務上の秘密に関する文書」に該当し、国には同報告書を提出する義務はない。
(H23 共通 第68問 2)
Aは、Y会社で工員として勤務していたが、工場で就業中に事故に遭って死亡した。Aの遺族であるXは、Y会社を被告として損害賠償を求める訴えを提起したが、事故の状況を立証するため、国の機関である労働基準監督署において保管されている調査報告書の提出を求める文書提出命令の申立てを検討している。
労働基準監督官が作成した調査報告書中の調査担当者の意見が公務員の職務上の秘密に当たり、かつ、これが提出されると公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれが具体的に存在する場合には、国には同報告書を提出する義務はない。
Aは、Y会社で工員として勤務していたが、工場で就業中に事故に遭って死亡した。Aの遺族であるXは、Y会社を被告として損害賠償を求める訴えを提起したが、事故の状況を立証するため、国の機関である労働基準監督署において保管されている調査報告書の提出を求める文書提出命令の申立てを検討している。
労働基準監督官が作成した調査報告書中の調査担当者の意見が公務員の職務上の秘密に当たり、かつ、これが提出されると公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれが具体的に存在する場合には、国には同報告書を提出する義務はない。
(正答)〇
(解説)
判例(最決平17.10.14)は、本肢と同種の事案において、災害調査復命書について「公務員の職務上の秘密に関する文書」(220条4号ロ)にあたるとした上で、「民訴法220条4号ロにいう『その提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある』とは、単に文書の性格から公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずる抽象的なおそれがあることが認められるだけでは足りず、その文書の記載内容からみてそのおそれの存在することが具体的に認められることが必要である。」としている。
労働基準監督官が作成した調査報告書中の調査担当者の意見が公務員の職務上の秘密に当たり、かつ、これが提出されると公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれが具体的に存在する場合、当該報告書は、「公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」に当たるため、国には同報告書を提出する義務はない。
判例(最決平17.10.14)は、本肢と同種の事案において、災害調査復命書について「公務員の職務上の秘密に関する文書」(220条4号ロ)にあたるとした上で、「民訴法220条4号ロにいう『その提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある』とは、単に文書の性格から公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずる抽象的なおそれがあることが認められるだけでは足りず、その文書の記載内容からみてそのおそれの存在することが具体的に認められることが必要である。」としている。
労働基準監督官が作成した調査報告書中の調査担当者の意見が公務員の職務上の秘密に当たり、かつ、これが提出されると公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれが具体的に存在する場合、当該報告書は、「公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」に当たるため、国には同報告書を提出する義務はない。
総合メモ
証拠調べの必要性を欠くことを理由とする文書提出命令申立却下決定に対する抗告の可否 最一小判平成12年3月10日
過去問・解説
(H21 司法 第64問 4)
証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、その必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない。
証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、その必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない。
(正答)〇
(解説)
223条7項は、「文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。」と規定している。
これについて、判例(最判平12.3.10)は、「証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、右必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない。」としている。
したがって、証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、その必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない。
223条7項は、「文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。」と規定している。
これについて、判例(最判平12.3.10)は、「証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、右必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない。」としている。
したがって、証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、その必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない。
(H30 予備 第43問 イ)
地方裁判所が文書提出命令の申立てについてその文書の証拠調べをする必要性がないという理由でこれを却下するとした決定に対しては、その必要性があることを理由として、即時抗告をすることができる。
地方裁判所が文書提出命令の申立てについてその文書の証拠調べをする必要性がないという理由でこれを却下するとした決定に対しては、その必要性があることを理由として、即時抗告をすることができる。
(正答)✕
(解説)
223条7項は、「文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。」と規定している。
これについて、判例(最決平12.3.10)は、「証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、右必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない。」としている。
したがって、地方裁判所が文書提出命令の申立てについてその文書の証拠調べをする必要性がないという理由でこれを却下するとした決定に対しては、その必要性があることを理由として、即時抗告をすることができない。
223条7項は、「文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。」と規定している。
これについて、判例(最決平12.3.10)は、「証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、右必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない。」としている。
したがって、地方裁判所が文書提出命令の申立てについてその文書の証拠調べをする必要性がないという理由でこれを却下するとした決定に対しては、その必要性があることを理由として、即時抗告をすることができない。
(R3 予備 第40問 5)
証拠調べの必要性がないことを理由とする文書提出命令の申立ての却下決定に対しては、証拠調べの必要性があることを理由として即時抗告をすることはできないが、文書提出命令に対して、証拠調べの必要性がないことを理由として即時抗告をすることはできる。
証拠調べの必要性がないことを理由とする文書提出命令の申立ての却下決定に対しては、証拠調べの必要性があることを理由として即時抗告をすることはできないが、文書提出命令に対して、証拠調べの必要性がないことを理由として即時抗告をすることはできる。
(正答)✕
(解説)
223条7項は、「文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。」と規定しているところ、判例(最決平12.3.10)は、「証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、右必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない。」としている。また、別の判例(最決平12.12.14)は、「文書提出命令に対し証拠調べの必要性がないことを理由として即時抗告をすることは許されない…。」としている。
したがって、証拠調べの必要性がないことを理由とする文書提出命令の申立ての却下決定に対しては、証拠調べの必要性があることを理由として即時抗告をすることができず、かつ、文書提出命令に対しても、証拠調べの必要性がないことを理由として即時抗告をすることができない。
223条7項は、「文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。」と規定しているところ、判例(最決平12.3.10)は、「証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、右必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない。」としている。また、別の判例(最決平12.12.14)は、「文書提出命令に対し証拠調べの必要性がないことを理由として即時抗告をすることは許されない…。」としている。
したがって、証拠調べの必要性がないことを理由とする文書提出命令の申立ての却下決定に対しては、証拠調べの必要性があることを理由として即時抗告をすることができず、かつ、文書提出命令に対しても、証拠調べの必要性がないことを理由として即時抗告をすることができない。
総合メモ
共犯者の捜査段階における供述調書が民事訴訟法220条3号後段にいう法律関係文書に該当することを理由とする文書提出命令 最三小決平成16年5月25日
概要
①刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書について文書提出命令の申立てがされた場合であっても、当該文書が民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当し、かつ、当該文書の保管者によるその提出の拒否が、民事訴訟における当該文書を取り調べる必要性の有無、程度、当該文書が開示されることによる被告人、被疑者等の名誉、プライバシーの侵害等の弊害発生のおそれの有無等の諸般の事情に照らし、当該保管者の有する裁量権の範囲を逸脱し、又は濫用するものであるときは、裁判所は、その提出を命ずることができる。
②既に自己の有罪判決が確定した刑事事件の公判に提出されなかった共犯者の捜査段階における供述調書につき、民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当することを理由としてされた文書提出命令の申立ては、刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」である当該供述調書を本案訴訟において証拠として取り調べることが申立人の主張事実の立証に必要不可欠なものとはいえないこと、当該供述調書が開示されることによって当該共犯者や第三者の名誉、プライバシーが侵害されるおそれがないとはいえないことなど判示の事情の下では、保管者である検察官の提出拒否の判断が、その裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものとはいえず、理由がない。
②既に自己の有罪判決が確定した刑事事件の公判に提出されなかった共犯者の捜査段階における供述調書につき、民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当することを理由としてされた文書提出命令の申立ては、刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」である当該供述調書を本案訴訟において証拠として取り調べることが申立人の主張事実の立証に必要不可欠なものとはいえないこと、当該供述調書が開示されることによって当該共犯者や第三者の名誉、プライバシーが侵害されるおそれがないとはいえないことなど判示の事情の下では、保管者である検察官の提出拒否の判断が、その裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものとはいえず、理由がない。
判例
事案:220条3号に基づき、文書提出命令の申立てがなされたが、当該文書が、刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に当たるとして命令を拒否されたという事案において、①刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書につき民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当するとして提出を命ずることの可否や、②刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書につき民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当することを理由としてされた文書提出命令の申立てに理由がないかなどが問題となった。
判旨:①「刑訴法47条は、その本文において、『訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない』と定め、そのただし書において、『公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでない』と定めている。同条所定の『訴訟に関する書類』には、本件各文書のように、捜査段階で作成された供述調書で公判に提出されなかったものも含まれると解すべきである。 同条本文が『訴訟に関する書類』を公にすることを原則として禁止しているのは、それが公にされることにより、被告人、被疑者及び関係者の名誉、プライバシーが侵害されたり、公序良俗が害されることになったり、又は捜査、刑事裁判が不当な影響を受けたりするなどの弊害が発生するのを防止することを目的とするものであること、同条ただし書が、公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合における例外的な開示を認めていることにかんがみると、同条ただし書の規定による『訴訟に関する書類』を公にすることを相当と認めることができるか否かの判断は、当該『訴訟に関する書類』を公にする目的、必要性の有無、程度、公にすることによる被告人、被疑者及び関係者の名誉、プライバシーの侵害等の上記の弊害発生のおそれの有無等諸般の事情を総合的に考慮してされるべきものであり、当該『訴訟に関する書類』を保管する者の合理的な裁量にゆだねられているものと解すべきである。 そして、民事訴訟の当事者が、民訴法220条3号後段の規定に基づき、刑訴法47条所定の『訴訟に関する書類』に該当する文書の提出を求める場合においても、当該文書の保管者の上記裁量的判断は尊重されるべきであるが、当該文書が法律関係文書に該当する場合であって、その保管者が提出を拒否したことが、民事訴訟における当該文書を取り調べる必要性の有無、程度、当該文書が開示されることによる上記の弊害発生のおそれの有無等の諸般の事情に照らし、その裁量権の範囲を逸脱し、又は濫用するものであると認められるときは、裁判所は、当該文書の提出を命ずることができるものと解するのが相当である。」
②「本件申立ては、既に有罪判決が確定している相手方が、本件本案訴訟において、本件刑事公判において採用されなかった主張と同様の主張をして、その主張事実を立証するために本件刑事公判に提出されなかった本件共犯者らの捜査段階における供述調書(本件各文書)の提出を求めるというものであるが、相手方が、その主張事実を立証するためには、本件各文書が提出されなくても、本件共犯者らの証人尋問の申出や、本件刑事公判において提出された証拠等を書証として提出すること等が可能であって、本件本案訴訟において本件各文書を証拠として取り調べることが、相手方の主張事実の立証に必要不可欠なものとはいえないというべきである(なお、記録によれば、相手方は、現在提出されている証拠だけでも十分に自己の主張を立証することができると考えている旨、及び本件申立ての主たる目的は、上記の確定した有罪判決に対して自己が申し立てている再審請求の裁判に有利に働くようにするためである旨の書面を原々審に提出していることが明らかである。)。また、本件各文書が開示されることによって、本件共犯者らや第三者の名誉、プライバシーが侵害されるおそれがないとはいえない。 そうすると、本件においては、相手方及び本件共犯者らの有罪判決が既に確定していることを考慮に入れても、本件各文書を開示することが相当でないとして本件各文書の提出を拒否した抗告人の判断が、その裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものであるということはできない。 以上によれば、本件各文書が法律関係文書に該当するか否かについて判断するまでもなく、民訴法220条3号後段の規定に基づく本件申立ては、その理由がないことは明らかである。 また、上記の事実関係によれば、本件各文書が、民訴法220条2号及び3号前段(民訴法220条3号後段以外の同号の部分をいう。)に該当するものでないことは明らかである。」
判旨:①「刑訴法47条は、その本文において、『訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない』と定め、そのただし書において、『公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでない』と定めている。同条所定の『訴訟に関する書類』には、本件各文書のように、捜査段階で作成された供述調書で公判に提出されなかったものも含まれると解すべきである。 同条本文が『訴訟に関する書類』を公にすることを原則として禁止しているのは、それが公にされることにより、被告人、被疑者及び関係者の名誉、プライバシーが侵害されたり、公序良俗が害されることになったり、又は捜査、刑事裁判が不当な影響を受けたりするなどの弊害が発生するのを防止することを目的とするものであること、同条ただし書が、公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合における例外的な開示を認めていることにかんがみると、同条ただし書の規定による『訴訟に関する書類』を公にすることを相当と認めることができるか否かの判断は、当該『訴訟に関する書類』を公にする目的、必要性の有無、程度、公にすることによる被告人、被疑者及び関係者の名誉、プライバシーの侵害等の上記の弊害発生のおそれの有無等諸般の事情を総合的に考慮してされるべきものであり、当該『訴訟に関する書類』を保管する者の合理的な裁量にゆだねられているものと解すべきである。 そして、民事訴訟の当事者が、民訴法220条3号後段の規定に基づき、刑訴法47条所定の『訴訟に関する書類』に該当する文書の提出を求める場合においても、当該文書の保管者の上記裁量的判断は尊重されるべきであるが、当該文書が法律関係文書に該当する場合であって、その保管者が提出を拒否したことが、民事訴訟における当該文書を取り調べる必要性の有無、程度、当該文書が開示されることによる上記の弊害発生のおそれの有無等の諸般の事情に照らし、その裁量権の範囲を逸脱し、又は濫用するものであると認められるときは、裁判所は、当該文書の提出を命ずることができるものと解するのが相当である。」
②「本件申立ては、既に有罪判決が確定している相手方が、本件本案訴訟において、本件刑事公判において採用されなかった主張と同様の主張をして、その主張事実を立証するために本件刑事公判に提出されなかった本件共犯者らの捜査段階における供述調書(本件各文書)の提出を求めるというものであるが、相手方が、その主張事実を立証するためには、本件各文書が提出されなくても、本件共犯者らの証人尋問の申出や、本件刑事公判において提出された証拠等を書証として提出すること等が可能であって、本件本案訴訟において本件各文書を証拠として取り調べることが、相手方の主張事実の立証に必要不可欠なものとはいえないというべきである(なお、記録によれば、相手方は、現在提出されている証拠だけでも十分に自己の主張を立証することができると考えている旨、及び本件申立ての主たる目的は、上記の確定した有罪判決に対して自己が申し立てている再審請求の裁判に有利に働くようにするためである旨の書面を原々審に提出していることが明らかである。)。また、本件各文書が開示されることによって、本件共犯者らや第三者の名誉、プライバシーが侵害されるおそれがないとはいえない。 そうすると、本件においては、相手方及び本件共犯者らの有罪判決が既に確定していることを考慮に入れても、本件各文書を開示することが相当でないとして本件各文書の提出を拒否した抗告人の判断が、その裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものであるということはできない。 以上によれば、本件各文書が法律関係文書に該当するか否かについて判断するまでもなく、民訴法220条3号後段の規定に基づく本件申立ては、その理由がないことは明らかである。 また、上記の事実関係によれば、本件各文書が、民訴法220条2号及び3号前段(民訴法220条3号後段以外の同号の部分をいう。)に該当するものでないことは明らかである。」
過去問・解説
(H24 共通 第66問 エ)
判例によれば、刑事事件に係る訴訟に関する書類は、文書提出命令の対象となることはない。
判例によれば、刑事事件に係る訴訟に関する書類は、文書提出命令の対象となることはない。
(正答)✕
(解説)
判例(最決平16.5.25)は、「民事訴訟の当事者が、民訴法220条3号後段の規定に基づき、刑訴法47条所定の『訴訟に関する書類』に該当する文書の提出を求める場合においても…当該文書が法律関係文書に該当する場合であって、その保管者が提出を拒否したことが、民事訴訟における当該文書を取り調べる必要性の有無、程度、当該文書が開示されることによる上記の弊害発生のおそれの有無等の諸般の事情に照らし、その裁量権の範囲を逸脱し、又は濫用するものであると認められるときは、裁判所は、当該文書の提出を命ずることができる…。」として、刑事事件に係る訴訟に関する書類であっても、文書提出命令の対象となり得ることを示している。
判例(最決平16.5.25)は、「民事訴訟の当事者が、民訴法220条3号後段の規定に基づき、刑訴法47条所定の『訴訟に関する書類』に該当する文書の提出を求める場合においても…当該文書が法律関係文書に該当する場合であって、その保管者が提出を拒否したことが、民事訴訟における当該文書を取り調べる必要性の有無、程度、当該文書が開示されることによる上記の弊害発生のおそれの有無等の諸般の事情に照らし、その裁量権の範囲を逸脱し、又は濫用するものであると認められるときは、裁判所は、当該文書の提出を命ずることができる…。」として、刑事事件に係る訴訟に関する書類であっても、文書提出命令の対象となり得ることを示している。
総合メモ
証拠調べの必要性を欠くことを理由とする文書提出命令申立却下決定に対する抗告の可否 最一小決平成12年3月10日
過去問・解説
(H24 共通 第66問 ア)
文書提出命令の申立ては、その対象となった文書について証拠調べの必要性を欠くことを理由として却下することはできない。
文書提出命令の申立ては、その対象となった文書について証拠調べの必要性を欠くことを理由として却下することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最決平12.3.10)は、「証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、右必要性があることを理由として…不服の申立てをすることはできない…。」として、証拠調べの必要性を欠くことを理由とする文書提出命令の申立てを却下する決定が認められることを前提としている。
したがって、文書提出命令の申立ては、その対象となった文書について証拠調べの必要性を欠くことを理由として却下することができる。
判例(最決平12.3.10)は、「証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、右必要性があることを理由として…不服の申立てをすることはできない…。」として、証拠調べの必要性を欠くことを理由とする文書提出命令の申立てを却下する決定が認められることを前提としている。
したがって、文書提出命令の申立ては、その対象となった文書について証拠調べの必要性を欠くことを理由として却下することができる。
総合メモ
文書提出命令の申立てについての決定に対して即時抗告をすることができる者の範囲 最一小判平成12年12月14日
概要
文書提出命令の申立てについての決定に対しては、文書の提出を命じられた所持者及び申立てを却下された申立人以外の者は、抗告の利益を有しない。
判例
事案:原審が、原々審の文書提出命令の申出を却下決定を取り消し、原々審に差し戻した。かかる決定に対して、文書提出命令の申立をしていない当事者が、抗告をしたという事案において、文書提出命令の申立てについての決定に対して抗告の利益を有する者の範囲が問題となった。
判旨:「文書提出命令は、ある事実を立証しようとする当事者が自ら証拠を提出する代わりに、裁判所の命令により文書の所持者にその提出を求めるものであり、文書提出命令が発せられた場合には、これに従わない所持者は、文書の記載に関する相手方の主張を真実と認められるなどの不利益を受け、あるいは過料の制裁を受けることがある。そこで、民訴法223条4項は、文書提出命令の申立てについての決定に対しては、申立人とその名あて人である所持者との間で文書提出義務の存否について争う機会を付与したものと解される。また、文書提出命令は、文書の所持者に対してその提出を命ずるとともに、当該文書の証拠申出を採用する証拠決定の性質を併せ持つものであるが、文書提出命令に対し証拠調べの必要性がないことを理由として即時抗告をすることは許されない(最高裁平成11年(許)第20号同12年3月10日第一小法廷決定・民集54巻3号1073頁参照)。そうすると、文書提出命令の申立てについての決定に対しては、文書の提出を命じられた所持者及び申立てを却下された申立人以外の者は、抗告の利益を有せず、本案事件の当事者であっても、即時抗告をすることができないと解するのが相当である。」
判旨:「文書提出命令は、ある事実を立証しようとする当事者が自ら証拠を提出する代わりに、裁判所の命令により文書の所持者にその提出を求めるものであり、文書提出命令が発せられた場合には、これに従わない所持者は、文書の記載に関する相手方の主張を真実と認められるなどの不利益を受け、あるいは過料の制裁を受けることがある。そこで、民訴法223条4項は、文書提出命令の申立てについての決定に対しては、申立人とその名あて人である所持者との間で文書提出義務の存否について争う機会を付与したものと解される。また、文書提出命令は、文書の所持者に対してその提出を命ずるとともに、当該文書の証拠申出を採用する証拠決定の性質を併せ持つものであるが、文書提出命令に対し証拠調べの必要性がないことを理由として即時抗告をすることは許されない(最高裁平成11年(許)第20号同12年3月10日第一小法廷決定・民集54巻3号1073頁参照)。そうすると、文書提出命令の申立てについての決定に対しては、文書の提出を命じられた所持者及び申立てを却下された申立人以外の者は、抗告の利益を有せず、本案事件の当事者であっても、即時抗告をすることができないと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H21 司法 第64問 5)
本案訴訟の原告が申し立て、文書の所持者である第三者に対してされた文書提出命令に対し、本案訴訟の被告は不服の申立てをすることができる。
本案訴訟の原告が申し立て、文書の所持者である第三者に対してされた文書提出命令に対し、本案訴訟の被告は不服の申立てをすることができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平12.12.14)は、「文書提出命令の申立てについての決定に対しては、文書の提出を命じられた所持者及び申立てを却下された申立人以外の者は、抗告の利益を有せず、本案事件の当事者であっても、即時抗告をすることができない。」としている。
したがって、文書の所持者でも申立人でもない被告は、即時抗告をすることができない。
判例(最判平12.12.14)は、「文書提出命令の申立てについての決定に対しては、文書の提出を命じられた所持者及び申立てを却下された申立人以外の者は、抗告の利益を有せず、本案事件の当事者であっても、即時抗告をすることができない。」としている。
したがって、文書の所持者でも申立人でもない被告は、即時抗告をすることができない。
(H23 共通 第68問 4)
Aは、Y会社で工員として勤務していたが、工場で就業中に事故に遭って死亡したAの遺族であるXは、Y会社を被告として損害賠償を求める訴えを提起したが、事故の状況を立証するため、国の機関である労働基準監督署において保管されている調査報告書の提出を求める文書提出命令の申立てを検討している。
調査報告書について文書提出命令が出された場合、Y会社は、証拠調べの必要性がないことを理由として、即時抗告をすることができる。
Aは、Y会社で工員として勤務していたが、工場で就業中に事故に遭って死亡したAの遺族であるXは、Y会社を被告として損害賠償を求める訴えを提起したが、事故の状況を立証するため、国の機関である労働基準監督署において保管されている調査報告書の提出を求める文書提出命令の申立てを検討している。
調査報告書について文書提出命令が出された場合、Y会社は、証拠調べの必要性がないことを理由として、即時抗告をすることができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最決平12.12.14)は、「文書提出命令に対し証拠調べの必要性がないことを理由として即時抗告をすることは許されない。」とした上で、「文書提出命令の申立てについての決定に対しては、文書の提出を命じられた所持者及び申立てを却下された申立人以外の者は、抗告の利益を有せず、本案事件の当事者であっても、即時抗告をすることができない。」としている。
Y社は調査報告書の所持者でも申立人でもないため、抗告の利益を有さず、当事者ではあるものの、即時抗告をすることはできない。
したがって、文書提出命令に対し証拠調べの必要性がないことを理由として即時抗告をすることは許されないが、そもそもY社は即時抗告自体ができない。
判例(最決平12.12.14)は、「文書提出命令に対し証拠調べの必要性がないことを理由として即時抗告をすることは許されない。」とした上で、「文書提出命令の申立てについての決定に対しては、文書の提出を命じられた所持者及び申立てを却下された申立人以外の者は、抗告の利益を有せず、本案事件の当事者であっても、即時抗告をすることができない。」としている。
Y社は調査報告書の所持者でも申立人でもないため、抗告の利益を有さず、当事者ではあるものの、即時抗告をすることはできない。
したがって、文書提出命令に対し証拠調べの必要性がないことを理由として即時抗告をすることは許されないが、そもそもY社は即時抗告自体ができない。
(H27 予備 第42問 5)
判例によれば、第三者に対してされた文書提出命令に対し、文書提出命令の申立人ではない本案訴訟の当事者は、即時抗告をすることができない。
判例によれば、第三者に対してされた文書提出命令に対し、文書提出命令の申立人ではない本案訴訟の当事者は、即時抗告をすることができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平12.12.14)は、「文書提出命令の申立てについての決定に対しては、文書の提出を命じられた所持者及び申立てを却下された申立人以外の者は、抗告の利益を有せず、本案事件の当事者であっても、即時抗告をすることができない。」としている。
判例(最判平12.12.14)は、「文書提出命令の申立てについての決定に対しては、文書の提出を命じられた所持者及び申立てを却下された申立人以外の者は、抗告の利益を有せず、本案事件の当事者であっても、即時抗告をすることができない。」としている。
(R2 予備 第45問 5)
当事者は、第三者に対してされた文書提出命令に対して、即時抗告をすることができない。
当事者は、第三者に対してされた文書提出命令に対して、即時抗告をすることができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平12.12.14)は、「文書提出命令の申立てについての決定に対しては、文書の提出を命じられた所持者及び申立てを却下された申立人以外の者は、抗告の利益を有せず、本案事件の当事者であっても、即時抗告をすることができない。」としている。
不服申立てをすると考えられるのは、文書提出命令の申立てをしていない方の当事者であるところ、かかる当事者は、文書の所持者でも申立人でもないため、即時抗告をすることができない。
判例(最判平12.12.14)は、「文書提出命令の申立てについての決定に対しては、文書の提出を命じられた所持者及び申立てを却下された申立人以外の者は、抗告の利益を有せず、本案事件の当事者であっても、即時抗告をすることができない。」としている。
不服申立てをすると考えられるのは、文書提出命令の申立てをしていない方の当事者であるところ、かかる当事者は、文書の所持者でも申立人でもないため、即時抗告をすることができない。
(R3 予備 第40問 5)
証拠調べの必要性がないことを理由とする文書提出命令の申立ての却下決定に対しては、証拠調べの必要性があることを理由として即時抗告をすることはできないが、文書提出命令に対して、証拠調べの必要性がないことを理由として即時抗告をすることはできる。
証拠調べの必要性がないことを理由とする文書提出命令の申立ての却下決定に対しては、証拠調べの必要性があることを理由として即時抗告をすることはできないが、文書提出命令に対して、証拠調べの必要性がないことを理由として即時抗告をすることはできる。
(正答)✕
(解説)
223条7項は、「文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。」と規定している。
これについて、判例(最決平12.3.10)は、「証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、右必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない。」としている。
また、判例(最決平12.12.14)は、「文書提出命令に対し証拠調べの必要性がないことを理由として即時抗告をすることは許されない…。」としている。
したがって、文書提出命令に対しても、証拠調べの必要性がないことを理由として即時抗告をすることはできない。
223条7項は、「文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。」と規定している。
これについて、判例(最決平12.3.10)は、「証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、右必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない。」としている。
また、判例(最決平12.12.14)は、「文書提出命令に対し証拠調べの必要性がないことを理由として即時抗告をすることは許されない…。」としている。
したがって、文書提出命令に対しても、証拠調べの必要性がないことを理由として即時抗告をすることはできない。
総合メモ
因果関係の立証 最二小判昭和50年10月24日
概要
訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑を差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りる。
判例
事案:患者の後遺症の原因が、医師の治療方法である可能性がある事案において、訴訟上の因果関係の立証の程度が問題となった。
判旨:「訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑を差し挾まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りるものである。」
判旨:「訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑を差し挾まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りるものである。」
過去問・解説
(H22 共通 第64問 イ)
裁判官は、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係について、高度の蓋然性があるとの心証を抱いたときは、因果関係を認定することができる。
裁判官は、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係について、高度の蓋然性があるとの心証を抱いたときは、因果関係を認定することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭50.10.24)は、「訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑を差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りる。」としている。
したがって、高度の蓋然性があるとの心証を抱いたときは、立証の程度としては必要十分であり、因果関係を認定することができる。
判例(最判昭50.10.24)は、「訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑を差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りる。」としている。
したがって、高度の蓋然性があるとの心証を抱いたときは、立証の程度としては必要十分であり、因果関係を認定することができる。
総合メモ
証拠調べの結果の援用と証拠共通の原則 最一小判昭和28年5月14日
概要
裁判所は、当事者が提出した証拠を取り調べた結果は、他の当事者が援用しなくても、他方の当事者にとって有利な事実の認定に用いることができる。
判例
事案:一方当事者が提出した証拠を取り調べた結果を、他の当事者が援用していない事案において、一方当事者が提出した証拠を取り調べた結果を、他方の当事者にとって有利な事実の認定に用いることができるかが問題となった。
判旨:「記録によると、所論嘱託証人訊問の結果については、原審最終の口頭弁論において適法に弁論がなされている。すなわち裁判長は該嘱託証人訊問の調書を当事者に掲示し、被控訴代理人はその証拠調の結果につき演述していることが認められる。従って、これによって右証拠調の結果は証拠として適法に顕出されたのである。 それ故証拠共通の原則に従い、裁判所は自由な心証によってこれを事実認定の資料となすことができるのであって、必ずしもその証拠調の申出をなし、若しくはその証拠調の結果を援用する旨を陳述した当事者の利益にのみこれを利用しなければならないものではない。当事者は訴訟の実際において屡々一定の証拠を自己の利益に援用する旨を陳述することがあるけれども、それは裁判所が職責としてなす証拠判断につき、その注意を喚起する程の意義を有するに過ぎないのであって、裁判所はかかる陳述の有無を問わず、適法に提出されたすべての証拠については、当事者双方のために共通してその価値判断をなさなければならないのである。」
判旨:「記録によると、所論嘱託証人訊問の結果については、原審最終の口頭弁論において適法に弁論がなされている。すなわち裁判長は該嘱託証人訊問の調書を当事者に掲示し、被控訴代理人はその証拠調の結果につき演述していることが認められる。従って、これによって右証拠調の結果は証拠として適法に顕出されたのである。 それ故証拠共通の原則に従い、裁判所は自由な心証によってこれを事実認定の資料となすことができるのであって、必ずしもその証拠調の申出をなし、若しくはその証拠調の結果を援用する旨を陳述した当事者の利益にのみこれを利用しなければならないものではない。当事者は訴訟の実際において屡々一定の証拠を自己の利益に援用する旨を陳述することがあるけれども、それは裁判所が職責としてなす証拠判断につき、その注意を喚起する程の意義を有するに過ぎないのであって、裁判所はかかる陳述の有無を問わず、適法に提出されたすべての証拠については、当事者双方のために共通してその価値判断をなさなければならないのである。」
過去問・解説
(H22 共通 第64問 ウ)
一方の当事者が提出した証拠を取り調べた結果は、他方の当事者がこれを援用しなくても、他方の当事者にとって有利な事実の認定に用いることができる。
一方の当事者が提出した証拠を取り調べた結果は、他方の当事者がこれを援用しなくても、他方の当事者にとって有利な事実の認定に用いることができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭28.5.14)は、「証拠共通の原則に従い、裁判所は自由な心証によってこれを事実認定の資料となすことができるのであって、必ずしもその証拠調の申出をなし、若しくはその証拠調の結果を援用する旨を陳述した当事者の利益にのみこれを利用しなければならないものではない。…裁判所は…適法に提出されたすべての証拠については、当事者双方のために共通してその価値判断をなさなければならないのである。」として、一方の当事者が提出した証拠を取り調べた結果について、他方の当事者がこれを援用しなくても、他方の当事者にとって有利な事実の認定に用いることができることを示している。
判例(最判昭28.5.14)は、「証拠共通の原則に従い、裁判所は自由な心証によってこれを事実認定の資料となすことができるのであって、必ずしもその証拠調の申出をなし、若しくはその証拠調の結果を援用する旨を陳述した当事者の利益にのみこれを利用しなければならないものではない。…裁判所は…適法に提出されたすべての証拠については、当事者双方のために共通してその価値判断をなさなければならないのである。」として、一方の当事者が提出した証拠を取り調べた結果について、他方の当事者がこれを援用しなくても、他方の当事者にとって有利な事実の認定に用いることができることを示している。
総合メモ
無断転貸を背信行為と認めるに足りないとする特段の事情の存否に関する主張・立証責任 最一小判昭和41年1月27日
概要
賃借地の無断転貸を賃貸人に対する背信行為と認めるに足りないとする特段の事情は、特段の事情の存在を賃借人において主張・立証すべきである。
判例
事案:原審において被告が、無断転貸を背信行為と認めるに足りないとする特段の事情が存することを主張、立証しなかった事案において、かかる特段の事情に関する主張立証責任が、賃借人と賃貸人のいずれに認められるかが問題となった。
判旨:「土地の賃借人が賃貸人の承諾を得ることなくその賃借地を他に転貸した場合においても、賃借人の右行為を賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、賃貸人は民法612条2項による解除権を行使し得ないのであって、そのことは、所論のとおりである。しかしながら、かかる特段の事情の存在は土地の賃借人において主張、立証すべきものと解するを相当とする。」
判旨:「土地の賃借人が賃貸人の承諾を得ることなくその賃借地を他に転貸した場合においても、賃借人の右行為を賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、賃貸人は民法612条2項による解除権を行使し得ないのであって、そのことは、所論のとおりである。しかしながら、かかる特段の事情の存在は土地の賃借人において主張、立証すべきものと解するを相当とする。」
総合メモ
書証の成立の真正についての自白の裁判所に対する拘束力 最二小判昭和52年4月15日
過去問・解説
(H23 共通 第66問 エ)
判例の趣旨によれば、代理人による契約締結の事実を主張する原告が代理権授与の事実を証明するための証拠として委任状を提出し、被告がその成立の真正を認める旨の陳述をした場合であっても、裁判所は、当該委任状が真正に成立したものではないと認めることができ、被告は、その陳述をいつでも撤回することができる。
判例の趣旨によれば、代理人による契約締結の事実を主張する原告が代理権授与の事実を証明するための証拠として委任状を提出し、被告がその成立の真正を認める旨の陳述をした場合であっても、裁判所は、当該委任状が真正に成立したものではないと認めることができ、被告は、その陳述をいつでも撤回することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭52.4.15)は、「書証の成立の真正についての自白は裁判所を拘束するものではない…。」としている。
また、裁判所が拘束されない以上、当事者も拘束されず、いつでも撤回することができる。
したがって、本肢の事案において、被告が成立の真正を認める旨の陳述をした場合であっても、裁判所は、当該委任状が真正に成立したものではないと認めることができ、被告は、その陳述をいつでも撤回することができる。
判例(最判昭52.4.15)は、「書証の成立の真正についての自白は裁判所を拘束するものではない…。」としている。
また、裁判所が拘束されない以上、当事者も拘束されず、いつでも撤回することができる。
したがって、本肢の事案において、被告が成立の真正を認める旨の陳述をした場合であっても、裁判所は、当該委任状が真正に成立したものではないと認めることができ、被告は、その陳述をいつでも撤回することができる。
(H24 共通 第63問 ア)
当事者が証拠として提出した契約書について、相手方がその成立の真正を認める旨の陳述をした場合には、裁判所は、証拠によっても当該契約書の成立の真正を否定することができない。
当事者が証拠として提出した契約書について、相手方がその成立の真正を認める旨の陳述をした場合には、裁判所は、証拠によっても当該契約書の成立の真正を否定することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭52.4.15)は、「書証の成立の真正についての自白は裁判所を拘束するものではない…。」としている。
したがって、裁判所は、当事者が証拠として提出した契約書について、相手方がその成立の真正を認める旨の陳述をした場合であっても、成立の真正を否定することができる。
判例(最判昭52.4.15)は、「書証の成立の真正についての自白は裁判所を拘束するものではない…。」としている。
したがって、裁判所は、当事者が証拠として提出した契約書について、相手方がその成立の真正を認める旨の陳述をした場合であっても、成立の真正を否定することができる。
(H26 共通 第69問 5)
文書が作成者の意思に基づいて作成されたものであることを認めたときでも、裁判所はそれに拘束されず、当該作成者の意思に基づいて作成されたものではないと判断することができる。
文書が作成者の意思に基づいて作成されたものであることを認めたときでも、裁判所はそれに拘束されず、当該作成者の意思に基づいて作成されたものではないと判断することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭52.4.15)は、「書証の成立の真正についての自白は裁判所を拘束するものではない…。」としている。
したがって、当該作成者の意思に基づいて作成されたものではないと判断することができる。
判例(最判昭52.4.15)は、「書証の成立の真正についての自白は裁判所を拘束するものではない…。」としている。
したがって、当該作成者の意思に基づいて作成されたものではないと判断することができる。
(R3 予備 第39問 5)
売買契約に基づく売買代金支払請求訴訟の口頭弁論の期日において、原告は、売買契約書を提出して書証の申出をし、被告がその売買契約書を作成したとの主張をした。これに対し、被告は、その期日において、その売買契約書が真正に成立したことを認めるとの陳述をした。この被告の陳述について、裁判上の自白が成立する。
売買契約に基づく売買代金支払請求訴訟の口頭弁論の期日において、原告は、売買契約書を提出して書証の申出をし、被告がその売買契約書を作成したとの主張をした。これに対し、被告は、その期日において、その売買契約書が真正に成立したことを認めるとの陳述をした。この被告の陳述について、裁判上の自白が成立する。
(正答)✕
(解説)
裁判上の自白は、不要証効、裁判所拘束効、撤回排除効を有する。
これについて、判例(最判昭52.4.15)は、「書証の成立の真正についての自白は裁判所を拘束するものではない…。」として、書証の真正についての自白に関して、裁判所拘束効を否定している。
したがって、本肢における被告の陳述は、裁判上の自白に当たらない。
裁判上の自白は、不要証効、裁判所拘束効、撤回排除効を有する。
これについて、判例(最判昭52.4.15)は、「書証の成立の真正についての自白は裁判所を拘束するものではない…。」として、書証の真正についての自白に関して、裁判所拘束効を否定している。
したがって、本肢における被告の陳述は、裁判上の自白に当たらない。
総合メモ
刑事上罰すべき他人の行為によってなされた裁判上の自白の撤回 最二小判昭和33年3月7日
概要
自白の撤回は、第三者の刑事上罰すべき行為によって自白をした場合にもすることができる。
判例
事案:自白が、刑法246条2項に該当する詐欺行為に因りなされた事案において、かかる自白の撤回が許されるかが問題となった。
判旨:「本件記録によれば、上告人が原審に提出した所論の準備書面には、論旨の指摘するとおり『上告人が陳述したものと看做された答弁書記載の自白は、内山良夫が訴外東一郎の刑法246条2項に該当する詐欺行為に因りなされた点において無効であり少くとも取消し得るものである』旨の記載があり、右準備書面は原審における昭和30年2月21日の口頭弁論で陳述されていることは明白である。そして、右訴外人の『刑法246条2項に該当する詐欺行為』によりて自白するに至った旨の主張は民訴420条1項5号の事由を主張するものであると認められるから、もし、証拠上右主張事実が肯認されるならば、原審としては本件自白の効力を認むべきでなかったものといわねばならぬ。(昭和15年9月31日大審院判決民集19巻1644頁参照)」
判旨:「本件記録によれば、上告人が原審に提出した所論の準備書面には、論旨の指摘するとおり『上告人が陳述したものと看做された答弁書記載の自白は、内山良夫が訴外東一郎の刑法246条2項に該当する詐欺行為に因りなされた点において無効であり少くとも取消し得るものである』旨の記載があり、右準備書面は原審における昭和30年2月21日の口頭弁論で陳述されていることは明白である。そして、右訴外人の『刑法246条2項に該当する詐欺行為』によりて自白するに至った旨の主張は民訴420条1項5号の事由を主張するものであると認められるから、もし、証拠上右主張事実が肯認されるならば、原審としては本件自白の効力を認むべきでなかったものといわねばならぬ。(昭和15年9月31日大審院判決民集19巻1644頁参照)」
過去問・解説
(H24 共通 第63問 ウ)
自白の撤回は、第三者の刑事上罰すべき行為によって自白をした場合にもすることができる。
自白の撤回は、第三者の刑事上罰すべき行為によって自白をした場合にもすることができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭33.3.7)は、「上告人が原審に提出した所論の準備書面には、…『上告人が陳述したものと看做された答弁書記載の自白は、…刑法246条2項に該当する詐欺行為に因りなされた点において無効であり少くとも取消し得るものである』旨の記載があり、右準備書面は…口頭弁論で陳述されていることは明白である。そして、右訴外人の『刑法246条2項に該当する詐欺行為』によりて自白するに至った旨の主張は民訴420条1項5号の事由を主張するものであると認められるから、もし、証拠上右主張事実が肯認されるならば、原審としては本件自白の効力を認むべきでなかったものといわねばならぬ。」として、第三者の刑事上罰すべき行為による自白の撤回を認めている。
判例(最判昭33.3.7)は、「上告人が原審に提出した所論の準備書面には、…『上告人が陳述したものと看做された答弁書記載の自白は、…刑法246条2項に該当する詐欺行為に因りなされた点において無効であり少くとも取消し得るものである』旨の記載があり、右準備書面は…口頭弁論で陳述されていることは明白である。そして、右訴外人の『刑法246条2項に該当する詐欺行為』によりて自白するに至った旨の主張は民訴420条1項5号の事由を主張するものであると認められるから、もし、証拠上右主張事実が肯認されるならば、原審としては本件自白の効力を認むべきでなかったものといわねばならぬ。」として、第三者の刑事上罰すべき行為による自白の撤回を認めている。