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判決
口頭弁論を経ないでする原判決を破棄する旨の判決 最三小判平成14年12月17日
概要
上告審は、不適法でその不備を補正することができない訴えを却下する前提として原判決を破棄する場合には、口頭弁論を経ないでその旨の判決をすることができる。
判例
事案:訴えが不適法であるにもかかわらず原審が本案判決をした事案において、上告審が、不適法でその不備を補正することができない訴えを却下する前提として原判決を破棄する場合において、口頭弁論を経ずにその判決をすることができるかが問題となった。
判旨:「予備的請求に係る訴えは…却下すべきである。これと異なり予備的請求を棄却した原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中予備的請求を棄却した部分は破棄を免れない。なお、上告人の予備的請求に係る訴えは、上記のとおり不適法でその不備を補正することができないものである。このような訴えについては、民訴法140条が第1審において口頭弁論を経ないで判決で訴えを却下することができるものと規定しており、この規定は上告審にも準用されている(民訴法313条、297条)。したがって、当裁判所は、口頭弁論を経ないで上告人の予備的請求に係る訴えを却下する判決をすることができる。そして、これらの規定の趣旨に照らせば、このような場合には、訴えを却下する前提として原判決を破棄する判決も、口頭弁論を経ないですることができると解するのが相当である。」
判旨:「予備的請求に係る訴えは…却下すべきである。これと異なり予備的請求を棄却した原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中予備的請求を棄却した部分は破棄を免れない。なお、上告人の予備的請求に係る訴えは、上記のとおり不適法でその不備を補正することができないものである。このような訴えについては、民訴法140条が第1審において口頭弁論を経ないで判決で訴えを却下することができるものと規定しており、この規定は上告審にも準用されている(民訴法313条、297条)。したがって、当裁判所は、口頭弁論を経ないで上告人の予備的請求に係る訴えを却下する判決をすることができる。そして、これらの規定の趣旨に照らせば、このような場合には、訴えを却下する前提として原判決を破棄する判決も、口頭弁論を経ないですることができると解するのが相当である。」
過去問・解説
(R5 予備 第44問 3)
上告裁判所が、不適法でその不備を補正できない訴えについてなされた原審の本案判決を破棄し、訴えを却下する判決をする場合には、口頭弁論を経ないですることができる。
上告裁判所が、不適法でその不備を補正できない訴えについてなされた原審の本案判決を破棄し、訴えを却下する判決をする場合には、口頭弁論を経ないですることができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平14.12.17)は、訴えが不適法であった事案において、「民訴法140条が第1審において口頭弁論を経ないで判決で訴えを却下することができるものと規定しており、この規定は上告審にも準用されている(民訴法313条、297条)。したがって、当裁判所は、口頭弁論を経ないで上告人の予備的請求に係る訴えを却下する判決をすることができる。そして、これらの規定の趣旨に照らせば、このような場合には、訴えを却下する前提として原判決を破棄する判決も、口頭弁論を経ないですることができる。」としている。
したがって、上告審において、訴えが不適法でその不備を補正できない場合、訴えの却下とその前提となる原審の破棄は、口頭弁論を経ずにすることができる。
判例(最判平14.12.17)は、訴えが不適法であった事案において、「民訴法140条が第1審において口頭弁論を経ないで判決で訴えを却下することができるものと規定しており、この規定は上告審にも準用されている(民訴法313条、297条)。したがって、当裁判所は、口頭弁論を経ないで上告人の予備的請求に係る訴えを却下する判決をすることができる。そして、これらの規定の趣旨に照らせば、このような場合には、訴えを却下する前提として原判決を破棄する判決も、口頭弁論を経ないですることができる。」としている。
したがって、上告審において、訴えが不適法でその不備を補正できない場合、訴えの却下とその前提となる原審の破棄は、口頭弁論を経ずにすることができる。
総合メモ
数量的一部請求における訴訟物 最三小判昭和42年7月18日
概要
不法行為によって受傷した被害者が、その受傷について、相当期間経過後に、受傷当時には医学的に通常予想しえなかった治療が必要となり、その治療のため費用を支出することを余儀なくされるに至った場合には、かかる費用の損害賠償請求権について前訴の既判力は及ばない。
判例
事案:不法行為によって受傷した被害者が、相当期間経過後に、受傷当時に予想しえなかった治療が必要となったため、治療費用にかかる損害賠償を求めて訴えを提起した事案において、前訴の既判力が及ぶかが問題となった。
判旨:「1個の債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴が提起された場合には、訴訟物は、右債権の一部の存否のみであって全部の存否ではなく、従って、右一部の請求についての確定判決の既判力は残部の請求に及ばないと解するのが相当である(当裁判所昭和35年(オ)第359号、同37年8月10日言渡第二小法廷判決、民集16巻8号1720頁参照)。ところで、記録によれば、所論の前訴…における被上告人の請求は、被上告人主張の本件不法行為により惹起された損害のうち、右前訴の最終口頭弁論期日たる同35年5月25日までに支出された治療費を損害として主張しその賠償を求めるものであるところ、本件訴訟における被上告人の請求は、前記の口頭弁論期日後にその主張のような経緯で再手術を受けることを余儀なくされるにいたったと主張し、右治療に要した費用を損害としてその賠償を請求するものであることが明らかである。右の事実によれば、所論の前訴と本件訴訟とはそれぞれ訴訟物を異にするから、前訴の確定判決の既判力は本件訴訟に及ばないというべきであり、原判決に所論の違法は存しない。」
判旨:「1個の債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴が提起された場合には、訴訟物は、右債権の一部の存否のみであって全部の存否ではなく、従って、右一部の請求についての確定判決の既判力は残部の請求に及ばないと解するのが相当である(当裁判所昭和35年(オ)第359号、同37年8月10日言渡第二小法廷判決、民集16巻8号1720頁参照)。ところで、記録によれば、所論の前訴…における被上告人の請求は、被上告人主張の本件不法行為により惹起された損害のうち、右前訴の最終口頭弁論期日たる同35年5月25日までに支出された治療費を損害として主張しその賠償を求めるものであるところ、本件訴訟における被上告人の請求は、前記の口頭弁論期日後にその主張のような経緯で再手術を受けることを余儀なくされるにいたったと主張し、右治療に要した費用を損害としてその賠償を請求するものであることが明らかである。右の事実によれば、所論の前訴と本件訴訟とはそれぞれ訴訟物を異にするから、前訴の確定判決の既判力は本件訴訟に及ばないというべきであり、原判決に所論の違法は存しない。」
過去問・解説
(H21 司法 第69問 5)
交通事故による受傷に関して口頭弁論終結時までに支出した治療費につき損害賠償を命じる前訴判決が確定した後、前訴の原告が、前訴の口頭弁論終結時には医学的に予想できなかった後遺症が現れ、手術を余儀なくされたとして、当該手術による治療費についての損害賠償を求めて提起した後訴について、前訴確定判決の既判力は後訴の請求に関する判断に作用しない。
交通事故による受傷に関して口頭弁論終結時までに支出した治療費につき損害賠償を命じる前訴判決が確定した後、前訴の原告が、前訴の口頭弁論終結時には医学的に予想できなかった後遺症が現れ、手術を余儀なくされたとして、当該手術による治療費についての損害賠償を求めて提起した後訴について、前訴確定判決の既判力は後訴の請求に関する判断に作用しない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭42.7.18)は、本肢と同種の事案において、「前訴と本件訴訟とはそれぞれ訴訟物を異にするから、前訴の確定判決の既判力は本件訴訟に及ばないというべき…。」としている。
したがって、口頭弁論終結時までに支出した治療費につき損害賠償を命じる前訴確定判決の既判力は、後遺症の請求に関する後訴の判断に作用しない。
判例(最判昭42.7.18)は、本肢と同種の事案において、「前訴と本件訴訟とはそれぞれ訴訟物を異にするから、前訴の確定判決の既判力は本件訴訟に及ばないというべき…。」としている。
したがって、口頭弁論終結時までに支出した治療費につき損害賠償を命じる前訴確定判決の既判力は、後遺症の請求に関する後訴の判断に作用しない。
(H30 予備 第41問 3)
XがYに対して交通事故による損害賠償として1000万円の支払を求める訴訟において、400万円の限度で請求を認容する判決が確定した場合に、XがYに対してその後に同一の交通事故による損害賠償を求めて提起した訴えにおいて、前訴の事実審の口頭弁論終結時までに予見することができなかった後遺障害がその後に発生したと主張することは、前訴の確定判決の既判力に抵触し、許されない。
XがYに対して交通事故による損害賠償として1000万円の支払を求める訴訟において、400万円の限度で請求を認容する判決が確定した場合に、XがYに対してその後に同一の交通事故による損害賠償を求めて提起した訴えにおいて、前訴の事実審の口頭弁論終結時までに予見することができなかった後遺障害がその後に発生したと主張することは、前訴の確定判決の既判力に抵触し、許されない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭42.7.18)は、本肢と同種の事案において、「前訴と本件訴訟とはそれぞれ訴訟物を異にするから、前訴の確定判決の既判力は本件訴訟に及ばないというべき…。」としている。
したがって、前訴の既判力は後訴に及ばないため、Xが後遺障害の事実を主張することも許される。
判例(最判昭42.7.18)は、本肢と同種の事案において、「前訴と本件訴訟とはそれぞれ訴訟物を異にするから、前訴の確定判決の既判力は本件訴訟に及ばないというべき…。」としている。
したがって、前訴の既判力は後訴に及ばないため、Xが後遺障害の事実を主張することも許される。
総合メモ
数量的一部請求と相殺の抗弁 最三小判平成6年11月22日
概要
①特定の金銭債権の一部を請求する訴訟において、相殺の抗弁に理由がある場合には、当該債権の総額を確定し、その額から自働債権の額を控除した残存額を算定した上、請求額が残存額の範囲内であるときは請求の全額を、残存額を超えるときは残存額の限度で認容すべきである。
②特定の金銭債権の一部を請求する訴訟において、相殺のため主張された自働債権の存否の判断は、金銭債権の総額から一部請求の額を控除した残額部分に対応する範囲については既判力を生じない。
②特定の金銭債権の一部を請求する訴訟において、相殺のため主張された自働債権の存否の判断は、金銭債権の総額から一部請求の額を控除した残額部分に対応する範囲については既判力を生じない。
判例
事案:金銭債権の一部を請求する訴訟の中で、相殺が主張された事案において、①いかなる額から控除すべきか及びいかなる範囲で請求を認容すべきか、②金銭債権の一部を請求する訴訟の中で、相殺のため主張された自働債権の存否の判断にいかなる範囲で既判力が生じるかなどが問題となった。
判旨:①「特定の金銭債権のうちの一部が訴訟上請求されているいわゆる一部請求の事件において、被告から相殺の抗弁が提出されてそれが理由がある場合には、まず、当該債権の総額を確定し、その額から自働債権の額を控除した残存額を算定した上、原告の請求に係る一部請求の額が残存額の範囲内であるときはそのまま認容し、残存額を超えるときはその残存額の限度でこれを認容すべきである。けだし、一部請求は、特定の金銭債権について、その数量的な一部を少なくともその範囲においては請求権が現存するとして請求するものであるので、右債権の総額が何らかの理由で減少している場合に、債権の総額からではなく、一部請求の額から減少額の全額又は債権総額に対する一部請求の額の割合で案分した額を控除して認容額を決することは、一部請求を認める趣旨に反するからである。」
②「一部請求において、確定判決の既判力は、当該債権の訴訟上請求されなかった残部の存否には及ばないとすること判例であり(最高裁昭和35年(オ)第359号同37年8月10日第二小法廷判決・民集16巻8号1720頁)、相殺の抗弁により自働債権の存否について既判力が生ずるのは、請求の範囲に対して『 相殺ヲ以テ対抗シタル額』に限られるから、当該債権の総額から自働債権の額を控除した結果残存額が一部請求の額を超えるときは、一部請求の額を超える範囲の自働債権の存否については既判力を生じない。したがって、一部請求を認容した第一審判決に対し、被告のみが控訴し、控訴審において新たに主張された相殺の抗弁が理由がある場合に、控訴審において、まず当該債権の総額を確定し、その額から自働債権の額を控除した残存額が第一審で認容された一部請求の額を超えるとして控訴を棄却しても、不利益変更禁止の原則に反するものではない。」
判旨:①「特定の金銭債権のうちの一部が訴訟上請求されているいわゆる一部請求の事件において、被告から相殺の抗弁が提出されてそれが理由がある場合には、まず、当該債権の総額を確定し、その額から自働債権の額を控除した残存額を算定した上、原告の請求に係る一部請求の額が残存額の範囲内であるときはそのまま認容し、残存額を超えるときはその残存額の限度でこれを認容すべきである。けだし、一部請求は、特定の金銭債権について、その数量的な一部を少なくともその範囲においては請求権が現存するとして請求するものであるので、右債権の総額が何らかの理由で減少している場合に、債権の総額からではなく、一部請求の額から減少額の全額又は債権総額に対する一部請求の額の割合で案分した額を控除して認容額を決することは、一部請求を認める趣旨に反するからである。」
②「一部請求において、確定判決の既判力は、当該債権の訴訟上請求されなかった残部の存否には及ばないとすること判例であり(最高裁昭和35年(オ)第359号同37年8月10日第二小法廷判決・民集16巻8号1720頁)、相殺の抗弁により自働債権の存否について既判力が生ずるのは、請求の範囲に対して『 相殺ヲ以テ対抗シタル額』に限られるから、当該債権の総額から自働債権の額を控除した結果残存額が一部請求の額を超えるときは、一部請求の額を超える範囲の自働債権の存否については既判力を生じない。したがって、一部請求を認容した第一審判決に対し、被告のみが控訴し、控訴審において新たに主張された相殺の抗弁が理由がある場合に、控訴審において、まず当該債権の総額を確定し、その額から自働債権の額を控除した残存額が第一審で認容された一部請求の額を超えるとして控訴を棄却しても、不利益変更禁止の原則に反するものではない。」
過去問・解説
(H18 司法 第62問 3)
明示的一部請求訴訟において、被告が相殺の抗弁を提出した場合は、一部請求額から反対債権の全額を控除し、控除後の残額があるときはその残額を算定して請求認容額を決めるべきである。
明示的一部請求訴訟において、被告が相殺の抗弁を提出した場合は、一部請求額から反対債権の全額を控除し、控除後の残額があるときはその残額を算定して請求認容額を決めるべきである。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平6.11.22)は、「特定の金銭債権のうちの一部が訴訟上請求されているいわゆる一部請求の事件において、被告から相殺の抗弁が提出されてそれが理由がある場合には、まず、当該債権の総額を確定し、その額から自働債権の額を控除した残存額を算定した上、原告の請求に係る一部請求の額が残存額の範囲内であるときはそのまま認容し、残存額を超えるときはその残存額の限度でこれを認容すべきである。」としている。
判例(最判平6.11.22)は、「特定の金銭債権のうちの一部が訴訟上請求されているいわゆる一部請求の事件において、被告から相殺の抗弁が提出されてそれが理由がある場合には、まず、当該債権の総額を確定し、その額から自働債権の額を控除した残存額を算定した上、原告の請求に係る一部請求の額が残存額の範囲内であるときはそのまま認容し、残存額を超えるときはその残存額の限度でこれを認容すべきである。」としている。
(H26 共通 第71問 イ)
XはYと締結した自らを注文主とする建物建築請負契約をYの債務不履行を理由に工事完成前に解除し、Yを被告として、総額1000万円の損害賠償債権のうちの一部であることを明示して400万円の支払を求める訴えを提起した。
裁判所は、Yの債務不履行に基づくXの1000万円の損害賠償債権は認められるが、Yから提出されたXに対する売買代金債権400万円を自働債権とする相殺の抗弁に理由があるとの心証を得たときは、Xの請求を棄却すべきである。
XはYと締結した自らを注文主とする建物建築請負契約をYの債務不履行を理由に工事完成前に解除し、Yを被告として、総額1000万円の損害賠償債権のうちの一部であることを明示して400万円の支払を求める訴えを提起した。
裁判所は、Yの債務不履行に基づくXの1000万円の損害賠償債権は認められるが、Yから提出されたXに対する売買代金債権400万円を自働債権とする相殺の抗弁に理由があるとの心証を得たときは、Xの請求を棄却すべきである。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平6.11.22)は、「特定の金銭債権のうちの一部が訴訟上請求されているいわゆる一部請求の事件において、被告から相殺の抗弁が提出されてそれが理由がある場合には、まず、当該債権の総額を確定し、その額から自働債権の額を控除した残存額を算定した上、原告の請求に係る一部請求の額が残存額の範囲内であるときはそのまま認容し、残存額を超えるときはその残存額の限度でこれを認容すべきである。」としている。
本肢において、総額の1000万円から自働債権の400万円を控除した残存額は600万円であり、請求額である400万円はこの範囲内である。
したがって、Xの請求を棄却すべきではなく、そのまま認容すべきである。
判例(最判平6.11.22)は、「特定の金銭債権のうちの一部が訴訟上請求されているいわゆる一部請求の事件において、被告から相殺の抗弁が提出されてそれが理由がある場合には、まず、当該債権の総額を確定し、その額から自働債権の額を控除した残存額を算定した上、原告の請求に係る一部請求の額が残存額の範囲内であるときはそのまま認容し、残存額を超えるときはその残存額の限度でこれを認容すべきである。」としている。
本肢において、総額の1000万円から自働債権の400万円を控除した残存額は600万円であり、請求額である400万円はこの範囲内である。
したがって、Xの請求を棄却すべきではなく、そのまま認容すべきである。
(H29 予備 第41問 オ)
裁判所は、特定の金銭債権の一部を請求する訴訟において、相殺の抗弁に理由があると認めるときは、請求額から自働債権の額を控除した残存額の限度で請求を認容する判決をしなければならない。
裁判所は、特定の金銭債権の一部を請求する訴訟において、相殺の抗弁に理由があると認めるときは、請求額から自働債権の額を控除した残存額の限度で請求を認容する判決をしなければならない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平6.11.22)は、「特定の金銭債権のうちの一部が訴訟上請求されているいわゆる一部請求の事件において、被告から相殺の抗弁が提出されてそれが理由がある場合には、まず、当該債権の総額を確定し、その額から自働債権の額を控除した残存額を算定した上、原告の請求に係る一部請求の額が残存額の範囲内であるときはそのまま認容し、残存額を超えるときはその残存額の限度でこれを認容すべきである。」としている。
判例(最判平6.11.22)は、「特定の金銭債権のうちの一部が訴訟上請求されているいわゆる一部請求の事件において、被告から相殺の抗弁が提出されてそれが理由がある場合には、まず、当該債権の総額を確定し、その額から自働債権の額を控除した残存額を算定した上、原告の請求に係る一部請求の額が残存額の範囲内であるときはそのまま認容し、残存額を超えるときはその残存額の限度でこれを認容すべきである。」としている。
(R6 予備 第44問 イ)
明示的一部請求を認容した第1審判決に対して被告のみが控訴し、控訴審において新たに主張された相殺の抗弁に理由がある場合に、控訴裁判所が、債権の総額を確定し、その額から自働債権の額を控除した残存額が第1審で認容された一部請求の額を超えるとして控訴を棄却することは、不利益変更禁止の原則に反して許されない。
明示的一部請求を認容した第1審判決に対して被告のみが控訴し、控訴審において新たに主張された相殺の抗弁に理由がある場合に、控訴裁判所が、債権の総額を確定し、その額から自働債権の額を控除した残存額が第1審で認容された一部請求の額を超えるとして控訴を棄却することは、不利益変更禁止の原則に反して許されない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平6.11.22)は、「一部請求を認容した第1審判決に対し、被告のみが控訴し、控訴審において新たに主張された相殺の抗弁が理由がある場合に、控訴審において、まず当該債権の総額を確定し、その額から自働債権の額を控除した残存額が第1審で認容された一部請求の額を超えるとして控訴を棄却しても、不利益変更禁止の原則に反するものではない。」としている。
判例(最判平6.11.22)は、「一部請求を認容した第1審判決に対し、被告のみが控訴し、控訴審において新たに主張された相殺の抗弁が理由がある場合に、控訴審において、まず当該債権の総額を確定し、その額から自働債権の額を控除した残存額が第1審で認容された一部請求の額を超えるとして控訴を棄却しても、不利益変更禁止の原則に反するものではない。」としている。
総合メモ
一定金額を超える債務の不存在確認請求の訴訟物 最二小判昭和40年9月17日
概要
一定金額を超える債務が存在しない旨の確認請求は、当該債権額から一定金額を控除した残債務額についての不存在の確認を求めるものである。
判例
事案:一定金額を超える債務の不存在確認請求の訴えが提起された事案において、その訴訟物が問題となった。
判旨:「本件請求の趣旨および請求の原因ならびに本件一件記録によると、上告人らが本件訴訟において本件貸金債務について不存在の確認を求めている申立の範囲(訴訟)は、上告人Aについては、その元金として残存することを自認する金14万6465円を本件貸代金債権金110万から控除した残額95万3535円の債務額の不存在の確認であり、その余の上告人らにおいては、右残額金95万3535円の債務額について相続分に応じて分割されたそれぞれの債務額の不存在の確認であることが認められる。したがって、原審としては、右の各請求の当否をきめるためには、…弁済の各主張事実について審理をして本件申立の範囲(訴訟)である前記貸金残額の存否ないしその限度を明確に判断しなければならない。」
判旨:「本件請求の趣旨および請求の原因ならびに本件一件記録によると、上告人らが本件訴訟において本件貸金債務について不存在の確認を求めている申立の範囲(訴訟)は、上告人Aについては、その元金として残存することを自認する金14万6465円を本件貸代金債権金110万から控除した残額95万3535円の債務額の不存在の確認であり、その余の上告人らにおいては、右残額金95万3535円の債務額について相続分に応じて分割されたそれぞれの債務額の不存在の確認であることが認められる。したがって、原審としては、右の各請求の当否をきめるためには、…弁済の各主張事実について審理をして本件申立の範囲(訴訟)である前記貸金残額の存否ないしその限度を明確に判断しなければならない。」
過去問・解説
(H21 司法 第61問 エ)
50万円を超えて貸金債務が存在しないことの確認を求める訴えについて、裁判所は、50万円を超えて債務が存在すると認めた場合には、貸金残額の存否ないしその限度を明確に判断することなく、直ちに請求を棄却する判決をすることができる。
50万円を超えて貸金債務が存在しないことの確認を求める訴えについて、裁判所は、50万円を超えて債務が存在すると認めた場合には、貸金残額の存否ないしその限度を明確に判断することなく、直ちに請求を棄却する判決をすることができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭40.9.17)は、「各請求の当否をきめるためには、…弁済の各主張事実について審理をして本件申立の範囲(訴訟)である前記貸金残額の存否ないしその限度を明確に判断しなければならない。」としている。
したがって、50万円を超えて貸金債務が存在しないことの確認を求める訴えについて、裁判所は、50万円を超えて債務が存在すると認めた場合には、請求棄却判決をするのではなく、貸金残額の存否ないしその限度を明確にした上で、一部認容判決をしなければならない。
判例(最判昭40.9.17)は、「各請求の当否をきめるためには、…弁済の各主張事実について審理をして本件申立の範囲(訴訟)である前記貸金残額の存否ないしその限度を明確に判断しなければならない。」としている。
したがって、50万円を超えて貸金債務が存在しないことの確認を求める訴えについて、裁判所は、50万円を超えて債務が存在すると認めた場合には、請求棄却判決をするのではなく、貸金残額の存否ないしその限度を明確にした上で、一部認容判決をしなければならない。
(H25 共通 第69問 エ)
債務の全額である100万円についての不存在確認を求める訴訟において、裁判所は、当該債務の一部である10万円の債務が存在すると認めるときは、100万円のうち10万円を超える債務の不存在を確認し、その余の請求を棄却する。
債務の全額である100万円についての不存在確認を求める訴訟において、裁判所は、当該債務の一部である10万円の債務が存在すると認めるときは、100万円のうち10万円を超える債務の不存在を確認し、その余の請求を棄却する。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭40.9.17)は、債務の一部不存在確認訴訟が提起された事案において、「本件請求の趣旨および請求の原因ならびに本件一件記録によると、上告人らが本件訴訟において本件貸金債務について不存在の確認を求めている申立の範囲(訴訟物)は、上告人…については、その元金として残存することを自認する金14万6465円を本件貸金債権金110万円から控除した残額金95万3535円の債務額の不存在の確認であり、その余の上告人らにおいては、右残額金95万3535円の債務額について相続分に応じて分割されたそれぞれの債務額の不存在の確認であることが認められる。」として、不存在確認訴訟の訴訟物は、不存在であることの確認を求める部分であることを示している。
本肢においては、訴訟物は債務の全額である100万円であるところ、そのうち90万円部分の不存在を認定することは、訴訟物の範囲内での認定であるため、許される。
判例(最判昭40.9.17)は、債務の一部不存在確認訴訟が提起された事案において、「本件請求の趣旨および請求の原因ならびに本件一件記録によると、上告人らが本件訴訟において本件貸金債務について不存在の確認を求めている申立の範囲(訴訟物)は、上告人…については、その元金として残存することを自認する金14万6465円を本件貸金債権金110万円から控除した残額金95万3535円の債務額の不存在の確認であり、その余の上告人らにおいては、右残額金95万3535円の債務額について相続分に応じて分割されたそれぞれの債務額の不存在の確認であることが認められる。」として、不存在確認訴訟の訴訟物は、不存在であることの確認を求める部分であることを示している。
本肢においては、訴訟物は債務の全額である100万円であるところ、そのうち90万円部分の不存在を認定することは、訴訟物の範囲内での認定であるため、許される。
(H29 予備 第41問 ア)
裁判所は、原告が500万円の債務のうち200万円の存在は認めるもののそれを超える債務の不存在の確認を求める訴訟において、300万円の債務が存在すると認めるときは、500万円の債務のうち300万円を超える債務の不存在を確認し、その余の部分につき請求を棄却する判決をしなければならない。
裁判所は、原告が500万円の債務のうち200万円の存在は認めるもののそれを超える債務の不存在の確認を求める訴訟において、300万円の債務が存在すると認めるときは、500万円の債務のうち300万円を超える債務の不存在を確認し、その余の部分につき請求を棄却する判決をしなければならない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭40.9.17)は、「各請求の当否をきめるためには、…弁済の各主張事実について審理をして本件申立の範囲(訴訟)である前記貸金残額の存否ないしその限度を明確に判断しなければならない。」としている。
したがって、原告が500万円の債務のうち200万円の存在は認めるもののそれを超える債務の不存在の確認を求める訴訟において、300万円の債務が存在すると認めるときは、請求棄却判決をするのではなく、500万円の債務のうち300万円を超えて債務は存在しない旨の一部認容判決をしなければならない。
判例(最判昭40.9.17)は、「各請求の当否をきめるためには、…弁済の各主張事実について審理をして本件申立の範囲(訴訟)である前記貸金残額の存否ないしその限度を明確に判断しなければならない。」としている。
したがって、原告が500万円の債務のうち200万円の存在は認めるもののそれを超える債務の不存在の確認を求める訴訟において、300万円の債務が存在すると認めるときは、請求棄却判決をするのではなく、500万円の債務のうち300万円を超えて債務は存在しない旨の一部認容判決をしなければならない。
(R6 予備 第34問 4)
裁判所は、100万円の債務のうち50万円を超える部分の不存在の確認を求める訴訟において、債務の額が20万円であると認めたときは、100万円の債務のうち20万円を超える部分が不存在であることを確認する判決をすることができる。
裁判所は、100万円の債務のうち50万円を超える部分の不存在の確認を求める訴訟において、債務の額が20万円であると認めたときは、100万円の債務のうち20万円を超える部分が不存在であることを確認する判決をすることができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭40.9.17)は、本肢と同種の事案において、「本件請求の趣旨および請求の原因ならびに本件一件記録によると、上告人らが本件訴訟において本件貸金債務について不存在の確認を求めている申立の範囲(訴訟物)は、上告人…については、その元金として残存することを自認する金14万6465円を本件貸金債権金110万円から控除した残額金95万3535円の債務額の不存在の確認であり、その余の上告人らにおいては、右残額金95万3535円の債務額について相続分に応じて分割されたそれぞれの債務額の不存在の確認であることが認められる。」として、不存在確認訴訟の訴訟物は、不存在であることの確認を求める部分であることを示している。
本肢においては、訴訟物は100万円の債務のうち50万円を超える部分、すなわち50万円の部分であるところ、100万円の債務のうち20万円を超える部分が不存在を認定してしまうと、80万円部分の不存在を認定することになり、訴訟物の範囲を超えて認定することになる。
したがって、かかる判決は処分権主義(246条)に反し、許されない。
判例(最判昭40.9.17)は、本肢と同種の事案において、「本件請求の趣旨および請求の原因ならびに本件一件記録によると、上告人らが本件訴訟において本件貸金債務について不存在の確認を求めている申立の範囲(訴訟物)は、上告人…については、その元金として残存することを自認する金14万6465円を本件貸金債権金110万円から控除した残額金95万3535円の債務額の不存在の確認であり、その余の上告人らにおいては、右残額金95万3535円の債務額について相続分に応じて分割されたそれぞれの債務額の不存在の確認であることが認められる。」として、不存在確認訴訟の訴訟物は、不存在であることの確認を求める部分であることを示している。
本肢においては、訴訟物は100万円の債務のうち50万円を超える部分、すなわち50万円の部分であるところ、100万円の債務のうち20万円を超える部分が不存在を認定してしまうと、80万円部分の不存在を認定することになり、訴訟物の範囲を超えて認定することになる。
したがって、かかる判決は処分権主義(246条)に反し、許されない。
総合メモ
身体傷害による財産上及び精神上の損害の賠償請求における請求権及び訴訟物の個数 最一小判昭和48年4月5日
概要
①同一事故により生じた同一の身体傷害を理由として財産上の損害と精神上の損害との賠償を請求する場合における請求権および訴訟物は、1個である。
②不法行為に基づく1個の損害賠償請求権のうちの一部が訴訟上請求されている場合に、過失相殺をするにあたっては、損害の全額から過失割合による減額をし、その残額が請求額を超えないときは残額を認容し、残額が請求額を超えるときは請求の全額を認容することができるものと解する。
②不法行為に基づく1個の損害賠償請求権のうちの一部が訴訟上請求されている場合に、過失相殺をするにあたっては、損害の全額から過失割合による減額をし、その残額が請求額を超えないときは残額を認容し、残額が請求額を超えるときは請求の全額を認容することができるものと解する。
判例
事案:原告は、不法行為に基づく損害賠償請求として、療養費、逸失利益、慰謝料の各損害の発生を主張し、療養費、慰謝料の全額と逸失利益のうち150万円の支払いを請求した。原判決は、第1審判決が認定した財産上の損害(療養費、逸失利益)につき同一の割合で過失相殺をしたところ、過失相殺をしたとしても、原告の請求金額のうち財産上の損害として示されていた金額を超えていたという事案において、①同一事故により生じた同一の身体傷害を理由として財産上の損害と精神上の損害との賠償を請求する場合における請求権および訴訟物の個数や、②過失相殺の基準となる金額が、損害の全額か、原告の請求金額かなどが問題となった。
判旨:①「本件のような同一事故により生じた同一の身体傷害を理由とする財産上の損害と精神上の損害とは、原因事実および被侵害利益を共通にするものであるから、その賠償の請求権は1個であり、その両者の賠償を訴訟上あわせて請求する場合にも、訴訟物は1個であると解すべきである。したがって、第1審判決は、被上告人の1個の請求のうちでその求める全額を認容したものであって、同被上告人の申し立てない事項について判決をしたものではなく、また、原判決も、右請求のうち、第1審判決の審判および上告人の控訴の対象となった範囲内において、その一部を認容したものというべきである。」
②「1個の損害賠償請求権のうちの一部が訴訟上請求されている場合に、過失相殺をするにあたっては、損害の全額から過失割合による減額をし、その残額が請求額をこえないときは右残額を認容し、残額が請求額をこえるときは請求の全額を認容することができるものと解すべきである。このように解することが一部請求をする当事者の通常の意思にもそうものというべきであって、所論のように、請求額を基礎とし、これから過失割合による減額をした残額のみを認容すべきものと解するのは、相当でない。したがって、右と同趣旨において前示のような過失相殺をし、被上告人の第1審における請求の範囲内において前示金額の請求を認容した原審の判断は、正当として是認することができる。」
判旨:①「本件のような同一事故により生じた同一の身体傷害を理由とする財産上の損害と精神上の損害とは、原因事実および被侵害利益を共通にするものであるから、その賠償の請求権は1個であり、その両者の賠償を訴訟上あわせて請求する場合にも、訴訟物は1個であると解すべきである。したがって、第1審判決は、被上告人の1個の請求のうちでその求める全額を認容したものであって、同被上告人の申し立てない事項について判決をしたものではなく、また、原判決も、右請求のうち、第1審判決の審判および上告人の控訴の対象となった範囲内において、その一部を認容したものというべきである。」
②「1個の損害賠償請求権のうちの一部が訴訟上請求されている場合に、過失相殺をするにあたっては、損害の全額から過失割合による減額をし、その残額が請求額をこえないときは右残額を認容し、残額が請求額をこえるときは請求の全額を認容することができるものと解すべきである。このように解することが一部請求をする当事者の通常の意思にもそうものというべきであって、所論のように、請求額を基礎とし、これから過失割合による減額をした残額のみを認容すべきものと解するのは、相当でない。したがって、右と同趣旨において前示のような過失相殺をし、被上告人の第1審における請求の範囲内において前示金額の請求を認容した原審の判断は、正当として是認することができる。」
過去問・解説
(H18 司法 第62問 4)
明示的一部請求訴訟において過失相殺がされるべき場合、債権の全額を認定した上で、その全額から過失割合による減額をし、減額後の残額が請求額を超えなければこの残額を認容し、その残額が請求額を超えるときは請求の全額を認容する判決をするべきである。
明示的一部請求訴訟において過失相殺がされるべき場合、債権の全額を認定した上で、その全額から過失割合による減額をし、減額後の残額が請求額を超えなければこの残額を認容し、その残額が請求額を超えるときは請求の全額を認容する判決をするべきである。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭48.4.5)は、「1個の損害賠償請求権のうちの一部が訴訟上請求されている場合に、過失相殺をするにあたっては、損害の全額から過失割合による減額をし、その残額が請求額をこえないときは右残額を認容し、残額が請求額をこえるときは請求の全額を認容することができる…。」としている。
判例(最判昭48.4.5)は、「1個の損害賠償請求権のうちの一部が訴訟上請求されている場合に、過失相殺をするにあたっては、損害の全額から過失割合による減額をし、その残額が請求額をこえないときは右残額を認容し、残額が請求額をこえるときは請求の全額を認容することができる…。」としている。
(H20 司法 第55問 1)
Xが、Yの1個の不法行為によりXの身体に傷害を負ったとして、それによって生じた損害の賠償を1つの訴えによって求めた場合に、Xが損害項目として治療費、逸失利益及び慰謝料を主張しているときは、損害項目ごとに訴訟物を異にする。
Xが、Yの1個の不法行為によりXの身体に傷害を負ったとして、それによって生じた損害の賠償を1つの訴えによって求めた場合に、Xが損害項目として治療費、逸失利益及び慰謝料を主張しているときは、損害項目ごとに訴訟物を異にする。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭48.4.5)は、本肢と同種の事案において、「同一事故により生じた同一の身体傷害を理由とする財産上の損害と精神上の損害とは、原因事実および被侵害利益を共通にするものであるから、その賠償の請求権は1個であり、その両者の賠償を訴訟上あわせて請求する場合にも、訴訟物は1個である。」としている。
本肢において、治療費、遺失利益及び慰謝料は全て同一の事故により生じた同一の損害である。
したがって、損害項目ごとに訴訟物を異にするのではなく、訴訟物は1個である。
判例(最判昭48.4.5)は、本肢と同種の事案において、「同一事故により生じた同一の身体傷害を理由とする財産上の損害と精神上の損害とは、原因事実および被侵害利益を共通にするものであるから、その賠償の請求権は1個であり、その両者の賠償を訴訟上あわせて請求する場合にも、訴訟物は1個である。」としている。
本肢において、治療費、遺失利益及び慰謝料は全て同一の事故により生じた同一の損害である。
したがって、損害項目ごとに訴訟物を異にするのではなく、訴訟物は1個である。
(H22 共通 第68問 3)
東京都目黒区に住所を有するXは、自ら自動車を運転して横浜市内の交差点に差し掛かったところ、静岡市に住所を有するYの運転する自動車と衝突する交通事故に遭った。そこで、Xは、Yを被告として、不法行為に基づく損害賠償を求める訴えを提起した。
Xが、50万円の治療費及び200万円の精神的損害が発生したとして、250万円の損害賠償求めた場合において、証拠調べの結果、60万円の治療費、100万円の精神的損害が発生したと認定したときは、裁判所は、Yに150万円の支払を命じるにとどめなければならない。
東京都目黒区に住所を有するXは、自ら自動車を運転して横浜市内の交差点に差し掛かったところ、静岡市に住所を有するYの運転する自動車と衝突する交通事故に遭った。そこで、Xは、Yを被告として、不法行為に基づく損害賠償を求める訴えを提起した。
Xが、50万円の治療費及び200万円の精神的損害が発生したとして、250万円の損害賠償求めた場合において、証拠調べの結果、60万円の治療費、100万円の精神的損害が発生したと認定したときは、裁判所は、Yに150万円の支払を命じるにとどめなければならない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭48.4.5)は、本肢と同種の事案において、「同一事故により生じた同一の身体傷害を理由とする財産上の損害と精神上の損害とは、原因事実および被侵害利益を共通にするものであるから、その賠償の請求権は1個であり、その両者の賠償を訴訟上あわせて請求する場合にも、訴訟物は1個である…。とした上で、「1個の請求のうちでその求める全額を認容したものであって、同被上告人の申し立てない事項について判決をしたものではなく、また、原判決も、右請求のうち、第1審判決の審判および上告人の控訴の対象となった範囲内において、その一部を認容したものというべきである。」としている。
本肢において、50万円の治療費及び200万円の精神的損害を合計した250万円全体が1個の訴訟物であるため、250万円を超えて判決しなければよく、60万円の治療費と100万円の精神的損害を合計しても250万円は超えない。
したがって、150万円の支払いを命じるにとどめる必要はなく、160万円の支払いを命じることができる。
判例(最判昭48.4.5)は、本肢と同種の事案において、「同一事故により生じた同一の身体傷害を理由とする財産上の損害と精神上の損害とは、原因事実および被侵害利益を共通にするものであるから、その賠償の請求権は1個であり、その両者の賠償を訴訟上あわせて請求する場合にも、訴訟物は1個である…。とした上で、「1個の請求のうちでその求める全額を認容したものであって、同被上告人の申し立てない事項について判決をしたものではなく、また、原判決も、右請求のうち、第1審判決の審判および上告人の控訴の対象となった範囲内において、その一部を認容したものというべきである。」としている。
本肢において、50万円の治療費及び200万円の精神的損害を合計した250万円全体が1個の訴訟物であるため、250万円を超えて判決しなければよく、60万円の治療費と100万円の精神的損害を合計しても250万円は超えない。
したがって、150万円の支払いを命じるにとどめる必要はなく、160万円の支払いを命じることができる。
(H22 共通 第68問 4)
東京都目黒区に住所を有するXは、自ら自動車を運転して横浜市内の交差点に差し掛かったところ、静岡市に住所を有するYの運転する自動車と衝突する交通事故に遭った。そこで、Xは、Yを被告として、不法行為に基づく損害賠償を求める訴えを提起した。
事故の発生について自己に2割の過失があったと考えたXが、300万円の損害の一部請求である旨を明示して240万円の損害賠償を求めた場合において、裁判所が、Xには300万円の損害が発生していること及びXに5割の過失があることを認定するときは、裁判所は、Yに150万円の支払を命じなければならない。
東京都目黒区に住所を有するXは、自ら自動車を運転して横浜市内の交差点に差し掛かったところ、静岡市に住所を有するYの運転する自動車と衝突する交通事故に遭った。そこで、Xは、Yを被告として、不法行為に基づく損害賠償を求める訴えを提起した。
事故の発生について自己に2割の過失があったと考えたXが、300万円の損害の一部請求である旨を明示して240万円の損害賠償を求めた場合において、裁判所が、Xには300万円の損害が発生していること及びXに5割の過失があることを認定するときは、裁判所は、Yに150万円の支払を命じなければならない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭48.4.5)は、「1個の損害賠償請求権のうちの一部が訴訟上請求されている場合に、過失相殺をするにあたっては、損害の全額から過失割合による減額をし、その残額が請求額を超えないときは右残額を認容し、残額が請求額を超えるときは請求の全額を認容することができる。」としている。
したがって、裁判所は、損害全額の300万円から過失割合5割の150万円を減額して、残額が請求額240万円を超えないため、その残額である150万円について、Yに支払を命じなければならない。
判例(最判昭48.4.5)は、「1個の損害賠償請求権のうちの一部が訴訟上請求されている場合に、過失相殺をするにあたっては、損害の全額から過失割合による減額をし、その残額が請求額を超えないときは右残額を認容し、残額が請求額を超えるときは請求の全額を認容することができる。」としている。
したがって、裁判所は、損害全額の300万円から過失割合5割の150万円を減額して、残額が請求額240万円を超えないため、その残額である150万円について、Yに支払を命じなければならない。
(R1 予備 第42問 1)
不法行為による人身に係る損害賠償請求権に基づき、慰謝料100万円及び休業損害300万円の支払を求める請求に対し、裁判所は、慰謝料150万円及び休業損害200万円の支払を命ずる判決をすることができる。
不法行為による人身に係る損害賠償請求権に基づき、慰謝料100万円及び休業損害300万円の支払を求める請求に対し、裁判所は、慰謝料150万円及び休業損害200万円の支払を命ずる判決をすることができる。
(正答)〇
(解説)
246条は、「裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。」として、処分権主義について規定している。
これについて、判例(最判昭48.4.5)は、「同一事故により生じた同一の身体傷害を理由とする財産上の損害と精神上の損害とは、原因事実および被侵害利益を共通にするものであるから、その賠償の請求権は1個であり、その両者の賠償を訴訟上あわせて請求する場合にも、訴訟物は1個である…。」としている。
本肢においては、400万円の請求額に対して350万円の支払を命じるに過ぎず、判決の総額が請求額を超えていない。
したがって、慰謝料150万円及び休業損害200万円の支払を命ずる判決は「当事者が申し立てていない事項について」判決をしたことにならず、処分権主義に反しないため、かかる判決をすることができる。
246条は、「裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。」として、処分権主義について規定している。
これについて、判例(最判昭48.4.5)は、「同一事故により生じた同一の身体傷害を理由とする財産上の損害と精神上の損害とは、原因事実および被侵害利益を共通にするものであるから、その賠償の請求権は1個であり、その両者の賠償を訴訟上あわせて請求する場合にも、訴訟物は1個である…。」としている。
本肢においては、400万円の請求額に対して350万円の支払を命じるに過ぎず、判決の総額が請求額を超えていない。
したがって、慰謝料150万円及び休業損害200万円の支払を命ずる判決は「当事者が申し立てていない事項について」判決をしたことにならず、処分権主義に反しないため、かかる判決をすることができる。
(R4 予備 第42問 5)
同一事故により生じた不法行為による損害賠償請求権に基づき、治療費200万円、逸失利益500万円、慰謝料300万円の合計1000万円の支払を求める訴訟において、裁判所は、治療費を150万円、逸失利益を400万円、慰謝料を400万円とそれぞれ認定して合計950万円の支払を命ずる判決をすることはできない。
同一事故により生じた不法行為による損害賠償請求権に基づき、治療費200万円、逸失利益500万円、慰謝料300万円の合計1000万円の支払を求める訴訟において、裁判所は、治療費を150万円、逸失利益を400万円、慰謝料を400万円とそれぞれ認定して合計950万円の支払を命ずる判決をすることはできない。
(正答)✕
(解説)
246条は、「裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。」として、処分権主義について規定している。
これについて判例(最判昭48.4.5)は、「同一事故により生じた同一の身体傷害を理由とする財産上の損害と精神上の損害とは、原因事実および被侵害利益を共通にするものであるから、その賠償の請求権は一個であり、その両者の賠償を訴訟上あわせて請求する場合にも、訴訟物は1個である…。」としている。
本肢は、1000万円の請求額に、950万円の支払を命じるに過ぎず、判決の総額が請求額を超えていない。
したがって、合計950万円の支払を命ずる判決は、「当事者が申し立てていない事項について」判決をしたことにならず、許される。
246条は、「裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。」として、処分権主義について規定している。
これについて判例(最判昭48.4.5)は、「同一事故により生じた同一の身体傷害を理由とする財産上の損害と精神上の損害とは、原因事実および被侵害利益を共通にするものであるから、その賠償の請求権は一個であり、その両者の賠償を訴訟上あわせて請求する場合にも、訴訟物は1個である…。」としている。
本肢は、1000万円の請求額に、950万円の支払を命じるに過ぎず、判決の総額が請求額を超えていない。
したがって、合計950万円の支払を命ずる判決は、「当事者が申し立てていない事項について」判決をしたことにならず、許される。
(R6 予備 第34問 2)
不法行為による損害賠償請求権に基づいて損害の総額1000万円から2割の過失相殺をした800万円の支払を求めることが明示された訴訟において、裁判所は、総額1000万円の損害が認められ、5割の過失相殺をすべきときは、請求額800万円から5割の過失相殺をした400万円の支払を命ずる判決をしなければならない。
不法行為による損害賠償請求権に基づいて損害の総額1000万円から2割の過失相殺をした800万円の支払を求めることが明示された訴訟において、裁判所は、総額1000万円の損害が認められ、5割の過失相殺をすべきときは、請求額800万円から5割の過失相殺をした400万円の支払を命ずる判決をしなければならない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭48.4.5)は、「1個の損害賠償請求権のうちの一部が訴訟上請求されている場合に、過失相殺をするにあたっては、損害の全額から過失割合による減額をし、その残額が請求額を超えないときは右残額を認容し、残額が請求額を超えるときは請求の全額を認容することができる。」としている。
本肢の場合、総額から過失相殺の額である500万円を減額した残額は500万円である。
したがって、一部請求の額800万円が残額の500万円を超えるから、裁判所は、残額500万円の限度で請求を認容すべきである。
判例(最判昭48.4.5)は、「1個の損害賠償請求権のうちの一部が訴訟上請求されている場合に、過失相殺をするにあたっては、損害の全額から過失割合による減額をし、その残額が請求額を超えないときは右残額を認容し、残額が請求額を超えるときは請求の全額を認容することができる。」としている。
本肢の場合、総額から過失相殺の額である500万円を減額した残額は500万円である。
したがって、一部請求の額800万円が残額の500万円を超えるから、裁判所は、残額500万円の限度で請求を認容すべきである。
総合メモ
賃借人のある建物について買取請求権が行使された場合における建物収去土地明渡しを求める相手方の請求 最三小判昭和36年2月28日
概要
土地賃貸人からの建物収去土地明渡の請求において、建物所有者が借地法第10条(現:借地借家法13条1項)により買取請求権を行使した場合に、その建物に賃借人があるときは、右収去明渡の請求には、建物の指図による占有移転を求める趣旨を包合するものと解すべきである。
判例
事案: 賃借人のある建物について買取請求権が行使された事案において、建物収去土地明渡を求める相手方の請求が問題となった。
判旨:「土地所有者からの建物収去土地明渡の請求において、建物所有者が借地法10条(現:借地借家法13条1項)により建物の買取請求権を行使した場合、右明渡請求には建物の引渡を求める申立をも包含する趣旨と解すべきであることは所論のとおりである。
されば本件建物の買取請求により右建物の所有権が上告人に移転したものであること原判決の確定したところであるから、右日時以後において上告人は被上告人…に対して本件建物の引渡を求めているものというべきであり、ここにいう引渡は、本件の如く建物の占有者が賃借人…であるため、買取前の所有者たる被上告人…が、買取後の所有者たる上告人に対し現実の引渡をなし得ない場合においては、指図による占有移転を求める趣旨と解するのが相当である。」
判旨:「土地所有者からの建物収去土地明渡の請求において、建物所有者が借地法10条(現:借地借家法13条1項)により建物の買取請求権を行使した場合、右明渡請求には建物の引渡を求める申立をも包含する趣旨と解すべきであることは所論のとおりである。
されば本件建物の買取請求により右建物の所有権が上告人に移転したものであること原判決の確定したところであるから、右日時以後において上告人は被上告人…に対して本件建物の引渡を求めているものというべきであり、ここにいう引渡は、本件の如く建物の占有者が賃借人…であるため、買取前の所有者たる被上告人…が、買取後の所有者たる上告人に対し現実の引渡をなし得ない場合においては、指図による占有移転を求める趣旨と解するのが相当である。」
過去問・解説
(R1 予備 第42問 4)
建物所有目的の土地賃貸借契約の終了に基づき、建物収去土地明渡しを求める請求に対し、被告が建物買取請求権を行使した場合には、裁判所は、建物を引き渡して土地を明け渡すことを命ずる判決をすることができる。
建物所有目的の土地賃貸借契約の終了に基づき、建物収去土地明渡しを求める請求に対し、被告が建物買取請求権を行使した場合には、裁判所は、建物を引き渡して土地を明け渡すことを命ずる判決をすることができる。
(正答)〇
(解説)
246条は、「裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。」として、処分権主義について規定している。
これについて、判例(最判昭36.2.28)は、「土地所有者からの建物収去土地明渡の請求において、建物所有者が借地法10条(現:借地借家法13条1項)により建物の買取請求権を行使した場合、右明渡請求には建物の引渡を求める申立をも包含する趣旨と解すべきである。」としている。
したがって、建物所有目的の土地賃貸借契約の終了に基づき、建物収去土地明渡しを求める請求に対し、被告が建物買取請求権を行使した場合において、裁判所が、建物を引き渡して土地を明け渡すことを命ずる判決をしても、「当事者が申し立てていない事項について」判決をしたことにならない。
よって、当該判決は246条に反せず、裁判所は、建物を引き渡して土地を明け渡すことを命ずる判決をすることができる。
246条は、「裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。」として、処分権主義について規定している。
これについて、判例(最判昭36.2.28)は、「土地所有者からの建物収去土地明渡の請求において、建物所有者が借地法10条(現:借地借家法13条1項)により建物の買取請求権を行使した場合、右明渡請求には建物の引渡を求める申立をも包含する趣旨と解すべきである。」としている。
したがって、建物所有目的の土地賃貸借契約の終了に基づき、建物収去土地明渡しを求める請求に対し、被告が建物買取請求権を行使した場合において、裁判所が、建物を引き渡して土地を明け渡すことを命ずる判決をしても、「当事者が申し立てていない事項について」判決をしたことにならない。
よって、当該判決は246条に反せず、裁判所は、建物を引き渡して土地を明け渡すことを命ずる判決をすることができる。
総合メモ
弁済期未到来の債権について給付判決がされない場合、債権が存在する旨の確認判決をすることの可否 大判大正8年2月6日
概要
弁済期未到来の債権について、給付判決の代わりに債権が存在する旨の確認判決をすることはできない。
判例
事案:弁済期未到来の債権について旧訴訟が提起された事案において、給付判決がされない場合、債権が存在する旨の確認判決をすることができるかが問題となった。
判旨:「給付ノ訴ハ原告ノ被告ニ対スル現ニ行使スルコトヲ得ヘキ請求権ノ存在ヲ確定シ被告ニ対シテ其義務ノ履行ヲ命スル判決ヲ求ムル訴ニシテ確認ノ訴ハ法律関係又ハ請求ノ成立又ハ不成立ヲ確定スル判決ヲ求ムル訴ナレハ現ニ行使スルコトヲ得サル請求権ニ付テハ確認ノ訴ヲ起スコトヲ得ヘキモ給付ノ訴ヲ起スコトヲ得サルノミナラス両者其訴ノ種類ヲ異ニスルヲ以テ給付ノ訴ヲ為シタル原告ノ申立ニハ現ニ行使スルコトヲ得サル請求権ノ確認判決ヲ求ムルノ申立ヲ包含セサルモノトス従テ原告カ現ニ行使スルコトヲ得サル請求権ヲ確定スルノ判決ヲ得ント欲セハ別ニ確認ノ訴ヲ提起セサルヘカラス故ニ原告ノ請求権カ弁済期未到来等ノ為メ現ニ之ヲ行使スルコトヲ得サルノ故ヲ以テ被告ニ対シ給付ノ判決ヲ為スコトヲ得サル場合ニ於テハ裁判所ハ進ンテ其請求権ニ付キ原告ノ為メ確認判決ヲ為スニ由ナキモノトス」
判旨:「給付ノ訴ハ原告ノ被告ニ対スル現ニ行使スルコトヲ得ヘキ請求権ノ存在ヲ確定シ被告ニ対シテ其義務ノ履行ヲ命スル判決ヲ求ムル訴ニシテ確認ノ訴ハ法律関係又ハ請求ノ成立又ハ不成立ヲ確定スル判決ヲ求ムル訴ナレハ現ニ行使スルコトヲ得サル請求権ニ付テハ確認ノ訴ヲ起スコトヲ得ヘキモ給付ノ訴ヲ起スコトヲ得サルノミナラス両者其訴ノ種類ヲ異ニスルヲ以テ給付ノ訴ヲ為シタル原告ノ申立ニハ現ニ行使スルコトヲ得サル請求権ノ確認判決ヲ求ムルノ申立ヲ包含セサルモノトス従テ原告カ現ニ行使スルコトヲ得サル請求権ヲ確定スルノ判決ヲ得ント欲セハ別ニ確認ノ訴ヲ提起セサルヘカラス故ニ原告ノ請求権カ弁済期未到来等ノ為メ現ニ之ヲ行使スルコトヲ得サルノ故ヲ以テ被告ニ対シ給付ノ判決ヲ為スコトヲ得サル場合ニ於テハ裁判所ハ進ンテ其請求権ニ付キ原告ノ為メ確認判決ヲ為スニ由ナキモノトス」
過去問・解説
(H21 司法 第61問 ア)
原告が提起した貸金1000万円の返還を求める訴えについて、弁済期の未到来のため給付判決をすることができない場合には、原告が訴えを変更しないときであっても、裁判所は、これに代えて1000万円の貸金債権の存在を確認する判決をすることができる。
原告が提起した貸金1000万円の返還を求める訴えについて、弁済期の未到来のため給付判決をすることができない場合には、原告が訴えを変更しないときであっても、裁判所は、これに代えて1000万円の貸金債権の存在を確認する判決をすることができる。
(正答)✕
(解説)
判例(大判大8.2.6)は、「給付ノ訴ヲ為シタル原告ノ申立ニハ現ニ行使スルコトヲ得サル請求権ノ確認判決ヲ求ムルノ申立ヲ包含セサルモノトス従テ原告カ現ニ行使スルコトヲ得サル請求権ヲ確定スルノ判決ヲ得ント欲セハ別ニ確認ノ訴ヲ提起セサルヘカラス故ニ原告ノ請求権カ弁済期未到来等ノ為メ現ニ之ヲ行使スルコトヲ得サルノ故ヲ以テ被告ニ対シ給付ノ判決ヲ為スコトヲ得サル場合ニ於テハ裁判所ハ進ンテ其請求権ニ付キ原告ノ為メ確認判決ヲ為スニ由ナキモノトス」として、給付訴訟の訴訟物たる債権が、弁済期未到来のため給付判決をできない場合、別訴で確認の訴えを提起しなければ確認判決をすることはできないことを示している。
したがって、原告が提起した貸金1000万円の返還を求める訴えについて、弁済期の未到来のため給付判決をすることができない場合には、別訴提起または訴えの変更がなければ、給付判決に代えて1000万円の貸金債権の存在を確認する判決をすることはできない。
判例(大判大8.2.6)は、「給付ノ訴ヲ為シタル原告ノ申立ニハ現ニ行使スルコトヲ得サル請求権ノ確認判決ヲ求ムルノ申立ヲ包含セサルモノトス従テ原告カ現ニ行使スルコトヲ得サル請求権ヲ確定スルノ判決ヲ得ント欲セハ別ニ確認ノ訴ヲ提起セサルヘカラス故ニ原告ノ請求権カ弁済期未到来等ノ為メ現ニ之ヲ行使スルコトヲ得サルノ故ヲ以テ被告ニ対シ給付ノ判決ヲ為スコトヲ得サル場合ニ於テハ裁判所ハ進ンテ其請求権ニ付キ原告ノ為メ確認判決ヲ為スニ由ナキモノトス」として、給付訴訟の訴訟物たる債権が、弁済期未到来のため給付判決をできない場合、別訴で確認の訴えを提起しなければ確認判決をすることはできないことを示している。
したがって、原告が提起した貸金1000万円の返還を求める訴えについて、弁済期の未到来のため給付判決をすることができない場合には、別訴提起または訴えの変更がなければ、給付判決に代えて1000万円の貸金債権の存在を確認する判決をすることはできない。
(H25 共通 第69問 イ)
原告が給付判決を求めている場合において、訴訟物とされている請求権の履行期が到来していないことが明らかになったときは、裁判所は、当該請求権の存在を確認する判決をすることができる。
原告が給付判決を求めている場合において、訴訟物とされている請求権の履行期が到来していないことが明らかになったときは、裁判所は、当該請求権の存在を確認する判決をすることができる。
(正答)✕
(解説)
判例(大判大8.2.6)は、「給付ノ訴ヲ為シタル原告ノ申立ニハ現ニ行使スルコトヲ得サル請求権ノ確認判決ヲ求ムルノ申立ヲ包含セサルモノトス従テ原告カ現ニ行使スルコトヲ得サル請求権ヲ確定スルノ判決ヲ得ント欲セハ別ニ確認ノ訴ヲ提起セサルヘカラス故ニ原告ノ請求権カ弁済期未到来等ノ為メ現ニ之ヲ行使スルコトヲ得サルノ故ヲ以テ被告ニ対シ給付ノ判決ヲ為スコトヲ得サル場合ニ於テハ裁判所ハ進ンテ其請求権ニ付キ原告ノ為メ確認判決ヲ為スニ由ナキモノトス」として、給付訴訟の訴訟物たる債権が、履行期未到来のため給付判決をできない場合、別訴で確認の訴えを提起しなければ確認判決をすることはできないことを示している。
判例(大判大8.2.6)は、「給付ノ訴ヲ為シタル原告ノ申立ニハ現ニ行使スルコトヲ得サル請求権ノ確認判決ヲ求ムルノ申立ヲ包含セサルモノトス従テ原告カ現ニ行使スルコトヲ得サル請求権ヲ確定スルノ判決ヲ得ント欲セハ別ニ確認ノ訴ヲ提起セサルヘカラス故ニ原告ノ請求権カ弁済期未到来等ノ為メ現ニ之ヲ行使スルコトヲ得サルノ故ヲ以テ被告ニ対シ給付ノ判決ヲ為スコトヲ得サル場合ニ於テハ裁判所ハ進ンテ其請求権ニ付キ原告ノ為メ確認判決ヲ為スニ由ナキモノトス」として、給付訴訟の訴訟物たる債権が、履行期未到来のため給付判決をできない場合、別訴で確認の訴えを提起しなければ確認判決をすることはできないことを示している。
総合メモ
借家法1条の2に基づく解約を理由とする家屋の明渡訴訟において当事者の明示の申立額を超える立退料の支払と引換えに明渡請求を認容することの可否 最一小判昭和46年11月25日
概要
借家法1条の2(現:借地借家法27条1項)に基づく解約を理由として家屋の明渡を求める訴訟において、その正当事由として、右家屋が京都市屈指の繁華街にある店舗でありながら老朽化して建替えを要する等原審認定のような諸事情(原判決理由参照)があるほか、家主がその補強条件として300万円もしくはこれと格段の相違のない範囲内で裁判所の決定する額の立退料を支払う旨の意思を表明し、これと引換えに家屋の明渡を求めている場合には、500万円の立退料の支払と引換えに右明渡請求を認容することは相当である。
判例
事案:借家法1条の2に基づく解約を理由とする家屋の明渡訴訟が提起された事案において、当事者の明示の申立額をこえる立退料の支払と引換えに明渡請求を認容することができるか否か問題となった。
判旨:「原審の確定した諸般の事情のもとにおいては、被上告人が上告人に対して立退料として300万円もしくはこれと格段の相違のない一定の範囲内で裁判所の決定する金員を支払う旨の意思を表明し、かつその支払と引き換えに本件係争店舗の明渡を求めていることをもって、被上告人の右解約申入につき正当事由を具備したとする原審の判断は相当である。所論は右金額が過少であるというが、右金員の提供は、それのみで正当事由の根拠となるものではなく、他の諸般の事情と綜合考慮され、相互に補充しあって正当事由の判断の基礎となるものであるから、解約の申入が金員の提供を伴うことによりはじめて正当事由を有することになるものと判断される場合であっても、右金員が、明渡によって借家人の被るべき損失のすべてを補償するに足りるものでなければならない理由はないし、また、それがいかにして損失を補償しうるかを具体的に説示しなければならないものでもない。原審が、右の趣旨において500万円と引き換えに本件店舗の明渡請求を認容していることは、原判示に照らして明らかであるから、この点に関する原審の判断は相当であって、原判決に所論の違法は存しない。」
判旨:「原審の確定した諸般の事情のもとにおいては、被上告人が上告人に対して立退料として300万円もしくはこれと格段の相違のない一定の範囲内で裁判所の決定する金員を支払う旨の意思を表明し、かつその支払と引き換えに本件係争店舗の明渡を求めていることをもって、被上告人の右解約申入につき正当事由を具備したとする原審の判断は相当である。所論は右金額が過少であるというが、右金員の提供は、それのみで正当事由の根拠となるものではなく、他の諸般の事情と綜合考慮され、相互に補充しあって正当事由の判断の基礎となるものであるから、解約の申入が金員の提供を伴うことによりはじめて正当事由を有することになるものと判断される場合であっても、右金員が、明渡によって借家人の被るべき損失のすべてを補償するに足りるものでなければならない理由はないし、また、それがいかにして損失を補償しうるかを具体的に説示しなければならないものでもない。原審が、右の趣旨において500万円と引き換えに本件店舗の明渡請求を認容していることは、原判示に照らして明らかであるから、この点に関する原審の判断は相当であって、原判決に所論の違法は存しない。」
過去問・解説
(R4 予備 第42問 4)
原告が売買を原因として残代金500万円を支払うのと引換えに土地の所有権移転登記手続を求める訴訟において、残代金額が700万円であることが明らかになった場合には、裁判所は、被告に対し、原告から700万円の支払を受けるのと引換えに、原告への所有権移転登記手続を命ずる判決をすることができる。
原告が売買を原因として残代金500万円を支払うのと引換えに土地の所有権移転登記手続を求める訴訟において、残代金額が700万円であることが明らかになった場合には、裁判所は、被告に対し、原告から700万円の支払を受けるのと引換えに、原告への所有権移転登記手続を命ずる判決をすることができる。
(正答)〇
(解説)
246条は、「裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭46.11.25)は、立退料として300万円もしくはこれと格段の相違のない一定の範囲内で裁判所の決定する金員を支払う旨の意思を表明し、かつその支払と引き換えに本件係争店舗の明渡を求めている事案において、「原審が…500万円と引き換えに本件店舗の明渡請求を認容していることは、原判示に照らして明らかであるから、この点に関する原審の判断は相当であって、原判決に…違法は存しない。」としている。
したがって、原告が売買を原因として残代金500万円を支払うのと引換えに土地の所有権移転登記手続を求める訴訟も、原告から700万円の支払を受けるのと引換えに、原告への所有権移転登記手続を命ずる判決は、原告の主張と格段の相違のない範囲といえるから、246条に違反せず、そのような判決をすることも可能である。
246条は、「裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭46.11.25)は、立退料として300万円もしくはこれと格段の相違のない一定の範囲内で裁判所の決定する金員を支払う旨の意思を表明し、かつその支払と引き換えに本件係争店舗の明渡を求めている事案において、「原審が…500万円と引き換えに本件店舗の明渡請求を認容していることは、原判示に照らして明らかであるから、この点に関する原審の判断は相当であって、原判決に…違法は存しない。」としている。
したがって、原告が売買を原因として残代金500万円を支払うのと引換えに土地の所有権移転登記手続を求める訴訟も、原告から700万円の支払を受けるのと引換えに、原告への所有権移転登記手続を命ずる判決は、原告の主張と格段の相違のない範囲といえるから、246条に違反せず、そのような判決をすることも可能である。
総合メモ
当事者が所有権取得登記の全部抹消を求めている場合に更正登記を命ずる判決をすることの可否 最二小判昭和38年2月22日
概要
原告が被告に対し登記の全部抹消登記手続を求めたのに対し、裁判所が被告に対し前記一部抹消(更正)登記手続を命ずる判決をしても、246条に反しない。
判例
事案:当事者が所有権取得登記の全部抹消を求めている事案において、一部抹消(更正)登記を命ずる判決をすることが246条に反しないかが問題となった。
判旨:「相続財産に属する不動産につき単独所有権移転の登記をした共同相続人中の乙ならびに乙から単独所有権移転の登記をうけた第三取得者丙に対し、他の共同相続人甲は自己の持分を登記なくして対抗しうるものと解すべきである。けだし乙の登記は甲の持分に関する限り無権利の登記であり、登記に公信力なき結果丙も甲の持分に関する限りその権利を取得するに由ないからである(大正8年11月3日大審院判決、民録25輯1944頁参照)。そして、この場合に甲がその共有権に対する妨害排除として登記を実体的権利に合致させるため乙、丙に対し請求できるのは、各所有権取得登記の全部抹消登記手続ではなくして、甲の持分についてのみの一部抹消(更正)登記手続でなければならない(大正10年10月27日大審院判決、民録27輯2040頁、昭和37年5月24日最高裁判所第一小法廷判決、裁判集60巻767頁参照)。けだし右各移転登記は乙の持分に関する限り実体関係に符合しており、また甲は自己の持分についてのみ妨害排除の請求権を有するに過ぎないからである。…また前示のとおりこの場合更正登記は実質において一部抹部抹消登記であるから、原判決は上告人らの申立の範囲内でその分量的な一部を認容したものに外ならないというべく、従って当事者の申立てない事項について判決をした違法はない。」
判旨:「相続財産に属する不動産につき単独所有権移転の登記をした共同相続人中の乙ならびに乙から単独所有権移転の登記をうけた第三取得者丙に対し、他の共同相続人甲は自己の持分を登記なくして対抗しうるものと解すべきである。けだし乙の登記は甲の持分に関する限り無権利の登記であり、登記に公信力なき結果丙も甲の持分に関する限りその権利を取得するに由ないからである(大正8年11月3日大審院判決、民録25輯1944頁参照)。そして、この場合に甲がその共有権に対する妨害排除として登記を実体的権利に合致させるため乙、丙に対し請求できるのは、各所有権取得登記の全部抹消登記手続ではなくして、甲の持分についてのみの一部抹消(更正)登記手続でなければならない(大正10年10月27日大審院判決、民録27輯2040頁、昭和37年5月24日最高裁判所第一小法廷判決、裁判集60巻767頁参照)。けだし右各移転登記は乙の持分に関する限り実体関係に符合しており、また甲は自己の持分についてのみ妨害排除の請求権を有するに過ぎないからである。…また前示のとおりこの場合更正登記は実質において一部抹部抹消登記であるから、原判決は上告人らの申立の範囲内でその分量的な一部を認容したものに外ならないというべく、従って当事者の申立てない事項について判決をした違法はない。」
過去問・解説
(H21 司法 第61問 ウ)
原告が提起した不動産の所有権に基づく所有権移転登記の全部抹消登記手続を求める訴えについて、裁判所は、その不動産が原告及び被告の共有関係にあると認めたときは、実質的な一部抹消登記手続として、原告の共有持分に応じた更正登記手続を命じる判決をすることができる。
原告が提起した不動産の所有権に基づく所有権移転登記の全部抹消登記手続を求める訴えについて、裁判所は、その不動産が原告及び被告の共有関係にあると認めたときは、実質的な一部抹消登記手続として、原告の共有持分に応じた更正登記手続を命じる判決をすることができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭38.2.22)は、本肢と同種の事案において、「更正登記は実質において一部抹部抹消登記であるから、原判決は上告人らの申立の範囲内でその分量的な一部を認容したものに外ならないというべく、従って当事者の申立てない事項について判決をした違法はない。」として、不動産の所有権に基づく所有権移転登記の全部抹消登記手続を求める訴えについて、裁判所は、その不動産が原告及び被告の共有関係にあると認めたときは、実質的な一部抹消登記手続として、原告の共有持分に応じた更正登記手続を命じる判決をすることができることを示している。
判例(最判昭38.2.22)は、本肢と同種の事案において、「更正登記は実質において一部抹部抹消登記であるから、原判決は上告人らの申立の範囲内でその分量的な一部を認容したものに外ならないというべく、従って当事者の申立てない事項について判決をした違法はない。」として、不動産の所有権に基づく所有権移転登記の全部抹消登記手続を求める訴えについて、裁判所は、その不動産が原告及び被告の共有関係にあると認めたときは、実質的な一部抹消登記手続として、原告の共有持分に応じた更正登記手続を命じる判決をすることができることを示している。
総合メモ
留置権の抗弁を認容する場合の判決主文 最一小判昭和33年3月13日
概要
物の引渡を求める訴訟において、被告の留置権の抗弁を認容する場合には、原告の請求を全面的に棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきものと解するを相当とする。
判例
事案:物の引渡を求める訴訟において留置権の抗弁が認められる事案において、いかなる判決をすべきかが問題となった。
判旨:「留置権は、物の占有者がその物に関して生じた債権の弁済を受けるまでその物を留置することを得るに過ぎないものであって、物に関して生じた債権を他の債権に優先して弁済を受けしめることを趣旨とするものではない。従って、裁判所は、物の引渡請求に対する留置権の抗弁を理由ありと認めるときは、その引渡請求を棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきものと解するを相当とする。」
判旨:「留置権は、物の占有者がその物に関して生じた債権の弁済を受けるまでその物を留置することを得るに過ぎないものであって、物に関して生じた債権を他の債権に優先して弁済を受けしめることを趣旨とするものではない。従って、裁判所は、物の引渡請求に対する留置権の抗弁を理由ありと認めるときは、その引渡請求を棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきものと解するを相当とする。」
総合メモ
採石権侵害の不法行為を理由とする損害賠償請求事件において、損害の発生を前提としながら、民事訴訟法248条の適用について考慮することなく、損害額を算定することができないとして請求を棄却することの可否 最三小判平成20年6月10日
概要
採石権侵害の不法行為を理由とする損害賠償請求事件において、損害の発生を前提としながら、248条の適用について考慮することなく、損害額を算定することができないとして請求を棄却した原審の判断に違法がある。
判例
事案:採石権侵害の不法行為を理由とする損害賠償請求訴訟が提起された事案において、損害の発生を前提としながら、248条の適用について考慮することなく、損害額を算定することができないとして請求を棄却した原審の判断に違法があるかが問題となった。
判旨:「上告人は本件和解前には本件土地1についても採石権を有していたところ、被上告会社は、本件和解前の平成7年7月20日から同月27日ころまでの間に、本件土地1の岩石を採石したというのであるから、上記採石行為により上告人に損害が発生したことは明らかである。そして、被上告会社が上記採石行為により本件土地1において採石した量と、本件和解後に被上告会社が採石権に基づき同土地において採石した量とを明確に区別することができず、損害額の立証が極めて困難であったとしても、民訴法248条により、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づいて、相当な損害額が認定されなければならない。そうすると、被上告会社の上記採石行為によって上告人に損害が発生したことを前提としながら、それにより生じた損害の額を算定することができないとして、上告人の本件土地1の採石権侵害に基づく損害賠償請求を棄却した原審の上記判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。」
判旨:「上告人は本件和解前には本件土地1についても採石権を有していたところ、被上告会社は、本件和解前の平成7年7月20日から同月27日ころまでの間に、本件土地1の岩石を採石したというのであるから、上記採石行為により上告人に損害が発生したことは明らかである。そして、被上告会社が上記採石行為により本件土地1において採石した量と、本件和解後に被上告会社が採石権に基づき同土地において採石した量とを明確に区別することができず、損害額の立証が極めて困難であったとしても、民訴法248条により、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づいて、相当な損害額が認定されなければならない。そうすると、被上告会社の上記採石行為によって上告人に損害が発生したことを前提としながら、それにより生じた損害の額を算定することができないとして、上告人の本件土地1の採石権侵害に基づく損害賠償請求を棄却した原審の上記判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。」
過去問・解説
(H23 共通 第74問 4)
Xは、薬剤製造販売業者Yが販売した医薬品を摂取したため、健康被害が生じたと主張しているが、Yは、医薬品と健康被害との間の因果関係を争っている。そこで、Xは全国の同様の被害を主張している者に呼び掛けて被害者の会を設立したところ、その会員数は 1000 名を超えた。Xは、全国の会員らと共にYを被告として損害賠償を求める訴えを提起することにしている。
Xらに損害が生じたことは認められても、その損害額の立証が極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができるが、損害額の立証が不十分であるとして請求を棄却することもできる。
Xは、薬剤製造販売業者Yが販売した医薬品を摂取したため、健康被害が生じたと主張しているが、Yは、医薬品と健康被害との間の因果関係を争っている。そこで、Xは全国の同様の被害を主張している者に呼び掛けて被害者の会を設立したところ、その会員数は 1000 名を超えた。Xは、全国の会員らと共にYを被告として損害賠償を求める訴えを提起することにしている。
Xらに損害が生じたことは認められても、その損害額の立証が極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができるが、損害額の立証が不十分であるとして請求を棄却することもできる。
(正答)✕
(解説)
248条は、「損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。」と規定している。
これについて、判例は、「損害額の立証が極めて困難であったとしても、民訴法248条により、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づいて、相当な損害額が認定されなければならない。…損害が発生したことを前提としながら、それにより生じた損害の額を算定することができないとして…損害賠償請求を棄却した原審の上記判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反がある。」としている。
したがって、裁判所は、損害額の立証が不十分であるとして請求を棄却することはできない。
248条は、「損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。」と規定している。
これについて、判例は、「損害額の立証が極めて困難であったとしても、民訴法248条により、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づいて、相当な損害額が認定されなければならない。…損害が発生したことを前提としながら、それにより生じた損害の額を算定することができないとして…損害賠償請求を棄却した原審の上記判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反がある。」としている。
したがって、裁判所は、損害額の立証が不十分であるとして請求を棄却することはできない。
総合メモ
前訴口頭弁論終結前の債権の時効による消滅 大判昭和14年3月29日
概要
前訴で敗訴の確定判決を受けた借主が、前訴口頭弁論終結前の債権の時効による消滅を後訴において主張することはできない。
判例
事案:前訴で敗訴の確定判決を受けた借主が、前訴口頭弁論終結前の債権の時効による消滅を後訴において主張した事案において、かかる主張が許されるかが問題となった。
判旨:「給付請求権存否ノ問題ニ付テハ裁判所ハ前記判定ニ覊束セラレ之レニ反スル判定ヲ為シ得サルモノナレハ当事者ニ於テ右判定ニ反スル主張ヲ有効ニ為シ得サルハ当然ノ筋合ナリト云ハサル可カラス而シテ債権ハ消滅時効ノ完成ト共ニ当然ニ消滅シ当事者カ時効ヲ援用スルヲ待テ始メテ消滅スルモノニアラス時効ノ援用ハ債権カ既ニ時効ノ完成ト共ニ消滅シタル事実ヲ主張スル訴訟上ノ防禦方法ニ過キサルコト当院判例ノ示ス所ノ如クナルヲ以テ(昭和九年(オ)第一〇〇九号同年十月三日言渡第三民事部判決)前記第二審ノ判決ニ接著セル口頭弁論終結以前ニ既ニ完成シタリトスル時効ノ援用ハ本件ノ訴ニ於テ最早有効ニ為シ得サルモノナリ蓋シ若シ斯クノ如キ時効ノ援用ヲ許ストキハ結局前記第2審ノ判決ニ接著スル口頭弁論終結当時ニ本件債権カ孰レモ存在セサルコトノ主張ヲ許容スルニ該当シ判決ノ既判力ヲ無視スルノ結果ヲ招致スルヲ以テナリ左レハ原審カ前記ノ如ク判定シタルハ時効援用ニ関スル法理ヲ誤解シタル失当アルカ又ハ既判力ノ本質ヲ誤解シタル違法アルモノニ該当シ原判決ハ全部破毀ヲ免レス」
判旨:「給付請求権存否ノ問題ニ付テハ裁判所ハ前記判定ニ覊束セラレ之レニ反スル判定ヲ為シ得サルモノナレハ当事者ニ於テ右判定ニ反スル主張ヲ有効ニ為シ得サルハ当然ノ筋合ナリト云ハサル可カラス而シテ債権ハ消滅時効ノ完成ト共ニ当然ニ消滅シ当事者カ時効ヲ援用スルヲ待テ始メテ消滅スルモノニアラス時効ノ援用ハ債権カ既ニ時効ノ完成ト共ニ消滅シタル事実ヲ主張スル訴訟上ノ防禦方法ニ過キサルコト当院判例ノ示ス所ノ如クナルヲ以テ(昭和九年(オ)第一〇〇九号同年十月三日言渡第三民事部判決)前記第二審ノ判決ニ接著セル口頭弁論終結以前ニ既ニ完成シタリトスル時効ノ援用ハ本件ノ訴ニ於テ最早有効ニ為シ得サルモノナリ蓋シ若シ斯クノ如キ時効ノ援用ヲ許ストキハ結局前記第2審ノ判決ニ接著スル口頭弁論終結当時ニ本件債権カ孰レモ存在セサルコトノ主張ヲ許容スルニ該当シ判決ノ既判力ヲ無視スルノ結果ヲ招致スルヲ以テナリ左レハ原審カ前記ノ如ク判定シタルハ時効援用ニ関スル法理ヲ誤解シタル失当アルカ又ハ既判力ノ本質ヲ誤解シタル違法アルモノニ該当シ原判決ハ全部破毀ヲ免レス」
過去問・解説
(H23 共通 第69問 3)
金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求訴訟で請求を認容する判決が確定した場合、借主は、その後に提起した請求異議の訴えにおいて.当該貸金返還請求訴訟の提起前に完成した当該貸金返還請求訴訟に係る貸金債権の消滅時効を援用して、その時効による消滅を異議の事由として主張することができない。
金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求訴訟で請求を認容する判決が確定した場合、借主は、その後に提起した請求異議の訴えにおいて.当該貸金返還請求訴訟の提起前に完成した当該貸金返還請求訴訟に係る貸金債権の消滅時効を援用して、その時効による消滅を異議の事由として主張することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(大判昭14.3.29)は、本肢と同種の事案において、「第二審ノ判決ニ接著セル口頭弁論終結以前ニ既ニ完成シタリトスル時効ノ援用ハ本件ノ訴ニ於テ最早有効ニ為シ得サルモノナリ」として、後訴である請求異議の訴えにおいて消滅時効を主張することはできないことを示している。
判例(大判昭14.3.29)は、本肢と同種の事案において、「第二審ノ判決ニ接著セル口頭弁論終結以前ニ既ニ完成シタリトスル時効ノ援用ハ本件ノ訴ニ於テ最早有効ニ為シ得サルモノナリ」として、後訴である請求異議の訴えにおいて消滅時効を主張することはできないことを示している。
(H25 共通 第70問 1)
貸金返還請求訴訟において、被告がその債務につき消滅時効が完成していたのに援用の意思表示をしないまま口頭弁論が終結し、請求認容判決が確定した場合であっても、被告は、その後にした時効の援用の効果を請求異議の事由として主張することができる。
貸金返還請求訴訟において、被告がその債務につき消滅時効が完成していたのに援用の意思表示をしないまま口頭弁論が終結し、請求認容判決が確定した場合であっても、被告は、その後にした時効の援用の効果を請求異議の事由として主張することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(大判昭14.3.29)は、本肢と同種の事案において、「第二審ノ判決ニ接著セル口頭弁論終結以前ニ既ニ完成シタリトスル時効ノ援用ハ本件ノ訴ニ於テ最早有効ニ為シ得サルモノナリ」として、後訴である請求異議の訴えにおいて消滅時効を主張することはできないことを示している。
判例(大判昭14.3.29)は、本肢と同種の事案において、「第二審ノ判決ニ接著セル口頭弁論終結以前ニ既ニ完成シタリトスル時効ノ援用ハ本件ノ訴ニ於テ最早有効ニ為シ得サルモノナリ」として、後訴である請求異議の訴えにおいて消滅時効を主張することはできないことを示している。
総合メモ
詐欺を理由とする取消権 最一小判昭和55年10月23日
概要
売買契約を請求原因とする所有権確認の判決が確定した後は、後訴において詐欺を理由にその売買契約を取り消して所有権の存否を争うことは許されない。
判例
事案:売買契約を請求原因とする所有権確認の判決が確定した後に、後訴において詐欺を理由としてその売買契約の取り消しが主張された事案において、後訴において詐欺を理由にその売買契約を取り消して所有権の存否を争うことが、既判力によって許されないかが問題となった。
判旨:「売買契約による所有権の移転を請求原因とする所有権確認訴訟が係属した場合に、当事者が右売買契約の詐欺による取消権を行使することができたのにこれを行使しないで事実審の口頭弁論が終結され、右売買契約による所有権の移転を認める請求認容の判決があり同判決が確定したときは、もはやその後の訴訟において右取消権を行使して右売買契約により移転した所有権の存否を争うことは許されなくなるものと解するのが相当である。これを本件についてみるに、原審が適法に確定したところによれば、本件被上告人を原告とし本件上告人を被告とする原判示津簡易裁判所昭和45年(ハ)第15号事件において被上告人が上告人から本件売買契約により本件土地の所有権を取得したことを認めて被上告人の所有権確認請求を認容する判決があり、右判決が確定したにもかかわらず、上告人は、右売買契約は詐欺によるものであるとして、右判決確定後である昭和49年8月24日これを取り消した旨主張するが、前訴において上告人は、右取消権を行使し、その効果を主張することができたのにこれをしなかったのであるから、本訴における上告人の上記主張は、前訴確定判決の既判力に抵触し許されないものといわざるをえない。」
判旨:「売買契約による所有権の移転を請求原因とする所有権確認訴訟が係属した場合に、当事者が右売買契約の詐欺による取消権を行使することができたのにこれを行使しないで事実審の口頭弁論が終結され、右売買契約による所有権の移転を認める請求認容の判決があり同判決が確定したときは、もはやその後の訴訟において右取消権を行使して右売買契約により移転した所有権の存否を争うことは許されなくなるものと解するのが相当である。これを本件についてみるに、原審が適法に確定したところによれば、本件被上告人を原告とし本件上告人を被告とする原判示津簡易裁判所昭和45年(ハ)第15号事件において被上告人が上告人から本件売買契約により本件土地の所有権を取得したことを認めて被上告人の所有権確認請求を認容する判決があり、右判決が確定したにもかかわらず、上告人は、右売買契約は詐欺によるものであるとして、右判決確定後である昭和49年8月24日これを取り消した旨主張するが、前訴において上告人は、右取消権を行使し、その効果を主張することができたのにこれをしなかったのであるから、本訴における上告人の上記主張は、前訴確定判決の既判力に抵触し許されないものといわざるをえない。」
過去問・解説
(H23 共通 第69問 4)
売買契約に基づく土地引渡請求訴訟で請求を認容する判決が確定した場合、売主は、その後に提起した請求異議の訴えにおいて、当該売買契約につき詐欺による取消権を行使し、その効果を異議の事由として主張することができる。
売買契約に基づく土地引渡請求訴訟で請求を認容する判決が確定した場合、売主は、その後に提起した請求異議の訴えにおいて、当該売買契約につき詐欺による取消権を行使し、その効果を異議の事由として主張することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭55.10.23)は、本肢と同種の事案において、「当事者が右売買契約の詐欺による取消権を行使することができたのにこれを行使しないで事実審の口頭弁論が終結され、右売買契約による所有権の移転を認める請求認容の判決があり同判決が確定したときは、もはやその後の訴訟において右取消権を行使して右売買契約により移転した所有権の存否を争うことは許されなくなる…。」としている。
判例(最判昭55.10.23)は、本肢と同種の事案において、「当事者が右売買契約の詐欺による取消権を行使することができたのにこれを行使しないで事実審の口頭弁論が終結され、右売買契約による所有権の移転を認める請求認容の判決があり同判決が確定したときは、もはやその後の訴訟において右取消権を行使して右売買契約により移転した所有権の存否を争うことは許されなくなる…。」としている。
(H25 共通 第70問 3)
売買による所有権の取得を請求原因として買主が提起した所有権確認訴訟において、売主である被告が詐欺を理由として当該売買契約の取消しをすることができたのにこれをしないまま口頭弁論が終結し、請求認容判決が確定した場合であっても、被告は、自己の所有権の確認を求める後訴において当該売買契約の取消しを主張して買主の所有権の取得を争うことができる。
売買による所有権の取得を請求原因として買主が提起した所有権確認訴訟において、売主である被告が詐欺を理由として当該売買契約の取消しをすることができたのにこれをしないまま口頭弁論が終結し、請求認容判決が確定した場合であっても、被告は、自己の所有権の確認を求める後訴において当該売買契約の取消しを主張して買主の所有権の取得を争うことができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭55.10.23)は、本肢と同種の事案において、「当事者が右売買契約の詐欺による取消権を行使することができたのにこれを行使しないで事実審の口頭弁論が終結され、右売買契約による所有権の移転を認める請求認容の判決があり同判決が確定したときは、もはやその後の訴訟において右取消権を行使して右売買契約により移転した所有権の存否を争うことは許されなくなる…。」としている。
判例(最判昭55.10.23)は、本肢と同種の事案において、「当事者が右売買契約の詐欺による取消権を行使することができたのにこれを行使しないで事実審の口頭弁論が終結され、右売買契約による所有権の移転を認める請求認容の判決があり同判決が確定したときは、もはやその後の訴訟において右取消権を行使して右売買契約により移転した所有権の存否を争うことは許されなくなる…。」としている。
(H28 予備 第36問 1)
売買による所有権の取得を請求原因として買主が提起した所有権確認請求訴訟において、被告である売主が詐欺を理由として売買契約の取消しをすることができたのにこれをしないまま口頭弁論が終結し、請求を認容する判決が確定した場合には、売主は自己の所有権の確認を買主に対して求める後訴において当該取消しを主張して買主の所有権の取得を争うことができない。
売買による所有権の取得を請求原因として買主が提起した所有権確認請求訴訟において、被告である売主が詐欺を理由として売買契約の取消しをすることができたのにこれをしないまま口頭弁論が終結し、請求を認容する判決が確定した場合には、売主は自己の所有権の確認を買主に対して求める後訴において当該取消しを主張して買主の所有権の取得を争うことができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭55.10.23)は、本肢と同種の事案において、「当事者が右売買契約の詐欺による取消権を行使することができたのにこれを行使しないで事実審の口頭弁論が終結され、右売買契約による所有権の移転を認める請求認容の判決があり同判決が確定したときは、もはやその後の訴訟において右取消権を行使して右売買契約により移転した所有権の存否を争うことは許されなくなる…。」としている。
判例(最判昭55.10.23)は、本肢と同種の事案において、「当事者が右売買契約の詐欺による取消権を行使することができたのにこれを行使しないで事実審の口頭弁論が終結され、右売買契約による所有権の移転を認める請求認容の判決があり同判決が確定したときは、もはやその後の訴訟において右取消権を行使して右売買契約により移転した所有権の存否を争うことは許されなくなる…。」としている。
(R6 予備 第42問 ア)
買主Xが売主Yに対し、売買契約により建物の所有権を取得したとして所有権の確認を求める訴えを提起し、請求を認容する判決が確定した後、YがXに対し、同一の建物について所有権の確認を求めて訴えを提起し、その訴状において上記売買契約を詐欺により取り消すとの意思表示をした場合には、後訴裁判所がYの主張を認めてYの請求を認容する判決をすることは、 前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
買主Xが売主Yに対し、売買契約により建物の所有権を取得したとして所有権の確認を求める訴えを提起し、請求を認容する判決が確定した後、YがXに対し、同一の建物について所有権の確認を求めて訴えを提起し、その訴状において上記売買契約を詐欺により取り消すとの意思表示をした場合には、後訴裁判所がYの主張を認めてYの請求を認容する判決をすることは、 前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭55.10.23)は、本肢と同種の事案において、「当事者が右売買契約の詐欺による取消権を行使することができたのにこれを行使しないで事実審の口頭弁論が終結され、右売買契約による所有権の移転を認める請求認容の判決があり同判決が確定したときは、もはやその後の訴訟において右取消権を行使して右売買契約により移転した所有権の存否を争うことは許されなくなる…。」とした上で、所有権の存否を争う旨の主張について、「前訴確定判決の既判力に抵触し許されないものといわざるをえない。」としている。
したがって、後訴裁判所がYの主張を認めてYの請求を認容する判決をすることは、 前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
判例(最判昭55.10.23)は、本肢と同種の事案において、「当事者が右売買契約の詐欺による取消権を行使することができたのにこれを行使しないで事実審の口頭弁論が終結され、右売買契約による所有権の移転を認める請求認容の判決があり同判決が確定したときは、もはやその後の訴訟において右取消権を行使して右売買契約により移転した所有権の存否を争うことは許されなくなる…。」とした上で、所有権の存否を争う旨の主張について、「前訴確定判決の既判力に抵触し許されないものといわざるをえない。」としている。
したがって、後訴裁判所がYの主張を認めてYの請求を認容する判決をすることは、 前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
総合メモ
契約の解除権 最三小判昭和36年12月12日
概要
書面によらない贈与による権利の移転を認める判決が確定した後は、既判力の効果として民法第550条による取消権を行使して右贈与による権利の存否を争うことは許されない。
判例
事案:書面によらない贈与による権利の移転を認める判決が確定した事案において、その後、民法第550条による取消権を行使して贈与による権利の存否を争うことができるか問題となった。
判旨:「書面によらない贈与(死因贈与を含む)を請求原因とする訴訟が係属した場合に当事者が民法550条によるその取消権を行使することなくして事実審の口頭弁論が終結した結果、右贈与による権利の移転を認める判決があり同判決が確定したときは、訴訟法上既判力の効果として最早取消権を行使して贈与による権利の存否を争うことは許されなくなるものと解する。」
判旨:「書面によらない贈与(死因贈与を含む)を請求原因とする訴訟が係属した場合に当事者が民法550条によるその取消権を行使することなくして事実審の口頭弁論が終結した結果、右贈与による権利の移転を認める判決があり同判決が確定したときは、訴訟法上既判力の効果として最早取消権を行使して贈与による権利の存否を争うことは許されなくなるものと解する。」
過去問・解説
(R6 予備 第42問 ウ)
受贈者Xが贈与者Yに対し、贈与契約に基づく土地の引渡しを求める訴えを提起し、請求を認容する判決が確定した後、YがXに対し、請求異議の訴えを提起し、その訴状において上記贈与契約は書面によらないものであるとして解除するとの意思表示をした場合には、後訴裁判所が解除の効果を異議の事由として認めてYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
受贈者Xが贈与者Yに対し、贈与契約に基づく土地の引渡しを求める訴えを提起し、請求を認容する判決が確定した後、YがXに対し、請求異議の訴えを提起し、その訴状において上記贈与契約は書面によらないものであるとして解除するとの意思表示をした場合には、後訴裁判所が解除の効果を異議の事由として認めてYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭36.12.12)は、「書面によらない贈与…を請求原因とする訴訟が係属した場合に当事者が民法550条によるその取消権を行使することなくして事実審の口頭弁論が終結した結果、右贈与による権利の移転を認める判決があり同判決が確定したときは、訴訟法上既判力の効果として最早取消権を行使して贈与による権利の存否を争うことは許されなくなる…。」としている。
したがって、書面によらない贈与による権利の移転を認める判決が確定した場合、贈与契約を解除することはできず、かかる解除の効果を認めてYの請求を認容する判決することも、前訴確定判決の既判力に反し許されない。
判例(最判昭36.12.12)は、「書面によらない贈与…を請求原因とする訴訟が係属した場合に当事者が民法550条によるその取消権を行使することなくして事実審の口頭弁論が終結した結果、右贈与による権利の移転を認める判決があり同判決が確定したときは、訴訟法上既判力の効果として最早取消権を行使して贈与による権利の存否を争うことは許されなくなる…。」としている。
したがって、書面によらない贈与による権利の移転を認める判決が確定した場合、贈与契約を解除することはできず、かかる解除の効果を認めてYの請求を認容する判決することも、前訴確定判決の既判力に反し許されない。
総合メモ
前訴口頭弁論終結前に相殺適状にある場合における相殺の抗弁 最二小判昭和40年4月2日
概要
債務名義たる判決の基礎となる口頭弁論の終結前に相殺適状にあったとしても、その弁論終結後になされた相殺の意思表示により債務が消滅した場合には、その債務の消滅は、請求異議の原因となる。
判例
事案:口頭弁論終結前に相殺適状にあったが、その弁論終結後に相殺によって債務が消滅した事案において、かかる債務の消滅は請求異議の原因になるかが問題となった。
判旨:「相殺は当事者双方の債務が相殺適状に達した時において当然その効力を生ずるものではなくて、その一方が相手方に対し相殺の意思表示をすることによってその効力を生ずるものであるから、当該債務名義たる判決の口頭弁論終結前には相殺適状にあるにすぎない場合、口頭弁論の終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは民訴法545条2項(現:民事執行法35条2項)の適用上許されるとする大審院民事連合部明治43年11月26日判決(民録16輯764頁)の判旨は、当裁判所もこれを改める必要を認めない。」
判旨:「相殺は当事者双方の債務が相殺適状に達した時において当然その効力を生ずるものではなくて、その一方が相手方に対し相殺の意思表示をすることによってその効力を生ずるものであるから、当該債務名義たる判決の口頭弁論終結前には相殺適状にあるにすぎない場合、口頭弁論の終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは民訴法545条2項(現:民事執行法35条2項)の適用上許されるとする大審院民事連合部明治43年11月26日判決(民録16輯764頁)の判旨は、当裁判所もこれを改める必要を認めない。」
過去問・解説
(H23 共通 第69問 2)
金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求訴訟で請求を認容する判決が確定した場合、借主は、その後に提起した請求異議の訴えにおいて、当該貸金返還請求訴訟の事実審の口頭弁論終結前に相殺適状にあった貸主に対する債権を自働債権とし、当該貸金返還請求訴訟に係る貸金債権を受働債権とする相殺の意思表示をし、その効果を異議の事由として主張することができない。
金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求訴訟で請求を認容する判決が確定した場合、借主は、その後に提起した請求異議の訴えにおいて、当該貸金返還請求訴訟の事実審の口頭弁論終結前に相殺適状にあった貸主に対する債権を自働債権とし、当該貸金返還請求訴訟に係る貸金債権を受働債権とする相殺の意思表示をし、その効果を異議の事由として主張することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭40.4.2)は、本肢と同種の事案において、「口頭弁論終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは…許される。」としている。
したがって、本肢は口頭弁論終結後に相殺の意思表示がなされているが、それでもなお債務消滅を原因として請求異議事由として主張できる。
判例(最判昭40.4.2)は、本肢と同種の事案において、「口頭弁論終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは…許される。」としている。
したがって、本肢は口頭弁論終結後に相殺の意思表示がなされているが、それでもなお債務消滅を原因として請求異議事由として主張できる。
(H25 共通 第70問 2)
貸金返還請求訴訟において、被告が原告に対する反対債権を有し相殺適状にあったのに相殺の意思表示をしないまま口頭弁論が終結し、請求認容判決が確定した場合であっても、被告は、その後にした相殺の意思表示の効果を請求異議の事由として主張することができる。
貸金返還請求訴訟において、被告が原告に対する反対債権を有し相殺適状にあったのに相殺の意思表示をしないまま口頭弁論が終結し、請求認容判決が確定した場合であっても、被告は、その後にした相殺の意思表示の効果を請求異議の事由として主張することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭40.4.2)は、「口頭弁論の終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは…許される。」としている。
判例(最判昭40.4.2)は、「口頭弁論の終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは…許される。」としている。
(H28 予備 第36問 2)
貸金返還請求訴訟において、被告である借主が相殺適状にある反対債権を有していたものの、相殺の意思表示をしないまま口頭弁論が終結し、請求を認容する判決が確定した場合には、借主は、その確定判決について提起した請求異議の訴えにおいて、その後にした相殺の意思表示による債務の消滅の効果を請求異議の事由として主張することができる。
貸金返還請求訴訟において、被告である借主が相殺適状にある反対債権を有していたものの、相殺の意思表示をしないまま口頭弁論が終結し、請求を認容する判決が確定した場合には、借主は、その確定判決について提起した請求異議の訴えにおいて、その後にした相殺の意思表示による債務の消滅の効果を請求異議の事由として主張することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭40.4.2)は、本肢と同種の事案において、「口頭弁論の終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは…許される。」としている。
したがって、本肢は口頭弁論終結後に相殺の意思表示がなされているが、それでもなお債務消滅を原因として請求異議事由として主張できる。
判例(最判昭40.4.2)は、本肢と同種の事案において、「口頭弁論の終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは…許される。」としている。
したがって、本肢は口頭弁論終結後に相殺の意思表示がなされているが、それでもなお債務消滅を原因として請求異議事由として主張できる。
(R2 予備 第40問 ア)
Xは、Yに対し、金銭債権である甲債権を、Yは、Xに対し、金銭債権である乙債権をそれぞれ有しており、甲債権と乙債権とは、相殺適状にあるところ、XがYに対して甲債権に基づく金銭の支払を求める訴え(以下「本件訴え」といい、本件訴えに係る訴訟を「本件訴訟」という。)を提起した。Yが本件訴訟の口頭弁論の終結時までに相殺の意思表示をせず、Xの請求を全部認容する判決が確定した場合において、Yが、その後に乙債権を自働債権とし、甲債権を受働債権とする相殺の意思表示をし、Xに対して提起した請求異議の訴えに係る訴訟において、甲債権の消滅を主張することは、この判決の既判力に抵触し、許されない。
Xは、Yに対し、金銭債権である甲債権を、Yは、Xに対し、金銭債権である乙債権をそれぞれ有しており、甲債権と乙債権とは、相殺適状にあるところ、XがYに対して甲債権に基づく金銭の支払を求める訴え(以下「本件訴え」といい、本件訴えに係る訴訟を「本件訴訟」という。)を提起した。Yが本件訴訟の口頭弁論の終結時までに相殺の意思表示をせず、Xの請求を全部認容する判決が確定した場合において、Yが、その後に乙債権を自働債権とし、甲債権を受働債権とする相殺の意思表示をし、Xに対して提起した請求異議の訴えに係る訴訟において、甲債権の消滅を主張することは、この判決の既判力に抵触し、許されない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭40.4.2)は、「口頭弁論の終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは…許される。」としている。
したがって、Yが請求異議の訴えにおいて甲債権の消滅を主張することは、この判決の既判力に抵触せず、許される。
判例(最判昭40.4.2)は、「口頭弁論の終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは…許される。」としている。
したがって、Yが請求異議の訴えにおいて甲債権の消滅を主張することは、この判決の既判力に抵触せず、許される。
(R6 予備 第42問 オ)
貸主Xが借主Yに対し、消費貸借契約に基づく貸金の返還を求める訴えを提起し、請求を認容する判決が確定した後、YがXに対し、請求異議の訴えを提起し、その訴状において、前訴における事実審の口頭弁論終結前から存在し、かつ相殺適状にあったXに対する反対債権をもって相殺する旨の意思表示をした場合には、後訴裁判所が相殺の意思表示の効果を異議の事由として認めてYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
貸主Xが借主Yに対し、消費貸借契約に基づく貸金の返還を求める訴えを提起し、請求を認容する判決が確定した後、YがXに対し、請求異議の訴えを提起し、その訴状において、前訴における事実審の口頭弁論終結前から存在し、かつ相殺適状にあったXに対する反対債権をもって相殺する旨の意思表示をした場合には、後訴裁判所が相殺の意思表示の効果を異議の事由として認めてYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭40.4.2)は、「口頭弁論の終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは…許される。」としている。
したがって、後訴裁判所が相殺の意思表示の効果を異議の事由として認めてYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反せず、許される。
判例(最判昭40.4.2)は、「口頭弁論の終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは…許される。」としている。
したがって、後訴裁判所が相殺の意思表示の効果を異議の事由として認めてYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反せず、許される。
総合メモ
建物買取請求権 最二小判平成7年12月15日
概要
土地の賃借人が賃貸人から提起された建物収去土地明渡請求訴訟の事実審口頭弁論終結後に建物買取請求権を行使した場合、その行使の効果は、建物収去土地明渡請求を認容する確定判決に対する請求異議の訴えにおける異議の事由となる。
判例
事案:建物収去土地明渡請求訴訟の事実審口頭弁論終結後における建物買取請求権の行使された事案において、その行使の効果が、請求異議の訴えにおける異議の事由となるかが問題となった。
判旨:「借地上に建物を所有する土地の賃借人が、賃貸人から提起された建物収去土地明渡請求訴訟の事実審口頭弁論終結時までに借地法4条2頃(現:借地借家法13条1項)所定の建物買取請求権を行使しないまま、賃貸人の右請求を認容する判決がされ、同判決が確定した場合であっても、賃借人は、その後に建物買取請求権を行使した上、賃貸人に対して右確定判決による強制執行の不許を求める請求異議の訴えを提起し、建物買取請求権行使の効果を異議の事由として主張することができるものと解するのが相当である。けだし、(1)建物買買請求権は、前訴確定判決によって確定された賃貸人の建物収去土地明渡請求権の発生原因に内在する瑕疵に基づく権利とは異なり、これとは別個の制度目的及び原因に基づいて発生する権利であって、賃借人がこれを行使する ことにより建物の所有権が法律上当然に賃貸人に移転し、その結果として賃借人の建物収去義務が消滅するに至るのである、(2)したがって、賃借人が前訴の事実 審口頭弁論終結時までに建物買取請求権を行使しなかったとしても、実体法上、その事実は同権利の消滅事由に当たるものではなく(最高裁昭和52年(オ)第268号同52年6月20日第二小法廷判決・裁判集民事121号63頁)、訴訟法上も、前訴確定判決の既判力によって同権利の主張が遮断されることはないと解すべきものである、(3)そうすると、賃借人が前訴の事実訴口頭弁論終結時以後に建物買取請求権を行使したときは、それによって前訴確定判決により確定された賃借人の建物収去義務が消滅し、前訴確定判決はその限度で執行力を失うから、建物買取請求権行使の効果は、民事執行法35条2項所定の口頭弁論の終結後に生じた異議の事由に該当するものというべきであるからである。」
判旨:「借地上に建物を所有する土地の賃借人が、賃貸人から提起された建物収去土地明渡請求訴訟の事実審口頭弁論終結時までに借地法4条2頃(現:借地借家法13条1項)所定の建物買取請求権を行使しないまま、賃貸人の右請求を認容する判決がされ、同判決が確定した場合であっても、賃借人は、その後に建物買取請求権を行使した上、賃貸人に対して右確定判決による強制執行の不許を求める請求異議の訴えを提起し、建物買取請求権行使の効果を異議の事由として主張することができるものと解するのが相当である。けだし、(1)建物買買請求権は、前訴確定判決によって確定された賃貸人の建物収去土地明渡請求権の発生原因に内在する瑕疵に基づく権利とは異なり、これとは別個の制度目的及び原因に基づいて発生する権利であって、賃借人がこれを行使する ことにより建物の所有権が法律上当然に賃貸人に移転し、その結果として賃借人の建物収去義務が消滅するに至るのである、(2)したがって、賃借人が前訴の事実 審口頭弁論終結時までに建物買取請求権を行使しなかったとしても、実体法上、その事実は同権利の消滅事由に当たるものではなく(最高裁昭和52年(オ)第268号同52年6月20日第二小法廷判決・裁判集民事121号63頁)、訴訟法上も、前訴確定判決の既判力によって同権利の主張が遮断されることはないと解すべきものである、(3)そうすると、賃借人が前訴の事実訴口頭弁論終結時以後に建物買取請求権を行使したときは、それによって前訴確定判決により確定された賃借人の建物収去義務が消滅し、前訴確定判決はその限度で執行力を失うから、建物買取請求権行使の効果は、民事執行法35条2項所定の口頭弁論の終結後に生じた異議の事由に該当するものというべきであるからである。」
過去問・解説
(H23 共通 第69問 1)
土地賃貸人から提起された借地上に建物を所有する土地賃借人に対する建物収去土地明渡請求訴訟で請求を認容する判決が確定した場合、賃借人は、その後に提起した請求異議の訴えにおいて、建物買取請求権を行使し、その効果を異議の事由として主張することができる。
土地賃貸人から提起された借地上に建物を所有する土地賃借人に対する建物収去土地明渡請求訴訟で請求を認容する判決が確定した場合、賃借人は、その後に提起した請求異議の訴えにおいて、建物買取請求権を行使し、その効果を異議の事由として主張することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平7.12.15)は、本肢と同種の事案において、「賃借人は、その後に建物買取請求権を行使した上、賃貸人に対して右確定判決による強制執行の不許を求める請求異議の訴えを提起し、建物買取請求権行使の効果を異議の事由として主張することができる…。」としている。
判例(最判平7.12.15)は、本肢と同種の事案において、「賃借人は、その後に建物買取請求権を行使した上、賃貸人に対して右確定判決による強制執行の不許を求める請求異議の訴えを提起し、建物買取請求権行使の効果を異議の事由として主張することができる…。」としている。
(H25 共通 第70問 4)
土地の賃貸人から提起された建物収去土地明渡請求訴訟において、賃借人である被告が建物買取請求権を行使しないまま口頭弁論が終結し、請求認容判決が確定した場合であっても、被告は、その後にした建物買取請求権の行使の効果を請求異議の事由として主張することができる。
土地の賃貸人から提起された建物収去土地明渡請求訴訟において、賃借人である被告が建物買取請求権を行使しないまま口頭弁論が終結し、請求認容判決が確定した場合であっても、被告は、その後にした建物買取請求権の行使の効果を請求異議の事由として主張することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平7.12.15)は、本肢と同種の事案において、「賃借人は、その後に建物買取請求権を行使した上、賃貸人に対して右確定判決による強制執行の不許を求める請求異議の訴えを提起し、建物買取請求権行使の効果を異議の事由として主張することができる…。」としている。
判例(最判平7.12.15)は、本肢と同種の事案において、「賃借人は、その後に建物買取請求権を行使した上、賃貸人に対して右確定判決による強制執行の不許を求める請求異議の訴えを提起し、建物買取請求権行使の効果を異議の事由として主張することができる…。」としている。
(H28 予備 第36問 4)
土地の賃貸人から提起された建物収去土地明渡請求訴訟において、被告である借地人が建物買取請求権を行使しないまま口頭弁論が終結し、請求を認容する判決が確定した場合には、借地人は、その確定判決について提起した請求異議の訴えにおいて、その後にした建物買取請求権の行使の効果を請求異議の事由として主張することができない。
土地の賃貸人から提起された建物収去土地明渡請求訴訟において、被告である借地人が建物買取請求権を行使しないまま口頭弁論が終結し、請求を認容する判決が確定した場合には、借地人は、その確定判決について提起した請求異議の訴えにおいて、その後にした建物買取請求権の行使の効果を請求異議の事由として主張することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平7.12.15)は、本肢と同種の事案において、「賃借人が前訴の事実訴口頭弁論終結時以後に建物買取請求権を行使したときは、それによって前訴確定判決により確定された賃借人の建物収去義務が消滅し、前訴確定判決はその限度で執行力を失うから、建物買取請求権行使の効果は、民事執行法35条2項所定の口頭弁論の終結後に生じた異議の事由に該当する…。」としている。
したがって、借地人は、請求異議の訴えにおいて、建物買取請求権の行使の効果を請求異議の事由として主張することができる。
判例(最判平7.12.15)は、本肢と同種の事案において、「賃借人が前訴の事実訴口頭弁論終結時以後に建物買取請求権を行使したときは、それによって前訴確定判決により確定された賃借人の建物収去義務が消滅し、前訴確定判決はその限度で執行力を失うから、建物買取請求権行使の効果は、民事執行法35条2項所定の口頭弁論の終結後に生じた異議の事由に該当する…。」としている。
したがって、借地人は、請求異議の訴えにおいて、建物買取請求権の行使の効果を請求異議の事由として主張することができる。
(R6 予備 第42問 イ)
土地の賃貸人Xが、その土地上に建物を所有する賃借人Yに対し、賃貸借契約の終了に基づき、建物を収去して土地を明け渡すことを求める訴えを提起し、請求を認容する判決が確定した後、YがXに対し、請求異議の訴えを提起し、その訴状において建物買取請求権を行使するとの意思表示をした場合には、後訴裁判所が建物買取請求権行使の効果を異議の事由として認めてYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
土地の賃貸人Xが、その土地上に建物を所有する賃借人Yに対し、賃貸借契約の終了に基づき、建物を収去して土地を明け渡すことを求める訴えを提起し、請求を認容する判決が確定した後、YがXに対し、請求異議の訴えを提起し、その訴状において建物買取請求権を行使するとの意思表示をした場合には、後訴裁判所が建物買取請求権行使の効果を異議の事由として認めてYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平7.12.15)は、本肢と同種の事案において、「賃借人は、その後に建物買取請求権を行使した上、賃貸人に対して右確定判決による強制執行の不許を求める請求異議の訴えを提起し、建物買取請求権行使の効果を異議の事由として主張することができる…。」としている。
したがって、後訴裁判所が建物買取請求権行使の効果を異議の事由として認めてYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反せず許される。
判例(最判平7.12.15)は、本肢と同種の事案において、「賃借人は、その後に建物買取請求権を行使した上、賃貸人に対して右確定判決による強制執行の不許を求める請求異議の訴えを提起し、建物買取請求権行使の効果を異議の事由として主張することができる…。」としている。
したがって、後訴裁判所が建物買取請求権行使の効果を異議の事由として認めてYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反せず許される。
総合メモ
1個の債権の数量的な一部請求についての判決の既判力の客観的範囲 最二小判昭和37年8月10日
過去問・解説
(H18 司法 第62問 1)
明示的一部請求訴訟においては債権全部についての審判が必要とされるので、一部請求部分が棄却された場合には、残額請求は既判力に反し許されない。
明示的一部請求訴訟においては債権全部についての審判が必要とされるので、一部請求部分が棄却された場合には、残額請求は既判力に反し許されない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭37.8.10)は、「1個の債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴が提起された場合は、訴訟物となるのは右債権の一部の存否のみであって…一部の請求についての確定判決の既判力は残部の請求に及ばない…。」としている。
したがって、明示的一部請求訴訟においては、残部請求に既判力が及ばないから、残額請求は既判力に反せず適法である。
判例(最判昭37.8.10)は、「1個の債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴が提起された場合は、訴訟物となるのは右債権の一部の存否のみであって…一部の請求についての確定判決の既判力は残部の請求に及ばない…。」としている。
したがって、明示的一部請求訴訟においては、残部請求に既判力が及ばないから、残額請求は既判力に反せず適法である。
(H26 共通 第71問 ア)
XはYと締結した自らを注文主とする建物建築請負契約をYの債務不履行を理由に工事完成前に解除し、Yを被告として、総額1000万円の損害賠償債権のうちの一部であることを明示して400万円の支払を求める訴えを提起した。
Yから何らの抗弁が提出されることなくXの請求を全部認容する判決が確定したときは、この確定判決の既判力は、残部の請求に及ばない。
XはYと締結した自らを注文主とする建物建築請負契約をYの債務不履行を理由に工事完成前に解除し、Yを被告として、総額1000万円の損害賠償債権のうちの一部であることを明示して400万円の支払を求める訴えを提起した。
Yから何らの抗弁が提出されることなくXの請求を全部認容する判決が確定したときは、この確定判決の既判力は、残部の請求に及ばない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭37.8.10)は、本肢と同種の事案において、「1個の債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴が提起された場合は…一部の請求についての確定判決の既判力は残部の請求に及ばない…。」としている。
したがって、Xが得た確定判決の既判力は、残部の請求に及ばない。
判例(最判昭37.8.10)は、本肢と同種の事案において、「1個の債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴が提起された場合は…一部の請求についての確定判決の既判力は残部の請求に及ばない…。」としている。
したがって、Xが得た確定判決の既判力は、残部の請求に及ばない。
(R4 予備 第33問 ウ)
XがYに対して総額1000万円のうち200万円の支払を求めることを明示した上で提起した貸金の返還を求める訴え(前訴)について弁済を理由として請求を棄却する判決が確定した後、XがYに対して前記貸金の残額800万円の支払を求める訴え(後訴)を提起した場合に、後訴裁判所が、Xの請求を認容することは、前訴の確定判決の既判力に抵触しない。
XがYに対して総額1000万円のうち200万円の支払を求めることを明示した上で提起した貸金の返還を求める訴え(前訴)について弁済を理由として請求を棄却する判決が確定した後、XがYに対して前記貸金の残額800万円の支払を求める訴え(後訴)を提起した場合に、後訴裁判所が、Xの請求を認容することは、前訴の確定判決の既判力に抵触しない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭37.8.10)は、「1個の債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴が提起された場合は、訴訟物となるのは右債権の一部の存否のみであって…一部の請求についての確定判決の既判力は残部の請求に及ばない…。」としている。
したがって、既判力が生じるのは、XのYに対する貸金1000万円のうちの200万円の部分であるから、XがYに対して前記貸金の残額800万円の支払を求める訴え(後訴)を提起し、後訴裁判所が、Xの請求を認容したとしても、前訴の確定判決の既判力には抵触しない。
判例(最判昭37.8.10)は、「1個の債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴が提起された場合は、訴訟物となるのは右債権の一部の存否のみであって…一部の請求についての確定判決の既判力は残部の請求に及ばない…。」としている。
したがって、既判力が生じるのは、XのYに対する貸金1000万円のうちの200万円の部分であるから、XがYに対して前記貸金の残額800万円の支払を求める訴え(後訴)を提起し、後訴裁判所が、Xの請求を認容したとしても、前訴の確定判決の既判力には抵触しない。
総合メモ
金銭債権の数量的一部請求訴訟で敗訴した原告が残部請求の訴えを提起することの許否 最二小判平成10年6月12日
概要
金銭債権の数量的一部請求訴訟で敗訴した原告が残部請求の訴えを提起することは、特段の事情がない限り、信義則に反して許されない。
判例
事案:金銭債権の数量的一部請求訴訟で敗訴した原告が、残部請求の訴えを提起した事案において、かかる残部請求が許されないかが問題となった。
判旨:「1個の金銭債権の数量的一部請求は、当該債権が存在しその額は一定額を下回らないことを主張して右額の限度でこれを請求するものであり、債権の特定の一部を請求するものではないから、このような請求の当否を判断するためには、おのずから債権の全部について審理判断することが必要になる。すなわち、裁判所は、当該債権の全部について当事者の主張する発生、消滅の原因事実の存否を判断し、債権の一部の消滅が認められるときは債権の総額からこれを控除して口頭弁論終結時における債権の現存額を確定し(最高裁平成2年(オ)第1146号同6年11月22日第三小法廷判決・民集48巻7号1355頁参照)、現存額が一部請求の額以上であるときは右請求を認容し、現存額が請求額に満たないときは現存額の限度でこれを認容し、債権が全く現存しないときは右請求を棄却するのであって、当事者双方の主張立証の範囲、程度も、通常は債権の全部が請求されている場合と変わるところはない。数量的一部請求を全部又は一部棄却する旨の判決は、このように債権の全部について行われた審理の結果に基づいて、当該債権が全く現存しないか又は一部として請求された額に満たない額しか現存しないとの判断を示すものであって、言い換えれば、後に残部として請求し得る部分が存在しないとの判断を示すものにほかならない。したがって、右判決が確定した後に原告が残部請求の訴えを提起することは、実質的には前訴で認められなかった請求及び主張を蒸し返すものであり、前訴の確定判決によって当該債権の全部について紛争が解決されたとの被告の合理的期待に反し、被告に二重の応訴の負担を強いるものというべきである。以上の点に照らすと、金銭債権の数量的一部請求訴訟で敗訴した原告が残部請求の訴えを提起することは、特段の事情がない限り、信義則に反して許されないと解するのが相当である。」
判旨:「1個の金銭債権の数量的一部請求は、当該債権が存在しその額は一定額を下回らないことを主張して右額の限度でこれを請求するものであり、債権の特定の一部を請求するものではないから、このような請求の当否を判断するためには、おのずから債権の全部について審理判断することが必要になる。すなわち、裁判所は、当該債権の全部について当事者の主張する発生、消滅の原因事実の存否を判断し、債権の一部の消滅が認められるときは債権の総額からこれを控除して口頭弁論終結時における債権の現存額を確定し(最高裁平成2年(オ)第1146号同6年11月22日第三小法廷判決・民集48巻7号1355頁参照)、現存額が一部請求の額以上であるときは右請求を認容し、現存額が請求額に満たないときは現存額の限度でこれを認容し、債権が全く現存しないときは右請求を棄却するのであって、当事者双方の主張立証の範囲、程度も、通常は債権の全部が請求されている場合と変わるところはない。数量的一部請求を全部又は一部棄却する旨の判決は、このように債権の全部について行われた審理の結果に基づいて、当該債権が全く現存しないか又は一部として請求された額に満たない額しか現存しないとの判断を示すものであって、言い換えれば、後に残部として請求し得る部分が存在しないとの判断を示すものにほかならない。したがって、右判決が確定した後に原告が残部請求の訴えを提起することは、実質的には前訴で認められなかった請求及び主張を蒸し返すものであり、前訴の確定判決によって当該債権の全部について紛争が解決されたとの被告の合理的期待に反し、被告に二重の応訴の負担を強いるものというべきである。以上の点に照らすと、金銭債権の数量的一部請求訴訟で敗訴した原告が残部請求の訴えを提起することは、特段の事情がない限り、信義則に反して許されないと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H26 共通 第71問 ウ)
XはYと締結した自らを注文主とする建物建築請負契約をYの債務不履行を理由に工事完成前に解除し、Yを被告として、総額1000万円の損害賠償債権のうちの一部であることを明示して400万円の支払を求める訴えを提起した。
Yの債務不履行が認められないとしてXの請求を棄却する判決が確定したときは、XがYに対し残部の支払を求める訴えを提起することは、特段の事情がない限り、信義則に反して許されない。
XはYと締結した自らを注文主とする建物建築請負契約をYの債務不履行を理由に工事完成前に解除し、Yを被告として、総額1000万円の損害賠償債権のうちの一部であることを明示して400万円の支払を求める訴えを提起した。
Yの債務不履行が認められないとしてXの請求を棄却する判決が確定したときは、XがYに対し残部の支払を求める訴えを提起することは、特段の事情がない限り、信義則に反して許されない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平10.6.12)は、「金銭債権の数量的一部請求訴訟で敗訴した原告が残部請求の訴えを提起することは、特段の事情がない限り、信義則に反して許されない…。」としている。
したがって、Yの債務不履行が認められないとしてXの請求を棄却する判決が確定したときは、XがYに対し残部の支払を求める訴えを提起することは、特段の事情がない限り、信義則に反して許されない。
判例(最判平10.6.12)は、「金銭債権の数量的一部請求訴訟で敗訴した原告が残部請求の訴えを提起することは、特段の事情がない限り、信義則に反して許されない…。」としている。
したがって、Yの債務不履行が認められないとしてXの請求を棄却する判決が確定したときは、XがYに対し残部の支払を求める訴えを提起することは、特段の事情がない限り、信義則に反して許されない。
(H30 予備 第41問 2)
XがYに対して1000万円の貸金債権の一部として100万円の支払を求める訴訟において、1000万円の貸付けはあったが940万円は弁済されたとして、60万円の限度で請求を認容する判決が確定した場合に、Xは、Yに対し、貸金1000万円のうち前訴で請求しなかった900万円の支払を求める訴えを提起することができる。
XがYに対して1000万円の貸金債権の一部として100万円の支払を求める訴訟において、1000万円の貸付けはあったが940万円は弁済されたとして、60万円の限度で請求を認容する判決が確定した場合に、Xは、Yに対し、貸金1000万円のうち前訴で請求しなかった900万円の支払を求める訴えを提起することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平10.6.12)は、「金銭債権の数量的一部請求訴訟で敗訴した原告が残部請求の訴えを提起することは、特段の事情がない限り、信義則に反して許されない…。」としている。
したがって、Xが前訴において請求しなかった900万円の支払を求める訴えを提起することは、特段の事情のない限り、信義則に反して許されない。
判例(最判平10.6.12)は、「金銭債権の数量的一部請求訴訟で敗訴した原告が残部請求の訴えを提起することは、特段の事情がない限り、信義則に反して許されない…。」としている。
したがって、Xが前訴において請求しなかった900万円の支払を求める訴えを提起することは、特段の事情のない限り、信義則に反して許されない。
総合メモ
相続財産の限度での支払いを命ずる判決が確定した場合における判決の効力(既判力に準ずる効力) 最二小判昭和49年4月26日
概要
被相続人に対する債権について、債権者と相続人との間の前訴において、相続人の限定承認が認められ、相続財産の限度での支払いを命ずる判決が確定しているときは、債権者は相続人に対し、後訴において、判決の基礎となる事実審の口頭弁論終結時以前に存在した限定承認と相容れない事実を主張してその債権につき無留保の判決を求めることはできない。
判例
事案:相続財産の限度での支払いを命ずる判決が確定したが、かかる判決と相容れない主張がなされた事案において、判決の基礎となる事実審の口頭弁論終結時以前に存在した限定承認と相容れない事実を主張してその債権につき無留保の判決を求めることができるかが問題となった。
判旨:「被相続人の債務につき債権者より相続人に対し給付の訴が提起され、右訴訟において該債務の存在とともに相続人の限定承認の事実も認められたときは、裁判所は、債務名義上相続人の限定責任を明らかにするため、判決主文において、相続人に対し相続財産の限度で右債務の支払を命ずべきである。ところで、右のように相続財産の限度で支払を命じた、いわゆる留保付判決が確定した後において、債権者が、右訴訟の第2審口頭弁論終結時以前に存在した限定承認と相容れない事実(たとえば民法921条の法定単純承認の事実)を主張して、右債権につき無留保の判決を得るため新たに訴を提起することは許されないものと解すべきである。けだし、前訴の訴訟物は、直接には、給付請求権即ち債権(相続債務)の存在及びその範囲であるが、限定承認の存在及び効力も、これに準ずるものとして審理判断されるのみならず、限定承認が認められたときは前述のように主文においてそのことが明示されるのであるから、限定承認の存在及び効力についての前訴の判断に関しては、既判力に準ずる効力があると考えるべきであるし、また民訴法545条2項(現:民事執行法35条2項)によると、確定判決に対する請求異議の訴は、異議を主張することを要する口頭弁論の終結後に生じた原因に基づいてのみ提起することができるとされているが、その法意は、権利関係の安定、訴訟経済及び訴訟上の信義則等の観点から、判決の基礎となる口頭弁論において主張することのできた事由に基づいて判決の効力をその確定後に左右することは許されないとするにあると解すべきであり、右趣旨に照らすと、債権者が前訴において主張することのできた前述のごとき事実を主張して、前訴の確定判決が認めた限定承認の存在及び効力を争うことも同様に許されないものと考えられるからである。そして、右のことは、債権者の給付請求に対し相続人から限定承認の主張が提出され、これが認められて留保付判決がされた場合であると、債権者がみずから留保付で請求をし留保付判決がされた場合であるとによって異なるところはないと解すべきである。」
判旨:「被相続人の債務につき債権者より相続人に対し給付の訴が提起され、右訴訟において該債務の存在とともに相続人の限定承認の事実も認められたときは、裁判所は、債務名義上相続人の限定責任を明らかにするため、判決主文において、相続人に対し相続財産の限度で右債務の支払を命ずべきである。ところで、右のように相続財産の限度で支払を命じた、いわゆる留保付判決が確定した後において、債権者が、右訴訟の第2審口頭弁論終結時以前に存在した限定承認と相容れない事実(たとえば民法921条の法定単純承認の事実)を主張して、右債権につき無留保の判決を得るため新たに訴を提起することは許されないものと解すべきである。けだし、前訴の訴訟物は、直接には、給付請求権即ち債権(相続債務)の存在及びその範囲であるが、限定承認の存在及び効力も、これに準ずるものとして審理判断されるのみならず、限定承認が認められたときは前述のように主文においてそのことが明示されるのであるから、限定承認の存在及び効力についての前訴の判断に関しては、既判力に準ずる効力があると考えるべきであるし、また民訴法545条2項(現:民事執行法35条2項)によると、確定判決に対する請求異議の訴は、異議を主張することを要する口頭弁論の終結後に生じた原因に基づいてのみ提起することができるとされているが、その法意は、権利関係の安定、訴訟経済及び訴訟上の信義則等の観点から、判決の基礎となる口頭弁論において主張することのできた事由に基づいて判決の効力をその確定後に左右することは許されないとするにあると解すべきであり、右趣旨に照らすと、債権者が前訴において主張することのできた前述のごとき事実を主張して、前訴の確定判決が認めた限定承認の存在及び効力を争うことも同様に許されないものと考えられるからである。そして、右のことは、債権者の給付請求に対し相続人から限定承認の主張が提出され、これが認められて留保付判決がされた場合であると、債権者がみずから留保付で請求をし留保付判決がされた場合であるとによって異なるところはないと解すべきである。」
過去問・解説
(H18 司法 第58問 3)
XのYに対する1000万円の貸金返還請求訴訟において、Yが限定承認の抗弁を主張し、相続財産の限度で支払えとの判決が確定した後、XがYに相続財産の一部の隠匿があったとして、改めて責任限定のない判決を求めて、同一の訴えを提起した。この場合、Xの後訴請求には前訴判決の効力は及ばない。
XのYに対する1000万円の貸金返還請求訴訟において、Yが限定承認の抗弁を主張し、相続財産の限度で支払えとの判決が確定した後、XがYに相続財産の一部の隠匿があったとして、改めて責任限定のない判決を求めて、同一の訴えを提起した。この場合、Xの後訴請求には前訴判決の効力は及ばない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭49.4.26)は、「相続財産の限度で支払を命じた、いわゆる留保付判決が確定した後において、債権者が、…限定承認と相容れない事実…を主張して、右債権につき無留保の判決を得るため新たに訴を提起することは許されない…。」として、後訴請求に前訴確定判決の既判力が及ぶことを示している。
したがって、Xの後訴請求にも、前訴確定判決の既判力が及ぶ。
判例(最判昭49.4.26)は、「相続財産の限度で支払を命じた、いわゆる留保付判決が確定した後において、債権者が、…限定承認と相容れない事実…を主張して、右債権につき無留保の判決を得るため新たに訴を提起することは許されない…。」として、後訴請求に前訴確定判決の既判力が及ぶことを示している。
したがって、Xの後訴請求にも、前訴確定判決の既判力が及ぶ。
(H28 予備 第36問 5)
被相続人の貸金債務につき相続人が貸主から提起された貸金返還請求訴訟において、被告である相続人の限定承認の事実が認められ、相続財産の限度での債務の支払を命じる留保付判決が確定した場合には、貸主は、口頭弁論の終結の前に法定単純承認の事実があったとして、限定承認の効力を争い、無留保の判決を得るため、改めて貸金返還請求訴訟を提起することは、許されない。
被相続人の貸金債務につき相続人が貸主から提起された貸金返還請求訴訟において、被告である相続人の限定承認の事実が認められ、相続財産の限度での債務の支払を命じる留保付判決が確定した場合には、貸主は、口頭弁論の終結の前に法定単純承認の事実があったとして、限定承認の効力を争い、無留保の判決を得るため、改めて貸金返還請求訴訟を提起することは、許されない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭49.4.26)は、本肢と同種の事案において、「相続財産の限度で支払を命じた、いわゆる留保付判決か確定した後において、債権者が、…限定承認と相容れない事実…を主張して、右債権につき無留保の判決を得るため新たに訴を提起することは許されない…。」としている。
判例(最判昭49.4.26)は、本肢と同種の事案において、「相続財産の限度で支払を命じた、いわゆる留保付判決か確定した後において、債権者が、…限定承認と相容れない事実…を主張して、右債権につき無留保の判決を得るため新たに訴を提起することは許されない…。」としている。
(R1 予備 第42問 5)
相続財産に属する債務の債権者が相続人に対してその債務の弁済を求める訴訟において、相続人が主張する限定承認の事実を認めることができる場合には、裁判所は、相続によって得た財産の限度で当該債務の弁済を命ずる判決をすることができる。
相続財産に属する債務の債権者が相続人に対してその債務の弁済を求める訴訟において、相続人が主張する限定承認の事実を認めることができる場合には、裁判所は、相続によって得た財産の限度で当該債務の弁済を命ずる判決をすることができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭49.4.26)は、「被相続人の債務につき債権者より相続人に対し給付の訴が提起され、右訴訟において該債務の存在とともに相続人の限定承認の事実も認められたときは、裁判所は、債務名義上相続人の限定責任を明らかにするため、判決主文において、相続人に対し相続財産の限度で右債務の支払を命ずべきである。」としている。
判例(最判昭49.4.26)は、「被相続人の債務につき債権者より相続人に対し給付の訴が提起され、右訴訟において該債務の存在とともに相続人の限定承認の事実も認められたときは、裁判所は、債務名義上相続人の限定責任を明らかにするため、判決主文において、相続人に対し相続財産の限度で右債務の支払を命ずべきである。」としている。
(R4 予備 第33問 イ)
XがYに対して提起した500万円の貸金の返還を求める訴え(前訴)について、Yによる限定承認の抗弁を容れ、Yに対して相続によって得た財産の限度で500万円の支払を命ずる判決が確定した後、XがYに対して相続財産の範囲にかかわらず前記貸金の返還を求める訴え(後訴)を提起した場合に、後訴裁判所が、前訴基準時前の法定単純承認事由に基づき、Yに対して相続財産の範囲にかかわらず500万円の支払を命ずることは、前訴の確定判決の既判力に抵触し、許されない。
XがYに対して提起した500万円の貸金の返還を求める訴え(前訴)について、Yによる限定承認の抗弁を容れ、Yに対して相続によって得た財産の限度で500万円の支払を命ずる判決が確定した後、XがYに対して相続財産の範囲にかかわらず前記貸金の返還を求める訴え(後訴)を提起した場合に、後訴裁判所が、前訴基準時前の法定単純承認事由に基づき、Yに対して相続財産の範囲にかかわらず500万円の支払を命ずることは、前訴の確定判決の既判力に抵触し、許されない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭49.4.26)は、「相続財産の限度で支払を命じた、いわゆる留保付判決が確定した後において、債権者が、…限定承認と相容れない事実…を主張して、右債権につき無留保の判決を得るため新たに訴を提起することは許されないものと解すべきである。」としているところ、これは、「既判力に準ずる効力」によるものであって、既判力によって許されないわけではない。
判例(最判昭49.4.26)は、「相続財産の限度で支払を命じた、いわゆる留保付判決が確定した後において、債権者が、…限定承認と相容れない事実…を主張して、右債権につき無留保の判決を得るため新たに訴を提起することは許されないものと解すべきである。」としているところ、これは、「既判力に準ずる効力」によるものであって、既判力によって許されないわけではない。
総合メモ
債権者代位訴訟において被保全債権の不存在を看過して下された判決の効力は債務者に及ぶか 大阪地判昭和45年5月28日
概要
債権者代位訴訟において当事者適格の不存在を看過して下された確定判決の既判力は、債務者間に拡張されない。
判例
事案:債権者代位訴訟が確定したが、確定前に被保全債権が消滅していた。その後、かかる訴訟の被告と代位されたもの(債務者)とを当事者とする訴訟が提起された事案において、債権者代位訴訟の判決の効力が債務者に及ぶか否か問題となった。
判旨:「訴外会社は右解除とともに代位訴訟における当該代位債権を失うことによって民訴法201条2項(現:115条2項)にいう他人のための訴訟担当者たるの適格を喪失し、右判示後段による本件確定判決はこれを看過してされた判決というの外ないところ、右訴訟の当事者であった本件原告と訴外会社の間においてはさておき、代位債務者であった本件被告との関係においては、右当事者適格看過の判決はその効力をこれに及ぼす由なきものと解すべきであり、しかもこの点は、右代位債務者(本件被告)自身のみならず、本件の如き場合、第三債務者(本件原告)も亦これを主張し得るものというのが相当である。」
判旨:「訴外会社は右解除とともに代位訴訟における当該代位債権を失うことによって民訴法201条2項(現:115条2項)にいう他人のための訴訟担当者たるの適格を喪失し、右判示後段による本件確定判決はこれを看過してされた判決というの外ないところ、右訴訟の当事者であった本件原告と訴外会社の間においてはさておき、代位債務者であった本件被告との関係においては、右当事者適格看過の判決はその効力をこれに及ぼす由なきものと解すべきであり、しかもこの点は、右代位債務者(本件被告)自身のみならず、本件の如き場合、第三債務者(本件原告)も亦これを主張し得るものというのが相当である。」
過去問・解説
(H18 司法 第19問 5)
乙債権が第三者弁済によって消滅していたが、そのことが明らかにならないまま甲債権が存在しないとしてXの請求を棄却する判決が確定した。その後、上記の第三者弁済の事実が明らかになったときは、Aは、前訴判決の既判力に妨げられることなく、Yに対して訴えを提起して甲債権についての支払を請求することができる。
乙債権が第三者弁済によって消滅していたが、そのことが明らかにならないまま甲債権が存在しないとしてXの請求を棄却する判決が確定した。その後、上記の第三者弁済の事実が明らかになったときは、Aは、前訴判決の既判力に妨げられることなく、Yに対して訴えを提起して甲債権についての支払を請求することができる。
(正答)〇
(解説)
115条1項2号は、判決効の拡張が認められる者の1つとして、「当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人」を掲げている。
債権者代位訴訟における代位債務者はこれに当たるから、判決の効力が拡張されるのが原則である。
しかし、これについて裁判例(大阪地判昭45.5.28)は、「訴外会社は右解除とともに代位訴訟における当該代位債権を失うことによって…他人のための訴訟担当者たるの適格を喪失し、右判示後段による本件確定判決はこれを看過してされた判決というの外ないところ、右訴訟の当事者であった本件原告と訴外会社の間においてはさておき、代位債務者であった本件被告との関係においては、右当事者適格看過の判決はその効力をこれに及ぼす由なきものと解すべきであ…る。」としている。
したがって、Aは、当事者適格を基礎付ける、被保全債権たる甲債権の支払請求をすることができる。
115条1項2号は、判決効の拡張が認められる者の1つとして、「当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人」を掲げている。
債権者代位訴訟における代位債務者はこれに当たるから、判決の効力が拡張されるのが原則である。
しかし、これについて裁判例(大阪地判昭45.5.28)は、「訴外会社は右解除とともに代位訴訟における当該代位債権を失うことによって…他人のための訴訟担当者たるの適格を喪失し、右判示後段による本件確定判決はこれを看過してされた判決というの外ないところ、右訴訟の当事者であった本件原告と訴外会社の間においてはさておき、代位債務者であった本件被告との関係においては、右当事者適格看過の判決はその効力をこれに及ぼす由なきものと解すべきであ…る。」としている。
したがって、Aは、当事者適格を基礎付ける、被保全債権たる甲債権の支払請求をすることができる。
(H23 予備 第45問 5)
Aに対して売買代金債権を有すると主張するXが、Aに代位して、AのYに対する貸金債権に基づき、Yに対して当該貸金の返還を求める訴えを提起した。
訴えの提起前にXのAに対する売買代金債権が消滅していたにもかかわらず、AのYに対する貸金債権の不存在を理由に請求を棄却する判決がされ、その判決が確定した。この場合、Aは、Yに対する訴えを提起して当該貸金債権の存在を主張することを妨げられない。
Aに対して売買代金債権を有すると主張するXが、Aに代位して、AのYに対する貸金債権に基づき、Yに対して当該貸金の返還を求める訴えを提起した。
訴えの提起前にXのAに対する売買代金債権が消滅していたにもかかわらず、AのYに対する貸金債権の不存在を理由に請求を棄却する判決がされ、その判決が確定した。この場合、Aは、Yに対する訴えを提起して当該貸金債権の存在を主張することを妨げられない。
(正答)〇
(解説)
115条1項2号は、判決効の拡張が認められる者の1つとして、「当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人」を掲げている。
債権者代位訴訟における代位債務者はこれに当たるから、判決の効力が拡張されるのが原則である。
これについて裁判例(大阪地判昭45.5.28)は、本肢と同種の事案において、「訴外会社は右解除とともに代位訴訟における当該代位債権を失うことによって民訴法201条2項(現:115条2項)にいう他人のための訴訟担当者たるの適格を喪失し、右判示後段による本件確定判決はこれを看過してされた判決というの外ないところ、右訴訟の当事者であった本件原告と訴外会社の間においてはさておき、代位債務者であった本件被告との関係においては、右当事者適格看過の判決はその効力をこれに及ぼす由なきものと解すべきであ…る。」として、判決効は債務者に及ばないことを示している。
本肢も同様に、被保全債権の消滅を看過したまま債権者代位訴訟の判決が確定している。
したがって、Aには係る訴訟の既判力は及ばず、Yに対して訴えを提起して、当該貸金債権の存在を主張することができる。
115条1項2号は、判決効の拡張が認められる者の1つとして、「当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人」を掲げている。
債権者代位訴訟における代位債務者はこれに当たるから、判決の効力が拡張されるのが原則である。
これについて裁判例(大阪地判昭45.5.28)は、本肢と同種の事案において、「訴外会社は右解除とともに代位訴訟における当該代位債権を失うことによって民訴法201条2項(現:115条2項)にいう他人のための訴訟担当者たるの適格を喪失し、右判示後段による本件確定判決はこれを看過してされた判決というの外ないところ、右訴訟の当事者であった本件原告と訴外会社の間においてはさておき、代位債務者であった本件被告との関係においては、右当事者適格看過の判決はその効力をこれに及ぼす由なきものと解すべきであ…る。」として、判決効は債務者に及ばないことを示している。
本肢も同様に、被保全債権の消滅を看過したまま債権者代位訴訟の判決が確定している。
したがって、Aには係る訴訟の既判力は及ばず、Yに対して訴えを提起して、当該貸金債権の存在を主張することができる。
総合メモ
裁判上の和解により建物を収去してその敷地を明け渡すべき義務のある者から建物を借り受けその敷地を占有する者と民事訴訟法115条1項3号にいう口頭弁論終結後の「承継人」 最二小判昭和26年4月13日
概要
裁判上の和解により建物を収去しその敷地を明け渡すべき義務のある者から建物を借り受けその敷地を占有する者は、115条1項3号の「承継人」に当たる。
判例
事案:裁判上の和解により建物を収去してその敷地を明け渡すべき義務のある者から建物を借り受けその敷地を占有をする者がある事案において、建物を借り受け占有を開始した者が115条1項3号の「承継人」に当たるかが問題となった。
判旨:「裁判上の和解により建物を収去しその敷地たる土地を明渡すべき義務のある者から建物を借受け建物の敷地たる土地を占有する者は民訴第201条第1項にいわゆる承繼人と解するを相当とする…。建物賃借人の敷地に對する占有は賃借人の敷地に對する占有と無関係に原始的に取得せられるものではなく、賃借人の敷地に對する占有に基き取得せられるものであるから占有の関係からみると一種の承繼があるとみることができるのであり賃借人が建物所有者としてその敷地に對する占有を失わない場合でもこの種の占有の承繼を認めることを妨げるものではないのである。」
判旨:「裁判上の和解により建物を収去しその敷地たる土地を明渡すべき義務のある者から建物を借受け建物の敷地たる土地を占有する者は民訴第201条第1項にいわゆる承繼人と解するを相当とする…。建物賃借人の敷地に對する占有は賃借人の敷地に對する占有と無関係に原始的に取得せられるものではなく、賃借人の敷地に對する占有に基き取得せられるものであるから占有の関係からみると一種の承繼があるとみることができるのであり賃借人が建物所有者としてその敷地に對する占有を失わない場合でもこの種の占有の承繼を認めることを妨げるものではないのである。」
過去問・解説
(H18 司法 第58問 5)
XのYに対する所有権に基づく建物収去土地明渡請求訴訟において、訴訟上の和解により、Yは建物を収去し、敷地である土地を明け渡すべき義務を負うとされた。その後、Yから当該建物を借り受け、その建物の敷地である土地を占有するZには、Zが和解調書の存在を知っていたか否かにかかわらず、当該調書の執行力が及ぶ。
XのYに対する所有権に基づく建物収去土地明渡請求訴訟において、訴訟上の和解により、Yは建物を収去し、敷地である土地を明け渡すべき義務を負うとされた。その後、Yから当該建物を借り受け、その建物の敷地である土地を占有するZには、Zが和解調書の存在を知っていたか否かにかかわらず、当該調書の執行力が及ぶ。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭26.4.13)は、「裁判上の和解により建物を収去しその敷地たる土地を明渡すべき義務のある者から建物を借受け建物の敷地たる土地を占有する者」が115条1項3号の「承継人」に当たることを認めている。
したがって、Zには、「債務名義成立後の承継人」(民事執行法23条1項3号)として、Zが和解調書の存在を知っていたか否かにかかわらず、当該調書の執行力(267条、民事執行法22条7号)が及ぶ。
判例(最判昭26.4.13)は、「裁判上の和解により建物を収去しその敷地たる土地を明渡すべき義務のある者から建物を借受け建物の敷地たる土地を占有する者」が115条1項3号の「承継人」に当たることを認めている。
したがって、Zには、「債務名義成立後の承継人」(民事執行法23条1項3号)として、Zが和解調書の存在を知っていたか否かにかかわらず、当該調書の執行力(267条、民事執行法22条7号)が及ぶ。
(R1 予備 第43問 ア)
XがYに対して土地の賃貸借契約終了に基づき建物収去土地明渡しを求める訴えを提起し、Xの請求を認容する判決が確定した後、ZがYから当該建物を借り受けて当該土地を占有する場合に、この判決の効力は、Zにも及ぶ。
XがYに対して土地の賃貸借契約終了に基づき建物収去土地明渡しを求める訴えを提起し、Xの請求を認容する判決が確定した後、ZがYから当該建物を借り受けて当該土地を占有する場合に、この判決の効力は、Zにも及ぶ。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭26.4.13)は、「裁判上の和解により建物を収去しその敷地たる土地を明渡すべき義務のある者から建物を借受け建物の敷地たる土地を占有する者」が115条1項3号の「承継人」に当たることを認めている。
したがって、Xの請求を認容する判決が確定した後、ZがYから当該建物を借り受けて当該土地を占有する場合に、この判決の効力は、「口頭弁論終結後の承継人」であるZにも及ぶ。
判例(最判昭26.4.13)は、「裁判上の和解により建物を収去しその敷地たる土地を明渡すべき義務のある者から建物を借受け建物の敷地たる土地を占有する者」が115条1項3号の「承継人」に当たることを認めている。
したがって、Xの請求を認容する判決が確定した後、ZがYから当該建物を借り受けて当該土地を占有する場合に、この判決の効力は、「口頭弁論終結後の承継人」であるZにも及ぶ。
(R6 予備 第33問 オ)
建物明渡請求事件において、建物を明け渡すことを内容とする訴訟上の和解が調書に記載されたときは、その記載の効力は、和解をした当事者のみならず、和解成立後に当事者から当該建物の占有を承継した者にも及ぶ。
建物明渡請求事件において、建物を明け渡すことを内容とする訴訟上の和解が調書に記載されたときは、その記載の効力は、和解をした当事者のみならず、和解成立後に当事者から当該建物の占有を承継した者にも及ぶ。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭26.4.13)は、「裁判上の和解により建物を収去しその敷地たる土地を明渡すべき義務のある者から建物を借受け建物の敷地たる土地を占有する者」が115条1項3号の「承継人」に当たることを認めている。そして、和解調書には「確定判決と同一の効力」が認められる(267条1項)から、その効力の主観的範囲については、115条及び民事執行法23条が適用される。
和解成立後に当事者から当該建物の占有を承継した者は、「口頭弁論終結後の承継人」(115条1項3号)及び「債務名義成立後の承継人」(民事執行法23条1項3号)に当たるから、和解調書の記載の効力は、和解をした当事者のみならず、和解成立後に当事者から当該建物の占有を承継した者にも及ぶ。
判例(最判昭26.4.13)は、「裁判上の和解により建物を収去しその敷地たる土地を明渡すべき義務のある者から建物を借受け建物の敷地たる土地を占有する者」が115条1項3号の「承継人」に当たることを認めている。そして、和解調書には「確定判決と同一の効力」が認められる(267条1項)から、その効力の主観的範囲については、115条及び民事執行法23条が適用される。
和解成立後に当事者から当該建物の占有を承継した者は、「口頭弁論終結後の承継人」(115条1項3号)及び「債務名義成立後の承継人」(民事執行法23条1項3号)に当たるから、和解調書の記載の効力は、和解をした当事者のみならず、和解成立後に当事者から当該建物の占有を承継した者にも及ぶ。
総合メモ
通謀による虚偽の登記名義を真正なものに回復するための所有権移転登記手続請求訴訟における被告敗訴の確定判決と口頭弁論終結後被告から善意で当該不動産を譲り受けた第三者 最一小判昭和48年6月21日
概要
通謀による虚偽の登記名義を真正なものに回復するための所有権移転登記手続請求訴訟における被告敗訴の確定判決は、口頭弁論終結後被告から善意で当該不動産を譲り受けた第三者に対してその効力を有しない。
判例
事案:通謀による虚偽の登記名義を真正なものに回復するための所有権移転登記手続請求訴訟において被告敗訴が敗訴したが、第三者が口頭弁論終結後被告から善意で当該不動産を譲り受けた事案において、当該訴訟の確定判決の執行力が当該第三者にも拡張されるのかが問題となった。
判旨:「以上の事実関係のもとにおいては、Xは、本件土地につきY名義でなされた前記所有権取得登記が、通謀虚偽表示によるもので無効であることを、善意の第三者であるZに対抗することはできないものであるから、Zは本件土地の所有権を取得するに至ったものであるというべきである。このことはXと訴外Yとの間の前記確定判決の存在によって左右されない。そして、Zは…訴外YのXに対する本件土地所有権移転登記義務を承継するものではないから、Xが、右確定判決につき、訴外Yの承継人としてZに対する承継執行文の付与を受けて執行することは許されないといわなければならない。」
判旨:「以上の事実関係のもとにおいては、Xは、本件土地につきY名義でなされた前記所有権取得登記が、通謀虚偽表示によるもので無効であることを、善意の第三者であるZに対抗することはできないものであるから、Zは本件土地の所有権を取得するに至ったものであるというべきである。このことはXと訴外Yとの間の前記確定判決の存在によって左右されない。そして、Zは…訴外YのXに対する本件土地所有権移転登記義務を承継するものではないから、Xが、右確定判決につき、訴外Yの承継人としてZに対する承継執行文の付与を受けて執行することは許されないといわなければならない。」
過去問・解説
(H21 司法 第68問 5)
XがYを被告として、XY間の通謀虚偽表示によりYの所有名義に登記されていた土地について、真正な登記名義回復のため所有権移転登記手続を求める訴えを提起し、Xの請求を認容する判決が確定した。その直後、同確定判決について善意無過失のZが、競売手続により当該土地を取得し、所有権移転登記を経たとしても、判例によれば、Zは前訴の口頭弁論終結後のYの承継人であるから、Xは前訴の確定判決に基づき、Zに対する承継執行文の付与を受けて当該土地の所有名義をX名義に回復することができる。
XがYを被告として、XY間の通謀虚偽表示によりYの所有名義に登記されていた土地について、真正な登記名義回復のため所有権移転登記手続を求める訴えを提起し、Xの請求を認容する判決が確定した。その直後、同確定判決について善意無過失のZが、競売手続により当該土地を取得し、所有権移転登記を経たとしても、判例によれば、Zは前訴の口頭弁論終結後のYの承継人であるから、Xは前訴の確定判決に基づき、Zに対する承継執行文の付与を受けて当該土地の所有名義をX名義に回復することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭48.6.21)は、本肢と同種の事案において、Zは…訴外YのXに対する本件土地所有権移転登記義務を承継するものではないから、Xが、右確定判決につき、訴外Yの承継人としてZに対する承継執行文の付与を受けて執行することは許されないといわなければならない。」として、Zに対する執行力の拡張(民事執行法23条1項3号)を否定している。
したがって、Xは、前訴確定判決に基づいてZに対する承継執行文の付与を受けて土地の所有名義をX名義に回復することができない。
判例(最判昭48.6.21)は、本肢と同種の事案において、Zは…訴外YのXに対する本件土地所有権移転登記義務を承継するものではないから、Xが、右確定判決につき、訴外Yの承継人としてZに対する承継執行文の付与を受けて執行することは許されないといわなければならない。」として、Zに対する執行力の拡張(民事執行法23条1項3号)を否定している。
したがって、Xは、前訴確定判決に基づいてZに対する承継執行文の付与を受けて土地の所有名義をX名義に回復することができない。
(R5 予備 第36問 ア)
XがYに対して、XY間の売買契約が通謀虚偽表示により無効であることを理由として、土地の所有権に基づき所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えを提起し、Xの請求を認容する判決が確定したが、Yが事実審の口頭弁論の終結後に、通謀虚偽表示について善意無過失のZに当該土地を売却し、Zへの所有権移転登記手続をしていた場合に、この判決の効力は、Zにも及び、ZはXに対して善意無過失の第三者であることを主張することはできない。
XがYに対して、XY間の売買契約が通謀虚偽表示により無効であることを理由として、土地の所有権に基づき所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えを提起し、Xの請求を認容する判決が確定したが、Yが事実審の口頭弁論の終結後に、通謀虚偽表示について善意無過失のZに当該土地を売却し、Zへの所有権移転登記手続をしていた場合に、この判決の効力は、Zにも及び、ZはXに対して善意無過失の第三者であることを主張することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭48.6.21)は、本肢と同種の事案において、Zは…訴外YのXに対する本件土地所有権移転登記義務を承継するものではないから、Xが、右確定判決につき、訴外Yの承継人としてZに対する承継執行文の付与を受けて執行することは許されないといわなければならない。」として、Zに対する執行力の拡張(民事執行法23条1項3号)を否定しているところ、この判例の射程は既判力の拡張(115条1項3号)にも妥当する。
したがって、XのYに対する訴えの判決の効力はZに及ばず、ZはXに対して善意無過失の第三者であることを主張することができる。
判例(最判昭48.6.21)は、本肢と同種の事案において、Zは…訴外YのXに対する本件土地所有権移転登記義務を承継するものではないから、Xが、右確定判決につき、訴外Yの承継人としてZに対する承継執行文の付与を受けて執行することは許されないといわなければならない。」として、Zに対する執行力の拡張(民事執行法23条1項3号)を否定しているところ、この判例の射程は既判力の拡張(115条1項3号)にも妥当する。
したがって、XのYに対する訴えの判決の効力はZに及ばず、ZはXに対して善意無過失の第三者であることを主張することができる。
総合メモ
土地の所有権移転登記手続を命ずる判決の確定前に被告から同土地の所有権移転登記を受けた者に右確定判決の既判力が及ぶと認められた事例 大阪高判昭和46年4月8日
概要
前訴の係属中に所有権移転登記が行なわれたとしても、前訴の当事者のために登記名義人になっているにすぎない者は、「請求の目的物の所持する者」に準じ、115条1項4号の類推適用が可能である。
判例
事案:所有権移転登記手続請求訴訟が提起され、認容判決が出されたところ、判決の言い渡しの直前に、被告が他の者に対し、本件土地について贈与を原因とする所有権移転登記をしていたが、かかる贈与が通謀虚偽表示であった事案において、115条1項各号に該当しない者について、同項4号の類推適用が認められるかが問題となった。
判旨:「わが民事訴訟法第201条第1項(現:115条1項)は、確定判決の効力が当事者以外に生ずる場合の1つとして、『請求ノ目的物ヲ所持スル者』を掲げている。ところで、『登記』を『所持』または『占有』に対比して考えることは、しばしば行なわれているところであり、現に同条項にいう『口頭弁論終結後ノ承継人』の範囲を画するにあたっては、『登記名義の移転』を『占有の承継』と同列に扱うことにつき異論を見ないのである。そうすると、本件の控訴人のように、たとい前訴の係属中に所有権移転登記が行なわれたにしても、単に前訴の当事者のために登記名義人になっているにすぎない者は、請求の目的物の所持者に準じ、これに既判力を及ぼす類推解釈が可能となる。」
判旨:「わが民事訴訟法第201条第1項(現:115条1項)は、確定判決の効力が当事者以外に生ずる場合の1つとして、『請求ノ目的物ヲ所持スル者』を掲げている。ところで、『登記』を『所持』または『占有』に対比して考えることは、しばしば行なわれているところであり、現に同条項にいう『口頭弁論終結後ノ承継人』の範囲を画するにあたっては、『登記名義の移転』を『占有の承継』と同列に扱うことにつき異論を見ないのである。そうすると、本件の控訴人のように、たとい前訴の係属中に所有権移転登記が行なわれたにしても、単に前訴の当事者のために登記名義人になっているにすぎない者は、請求の目的物の所持者に準じ、これに既判力を及ぼす類推解釈が可能となる。」
過去問・解説
(R5 予備 第36問 イ)
XがYに対して、売買契約に基づき甲土地の所有権移転登記手続を求める訴えを提起し、Xの請求を認容する判決が確定したが、Yが事実審の口頭弁論の終結前に、Zとの通謀虚偽表示による贈与契約に基づき、Zへの甲土地の所有権移転登記手続をしていた場合に、この判決の効力は、Zにも及ぶ。
XがYに対して、売買契約に基づき甲土地の所有権移転登記手続を求める訴えを提起し、Xの請求を認容する判決が確定したが、Yが事実審の口頭弁論の終結前に、Zとの通謀虚偽表示による贈与契約に基づき、Zへの甲土地の所有権移転登記手続をしていた場合に、この判決の効力は、Zにも及ぶ。
(正答)〇
(解説)
115条1項4号は、判決効の拡張が認められる者の1つとして、「前3号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者」を掲げている。
これについて、裁判例(大阪高判昭46.4.8)は、本肢と同種の事案において、「本件の控訴人のように、たとい前訴の係属中に所有権移転登記が行なわれたにしても、単に前訴の当事者のために登記名義人になっているにすぎない者は、請求の目的物の所持者に準じ、これに既判力を及ぼす類推解釈が可能となる。」としている。
したがって、115条4号の類推適用により、Zにも判決効が及ぶ。
115条1項4号は、判決効の拡張が認められる者の1つとして、「前3号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者」を掲げている。
これについて、裁判例(大阪高判昭46.4.8)は、本肢と同種の事案において、「本件の控訴人のように、たとい前訴の係属中に所有権移転登記が行なわれたにしても、単に前訴の当事者のために登記名義人になっているにすぎない者は、請求の目的物の所持者に準じ、これに既判力を及ぼす類推解釈が可能となる。」としている。
したがって、115条4号の類推適用により、Zにも判決効が及ぶ。
総合メモ
法人格否認の法理 最一小判昭和53年9月14日
概要
法人格否認の法理に基づいて、旧会社に対する確定判決の既判力を新会社に対して及ぼすことはできない。
判例
事案:新会社の設立について旧会社の債務の支払いを免れることを目的とするなどの事情が存する事案において、旧会社に対する債務名義に対して、新会社に対する強制執行のため執行文付与を命ずることができないかが問題となった。
判旨:「上告会社の設立が訴外会社の債務の支払を免れる意図の下にされたものであり、法人格の濫用と認められる場合には、いわゆる法人格否認の法理により被上告人は自己と訴外会社間の前記確定判決の内容である損害賠償請求を上告会社に対しすることができるものと解するのが相当である。しかし、この場合においても、権利関係の公権的な確定及びその迅速確実な実現をはかるために手続の明確、安定を重んずる訴訟手続ないし強制執行手続においては、その手続の性格上訴外会社に対する判決の既判力及び執行力の範囲を上告会社にまで拡張することは許されないものというべきである(最高裁昭和43年(オ)第877号同44年2月27日第一小法廷判決・民集23巻2号511頁参照)。」
判旨:「上告会社の設立が訴外会社の債務の支払を免れる意図の下にされたものであり、法人格の濫用と認められる場合には、いわゆる法人格否認の法理により被上告人は自己と訴外会社間の前記確定判決の内容である損害賠償請求を上告会社に対しすることができるものと解するのが相当である。しかし、この場合においても、権利関係の公権的な確定及びその迅速確実な実現をはかるために手続の明確、安定を重んずる訴訟手続ないし強制執行手続においては、その手続の性格上訴外会社に対する判決の既判力及び執行力の範囲を上告会社にまで拡張することは許されないものというべきである(最高裁昭和43年(オ)第877号同44年2月27日第一小法廷判決・民集23巻2号511頁参照)。」
過去問・解説
(H18 司法 第58問 4)
XがY会社に対して有する金銭債権についてその支払を命ずる判決が確定した後、当該債務の支払を免れるためZ会社が設立された。これが法人格濫用に当たる場合、法人格否認の法理により、Y会社の有する債務をZ会社が履行する義務を負うとしても、Y会社の受けた判決の既判力がZ会社に及ぶことはない。
XがY会社に対して有する金銭債権についてその支払を命ずる判決が確定した後、当該債務の支払を免れるためZ会社が設立された。これが法人格濫用に当たる場合、法人格否認の法理により、Y会社の有する債務をZ会社が履行する義務を負うとしても、Y会社の受けた判決の既判力がZ会社に及ぶことはない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭53.9.14)は、本肢と同種の事案において、「上告会社の設立が訴外会社の債務の支払を免れる意図の下にされたものであり、法人格の濫用と認められる場合…においても、…訴訟手続ないし強制執行手続においては、その手続の性格上訴外会社に対する判決の既判力及び執行力の範囲を上告会社にまで拡張することは許されない…。」として、新たに設立された会社には既判力が及ばないことを示している。
したがって、Y会社の受けた判決の既判力がZ会社に及ぶことはない。
判例(最判昭53.9.14)は、本肢と同種の事案において、「上告会社の設立が訴外会社の債務の支払を免れる意図の下にされたものであり、法人格の濫用と認められる場合…においても、…訴訟手続ないし強制執行手続においては、その手続の性格上訴外会社に対する判決の既判力及び執行力の範囲を上告会社にまで拡張することは許されない…。」として、新たに設立された会社には既判力が及ばないことを示している。
したがって、Y会社の受けた判決の既判力がZ会社に及ぶことはない。
(H21 司法 第68問 4)
XがY会社を被告として、損害賠償を求める訴えを提起し、Xの請求を認容する判決が確定した後、Y会社が新たに設立したZ会社にY会社の資産を移転した場合であって、法人格の濫用であるとしてZ会社の法人格が否認されるときには、判例によれば、確定判決の既判力がZに及ぶ。
XがY会社を被告として、損害賠償を求める訴えを提起し、Xの請求を認容する判決が確定した後、Y会社が新たに設立したZ会社にY会社の資産を移転した場合であって、法人格の濫用であるとしてZ会社の法人格が否認されるときには、判例によれば、確定判決の既判力がZに及ぶ。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭53.9.14)は、本肢と同種の事案において、「上告会社の設立が訴外会社の債務の支払を免れる意図の下にされたものであり、法人格の濫用と認められる場合…においても、…訴訟手続ないし強制執行手続においては、その手続の性格上訴外会社に対する判決の既判力及び執行力の範囲を上告会社にまで拡張することは許されない…。」として、新たに設立された会社には既判力が及ばないことを示している。
したがって、法人格の濫用であるとしてZ会社の法人格が否認されるときにも、Xの請求を認容する確定判決の既判力はZに及ばない。
判例(最判昭53.9.14)は、本肢と同種の事案において、「上告会社の設立が訴外会社の債務の支払を免れる意図の下にされたものであり、法人格の濫用と認められる場合…においても、…訴訟手続ないし強制執行手続においては、その手続の性格上訴外会社に対する判決の既判力及び執行力の範囲を上告会社にまで拡張することは許されない…。」として、新たに設立された会社には既判力が及ばないことを示している。
したがって、法人格の濫用であるとしてZ会社の法人格が否認されるときにも、Xの請求を認容する確定判決の既判力はZに及ばない。
(R1 予備 第43問 イ)
XがY法人に対して損害賠償を求める訴えを提起し、Xの請求を認容する判決が確定した後、Y法人がZ法人を新たに設立して資産を移転したが、法人格の濫用であるとしてZ法人の法人格が否認される場合に、この判決の効力は、Z法人にも及ぶ。
XがY法人に対して損害賠償を求める訴えを提起し、Xの請求を認容する判決が確定した後、Y法人がZ法人を新たに設立して資産を移転したが、法人格の濫用であるとしてZ法人の法人格が否認される場合に、この判決の効力は、Z法人にも及ぶ。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭53.9.14)は、本肢と同種の事案において、「上告会社の設立が訴外会社の債務の支払を免れる意図の下にされたものであり、法人格の濫用と認められる場合…においても、…訴訟手続ないし強制執行手続においては、その手続の性格上訴外会社に対する判決の既判力及び執行力の範囲を上告会社にまで拡張することは許されない…。」として、新たに設立された会社には既判力が及ばないことを示している。
したがって、法人格の濫用であるとしてZ法人の法人格が否認される場合にも、Xの請求を認容する確定判決の効力は、Z法人には及ばない。
判例(最判昭53.9.14)は、本肢と同種の事案において、「上告会社の設立が訴外会社の債務の支払を免れる意図の下にされたものであり、法人格の濫用と認められる場合…においても、…訴訟手続ないし強制執行手続においては、その手続の性格上訴外会社に対する判決の既判力及び執行力の範囲を上告会社にまで拡張することは許されない…。」として、新たに設立された会社には既判力が及ばないことを示している。
したがって、法人格の濫用であるとしてZ法人の法人格が否認される場合にも、Xの請求を認容する確定判決の効力は、Z法人には及ばない。
総合メモ
保証人敗訴の判決確定後に主債務者勝訴の判決が確定した場合と保証人敗訴の確定判決に対する請求異議の訴え(反射効) 最一小判昭和51年10月21日
概要
債権者から保証人に対する保証債務履行請求訴訟における保証人敗訴の判決が確定した後に、債権者から主債務者に対する主債務履行請求訴訟における主債務者勝訴の判決が確定しても、主債務者勝訴の判決が保証債務履行請求訴訟の事実審口頭弁論終結の時までに生じた事由に基づいてされているときは、保証人は、主債務者勝訴の確定判決を保証人敗訴の確定判決に対する請求異議の事由にすることはできない。
判例
事案:保証人敗訴の判決確定後に主債務者勝訴の判決が確定した事案において、主債務者勝訴の確定判決が、保証人敗訴の確定判決に対する請求異議の事由として認められないかが問題となった。
判旨:「所論は、要するに、上告人に対する前記判決は連帯保証債務の履行を命ずるものであるところ、その主債務は、右判決確定後、主債務関係の当事者である被上告人と右相続人ら間の確定判決により不存在と確定されたから、上告人は、連帯保証債務の附従性に基づき請求異議の訴により自己に対する前記判決の執行力の排除を求めることができる筋合であると主張する。そこで案ずるに、一般に保証人が、債権者からの保証債務履行請求訴訟において、主債務者勝訴の確定判決を援用することにより保証人勝訴の判決を導きうると解せられるにしても、保証人がすでに保証人敗訴の確定判決を受けているときは、保証人敗訴の判決確定後に主債務者勝訴の判決が確定しても、同判決が保証人敗訴の確定判決の基礎となった事実審口頭弁論終結の時までに生じた事実を理由としてされている以上、保証人は右主債務者勝訴の確定判決を保証人敗訴の確定判決に対する請求異議の事由にする余地はないものと解すべきである。けだし、保証人が主債務者勝訴の確定判決を援用することが許されるにしても、これは、右確定判決の既判力が保証人に拡張されることに基づくものではないと解すべきであり、また、保証人は、保証人敗訴の確定判決の効力として、その判決の基礎となった事実審口頭弁論終結の時までに提出できたにもかかわらず提出しなかった事実に基づいてはもはや債権者の権利を争うことは許されないと解すべきところ、保証人敗訴判決の確定後において主債務者勝訴の確定判決があっても、その勝訴の理由が保証人敗訴判決の基礎となった事実審口頭弁論の終結後に生じた事由に基づくものでない限り、この主債務者勝訴判決を援用して、保証人敗訴の確定判決に対する請求異議事由とするのを認めることは、実質的には前記保証人敗訴の確定判決の効力により保証人が主張することのできない事実に基づいて再び債権者の権利を争うことを容認するのとなんら異なるところがないといえるからである。」
判旨:「所論は、要するに、上告人に対する前記判決は連帯保証債務の履行を命ずるものであるところ、その主債務は、右判決確定後、主債務関係の当事者である被上告人と右相続人ら間の確定判決により不存在と確定されたから、上告人は、連帯保証債務の附従性に基づき請求異議の訴により自己に対する前記判決の執行力の排除を求めることができる筋合であると主張する。そこで案ずるに、一般に保証人が、債権者からの保証債務履行請求訴訟において、主債務者勝訴の確定判決を援用することにより保証人勝訴の判決を導きうると解せられるにしても、保証人がすでに保証人敗訴の確定判決を受けているときは、保証人敗訴の判決確定後に主債務者勝訴の判決が確定しても、同判決が保証人敗訴の確定判決の基礎となった事実審口頭弁論終結の時までに生じた事実を理由としてされている以上、保証人は右主債務者勝訴の確定判決を保証人敗訴の確定判決に対する請求異議の事由にする余地はないものと解すべきである。けだし、保証人が主債務者勝訴の確定判決を援用することが許されるにしても、これは、右確定判決の既判力が保証人に拡張されることに基づくものではないと解すべきであり、また、保証人は、保証人敗訴の確定判決の効力として、その判決の基礎となった事実審口頭弁論終結の時までに提出できたにもかかわらず提出しなかった事実に基づいてはもはや債権者の権利を争うことは許されないと解すべきところ、保証人敗訴判決の確定後において主債務者勝訴の確定判決があっても、その勝訴の理由が保証人敗訴判決の基礎となった事実審口頭弁論の終結後に生じた事由に基づくものでない限り、この主債務者勝訴判決を援用して、保証人敗訴の確定判決に対する請求異議事由とするのを認めることは、実質的には前記保証人敗訴の確定判決の効力により保証人が主張することのできない事実に基づいて再び債権者の権利を争うことを容認するのとなんら異なるところがないといえるからである。」
過去問・解説
(H30 予備 第41問 5)
XがYに有する貸金債権の連帯保証人Zに対して提起した保証債務履行請求の訴えに対し、請求を認容する判決が確定した後、XのYに対する貸金返還請求訴訟において、保証債務履行請求訴訟の事実審の口頭弁論終結時前にYが弁済したとして、請求を棄却する判決が確定した場合に、ZがXに対して保証債務履行請求訴訟の確定判決について提起した請求異議の訴えにおいて、貸金返還請求訴訟の確定判決を請求異議の事由として援用することは、許されない。
XがYに有する貸金債権の連帯保証人Zに対して提起した保証債務履行請求の訴えに対し、請求を認容する判決が確定した後、XのYに対する貸金返還請求訴訟において、保証債務履行請求訴訟の事実審の口頭弁論終結時前にYが弁済したとして、請求を棄却する判決が確定した場合に、ZがXに対して保証債務履行請求訴訟の確定判決について提起した請求異議の訴えにおいて、貸金返還請求訴訟の確定判決を請求異議の事由として援用することは、許されない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭51.10.21)は、本肢と同種の事案において、「保証人は右主債務者勝訴の確定判決を保証人敗訴の確定判決に対する請求異議の事由にする余地はない…。」としている。
したがって、ZがXに対して保証債務履行請求訴訟の確定判決について提起した請求異議の訴えにおいて、貸金返還請求訴訟の確定判決を請求異議の事由として援用することは、許されない。
判例(最判昭51.10.21)は、本肢と同種の事案において、「保証人は右主債務者勝訴の確定判決を保証人敗訴の確定判決に対する請求異議の事由にする余地はない…。」としている。
したがって、ZがXに対して保証債務履行請求訴訟の確定判決について提起した請求異議の訴えにおいて、貸金返還請求訴訟の確定判決を請求異議の事由として援用することは、許されない。
総合メモ
不真正連帯債務者中の一人と債権者との間の訴訟において相殺を認めた確定判決の他の債務者に対する効力(反射効) 最一小判昭和53年3月23日
概要
不真正連帯債務者中の1人と債権者との間で右債務者の反対債権をもってする相殺を認める判決が確定しても、右判決の効力は他の債務者に及ぶものではない。
判例
事案: 不真正連帯債務者中の1人と債権者との間の訴訟において相殺を認めた判決が確定した事案において、かかる判決のその他の債務者に対する効力が問題となった。
判旨:「不真正連帯債務者中の1人と債権者との間の確定判決は、他の債務者にその効力を及ぼすものではなく、このことは、民訴法199条2項(現:114条2項)により確定判決の既判力が相殺のために主張された反対債権の存否について生ずる場合においても同様であると解すべきである。もとより、不真正連帯債務者の1人と債権者との間で実体法上有効な相殺がなされれば、これによって債権の消滅した限度で他の債務者の債務も消滅するが、他の債務者と債権者との間の訴訟においてこの債務消滅を認めて判決の基礎とするためには、右相殺が実体法上有効であることを認定判断することを要し、相殺の当事者たる債務者と債権者との間にその相殺の効力を肯定した確定判決が存在する場合であっても、この判決の効力は他の債務者と債権者との間の訴訟に及ぶものではないと解すべきであるから、右認定判断はこれを省略することはできない。」
判旨:「不真正連帯債務者中の1人と債権者との間の確定判決は、他の債務者にその効力を及ぼすものではなく、このことは、民訴法199条2項(現:114条2項)により確定判決の既判力が相殺のために主張された反対債権の存否について生ずる場合においても同様であると解すべきである。もとより、不真正連帯債務者の1人と債権者との間で実体法上有効な相殺がなされれば、これによって債権の消滅した限度で他の債務者の債務も消滅するが、他の債務者と債権者との間の訴訟においてこの債務消滅を認めて判決の基礎とするためには、右相殺が実体法上有効であることを認定判断することを要し、相殺の当事者たる債務者と債権者との間にその相殺の効力を肯定した確定判決が存在する場合であっても、この判決の効力は他の債務者と債権者との間の訴訟に及ぶものではないと解すべきであるから、右認定判断はこれを省略することはできない。」
過去問・解説
(R3 予備 第35問 イ)
Xが、Xに対して連帯債務を負うYとZのうちYに対してのみその債務の履行を求める訴訟において、相殺を理由として請求を一部棄却するとの判決が確定した場合に、この判決の効力は、Zに及ぶ。
Xが、Xに対して連帯債務を負うYとZのうちYに対してのみその債務の履行を求める訴訟において、相殺を理由として請求を一部棄却するとの判決が確定した場合に、この判決の効力は、Zに及ぶ。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭53.3.23)は、「不真正連帯債務者中の1人と債権者との間の確定判決は、他の債務者にその効力を及ぼすものではなく、このことは、民訴法199条2項(現:114条2項)により確定判決の既判力が相殺のために主張された反対債権の存否について生ずる場合においても同様である…。」としている。
したがって、Xが得た確定判決の効力は、他の債務者であるZに及ばない。
判例(最判昭53.3.23)は、「不真正連帯債務者中の1人と債権者との間の確定判決は、他の債務者にその効力を及ぼすものではなく、このことは、民訴法199条2項(現:114条2項)により確定判決の既判力が相殺のために主張された反対債権の存否について生ずる場合においても同様である…。」としている。
したがって、Xが得た確定判決の効力は、他の債務者であるZに及ばない。
総合メモ
判決の言渡しをする裁判官は、当該判決の基本となる口頭弁論に関与した裁判官でなければならないか 最二小判昭和26年6月29日
総合メモ
口頭弁論期日に出頭しなかった当事者に対する判決言渡期日の告知の要否 最三小判昭和23年5月18日
概要
当事者の一方が適法な呼出を受けながら口頭弁論期日に出頭しない場合に、裁判所が口頭弁論を終結し、裁判長において判決言渡期日を指定してこれを当事者に告知したときは、その告知は、在廷しない当事者に対してもその効力を有する。
判例
事案:一方当事者が出頭しなかった口頭弁論期日に判決言渡期日の告知を行った事案において、出頭しなかった当事者に対する判決言渡期日の告知の効力が問題となった。
判旨:「当事者の一方が適法な呼出を受けながら口頭弁論期日に出頭しない場合に、裁判所が口頭弁論を経て審理を終結し、裁判長に於て判決言渡期日を指定して該期日に出頭すべき旨を当事者に告知したときは、その告知は…在廷しない当事者に対してもその効力を有するものであるから更にその者に対して右判決言渡期日に出頭すべき旨の呼出状を送達することを要しないのである。」
判旨:「当事者の一方が適法な呼出を受けながら口頭弁論期日に出頭しない場合に、裁判所が口頭弁論を経て審理を終結し、裁判長に於て判決言渡期日を指定して該期日に出頭すべき旨を当事者に告知したときは、その告知は…在廷しない当事者に対してもその効力を有するものであるから更にその者に対して右判決言渡期日に出頭すべき旨の呼出状を送達することを要しないのである。」
過去問・解説
(R4 予備 第38問 イ)
当事者の一方が適式な呼出しを受けながら口頭弁論の期日に欠席した場合において、裁判所が、口頭弁論を終結し、判決言渡期日を指定して告知したときは、欠席した当事者に対し判決言渡期日の呼出状を送達することを要しない。
当事者の一方が適式な呼出しを受けながら口頭弁論の期日に欠席した場合において、裁判所が、口頭弁論を終結し、判決言渡期日を指定して告知したときは、欠席した当事者に対し判決言渡期日の呼出状を送達することを要しない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭23.5.18)は、「当事者の一方が適法な呼出を受けながら口頭弁論期日に出頭しない場合に、裁判所が口頭弁論を経て審理を終結し、裁判長に於て判決言渡期日を指定して該期日に出頭すべき旨を当事者に告知したときは…在廷しない当事者に対して…右判決言渡期日に出頭すべき旨の呼出状を送達することを要しない…。」としている。
判例(最判昭23.5.18)は、「当事者の一方が適法な呼出を受けながら口頭弁論期日に出頭しない場合に、裁判所が口頭弁論を経て審理を終結し、裁判長に於て判決言渡期日を指定して該期日に出頭すべき旨を当事者に告知したときは…在廷しない当事者に対して…右判決言渡期日に出頭すべき旨の呼出状を送達することを要しない…。」としている。
総合メモ
当事者双方不出頭の口頭弁論期日における弁論終結の際の判決言渡期日指定の告知 最二小判昭和56年3月20日
概要
当事者双方不出頭の口頭弁論期日において弁論を終結するに際し、裁判長が法廷において判決言渡期日を指定し、これを告知する方法としてその言渡をしたときは、当事者に対してその効力を生じ、更に右期日に出頭すべき旨の呼出状を送達することを要しない。
判例
事案:当事者双方不出頭の口頭弁論期日に弁論を終結させ、判決言渡期日を指定し、これを告知する方法としてその言渡をした事案において、判決言渡期日指定の告知の効力が問題となった。
判旨:「当事者の双方が適法な呼出を受けながら口頭弁論期日に出頭しない場合においても、訴訟が裁判をするに熟するときは、裁判所は口頭弁論を終結することが許されるものであるところ(最高裁昭和40年(オ)第361号同41年11月22日第三小法廷判決・民集20巻9号1914頁参照)、右審理の終結に際し、裁判長が法廷において判決言渡期日を指定し、これを告知する方法としてその言渡をしたときは、民訴法207条、190条2項(現:122条、251条2項)により在廷しない当事者に対してその効力を有し、更に右判決言渡期日に出頭すべき旨の呼出状を送達することを要しないものと解すべきである(一方当事者の不出頭の場合についての最高裁昭和23年(オ)第19号同年5月18日第三小法廷判決・民集2巻5号115頁参照)。」
判旨:「当事者の双方が適法な呼出を受けながら口頭弁論期日に出頭しない場合においても、訴訟が裁判をするに熟するときは、裁判所は口頭弁論を終結することが許されるものであるところ(最高裁昭和40年(オ)第361号同41年11月22日第三小法廷判決・民集20巻9号1914頁参照)、右審理の終結に際し、裁判長が法廷において判決言渡期日を指定し、これを告知する方法としてその言渡をしたときは、民訴法207条、190条2項(現:122条、251条2項)により在廷しない当事者に対してその効力を有し、更に右判決言渡期日に出頭すべき旨の呼出状を送達することを要しないものと解すべきである(一方当事者の不出頭の場合についての最高裁昭和23年(オ)第19号同年5月18日第三小法廷判決・民集2巻5号115頁参照)。」
総合メモ
当事者の一方だけが出頭した場合における民事訴訟法249条2項の手続 最二小判昭和31年4月13日
概要
249条2項の手続を履践すべき場合、当事者の一方が口頭弁論期日に欠席したときは、裁判長は出頭した当事者に双方に係る従前の口頭弁論の結果を陳述させることができる。
判例
事案:訴訟を担当する裁判官が変わった後、当事者の一方だけが出頭した口頭弁論期日に、裁判長が出頭した当事者に双方に係る従前の口頭弁論の結果を陳述させた事案において、当事者の一方だけが出頭した場合に249条2項の手続を行うことができるかが問題となった。
判旨:「記録によれば所論原審における口頭弁論期日(昭和28年12月22日午前10時)には、控訴人並びに控訴人の訴訟代理人は出頭せず、被控訴代理人は出頭したこと、及び右期日の弁論調書には、被控訴代理人は『前回迄の口頭弁論調書に基いて従前の口頭弁論の結果を陳述し』たとの記載あること明らかである。本件のごとく裁判官の更迭のあった場合、当事者の一方が欠席したときは、裁判長は出頭した一方の当事者をして、当事者双方にかかる従前の口頭弁論の結果を陳述せしめることができるのであって、右のごとき調書の記載は被控訴代理人において当事者双方にかかる従前の口頭弁論の結果を陳述したものと解すべきであるから、民訴187条2項(現:249条2項)所定の手続は適法に履践されたこと明瞭であって、何ら所論のような違法はない。」
判旨:「記録によれば所論原審における口頭弁論期日(昭和28年12月22日午前10時)には、控訴人並びに控訴人の訴訟代理人は出頭せず、被控訴代理人は出頭したこと、及び右期日の弁論調書には、被控訴代理人は『前回迄の口頭弁論調書に基いて従前の口頭弁論の結果を陳述し』たとの記載あること明らかである。本件のごとく裁判官の更迭のあった場合、当事者の一方が欠席したときは、裁判長は出頭した一方の当事者をして、当事者双方にかかる従前の口頭弁論の結果を陳述せしめることができるのであって、右のごとき調書の記載は被控訴代理人において当事者双方にかかる従前の口頭弁論の結果を陳述したものと解すべきであるから、民訴187条2項(現:249条2項)所定の手続は適法に履践されたこと明瞭であって、何ら所論のような違法はない。」
過去問・解説
(R4 予備 第41問 ア)
裁判官が代わり、当事者が従前の口頭弁論の結果を陳述する場合に、当事者の一方が欠席したときは、出頭した他方当事者だけではこの陳述をすることができない。
裁判官が代わり、当事者が従前の口頭弁論の結果を陳述する場合に、当事者の一方が欠席したときは、出頭した他方当事者だけではこの陳述をすることができない。
(正答)✕
(解説)
249条2項は、「裁判官が代わった場合には、当事者は、従前の口頭弁論の結果を陳述しなければならない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭31.4.13)は、「裁判官の更迭のあった場合、当事者の一方が欠席したときは、裁判長は出頭した一方の当事者をして、当事者双方にかかる従前の口頭弁論の結果を陳述せしめることができる。」としている。
したがって、裁判官が代わり、当事者が従前の口頭弁論の結果を陳述する場合に、当事者の一方が欠席したときは、出頭した他方当事者に従前の口頭弁論の結果を陳述させることができる。
249条2項は、「裁判官が代わった場合には、当事者は、従前の口頭弁論の結果を陳述しなければならない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭31.4.13)は、「裁判官の更迭のあった場合、当事者の一方が欠席したときは、裁判長は出頭した一方の当事者をして、当事者双方にかかる従前の口頭弁論の結果を陳述せしめることができる。」としている。
したがって、裁判官が代わり、当事者が従前の口頭弁論の結果を陳述する場合に、当事者の一方が欠席したときは、出頭した他方当事者に従前の口頭弁論の結果を陳述させることができる。