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民事訴訟法 別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟で相殺の抗弁を主張することの可否(抗弁後行型) 最三小判平成3年12月17日 - 解答モード
概要
別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として、相殺の抗弁を主張することは、許されない。
判例
事案:別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として相殺の抗弁が主張された事案において、かかる相殺の抗弁の主張が142条に反し許されないかが問題となった。
判旨:「係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは許されないと解するのが相当である(最高裁昭和58年(オ)第1406号同63年3月15日第三小法廷判決・民集42巻3号170頁参照)。すなわち、民訴法231条(現:142条)が重複起訴を禁止する理由は、審理の重複による無駄を避けるためと複数の判決において互いに矛盾した既判力ある判断がされるのを防止するためであるが、相殺の抗弁が提出された自働債権の存在又は不存在の判断が相殺をもって対抗した額について既判力を有するとされていること(同法199条2頃(現:114条2項))、相殺の抗弁の場合にも自働債権の存否について矛盾する判決が生じ法的安定性を害しないようにする必要があるけれども理論上も実際上もこれを防止することが困難であること、等の点を考えると、同法231条(現:142条)の趣旨は、同一債権について重複して訴えが係属した場合のみならず、既に係属中の別訴において訴訟物となっている債権を他の訴訟において自働債権として相殺の抗弁を提出する場合にも同様に妥当するものであり、このことは右抗弁が控訴審の段階で初めて主張され、両事件が併合審理された場合についても同様である。」
判旨:「係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは許されないと解するのが相当である(最高裁昭和58年(オ)第1406号同63年3月15日第三小法廷判決・民集42巻3号170頁参照)。すなわち、民訴法231条(現:142条)が重複起訴を禁止する理由は、審理の重複による無駄を避けるためと複数の判決において互いに矛盾した既判力ある判断がされるのを防止するためであるが、相殺の抗弁が提出された自働債権の存在又は不存在の判断が相殺をもって対抗した額について既判力を有するとされていること(同法199条2頃(現:114条2項))、相殺の抗弁の場合にも自働債権の存否について矛盾する判決が生じ法的安定性を害しないようにする必要があるけれども理論上も実際上もこれを防止することが困難であること、等の点を考えると、同法231条(現:142条)の趣旨は、同一債権について重複して訴えが係属した場合のみならず、既に係属中の別訴において訴訟物となっている債権を他の訴訟において自働債権として相殺の抗弁を提出する場合にも同様に妥当するものであり、このことは右抗弁が控訴審の段階で初めて主張され、両事件が併合審理された場合についても同様である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%
(H19 司法 第58問 オ)
BのAに対する貸金債権の支払を求める訴訟の係属中に、AのBに対する売買代金の支払を求める別訴が提起された場合、当該別訴において、Bが同一の貸金債権をもって相殺する旨の抗弁を主張することは許されない。
全体の正答率 : 100%
(H28 予備 第37問 ウ)
XのYに対する売買代金支払請求訴訟であるA訴訟とYのXに対する貸金返還請求訴訟であるB訴訟とがそれぞれ係属中に、A訴訟の被告Yが、A訴訟において、B訴訟で請求している貸金債権を自働債権とする相殺の抗弁を主張することは、許されない。
全体の正答率 : 100%
(R2 予備 第40問 オ)
Xは、Yに対し、金銭債権である甲債権を、Yは、Xに対し、金銭債権である乙債権をそれぞれ有しており、甲債権と乙債権とは、相殺適状にあるところ、XがYに対して甲債権に基づく金銭の支払を求める訴え(以下「本件訴え」といい、本件訴えに係る訴訟を「本件訴訟」という。)を提起した。本件訴訟とYのXに対する乙債権に基づく金銭の支払を求める訴えに係る訴訟とがそれぞれ係属している場合に、Yが、本件訴訟において乙債権を自働債権とし、甲債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することは、許されない。