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民事訴訟法 控訴審における訴えの変更後の新訴の係属と控訴棄却の裁判 最一小判昭和32年2月28日 - 解答モード

概要
控訴審において訴の変更による新訴が係属した場合、新訴については、控訴裁判所は、事実上第1審としての裁判をすべきであり、たとえ新訴に対する結論が旧訴に対する第1審判決の主文の文言と合致する場合であっても、控訴棄却の裁判をすべきではない。
判例
事案:控訴審において訴が変更された事案において、新訴に対する主文の判示方法が問題となった。

判旨:「第1審判決が訴訟物として判断の対象としたものは前説示のとおり貸金債権であり、原審の認容した求償債権ではない。この両個の債権はその権利関係の当事者と金額とが同一であるというだけでその発生原因を異にし全然別異の存在たることは多言を要しない。そして本件控訴はいうまでもなく第1審判決に対してなされたものであり、原審の認容した求償債権は控訴審ではじめて主張されたものであって第1審判決には何等の係りもない。原審が本件訴の変更を許すべきものとし、また求償債権に基く新訴請求を認容すべしとの見解に到達したからとて、それは実質上初審としてなす裁判に外ならないのであるから第1審判決の当否、従って本件控訴の理由の有無を解決するものではない。それ故原審は本件控訴を理由なきものとなすべきいわれはなく、単に新請求たる求償債権の存在を確定し「控訴人は被控訴人に対し金713,626円を支払わなければならない」旨の判決をなすべかりしものなのである。それは一見第1審判決と同旨の主文を徒らに繰返えすが如き感を与えるかも知れないけれども、実は、法律上重大な意義を有する。けだし控訴を棄却する旨の判決は、民訴384条(現:302条)1項の法文上明らかなように第1審判決を相当とし維持さるべきことを宣告するものであり、この判決が確定することによって第1審判決も確定し、その裁判の内容に従いそれに相応する既判力、執行力、形成力等を生ずるのである。同条2項にいわゆる『判決カ其ノ理由ニ依レハ不当ナル場合ニ於テモ他ノ理由ニ依リテ正当ナルトキ』とは、第1審判決でなされた判断そのものの正当性が判決の理由とするところによっては維持せられないが他の理由によって肯定される場合をいうのである。例えば第1審判決が原告主張の貸金債権が弁済により消滅したものとして原告の請求を排斥したものであるとき、控訴審においては弁済の事実は認められないけれど、免除の事実が認められ、結局当該貸金債権の消滅を確定した第1審判決の判断が維持し得るような場合をいうのであって、本件のように第1審判決と第2審判決とがその判断の対象を異にし偶々その主文の文言が同一に帰するというが如き場合をも包含するものでないことは同条1項の法意に照らし疑なきところである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H18 司法 第63問 4)
判例によれば、控訴審において訴えの交換的変更があった場合、新訴については控訴裁判所が事実上第1審裁判所として裁判するのであるから、新訴についての判決の結論が第1審判決の主文と全く同一となっても、控訴棄却の裁判をすべきではない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭32.2.28)は、「本件控訴はいうまでもなく第1審判決に対してなされたものであり、原審の認容した求償債権は控訴審ではじめて主張されたものであって第1審判決には何等の係りもない。原審が本件訴の変更を許すべきものとし、また求償債権に基く新訴請求を認容すべしとの見解に到達したからとて、それは実質上初審としてなす裁判に外ならないのであるから第1審判決の当否、従って本件控訴の理由の有無を解決するものではない。」としている。
したがって、新訴についての判決の結論が第1審判決の主文と全く同一となっても、控訴棄却の裁判をすべきではない。

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