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民事訴訟法 詐欺を理由とする取消権 最一小判昭和55年10月23日 - 解答モード
概要
判例
判旨:「売買契約による所有権の移転を請求原因とする所有権確認訴訟が係属した場合に、当事者が右売買契約の詐欺による取消権を行使することができたのにこれを行使しないで事実審の口頭弁論が終結され、右売買契約による所有権の移転を認める請求認容の判決があり同判決が確定したときは、もはやその後の訴訟において右取消権を行使して右売買契約により移転した所有権の存否を争うことは許されなくなるものと解するのが相当である。これを本件についてみるに、原審が適法に確定したところによれば、本件被上告人を原告とし本件上告人を被告とする原判示津簡易裁判所昭和45年(ハ)第15号事件において被上告人が上告人から本件売買契約により本件土地の所有権を取得したことを認めて被上告人の所有権確認請求を認容する判決があり、右判決が確定したにもかかわらず、上告人は、右売買契約は詐欺によるものであるとして、右判決確定後である昭和49年8月24日これを取り消した旨主張するが、前訴において上告人は、右取消権を行使し、その効果を主張することができたのにこれをしなかったのであるから、本訴における上告人の上記主張は、前訴確定判決の既判力に抵触し許されないものといわざるをえない。」
過去問・解説
(H23 共通 第69問 4)
売買契約に基づく土地引渡請求訴訟で請求を認容する判決が確定した場合、売主は、その後に提起した請求異議の訴えにおいて、当該売買契約につき詐欺による取消権を行使し、その効果を異議の事由として主張することができる。
(H25 共通 第70問 3)
売買による所有権の取得を請求原因として買主が提起した所有権確認訴訟において、売主である被告が詐欺を理由として当該売買契約の取消しをすることができたのにこれをしないまま口頭弁論が終結し、請求認容判決が確定した場合であっても、被告は、自己の所有権の確認を求める後訴において当該売買契約の取消しを主張して買主の所有権の取得を争うことができる。
(H28 予備 第36問 1)
売買による所有権の取得を請求原因として買主が提起した所有権確認請求訴訟において、被告である売主が詐欺を理由として売買契約の取消しをすることができたのにこれをしないまま口頭弁論が終結し、請求を認容する判決が確定した場合には、売主は自己の所有権の確認を買主に対して求める後訴において当該取消しを主張して買主の所有権の取得を争うことができない。
(R6 予備 第42問 ア)
買主Xが売主Yに対し、売買契約により建物の所有権を取得したとして所有権の確認を求める訴えを提起し、請求を認容する判決が確定した後、YがXに対し、同一の建物について所有権の確認を求めて訴えを提起し、その訴状において上記売買契約を詐欺により取り消すとの意思表示をした場合には、後訴裁判所がYの主張を認めてYの請求を認容する判決をすることは、 前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭55.10.23)は、本肢と同種の事案において、「当事者が右売買契約の詐欺による取消権を行使することができたのにこれを行使しないで事実審の口頭弁論が終結され、右売買契約による所有権の移転を認める請求認容の判決があり同判決が確定したときは、もはやその後の訴訟において右取消権を行使して右売買契約により移転した所有権の存否を争うことは許されなくなる…。」とした上で、所有権の存否を争う旨の主張について、「前訴確定判決の既判力に抵触し許されないものといわざるをえない。」としている。
したがって、後訴裁判所がYの主張を認めてYの請求を認容する判決をすることは、 前訴の確定判決の既判力に反し許されない。