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民事訴訟法 相殺の抗弁により原告の請求を棄却した第一審判決に対し原告のみが控訴することの可否 最一小判昭和61年9月4日 - 解答モード
概要
原告の訴求債権・被告の相殺の抗弁が認められて原告の請求を棄却した第1審判決に対し、原告のみが控訴し被告が控訴も附帯控訴もしなかった場合において、控訴審が、被告の相殺の抗弁について判断するまでもなく、訴求債権の不存在を理由に原告の請求を棄却すべきときは、不利益変更禁止の原則に従い、第1審判決を維持して、原告の控訴を棄却するにとどめなければならない。
判例
事案:相殺の抗弁により原告の請求を棄却した第1審判決に対し原告のみが控訴した場合に、控訴審での不利益変更禁止の原則の適用が問題となった。
判旨:「訴求債権が有効に成立したことを認めながら、被告の主張する相殺の抗弁を採用して原告の請求を棄却した第1審判決に対し、原告のみが控訴し被告が控訴も附帯控訴もしなかった場合において、控訴審が訴求債権の有効な成立を否定したときに、第1審判決を取消して改めて請求棄却の判決をすることは、民訴法199条2項(現:114条2項)に徴すると、控訴した原告に不利益であることが明らかであるから、不利益変更禁止の原則に違反して許されないものというべきであり、控訴審としては被告の主張した相殺の抗弁を採用した第1審判決を維持し、原告の控訴を棄却するにとどめなければならないものと解するのが相当である。」
判旨:「訴求債権が有効に成立したことを認めながら、被告の主張する相殺の抗弁を採用して原告の請求を棄却した第1審判決に対し、原告のみが控訴し被告が控訴も附帯控訴もしなかった場合において、控訴審が訴求債権の有効な成立を否定したときに、第1審判決を取消して改めて請求棄却の判決をすることは、民訴法199条2項(現:114条2項)に徴すると、控訴した原告に不利益であることが明らかであるから、不利益変更禁止の原則に違反して許されないものというべきであり、控訴審としては被告の主張した相殺の抗弁を採用した第1審判決を維持し、原告の控訴を棄却するにとどめなければならないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H21 司法 第73問 4)
予備的相殺の抗弁を容れて原告の請求を棄却した第1審判決に対して、原告が控訴し、被告が控訴も附帯控訴もしない場合、控訴裁判所が、原告の訴求債権はそもそも存在しないと判断するときは、原判決を取り消し、改めて原告の請求を棄却すべきである。
(H25 共通 第73問 2)
第1審判決が予備的相殺の抗弁を認めて原告の請求を棄却したのに対し、原告が控訴し、被告が控訴も附帯控訴もしない場合において、控訴裁判所が原告の請求債権はそもそも存在しないと判断するときは、控訴裁判所は、第1審判決を維持し、控訴を棄却しなければならない。
(H30 予備 第44問 5)
金銭の給付訴訟において、被告の相殺の抗弁が認められて原告の請求が棄却され、原告が控訴し、被告が控訴及び附帯控訴のいずれもしない場合に、控訴裁判所が請求原因事実が認められないとの判断をしたときは、第1審判決を取り消して、請求を棄却するとの判決をすることができる。