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民事訴訟法 「請求の基礎」に変更がある場合において相手方の陳述した事実に基づいてする訴えの変更 最二小判昭和39年7月10日
概要
相手方の陳述した積極否認の内容となる間接事実に基づいて訴えの変更をする場合には、請求の基礎に変更があるときでも、相手方の同意の有無にかかわらず、訴えの変更は許されると解すべきである。
判例
事案:相手方の陳述した積極否認の内容となる事実に基づいて訴えの変更がなされたが、請求の基礎に変更がある事案において、相手方の陳述した積極否認の内容となる間接事実に基づいて訴えの変更をする場合には、請求の基礎に変更があるときでも許されるかが問題となった。
判旨:「相手方の提出した防禦方法を是認したうえその相手方の主張事実に立脚して新たに請求をする場合、すなわち相手方の陳述した事実をとってもって新請求の原因とする場合においては、かりにその新請求が請求の基礎を変更する訴の変更であっても、相手方はこれに対し異議をとなえその訴の変更の許されないことを主張することはできず、相手方が右の訴の変更に対し現実に同意したかどうかにかかわらず、右の訴の変更は許されると解するのが相当である(大審判昭和9年3月13日民集13巻4号287頁参照)。そして、右の場合において、相手方の陳述した事実は、かならずしも、狭義の抗弁、再々抗弁などの防禦方法にかぎられず、相手方において請求の原因を否認して附加陳述するところのいわゆる積極否認の内容となる重要なる間接事実も含まれると解すべきである。ところで、原審判決(1審判決引用、以下同じ。)および一件記録によると、被上告人は、当初、上告人先代Dに対し係争家屋が被上告人の所有に属するとしてその所有権にもとづき係争家屋の明渡ならびに延滞賃料および賃料相当損害金の支払を請求したところ、同人は、係争家屋は被上告人所有のもとの家屋を取りこわしたうえあらたに建築して上告人先代Dの所有に属する旨主張して積極的に被上告人の所有権を否認した。そこで、被上生人は上告人先代Dが先に陳述したところに従い係争家屋の所有権が同人に属することを前提として、あらためて本件土地の所有権にもとづき同人に対し係争家屋の収去とその敷地の明渡の請求を、第1審において、予備的に追加したことが認められる。右訴訟の経過によると、本件においては、被上告人は、係争家屋の収去とその敷地の明渡の請求を、上告人先代Dの提出したいわゆる積極否認にかかる事実を是認したうえこれにもとづいて新たに右請求を予備的に追加したものと認められるから、前段説示のところから明らかなとおり、右の訴の変更は許容するのが相当である。それゆえ、被上告人のした新の追加的変更を許容した原審判決の判断は相当というべぎであり、原審には、所論のような違法はない。」
判旨:「相手方の提出した防禦方法を是認したうえその相手方の主張事実に立脚して新たに請求をする場合、すなわち相手方の陳述した事実をとってもって新請求の原因とする場合においては、かりにその新請求が請求の基礎を変更する訴の変更であっても、相手方はこれに対し異議をとなえその訴の変更の許されないことを主張することはできず、相手方が右の訴の変更に対し現実に同意したかどうかにかかわらず、右の訴の変更は許されると解するのが相当である(大審判昭和9年3月13日民集13巻4号287頁参照)。そして、右の場合において、相手方の陳述した事実は、かならずしも、狭義の抗弁、再々抗弁などの防禦方法にかぎられず、相手方において請求の原因を否認して附加陳述するところのいわゆる積極否認の内容となる重要なる間接事実も含まれると解すべきである。ところで、原審判決(1審判決引用、以下同じ。)および一件記録によると、被上告人は、当初、上告人先代Dに対し係争家屋が被上告人の所有に属するとしてその所有権にもとづき係争家屋の明渡ならびに延滞賃料および賃料相当損害金の支払を請求したところ、同人は、係争家屋は被上告人所有のもとの家屋を取りこわしたうえあらたに建築して上告人先代Dの所有に属する旨主張して積極的に被上告人の所有権を否認した。そこで、被上生人は上告人先代Dが先に陳述したところに従い係争家屋の所有権が同人に属することを前提として、あらためて本件土地の所有権にもとづき同人に対し係争家屋の収去とその敷地の明渡の請求を、第1審において、予備的に追加したことが認められる。右訴訟の経過によると、本件においては、被上告人は、係争家屋の収去とその敷地の明渡の請求を、上告人先代Dの提出したいわゆる積極否認にかかる事実を是認したうえこれにもとづいて新たに右請求を予備的に追加したものと認められるから、前段説示のところから明らかなとおり、右の訴の変更は許容するのが相当である。それゆえ、被上告人のした新の追加的変更を許容した原審判決の判断は相当というべぎであり、原審には、所論のような違法はない。」
過去問・解説
(H24 共通 第72問 2)
判例によれば、建物所有権に基づき建物明渡しを求める訴えを提起した原告が、請求を土地所有権に基づく建物収去土地明渡請求に変更することは、この訴えの変更が当該建物の所有権が自己に帰属する旨の被告の陳述に基づいてされた場合であっても、認められない。
判例によれば、建物所有権に基づき建物明渡しを求める訴えを提起した原告が、請求を土地所有権に基づく建物収去土地明渡請求に変更することは、この訴えの変更が当該建物の所有権が自己に帰属する旨の被告の陳述に基づいてされた場合であっても、認められない。
(正答)✕
(解説)
143条1項本文は、「原告は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、請求又は請求の原因を変更することができる。」と規定している。
これについて、判例(最判昭39.7.10)は、本肢と同種の事案において、「相手方の提出した防禦方法を是認したうえその相手方の主張事実に立脚して新たに請求をする場合、すなわち相手方の陳述した事実をとってもって新請求の原因とする場合においては、かりにその新請求が請求の基礎を変更する訴の変更であっても、相手方はこれに対し異議をとなえその訴の変更の許されないことを主張することはできず、相手方が右の訴の変更に対し現実に同意したかどうかにかかわらず、右の訴の変更は許される。」としている。
本肢において、建物所有権に基づき建物明渡しを求める訴えの際に、当該建物の所有権が自己に帰属する旨の被告の陳述に基づいて請求を土地所有権に基づく建物収去土地明渡請求に変更することは、「相手方の提出した防禦方法を是認したうえその相手方の主張事実に立脚して新たに請求をする場合」に当たるため、請求の基礎を変更する訴えの変更であるが、これも認められる。
143条1項本文は、「原告は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、請求又は請求の原因を変更することができる。」と規定している。
これについて、判例(最判昭39.7.10)は、本肢と同種の事案において、「相手方の提出した防禦方法を是認したうえその相手方の主張事実に立脚して新たに請求をする場合、すなわち相手方の陳述した事実をとってもって新請求の原因とする場合においては、かりにその新請求が請求の基礎を変更する訴の変更であっても、相手方はこれに対し異議をとなえその訴の変更の許されないことを主張することはできず、相手方が右の訴の変更に対し現実に同意したかどうかにかかわらず、右の訴の変更は許される。」としている。
本肢において、建物所有権に基づき建物明渡しを求める訴えの際に、当該建物の所有権が自己に帰属する旨の被告の陳述に基づいて請求を土地所有権に基づく建物収去土地明渡請求に変更することは、「相手方の提出した防禦方法を是認したうえその相手方の主張事実に立脚して新たに請求をする場合」に当たるため、請求の基礎を変更する訴えの変更であるが、これも認められる。
(H28 予備 第38問 4)
建物所有権に基づき建物明渡しを求める訴えを提起した原告が、請求を土地所有権に基づく建物収去土地明渡請求に変更することは、この訴えの変更が当該建物の所有権が自己に帰属する旨の被告の陳述に基づいてされた場合には、許される。
建物所有権に基づき建物明渡しを求める訴えを提起した原告が、請求を土地所有権に基づく建物収去土地明渡請求に変更することは、この訴えの変更が当該建物の所有権が自己に帰属する旨の被告の陳述に基づいてされた場合には、許される。
(正答)〇
(解説)
143条1項本文は、「原告は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、請求又は請求の原因を変更することができる。」と規定している。
これについて、判例(最判昭39.7.10)は、本肢と同種の事案において、「相手方の提出した防禦方法を是認したうえその相手方の主張事実に立脚して新たに請求をする場合、すなわち相手方の陳述した事実をとってもって新請求の原因とする場合においては、かりにその新請求が請求の基礎を変更する訴の変更であっても、相手方はこれに対し異議をとなえその訴の変更の許されないことを主張することはできず、相手方が右の訴の変更に対し現実に同意したかどうかにかかわらず、右の訴の変更は許される。」としている。
本肢において、建物所有権に基づき建物明渡しを求める訴えの際に、当該建物の所有権が自己に帰属する旨の被告の陳述に基づいて請求を土地所有権に基づく建物収去土地明渡請求に変更することは、「相手方の提出した防禦方法を是認したうえその相手方の主張事実に立脚して新たに請求をする場合」に当たるため、請求の基礎を変更する訴えの変更であるが、これも認められる。
143条1項本文は、「原告は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、請求又は請求の原因を変更することができる。」と規定している。
これについて、判例(最判昭39.7.10)は、本肢と同種の事案において、「相手方の提出した防禦方法を是認したうえその相手方の主張事実に立脚して新たに請求をする場合、すなわち相手方の陳述した事実をとってもって新請求の原因とする場合においては、かりにその新請求が請求の基礎を変更する訴の変更であっても、相手方はこれに対し異議をとなえその訴の変更の許されないことを主張することはできず、相手方が右の訴の変更に対し現実に同意したかどうかにかかわらず、右の訴の変更は許される。」としている。
本肢において、建物所有権に基づき建物明渡しを求める訴えの際に、当該建物の所有権が自己に帰属する旨の被告の陳述に基づいて請求を土地所有権に基づく建物収去土地明渡請求に変更することは、「相手方の提出した防禦方法を是認したうえその相手方の主張事実に立脚して新たに請求をする場合」に当たるため、請求の基礎を変更する訴えの変更であるが、これも認められる。
(H30 予備 第37問 ア)
被告が主張する積極否認の内容となる重要な間接事実に立脚した新たな請求の追加的変更であっても、従前の請求と請求の基礎の同一性がない場合には、このような訴えの変更は、許されない。
被告が主張する積極否認の内容となる重要な間接事実に立脚した新たな請求の追加的変更であっても、従前の請求と請求の基礎の同一性がない場合には、このような訴えの変更は、許されない。
(正答)✕
(解説)
143条1項本文は、「原告は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、請求又は請求の原因を変更することができる。」と規定している。
これについて、判例(最判昭39.7.10)は、「相手方の提出した防禦方法を是認したうえその相手方の主張事実に立脚して新たに請求をする場合、すなわち相手方の陳述した事実をとってもって新請求の原因とする場合においては、かりにその新請求が請求の基礎を変更する訴の変更であっても、…相手方が右の訴の変更に対し現実に同意をしたかどうかにかかわらず、右の訴の変更は許される。」とした上で、「相手方の陳述した事実は、…いわゆる積極否認の内容となる重要なる間接事実も含まれる。」としている。
したがって、被告が主張する積極否認の内容となる重要な間接事実に立脚した新たな請求の追加的変更は、従前の請求と請求の基礎の同一性がない場合であったとしても、許される。
143条1項本文は、「原告は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、請求又は請求の原因を変更することができる。」と規定している。
これについて、判例(最判昭39.7.10)は、「相手方の提出した防禦方法を是認したうえその相手方の主張事実に立脚して新たに請求をする場合、すなわち相手方の陳述した事実をとってもって新請求の原因とする場合においては、かりにその新請求が請求の基礎を変更する訴の変更であっても、…相手方が右の訴の変更に対し現実に同意をしたかどうかにかかわらず、右の訴の変更は許される。」とした上で、「相手方の陳述した事実は、…いわゆる積極否認の内容となる重要なる間接事実も含まれる。」としている。
したがって、被告が主張する積極否認の内容となる重要な間接事実に立脚した新たな請求の追加的変更は、従前の請求と請求の基礎の同一性がない場合であったとしても、許される。
(R4 予備 第37問 4)
相手方が積極否認の理由として主張した重要な間接事実に基づいて訴えの変更をする場合には、相手方の同意がなく、請求の基礎に変更があるときであっても、訴えの変更をすることができる。
相手方が積極否認の理由として主張した重要な間接事実に基づいて訴えの変更をする場合には、相手方の同意がなく、請求の基礎に変更があるときであっても、訴えの変更をすることができる。
(正答)〇
(解説)
143条1項本文は、「原告は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、請求又は請求の原因を変更することができる。」と規定している。
これについて、判例(最判昭39.7.10)は、「相手方の提出した防禦方法を是認したうえその相手方の主張事実に立脚して新たに請求をする場合、すなわち相手方の陳述した事実をとってもって新請求の原因とする場合においては、かりにその新請求が請求の基礎を変更する訴の変更であっても、…相手方が右の訴の変更に対し現実に同意したかどうかにかかわらず、右の訴の変更は許される。」とした上で、「相手方の陳述した事実は、…いわゆる積極否認の内容となる重要なる間接事実も含まれる。」としている。
143条1項本文は、「原告は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、請求又は請求の原因を変更することができる。」と規定している。
これについて、判例(最判昭39.7.10)は、「相手方の提出した防禦方法を是認したうえその相手方の主張事実に立脚して新たに請求をする場合、すなわち相手方の陳述した事実をとってもって新請求の原因とする場合においては、かりにその新請求が請求の基礎を変更する訴の変更であっても、…相手方が右の訴の変更に対し現実に同意したかどうかにかかわらず、右の訴の変更は許される。」とした上で、「相手方の陳述した事実は、…いわゆる積極否認の内容となる重要なる間接事実も含まれる。」としている。