現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください
短答判例
当事者の主張のない所有権喪失の原因となる事実と弁論主義 最三小判昭和41年4月12日
概要
原告が土地の所有権に基づき登記の抹消を求めた訴訟において、裁判所が、当事者のいずれも主張していない原告から第三者への土地の譲渡を認定し、原告が所有権を失ったとして請求を排斥することは、弁論主義に反する。
判例
事案:原告は、自己所有の土地について、被告ら名義の所有権移転登記の抹消を求めたところ、被告らは、原告から代物弁済により土地の所有権を取得したと主張した。原審は、原告がいったん土地を買い戻したと認定した上、さらに、当事者が主張していない原告から第三者への土地の譲渡を認定し、原告の請求を排斥した。
そこで、裁判所が当事者の主張していない所有権喪失の原因となる事実を認定し、判決の基礎とすることが弁論主義に反しないかが問題となった。
判旨:「原判決は、Xにおいて本件土地をYより買戻した旨を認定した以上、Xが現に本件土地所有権を有しないのは、XよりZへ本件土地を譲渡したという理由によるものであつて、YがXより本件土地を代物弁済により取得したという理由によるものではないといわなければならない。しかるに、XよりZへの本件土地譲渡の事実は、原審口頭弁論において当事者の主張のない事実であるから、原判決は、当事者の主張のない事実によりXの前記請求を排斥したものというべく、右違法は判決に影響があること明らかである…。」
そこで、裁判所が当事者の主張していない所有権喪失の原因となる事実を認定し、判決の基礎とすることが弁論主義に反しないかが問題となった。
判旨:「原判決は、Xにおいて本件土地をYより買戻した旨を認定した以上、Xが現に本件土地所有権を有しないのは、XよりZへ本件土地を譲渡したという理由によるものであつて、YがXより本件土地を代物弁済により取得したという理由によるものではないといわなければならない。しかるに、XよりZへの本件土地譲渡の事実は、原審口頭弁論において当事者の主張のない事実であるから、原判決は、当事者の主張のない事実によりXの前記請求を排斥したものというべく、右違法は判決に影響があること明らかである…。」
過去問・解説
(R8 予備 第36問 イ)
Xは、甲土地につき、登記名義人であるYに対し、所有権に基づき所有権移転登記手続を求める訴えを提起し、これに対し、Yは、抗弁として、XがAに対し代物弁済により甲土地を譲渡したと主張し、X及びYは、その他の主張をしなかった。この場合において、裁判所が、XからAへの代物弁済による甲土地の譲渡の事実を認定した上で、さらに、その後、XがAから甲土地を買い戻したことを認定して、Xの請求を認容する判決をすることは、弁論主義に反する。
Xは、甲土地につき、登記名義人であるYに対し、所有権に基づき所有権移転登記手続を求める訴えを提起し、これに対し、Yは、抗弁として、XがAに対し代物弁済により甲土地を譲渡したと主張し、X及びYは、その他の主張をしなかった。この場合において、裁判所が、XからAへの代物弁済による甲土地の譲渡の事実を認定した上で、さらに、その後、XがAから甲土地を買い戻したことを認定して、Xの請求を認容する判決をすることは、弁論主義に反する。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭41.4.12)は、当事者が主張していない所有権移転の事実について、「原審口頭弁論において当事者の主張のない事実であるから、原判決は、当事者の主張のない事実により上告人の前記請求を排斥したものというべく」として、これを判決の基礎にすることは弁論主義に反する旨判示している。
本肢において、XがAから甲土地を買い戻したとの事実は、代物弁済によって甲土地の所有権を失ったXが、その所有権を再び取得したことを基礎付ける主要事実であるところ、X及びYのいずれもこれを主張していない。
したがって、裁判所が、XからAへの代物弁済による甲土地の譲渡の事実を認定した上で、さらに、その後、XがAから甲土地を買い戻したことを認定して、Xの請求を認容する判決をすることは、弁論主義に反する。
判例(最判昭41.4.12)は、当事者が主張していない所有権移転の事実について、「原審口頭弁論において当事者の主張のない事実であるから、原判決は、当事者の主張のない事実により上告人の前記請求を排斥したものというべく」として、これを判決の基礎にすることは弁論主義に反する旨判示している。
本肢において、XがAから甲土地を買い戻したとの事実は、代物弁済によって甲土地の所有権を失ったXが、その所有権を再び取得したことを基礎付ける主要事実であるところ、X及びYのいずれもこれを主張していない。
したがって、裁判所が、XからAへの代物弁済による甲土地の譲渡の事実を認定した上で、さらに、その後、XがAから甲土地を買い戻したことを認定して、Xの請求を認容する判決をすることは、弁論主義に反する。